核兵器禁止条約について、7月25日(火)付の公明新聞の記事☝を掲載します。

 

違法化の意義と廃絶への課題

国連で7日に採択された核兵器禁止条約(核禁条約)は核兵器を違法化することで「核のない世界」をめざす。これは、核軍縮や核拡散防止など現実的ステップを通して核廃絶をめざす核保有国の考え方とは異なる。このため核保有国の条約加盟は見通せないが、核兵器違法化の意義は大きい。核廃絶実現への課題についてまとめた。

 

条約の骨子

  • 全ての国が核使用防止の責任を共有
  • 核兵器使用による被害者(ヒバクシャ)の受け入れ難い苦しみに留意
  • いかなる核兵器の使用も国際人道法に反していることを考慮
  • 平和、核軍縮についての教育を普及させる
  • 核兵器の開発、実験、製造、保有を禁止
  • 核兵器の使用や使用するとの威嚇を禁止
  • 核兵器の移譲を禁止
  • 被爆者らの医療、リハビリを支援
  • 50カ国の批准で条約発効

 

許されない非人道性

国際司法裁と国際会議が厳しく追及

核兵器を違法化する試みは21年前にさかのぼる。

「いかなる状況においても核兵器による威嚇または使用は国際法上許されるか」との国連総会の諮問に対して、国際司法裁判所(ICJ)は1996年7月8日、一般的には武力紛争に適用される国際人道法の原則に反するが、国家存亡の危機に際しての自衛目的の場合は、合法か違法か明確な結論を出すことはできない、とした勧告的意見を言い渡した。

核兵器についてICJが法的判断を示した初のケースであり、自衛目的の場合の判断を回避したとはいえ、核兵器の合法性の根拠を何一つ示さなかったことで「核違法勧告」とも呼ばれている。

これを受け翌97年4月、コスタリカが核兵器禁止条約のモデル条約を国連に提出したが実現にはほど遠い時代状況だった。

しかし、「核違法勧告」が違法の根拠を、非人道的兵器の使用禁止などを定めた国際人道法違反に置いた意義は大きく、2013~14年に3回開かれた「核の非人道性に関する国際会議」の実現につながった。核兵器の非人道性はICJと3回の国際会議で厳しく追及され、国際社会の共通認識となり、今回の核禁条約でも違法性の根拠として位置付けられた。

核禁条約は賛成122カ国、反対1カ国、棄権1カ国で採択され、賛成は国連加盟国193カ国の60%を超えた。核禁条約は自衛目的の場合の核使用だけでなく、使用するとの威嚇までも禁止したことで「核違法勧告」を乗り越えた。

安全保障の論点残る

どうする核抑止と不拡散の現実路線

核禁条約について、核拡散防止条約(NPT)で「核兵器国」として核保有を認められた5カ国(米、英、仏、ロ、中)と、「核の傘」の下にある北大西洋条約機構(NATO)や日本、韓国など核依存国は反対であり、今回の条約交渉会議にも参加しなかった(NATOのオランダは参加し採決で反対)。

日本の別所国連大使は条約採択の日に「(現状で条約に)署名することはない」と述べ、米英仏3カ国も共同声明で「安全保障環境の現実を無視している」「条約は北朝鮮の重大な脅威に対する解決策を提供せず、核抑止力を必要とする他の安全保障上の課題にも対処していない」と批判し、署名・批准・加盟することはないと表明した。核保有国の加盟がなければ核禁条約の実効性は望めない。

核保有国は核実験禁止や核軍縮など現実的な取り組みを進め、禁止は最終段階で必要との考えだ。禁止先行となった核禁条約は保有国と非保有国との溝を深めた。

岸田外相は11日、「(対立する)両者の信頼関係の再構築が最大の課題。現実的・実践的な取り組みをリードしたい」と述べた。NPTの下で核軍縮を進め、核抑止論など安全保障の議論も必要との日本の立場を示した発言だ。

核禁条約を推進してきた核兵器廃絶日本NGO連絡会は「禁止は廃絶に向けての歴史的な第一歩。しかしそれは到達点ではない」として、世論喚起や「核の傘」再検討の議論を深める考えだ。

橋渡し役をめざす公明

公明党は「核のない世界」に向けての法的枠組みについて議論が進められたことに対し、核廃絶の思いを同じくする立場から敬意を表し、条約採択を一歩前進と評価。その上で、今後は保有国と非保有国の橋渡し役として、政府が準備している双方の有識者による「賢人会議」開催などを通して核廃絶への具体的な歩みに貢献すると表明した。

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松山市 吉冨健一
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