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公明党目黒区議会議員
関けんいち

感染者1000万人超、しのぎ削るワクチン開発、治療薬普及への取り組み

2020年6月29日

米ジョンズ・ホプキンス大学システム科学工学センター(CSSE)の集計によると、新型コロナウィルスの全世界の感染者が日本時間28日、累計で1,000万人を超えました。中国湖北省武漢市政府が昨年末に原因不明の肺炎患者発生を初めて公表(後に新型コロナ感染と確認)してからおよそ半年が経過しました。死者は50万人に迫ります。米国やブラジルなど南北米大陸を中心に感染拡大のペースが加速しており、パンデミック収束の目処は立たない状況が続きます。ヨーロッパでロックダウンなどの対策により感染が収束に向かい始める中、新たな流行の中心地となったのが米国。感染者は約251万人、死者は12万人超といずれも世界最多となっています。

一方、新型コロナウィルスの感染や重症化を防ぐワクチンの開発に向け、世界で100種類を超す研究が進んでいます。臨床試験(治験)は欧米や中国が先行していましたが、国内でも大阪大学と創薬ベンチャーが30日から始める予定です。世界保健機関(WHO)によると約140種類のワクチン開発が進行し、うち16種類が治験で安全性や有効性を確認する段階に移っています。ウィルスの感染力をなくした「不活化ワクチン」などの従来型だけでなく、「遺伝子ワクチン」と呼ばれる新しいタイプの開発も進んでいます。「遺伝子ワクチン」は、複製したウィルスのDNAやRNAの一部を体内に取り込んで免疫を作る仕組みで、ウィルス本体を培養する必要がないため製造期間やコストを抑えられる利点があります。これまで実用化に至った例はないですが、ウィルスが変異しても迅速に対応できる可能性があります。日本で30日から治験が始まるワクチンもこの仕組みを使います。大阪大学と同大発の創薬ベンチャー「アンジェス」が開発し、大阪市立大附属病院で30人を対象に実施。10月には治験の参加者を約500人に増やすなどして実用化を急ぎます。そして、来年3月までに20万人分の生産体制を整えると言います。ただ、ワクチン開発には通常5~10年かかります。エイズウィルス(HIV)のワクチンも30年以上研究が続いていますが、未だ実用化されていません。

新型コロナウィルスのワクチンや治療薬を低所得国や貧困地域を含め世界各地に普及させるための国際会議が27日、欧州連合(EU)欧州委員会などの主催でオンラインで開かれ、約40カ国・地域や企業、財団が計61億5000万ユーロ(約7,400億円)の資金支援や協力を約束しました。資金支援のうち49億ユーロは、欧州委員会と欧州投資銀行(EIB)が融資と保証を担います。欧州委員会は5月4日にワクチン普及への国際支援の働きかけを開始。日本からも含めこれまでに累計159億ユーロの支援を取り付けました。日本は今回、取り組みへの協力を改めて表明しました。

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事業者への支援策

2020年6月29日

本日付け公明新聞二面の”新型コロナ そこが知りたい!”に、新型コロナ感染拡大の影響を受けた事業者向けの支援策について、専門家からアドバイスを受けたい経営者のために、中小企業庁では、中小企業診断士による無料の電話経営相談窓口(☎050-5371-9453)を開設し、土日祝日を含む、毎日午前9時~午後5時まで受け付けています。相談時間は50分で、原則延長は出来ませんが、何度でも相談可能です。

相談内容は下記になります。

① 借入債務を保証する「セーフティネット保証」や「危機関連保証」

② 政府系金融機関による実質無利子・無担保融資など特別貸付

③ 設備投資などに活用できる「ものづくり補助金」など各種補助金

④ 中小企業などに最大200万円などを手当てする「持続化給付金」

この他 同庁では、現在実施中のオンライン会議システム「Zoom」などを使って、企業経営や中小企業施策の専門家が応対する「オンライン経営相談窓口」の相談体制を今月27日から拡大。平日だけでなく土日祝日も受け付けています。事前にインターネットでの申請(添付資料のQRコードよりアクセス)が必要。雇用やテレワーク導入支援といった経営環境の整備に関することも相談できます。同庁の担当者は「困り事があれば遠慮なく相談して欲しい」と呼び掛けています。

