本日の三重県議会本会議において、国への「核兵器禁止条約への署名と批准を求める意見書」が採択をされました。
この意見書は私が副委員長を務める戦略企画雇用経済常任委員会が所管し、正副委員長(案)として作成したものです。
当初請願として常任委員会に付託された内容には主に二つの誤った認識がありました。
一つには政府に対して「”早急”な署名と批准を求める」もの、二つ目は「日本が国際社会から孤立化している」かのような内容であり、誤った認識が助長され兼ねないものでありました。
私は副委員長として委員長とも連携の上、委員会で討論を行い、委員会を主導し現実的に国(政府)を動かし得る内容の意見書(案)へ文言修正しました。
※主な修正箇所は「・・・条約への参加を検討する意思の表明」「・・・条約への署名と批准に向けた建設的な議論を進める」です。
結果、委員会で採択され、本日の本会議でも賛成多数で採択に至りました。
★下記に上記二点の修正理由を述べます。
「核の非人道性」を根拠に核を”違法””とする核兵器禁止条約(以下条約)は昨年7月に国連で採択されました。
厳格な禁止項目があり実効力を伴う条約であるが故に、条約への署名・批准は核を放棄する事に等しい。
また核保有国は元より、日本のような核依存国においても安全保障の現実(日米同盟など)に目を向けなければなりません。
(※現実的には核保有国並びに核依存国は条約への署名・批准は”しない”のではなく”出来ない”内容となっている。また日本においては条約を採るか、日米同盟を採るかの選択にもなり兼ねない内容である)
結果、核保有国と核兵器禁止条約を批准した国々の間に対立構造が生じています。
しかしながら人類の悲願である「核のない世界」に向けて、現実的かつ確実な核廃絶への道を開く必要があります。
このような中、公明党は核保有国と非核保有国の有識者からなる「賢人会議」の重要性を強く訴え、昨年11月には我が国の主導により、広島で第1回賢人会議が開催され、現在スイスのジュネーブで開催中のNPT(核拡散防止条約)運用検討会議に向けて提言を取りまとめました。
この事実は日本が核兵器禁止条約に対して、国際社会においてイニシアチブを発揮し、信頼を得ている証左であり実績であります。
唯一の戦争被爆国である日本は非核保有国と核保有国・核依存国の”橋渡し役”になることが求められ、その使命と責務は重要であると考えます。
また、イニシアチブには二通りの考え方があります。
一つには他国の先頭を走る事(前者)、もう一つは核保有国・核依存国を置き去りにすることなく、共に核廃絶への歩みを進めるその先導役(後者)としてであります。
前者はある意味日本の独断で可能であるかもしれませんが、戦争被爆国である日本が核保有国・核依存国を置き去りにする形となり、イニシアチブを発揮しているとは到底考えられません。国際社会からの信頼も損なわれることは必至です。今日本に求められている実効性のあるイニシアチブは後者であり、「賢人会議」の開催などは唯一の戦争被爆国である日本にしかできない使命であると考えるものであります。
核廃絶という悲願(彼岸)に向けて進む”箱舟”に核保有国・核依存国も共に乗り込ませる所から知恵を絞り、その箱舟を先導する事がまさに日本のイニシアチブではないでしょうか。
日本が自ら真っ先に彼岸に到達し、現実的にまだ対岸にいる核保有国・核依存国を眺めることは、あたかも核兵器を”対岸の火事”と捉えるものといえるのではないでしょうか。