#探査機「はやぶさ2」のカプセル帰還確認 地上に着地か 回収へ
❒NHK NEWSWEB/2020年12月06日2時54分…より転載!
オーストラリアの上空で大きな流れ星のような火球が観測され、探査機「はやぶさ2」のカプセルの帰還が確認されました。カプセルには小惑星の砂が入っているとみられていて、待機しているチームがオーストラリア南部の砂漠地帯で回収する計画になっています。
「はやぶさ2」は探査した小惑星「リュウグウ」の砂が入ったとみられるカプセルを地球に帰還させるため5日、カプセルを本体から分離しました。そして、6日午前2時半ごろ、オーストラリアの上空で長い尾を引いた流れ星のような火球として観測され、カプセルの帰還が確認されました。
カプセルは高度10キロ付近でパラシュートを開いてオーストラリア南部の砂漠地帯に着地する計画ですが、現地に入っているチームがビーコンと呼ばれる電波を受信して着地点を割り出したということです。そして、ヘリコプターを使ってカプセルを確認する作業を進め、夜明けを待って回収することになっています。
6年間にわたっておよそ50億キロを飛行した小惑星「リュウグウ」の探査はこれで終わりましたが、「はやぶさ2」の本体は燃料が多く残っていることから、新たなミッションに向かっていて、別の小惑星に11年後に到着し、探査を行うことになっています。
カメラがとらえた火球は
オーストラリア南部でJAXA=宇宙航空研究開発機構のカメラが撮影した映像では、6日午前2時29分、流れ星のような火球が確認されました。
火球は明るく輝いていて、白い尾を引きながら進んでいました。
JAXA管制室では拍手
午前2時半ごろ、「はやぶさ2」から分離されたカプセルが大気圏に突入する時刻になると、神奈川県相模原市にあるJAXAの管制室では、作業にあたる人たちはモニターに映し出されたオーストラリア上空の映像を食い入るように見ていました。
そして、明るく光る流れ星のような火球が確認されると、拍手をしあってカプセルの帰還を喜び合っていました。
JAXA津田プロジェクトマネージャ「美しい大気圏突入、感動」
カプセルの帰還が成功したことを受けて、「はやぶさ2」のプロジェクトマネージャを務めるJAXAの津田雄一さんはJAXAが配信する中継のインタビューで、「本当によかったです。いまはリラックスして現地の回収班からの報告を受けています。カプセルからのビーコンの電波が途絶えたということは、着地したということを意味しています。これからヘリが飛び立って探索に向かうことになります。美しい大気圏突入で、われわれも感動しています」と話していました。
カプセルの担当者「待ち遠しかった」
大気圏に突入したはやぶさ2のカプセルの担当者は、JAXAが配信する中継のインタビューで、「本当にこの日が待ち遠しかった。これまで仲間たちが成功を積み重ねていくのが喜ばしかったが、われわれが最後にバトンを受け取って、転んじゃうとまずいということで、プレッシャーも積み重なっていた。最後の最後で、うまくカプセルは機能できたということで安心しているが、まだ見つけるところまでいっていないので、最後まで慎重に見守りたいと思う」と話していました。
現地で観測の大村次席公使「本当に感動、今後にも期待」
オーストラリア南部の町、クーバーペディで「はやぶさ2」のカプセルが上空を通過する様子を見た在オーストラリア日本大使館の大村周太郎 次席公使は、「短い時間でしたが火球が現れて、糸を引くように反対方向に降りていくのを間近に自分の目で見ることができて、本当に感動しました。宇宙方面で日本とオーストラリアの協力が進んでいることを両国の人たちに理解していただけたので、今後にも期待したいです」と話していました。
JAXAの研究所がある相模原市では
「はやぶさ2」を運用するJAXA宇宙科学研究所がある相模原市では2か所でパブリック・ビューイングが行われ、このうち相模原市民会館には、深夜にもかかわらずおよそ350人が集まりました。
モニターにはJAXAが配信する管制室の様子や現地の夜空の映像が映し出され、午前2時半前に大きな流れ星のような火球が現れました。そしてすぐ後の午前2時半すぎにJAXAから帰還の成功が伝えられると、会場は盛大な拍手と歓声で包まれました。なかには涙を流して喜ぶ人の姿もみられました。
愛知県から来たという小学3年生の男の子は「無事に帰還できて、めちゃくちゃうれしいです。はやぶさのおかげで宇宙が好きになったので、将来はJAXAで働いて、次のはやぶさを飛ばしたい」と話していました。
また、都内の42歳の女性は、「つらいことがあっても、はやぶさ2の宇宙での頑張りに励まされてきたので、今は感動で胸がいっぱいで、ありがとうと伝えたいです」と話していました。