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識者に聞く「新しい生活様式」

2020年6月28日

新型コロナウィルスとの長期戦を見据え、感染予防と社会経済活動を両立する「新しい生活様式」が求められており、これまでの知見を踏まえ、政府専門家会議の座長である脇田隆字 国立感染症研究所所長と、同会議のメンバーである釜萢敏 日本医師会常任理事にアドバイス等について公明新聞が取材しておりますので、紹介致します。

⚫ 感染拡大の現状は。

➡ 緊急事態宣言による外出自粛などの効果で、感染経路が不明な「市中感染」のリスクはかなり抑え込めている。厚労省が今月上旬行った調査では、過去の感染歴を示す抗体保有率は、東京都で0.10%、大阪府で0.17%、宮城県で0.03%でした。ほとんどの人がまだ感染していない実態が裏付けられています。東京都の場合、約14,000人に感染歴があると推計され、PCR検査で感染が明らかになった人はその1/3程度。残りの2/3は無症状あるいは軽症で検査を受けなかった可能性があります。一方、連日数十人規模の新規感染者が出ているのは、積極的なPCR検査により、感染者を掘り起こしている面があり、3月下旬のオーバーシュート(爆発的患者急増)の危機とは違う状況です。

⚫ 社会経済活動を再開する上で注意すべき事は。

➡ クラスターが発生しやすいのは「3密」に加え、声を出したり呼吸が荒くなる環境です。それを避ける「新しい生活様式」の実践が欠かせません。例えば、感染リスクが高いとされたライブハウスでも、舞台に飛沫の飛散を防ぐシートを設置し、観客が声援の代わりに鈴を使うなどの対策をとって再開した施設があります。流行収束まで1、2年はかかるとみられ、感染リスクを理解し、活動再開を目指して頂きたい。

⚫ 第2波への対応は。

➡ 海外からの感染流入が抑えられている間は、爆発的な拡大は容易に起きないとみています。ただし、歓楽街などで感染が広がっている東京都では、これ以上の拡大を防ぐ対策を重点的に行う必要があります。

⚫ 外出や交流で気を付けたいことは。

➡ 人との間隔はできるだけ2メートル空けることを挙げています。感染リスクを大幅に減らすための信頼される知見です。また、マスク着用の効果もはっきり示され、症状がある人は他人にウィルスをうつさないため、健康な人は感染予防のためにマスクを着用してもらいたいと思います。

⚫ 長時間のマスク着用で心配なのが熱中症です。

➡ 着用時は激しい運動を避け、喉が渇いていなくてもこまめに水分を補給してください。近くに人がいなければ外しても問題ありません。30分に1回を目安に部屋の換気をしてください。室温は26度くらいが良いでしょう。

⚫ 症状については。

➡ 初期によく見られるのは、① 発熱、② せき、喉の痛み、鼻水などの呼吸器症状、③ 強いだるさ  などです。すぐに息苦しさが現れるわけではありません。若い女性を中心に、食べ物の味や匂いが分からないと訴える人が多いことも分かっています。一方、重症化しやすいのは高齢者と、糖尿病や高血圧などの基礎疾患がある人です。免疫力が変化しやすい妊婦や、子どもも十分な注意が求められます。

⚫ 治療薬やワクチンは。

➡ 治療薬には、重症者に投与する「レムデシビル」がありますが、感染が分かってすぐ飲めるような薬はまだ薬事承認されておらず、既存の薬の中から有効性が期待できるものを試している段階です。ワクチンは、開発の緒に就いたばかりです。効果や安全性に加え、量産のしやすさが重要です。海外頼みだと供給面が危ういので、国内で一日も早く開発が進むことを期待しています。

