識者に聞く「新しい生活様式」
新型コロナウィルスとの長期戦を見据え、感染予防と社会経済活動を両立する「新しい生活様式」が求められており、これまでの知見を踏まえ、政府専門家会議の座長である脇田隆字 国立感染症研究所所長と、同会議のメンバーである釜萢敏 日本医師会常任理事にアドバイス等について公明新聞が取材しておりますので、紹介致します。
⚫ 感染拡大の現状は。
➡ 緊急事態宣言による外出自粛などの効果で、感染経路が不明な「市中感染」のリスクはかなり抑え込めている。厚労省が今月上旬行った調査では、過去の感染歴を示す抗体保有率は、東京都で0.10%、大阪府で0.17%、宮城県で0.03%でした。ほとんどの人がまだ感染していない実態が裏付けられています。東京都の場合、約14,000人に感染歴があると推計され、PCR検査で感染が明らかになった人はその1/3程度。残りの2/3は無症状あるいは軽症で検査を受けなかった可能性があります。一方、連日数十人規模の新規感染者が出ているのは、積極的なPCR検査により、感染者を掘り起こしている面があり、3月下旬のオーバーシュート(爆発的患者急増)の危機とは違う状況です。
⚫ 社会経済活動を再開する上で注意すべき事は。
➡ クラスターが発生しやすいのは「3密」に加え、声を出したり呼吸が荒くなる環境です。それを避ける「新しい生活様式」の実践が欠かせません。例えば、感染リスクが高いとされたライブハウスでも、舞台に飛沫の飛散を防ぐシートを設置し、観客が声援の代わりに鈴を使うなどの対策をとって再開した施設があります。流行収束まで1、2年はかかるとみられ、感染リスクを理解し、活動再開を目指して頂きたい。
⚫ 第2波への対応は。
➡ 海外からの感染流入が抑えられている間は、爆発的な拡大は容易に起きないとみています。ただし、歓楽街などで感染が広がっている東京都では、これ以上の拡大を防ぐ対策を重点的に行う必要があります。
⚫ 外出や交流で気を付けたいことは。
➡ 人との間隔はできるだけ2メートル空けることを挙げています。感染リスクを大幅に減らすための信頼される知見です。また、マスク着用の効果もはっきり示され、症状がある人は他人にウィルスをうつさないため、健康な人は感染予防のためにマスクを着用してもらいたいと思います。
⚫ 長時間のマスク着用で心配なのが熱中症です。
➡ 着用時は激しい運動を避け、喉が渇いていなくてもこまめに水分を補給してください。近くに人がいなければ外しても問題ありません。30分に1回を目安に部屋の換気をしてください。室温は26度くらいが良いでしょう。
⚫ 症状については。
➡ 初期によく見られるのは、① 発熱、② せき、喉の痛み、鼻水などの呼吸器症状、③ 強いだるさ などです。すぐに息苦しさが現れるわけではありません。若い女性を中心に、食べ物の味や匂いが分からないと訴える人が多いことも分かっています。一方、重症化しやすいのは高齢者と、糖尿病や高血圧などの基礎疾患がある人です。免疫力が変化しやすい妊婦や、子どもも十分な注意が求められます。
⚫ 治療薬やワクチンは。
➡ 治療薬には、重症者に投与する「レムデシビル」がありますが、感染が分かってすぐ飲めるような薬はまだ薬事承認されておらず、既存の薬の中から有効性が期待できるものを試している段階です。ワクチンは、開発の緒に就いたばかりです。効果や安全性に加え、量産のしやすさが重要です。海外頼みだと供給面が危ういので、国内で一日も早く開発が進むことを期待しています。

