重要性増す食料自給率
新型コロナ感染拡大で、一部の国が輸出制限する中、「食料自給率」の重要性が改めて問われています。先月末に閣議決定した今後10年間の農業政策の指針となる新しい「食料・農業・農村基本計画」についての解説と、今後の課題について福島大学 生源寺眞一教授の公明新聞インタビューを紹介します。
新しい基本計画から輸入飼料で育てた畜産品も国産で扱う「食料国産率」を評価指標として加えました。今までは「食料自給率」という国産飼料のみで国内生産された畜産品の構成率で表してましたが、2018年度の牛肉食料自給率が11%に対し、輸入飼料で国内生産された「食料国産率」は43%もありました。日本の農家は高齢化や耕作放棄が増加している課題があり、国内畜産業をきちんと反映する新たな指標として「食料国産率」が設けられました。
次に、生源寺眞一教授へのインタビューは下記の通りです。
⚫ 世界の食料供給における新型コロナの影響は。
教授:明確に言える段階ではないが、今のところ大きな影響は出ていない。ただ、もしアフリカで感染拡大したら、農業従事者が多いので、生産が止まり、現地の食料供給に深刻な影響のおそれがある。
⚫ 一部の国が食料の輸出を制限している。
教授:2007~08年にかけ、世界では食料価格が急騰し、多くの国が国内消費に回すため輸出を禁止した。当時 食料は必需品との理由で国際的に容認されたが、今回は方針転換を求めるなど毅然とした姿勢が出来るかが問われる。近年の米国のように自国を優先する極端な主張がされると、それに対抗する国が出てきて国際市場の食料不足や価格高騰を引き起こしかねない。
⚫ カロリーベースの食料自給率が低迷した要因は。
教授:二つあって、一つは日本人の食生活の変化である。1960年代以降 米の消費が大幅に減り、肉や卵など畜産物を非常に多く消費するようになった。このため、家畜の餌を大量に輸入するようになり自給率が下がった。もう一つは、平成に入ってから農家の高齢化や農産物価格の低迷などで耕作放棄が拡大し、農業生産が縮小した。
⚫ 食料自給率を伸ばすにはどうすべきか。
教授:勢いのある新しい農業経営を生み出せるかどうかだ。担い手がいなくなった農地を引き受ける農業法人や非農家からの参入を後押しする事が重要だ。法人経営や専業農家で、新しい品目に挑戦するなど事業を拡大し、農業の厚みを増すことが出来る。耕作放棄地を放牧地にするなら家畜生産にもつながり、畜産の分野から自給率を支える事も可能だ。それには、意欲的かつ堅実な経営者が必要になる。