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飢饉と疫病

2020年6月27日

本日付け公明新聞一面コラム”北斗七星”は、サバクトビバッタの大量発生について書かれています。平安末期(1181~82年)には、天候不順で飢饉に見舞われた上に、疫病が流行し人が倒れ付していると、当時の惨状を、鴨長明は『方丈記』に「憂え悲しむ声、耳に満てり」と記されております。

今年2月にサバクトビバッタが東京都大の群れをなしアフリカの大地を席巻し、農作物を食い荒らして深刻な被害をもたらしていると”北斗七星”で取り上げていました。まだコロナが問題視される直前で、当時は1,000億匹。それでも東京都大の面積と群れの大きさを表現していましたが、現在は数兆匹にまで拡大し、中東、アフリカから南アジアに拡大しながら移動を進め、パキスタンでは被害が5,500億円にも達するとの事です。コロナ禍で隠れていましたが途方もない状況に至っております。

バッタは通常であれば「孤独相」といわれ、分散する空間があれば、積極的に互いを避ける性質だが、環境が良孝な場合、個体数が急増し密度が高まると、「孤独相」から獰猛な性質となる「群生相」に変わるとの事。特にコロナ禍で技術者、殺虫剤の移動が制限されたのが響きました。感染症と虫の繁殖に伴う食料難の複合災害は、海外からのサプライチェーンに頼るところが大きい日本では食料自給率の向上が求められます。

今回の異常発生がなぜ起こったのかは、異常気象がもたらした砂漠地での大量の降雨がバッタが産卵しやすい環境をもたらし、それが東アフリカに広がったと言われております。世界各地で行われてきた森林伐採で大規模農地を確保し、広大な面積に単一作物を作付する農法も、バッタの大量発生を助長した一因とも言われています。環境破壊による生態系の変化も関係していると思います。地球温暖化がもたらす影響は並大抵でなく、国際社会の結束が急務です。

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接触確認アプリ「COCOA(ココア)」

2020年6月26日

政府が開発したスマホ向け接触確認アプリ「COCOA(ココア)」については、移動制限が解除された19日に本ブログで紹介しましたが、同日より運用が始まり、25日の午後5時までにアプリのダウンロード数が約434万件と発表されています。アプリではホーム画面の「陽性者との接触を確認する」から、陽性者との接触の有無を確認できる。陽性者と接触した可能性があるとの通知を受けた場合、画面に表示される手順に沿って、自身の症状や身近に感染者がいたのかを入力すると、帰国者・接触者外来などの連絡先が表示され、PCR検査センターへの受診が案内されます。アプリはプライバシーの保護に配慮され、暗号化された記録などは利用者のスマホだけに保存され、14日経過後は自動的に削除されます。また、氏名、電話番号、メールアドレスなど個人情報を入力する必要もなく、利用者がアプリを削除すれば記録は残りません。

アプリが効果を発揮するには、多くの人がアプリをインストールすることが重要です。イギリスのオックスフォード大学の研究では、英国内の人口の56%が利用すれば、感染拡大防止に効果的と発表しています。日本国内であれば国民の6割程度の利用が望ましいと、一般財団法人 日本情報経済社会推進協会 坂下哲也 常務理事が述べております。データが集まれば効果的な対策が期待できます。利用者に安心して使ってもらえるように、国民に対し十分な説明をした上で、明確な終了時期と終了後のデータ消去を徹底することが重要です。

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来年の大学入試

2020年6月26日

本日付けの公明新聞二面の”主張”で、来年行う大学入試について、現在までに決定した事と、今後の対応について留意すべき点について述べております。

文部科学省では来年の大学入試日程に関し、これまでのセンター試験に代わって行われる大学入試共通テストを、当初から予定する1月16、17日を第1日程とし、新たに1月30、31日を第2日程として加え、感染拡大を踏まえた二通りを提示しました。

第2日程は、全国的な休校の長期化により学習が遅れた現役の高校生に限り、出願時に選択できるようにし、第1日程で病気などで受験出来なかった場合の追試の役割も果たします。また、第2日程を選択しながらやむを得ない事情受験できない場合は、特例追試日を2月13、14日に設けられました。入試日程を決めるに当たり、学習の遅れに加え、オンライン学習などの実施状況について、地域間格差が生じている事にどう配慮すべきかが焦点だった。6月上旬の全国高等学校長協会のアンケートで、加盟校の約7割が「予定通りの実施」を求め、出来なかった場合の予備日を明示する意見も考慮されました。

第1と第2の日程で受験の有利・不利が生じないよう公平性の担保が課題。また、第2日程の会場確保、感染防止対策も詰めなければならない。また、今後の感染拡大の状況次第では、再度の日程変更も有り得る。各大学とも例年以上にあらゆる不測の事態に備えておく必要がある。

文部科学省は共通テスト以外に、各大学が個別に行う入試でも、出題範囲の配慮や追試日程の設定などを求め、受験生の努力が報われるよう知恵を絞って欲しい。とりわけ重要なのは、迅速で丁寧な情報発信だ。 受験生が安心して入試に臨める環境づくりに努める事を、国や大学側に重ねて求めたい。

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令和2年度 目黒区一般会計補正2号

2020年6月25日

昨日は、目黒区議会企画総務委員会で、令和2年度 一般会計補正予算(第2号)の審査が行われました。私は企画総務委員会の委員として審査に臨みました。

今回の補正予算は予算規模19億4千万円余の増額補正で、そのうち国や東京都からの特定財源を除く区の財源(一般財源)を活用したのは16億3千万円余で、全て財源活用可能な財政調整基金を取り崩して対応しております。補正(第2号)の主だった事業は、GIGAスクール構想実現に向けた情報端末の整備に5億6千万円、めぐろ地元のお店応援券に5億3千万円、PCRセンター運営に1億円、小中学校給食費の支援(6・7月分)に1億円、ひとり親家庭等生活応援給付金に6千万円、新型コロナウィルス対策融資支援金に6千万円、ほか、予備費に2億円などが計上されています。

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私は大きく5つの角度で、以下13項目の質問を行いました。

① 予算編成の再考と今後の行政運営

・区民の窮状に鑑み、下半期は大幅に予算を組み直した対応が必要では?

➡補正(第3号)で減額補正を指示した。

・余裕のない方に対し、機敏な対応が図れる予備費に、国や都の手続きに時間がかかる各種給付金等の立替え対応が図れないか?

➡予備費は、予算計上していないが必要な事業か、予算計上しているがその額を超える事業経費と解釈しており、必要な事業であれば予備費を支出してスピーディーに対応する。

・区政再構築検討会議のメンバーに、デジタル化の知見を持つ専門家を交えて、財政効率化を踏まえた来年度予算案を検討するべきでは?

➡初めからメンバーに入れても目黒区の全貌を理解されていなければ、人材を登用した効果が発揮できない。必要なタイミングでの投入を検討する。

② 再度の感染拡大に備えた対策強化

・PCR検査センターの検査の充実を今後果たしていく上で、区民に対し、検査がしっかり行われている事を示すためにも、検査の限界数と実際の検査数を公表するべきでは?

➡検査の限界数と実際の検査数は公表に向けて検討する。

・過酷な環境で働く区内の介護事業所等で働く介護職員に対し、負担軽減策を検討しては?

➡様々コロナ対策グッズの支援、国の慰労金給付を補正2次で対応。また、東京都の負担軽減対策も用意されており、各事業者に対し活用を促す。

・コロナ禍での複合災害において、地域避難所のWiFi環境整備と、三密にならないようにスマホを使った体調の自己管理をする方法など提案する専門家の知見を加えては?

➡WiFiは震災時以外に活用する場面がなく整備コストも大きくかかる。また、専門家の知見は避難所の大きさとの関係もあり、調査研究する。

③ 区内産業や暮らしへの支援

・テナント家賃が高い目黒区の事業継続を応援するため、テナント賃料の減額に応じたテナントオーナーに対する目黒区に相応しい家賃支援を、地方創生臨時交付金から給付するべきでは?

➡東京都から地方創生臨時交付金の目黒区への配分等に注視し、それに応じた検討を図る。

・ブレミアム率50%のめぐろ地元のお店応援券を5億円分売切るには、大型スーパーや量販店、チェーン店での利用を今回は見合せたので、目黒区商店街連合会加盟店だけを利用対象としているが、非加盟店の利用も可能にしてはどうか。また、この機会に売上を伸ばした店舗や、商店街プロモーション事業と抱き合わせで成功した事業などを懸賞し、区内商業の振興に努めるべきでは?

➡この事業の主旨は地元に根差したお店の事業継続を支援する事であり、商店会非加盟店には、商店会への加入をこれを機に促進したい。また、区内商業の振興に努めた店舗や事業についての懸賞等については検討する。

・区立小中学校の給食食材納入事業者に支援給付が予算計上されたが、全ての食材納入対象事業者及び保育所や認定こども園も対象に加えているか?

➡関係する全ての事業者を対象にしているので、申告すれば給付対象となる。

④ 教育関連

・GIGAスクール構想(児童生徒へ一人一台端末を配備し、学校と各家庭においての学習環境を整備するなどの事業)を進めるにしても、対応のおぼつかない教師が出てくる事が想定されるが、具体的に今年度はどう進めるのか?

➡サポート要員をしっかり巡回させながら対応していく。

・小中学校の給食費について、コロナ禍の収束に目処がたたないため、今年度の給食費を所得階層に分け、対象世帯には1年間の負担軽減を図るべきでは?

➡感染第2波が襲いかかれば、修学支援制度の枠組みで対応をはかり、枠組みから外れる世帯に対しても収入が激減した世帯には、修学支援制度を拡張するよう検討する。

・長期休校の影響で児童生徒の情緒不安が懸念されるため、対応するスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの増員をしておくべきでは?

➡スクールソーシャルワーカーは平成28年度に1名配置後、毎年1名増で進めている。スクールカウンセラーも充足している。

⑤ わかりやすい情報提供

・新型コロナウィルス感染症の特集号は全戸配布で対応し、区長のビデオメッセージの横には手話通訳者をつけて対応すべきでは?

➡臨時号は急な場面での発行が多く難しいが、区報のチラシを行政掲示板に貼出し、住区センターに置いてある事を促す。また、新聞購読者が少なくなってきており、全戸配布についても研究する。ビデオメッセージについても、うまいやり方を研究する。

最終討論は賛成の内容でまとめ、全会一致で補正予算(第2号)は賛成となりました。

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グリーン・リカバリー

2020年6月23日

昨日付けの公明新聞五面に新型コロナウィルスの感染拡大で冷え込んだ経済の復興と、地球温暖化問題の解決を同時に目指す「グリーン・リカバリー」について特集しています。その背景や政策を実行するに当たっての課題、日本が果たす役割などについて、国連気候変動枠組み条約の主席交渉官の一人として地球温暖化交渉に尽力されました東京大学公共政策大学院の有馬純 教授に取材しておりますので、抜粋して紹介致します。

⚫ なぜ、グリーン・リカバリーが欧州を中心に注目されているのか。

教授 : 地球温暖化対策に熱心な欧州各国は、コロナ禍に伴う経済の低迷によって、脱炭素社会に向けた取組みの優先順位が下がる事に強い懸念を持っている。ロックダウンにより経済活動は大きく減退し、国際エネルギー機関(IEA)の直近の見通しでは、世界のCO2排出量は前年比で8%減少する第二次世界大戦以降で最大の下げ幅だ。ただ、景気が回復すれば間違いなくリバウンドする。欧州の環境活動家は「ただでさえ環境の優先度が下がっているのに、CO2の排出量が更に増加したら大変だ」と危機感を強めており、グリーン・リカバリーという議論が前面に出てきている。

⚫ コロナ対策と同様に温暖化対策でも、国が厳しい規制と巨額の財政出動をすべきとの意見もあるが。

教授 : コロナは自分も含め、身近にいる人たちを命の危険に晒す。だから欧州の人たちは不自由があってもロックダウンに耐えた。また、ロックダウンにより感染者を管理する事で効果が目に見えた。それに対し温暖化は、1ヵ国が一生懸命取組んでも、他国が温室効果ガスを排出し続ければ焼け石に水だ。それに、効果が見えるのにも時間がかかる。パリ協定の「1.5度目標」達成には、30年まで毎年7.8%のCO2を減らし、50年までに排出量実質ゼロを達成しなければならない。コロナで大きな経済被害が出た今年と同じくらいの削減を、10年以上続けなければいけない事になる。コロナと同様に政府が強権を発動するのは、国民の理解が得られないのではないか。経済や雇用に比較的短期で好影響が出て、環境面でも効果がある施策を中心に実行すべきだろう。

⚫ 日本では、どのようなグリーン・リカバリーの取組みが考えられるか。

教授 : 一つは電力ネットワークの強化だ。日本は北海道ー東北など地域間の送電線連携が弱い。関東と関西で周波数が違う課題もある。それらが風力発電のように適地がある程度偏っている再生可能エネルギーを、全国の消費地へ送電する際の制約になっている。送電網インフラが老朽化しているので、財政出動で再整備を一気に進めるという手はあるだろう。電力の流れを供給側・需要側の両方から制御し、双方向の電力融通を可能にする「スマートグリッド」の導入も合理的だ。そして温暖化を完全に解決するには、排出されたCO2を回収し、地中深くに貯留する技術(CCS)や水素技術などの開発を進めないといけない。民間企業はコロナ禍で体力が弱っているので、政府が思いきった減税措置や、将来を見据えてハイリスクな技術開発に力を入れる検討をしても良い。

⚫ 「ウィズコロナ」と呼ばれる世界で、持続可能な社会に向けた取組みはどう変わるか。

教授 : 世界が直面する課題は温暖化だけではない。SDGsは気候変動のほか、健康、雇用、貧困など計17ある。コロナの脅威が続くと、気候変動の優先順位が下がるのは避けられない。コロナ前よりも経済と環境の両立を目指す政策のハードルは上がっている。20~30年後を見据えれば、環境保護分野への大胆な投資が経済を強くするという意見もあるが、問題はそこに至るまでの経路だ。例えば、石炭の高効率燃焼技術の輸出をやめたからといって発展途上国が安価な石炭の利用をやめるとは思えない。OECD加盟国が輸出をやめたとしても、中国がシェアを奪うだけかも知れない。コロナ禍で化石燃料の価格が下がっていて、再エネの競争力は相対的に低下している。経済の落ち込みを鑑みれば、再エネ導入のために電気料金をこれ以上引き上げるのは容易ではない。日本の電気料金はアジアの中で最も高く、更なる引き上げは国際競争力にも悪影響になる。コロナ禍でテレワークが普及したように、今後さらに電化が進む可能性があるが、この観点でも電気料金の引き上げは不人気だろう。

⚫ 今後、脱炭素社会への移行に影響を与える出来事はあるか。

教授 : 11月の米大統領選挙でバイデン候補が当選すれば、米国の環境政策は大きく変わる。パリ協定への再加入や化石燃料の規制に取り組むと思われる。米国が環境問題に意欲を持つようになれば、脱炭素社会を目指す欧州の頭痛の種が消える。とはいえ、化石燃料の輸出禁止などの政策が実際に行われるかは、米経済の状況を見据えないといけない。米国民が温暖化対策に支払う許容額で最も多い回答は1人当たり年12ドルだ。パリ協定の「2度目標」達成には、その80倍以上の負担が必要と試算されており、国民の理解を得ながらどこまで施策を進められるかは不透明だ。

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コロナ禍はなぜ起きたか

2020年6月20日

本日付け公明新聞の四面の土曜特集では、表題の「コロナ禍はなぜ起きたか」と題して、問われる野性動物とヒトとの関係について、生物多様性の保全に詳しい、名古屋大学大学院の香坂玲 教授に取材しておりますので、抜粋して紹介致します。

⚫ 新型コロナウィルス感染症のパンデミックを、生物多様性の観点から捉える事が重要との事だが。

教授 : 地球は46億年という長い歴史の中で様々な環境の変化を重ねてきた結果、数千万種と推定される多様な生物が生息し、相互に関係する環境をつくりあげてきた。疫病や気候の激変も含む環境の変化は、多様な生物が存在する事に影響している。ウィルスは自らが増えていくために宿主の存在が必要で、長期的には弱毒化するものも多い。私たちは食料や創薬などで生物多様性の恩恵を享受している。一方、ウィルスとの共存を余儀なくされるものでもある。農耕を始めた時点で、水路や食料を備蓄する場所から発生した蚊やハエなどが媒介して、ウィルスに感染する事もあれば、ネズミやコウモリ、渡り鳥、家畜などの動物とヒトにも感染する人獣共通のウィルスも多い。新型コロナウィルスの場合、コウモリのほか、絶滅危惧種に指定されるウロコが漢方薬の原料になるなどの理由で密猟されているセンザンコウを媒介し、ヒトに感染したと見られている。自然界には野性動物に由来する未知のウィルスが、約170万種あると推定される。新たな感染症のパンデミックが起こり得る可能性は常にある。また、ウィルスの感染が加速度的に広がるきっかけを、開発などの人間がつくってしまっている。

⚫ 人間の活動が問題視されるのはなぜか?

教授 : 未開地の開発を進めた結果、野性動物の生息域を狭め、接触することの無かった野性動物の生息域に人間が入り込んでいる。例えば、湿地は10万種以上の淡水生物をはじめ、爬虫類や両生類、渡り鳥の生息域として必要だ。しかし、その85%以上が消失し農地などに変えられている。これにより、人間が居住する場所に渡り鳥の飛来が増え、家畜が鳥インフルエンザに感染するリスクが高まっている。森林は陸地の約30%を占め、陸域生物種の約8割が生息しているが、1990年から30年間で178万平方キロメートルも失われ、農地への転用や都市開発などが行われている。また、住む場所を奪われた野性動物は、わずかに残された生息域に集まる事で「密」になり、人間と接触しやすくなっている。今後は、ウィルスの感染リスクの管理という観点からも、野性動物の生息域を保護し、生物多様性を保全する取り組みが国際的に注目される。中国南部や途上国では野性動物がタンパク源の食用として売買されている。アフリカでは、狩猟で捕獲した野性動物をその場で食べたり、売ったりする「ブッシュミート」が問題となり、国連でも議論されてきた。野性動物の売買などが行われている場所で、動物からウィルスが感染するリスクの啓発や規制をする取り組みの強化が国際的に議論されている。新型コロナウィルスの影響で来年に延期となったCOP15(様々な生物や、その生息域の保全などを目指す生物多様性条約の第15回締約国会議)が中国の昆明で開催され予定で、ここで野性動物の取引の問題に関して、どういう対策が打ち出されるのかが注目される。

⚫ ほか、どのような取り組みが求められるか?

教授 : 「ワンヘルス」(One Health)という考え方で、保険衛生上の課題を、ヒト、動物、環境が相互に関係しているものとして捉える。かつては、ヒトの病気は医師、動物の病気は獣医師と、それぞれ個別に活動していた。「ワンヘルス」では、医学、獣医学、更に環境学の専門家が緊密に連携して取り組むことが求められている。それぞれが連携することで、動物からヒトに、いつ、どこで、どのようにウィルスが感染したのかを早期に探知する仕組みの構築も可能となる。人獣共通感染症に対処するには、こうした連携が必須である。仕組みづくりに向けて、WHO、国連食糧農業機関(FAO)、国連環境計画(UNEP)、国際獣疫事務局(OIE)、生物多様性条約事務局(CBD)などの国際機関が取り組みを開始している。ウィルス感染症のパンデミックの防止には、「3密」の回避や、治療薬やワクチンの開発など、人間に注目した対策だけでは不十分である。ワクチンが開発され終息出来たとしても、ウィルスと共存しなければならないので、私たちの状況は変わるわけではない。野性動物の生息域の保全に加え、家畜の福祉にも目を向けた飼い方の改善も必要だ。人間の「食」の在り方の見直しも重要である。環境への配慮の観点から、地域特有の季節や伝統を再評価した「食」と、それを支える「風土」も重視すべきである。

と結ばれています。

ヒトによる環境破壊がもたらした野性動物の生息域の剥奪は、未知のウィルスを人類に近づける結果を招いたと拝察します。これからの今一重の環境への配慮と、ウィルスとの共存に向けた防疫管理、日常を暮らすための「新しい生活様式」の定着を目指し、持続可能な環境の構築に向けて、取り組まなければいけないという事を、あらためて学びました。

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移動自粛 全面解除へ

2020年6月19日

政府は昨日、新型コロナウィルス感染症対策本部を開き、感染拡大防止の観点で求めてきた都道府県境をまたぐ移動の自粛を本日から全面解除する事を決めました。

県内に限定していた観光は、県をまたぐものも含め、徐々に推進する事になります。ただ、新規感染者が多い地域との往来に慎重な対応を求める自治体もあり、一様ではありません。コンサートなどイベントも1,000人規模での開催が可能になり、プロスポーツの試合は無観客で開けるようになります。また、国内の感染状況が落ち着いているベトナム、タイ、オーストラリア、ニュージーランドの4ヵ国との出入国制限も緩和し、水際対策の緩和に関しては「海外渡航者のための新たなPCRセンターの設置を検討する」と首相が記者会見で述べております。

政府は、緊急事態宣言の全面解除をした5/25~7/31までを「移行期間」と位置付け、概ね3週間ごとに自粛要請を緩和する事にしています。

東京都の新型コロナウィルス感染拡大に伴う休業要請も本日より全面的に解除されます。感染リスクが高いとされるナイトクラブなど接待を伴う飲食店は、政府が示す感染拡大防止のガイドラインに沿って再開を認める事になります。午後10時まで時短営業を求めてきた飲食店については、営業時間の制限を撤廃します。

感染者ゼロの岩手県は「新しい生活様式」を踏まえた上で、県内外の人に観光を呼び掛けます。達増拓也知事は、東京で連日2桁の新規感染者が出ている事について、「夜の街」や院内感染が主な原因であり、「直接関係しない都民の感染リスクは岩手と変わらないくらい低い状態だと思う」と認識を述べております。京都市は、観光客が集中するエリアや時間、時期の分散を強化する方針で「まずは京都府内や関西の方に来てもらい、徐々に全国の方に来て欲しい」と述べる一方「子どもが京都で日本の文化や歴史、心を学ぶことは非常に大事」だと、修学旅行を依頼する文書を都道府県教育長らに送付します。沖縄県は旅行者の増加に備え、本日より看護師らが常駐する専用相談センターを那覇空港に設置し、到着時や旅行中に熱が出た場合に医療機関につなぐ水際対策を強化します。宮崎県、長野県などは往来を引き続き慎重にするよう県民に呼び掛けております。

また、新型コロナウィルスの感染者と濃厚接触した可能性を知らせるスマートフォン向けアプリ(接触確認アプリ)について、本日から一般に提供が開始します。個人情報に配慮しながら、いち早く接触した可能性を通知するメリットがあります。アプリは、スマホのブルートゥース(無線通信)機能を活用し、利用者同士が1メートル以内に15分以上いると、各端末上に記録が残る仕組みで、利用者の感染が判明すれば、過去2週間に遡って、濃厚接触した可能性のある利用者に通知が届きます。西村経済再生担当大臣が積極的な利用を呼び掛けています。

いよいよの感がありますが、感染第2波に気を付けて、進んで行きましょう。

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