認知症でも地域で安心な暮らしを!
2010年に全国で280万人だった認知症患者数は、高齢化が進むにつれ、増加している。2025年には70万人にも達すると推計されている。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、私たちが住む上田市も2040年には総推計人口120,927人、高齢化率39.5%とし、65歳以上の人口が47,766人になると予測しています。
認知症が原因https://www.komei.or.jp/km/matsuo-takashi/行方が分からなくなったとして警察に届出された人は、昨年全国で1万を超えたという。警視庁の発表によると、長野県内では129人の届け出があった。今後、高齢化が進むにつれ、認知症患者数は増えていくことは容易に予測される。認知症にならないための取り組みも大切だが、例え認知症になったとしても、地域で安心して暮らせる環境づくりが喫緊の課題となっている。
そんな中、認知症患者が行方不明になった際、その方の名前や年齢、服装、身体つきなどの情報を地域の事業所や住民が「高齢者SOSネットワーク」で共有。街で出会った時、もしやと…と思ったらやさしく、自然に声を掛けるという。2013年にスタートしたこのネットワークでの捜査で4件の行方不明者を無事に発見した。
それまで、行方不明者の捜索は警察と消防団が担い、地域の住民が共有することはなかった。そこに地域住民も加わり、情報が広く共有されたことが良い結果につながった。
この取り組みは行方不明者を早期発見できるだけでなく、地域に思いやりや助け合いの心が育ち、一体感を醸成しながら地域力の向上に繋がっていくと期待が集まっている。
一方、認知症対策としては発症してからの対応が主眼だったのを2012年の9月に制定された「認知症施策推進5か年計画」(オレンジプラン)は「早期発見・事前的な対応」を基本に据えた政策へ転換しています。
この中で、初期段階に本人や家族を支える基盤づくりを担う「認知症初期集中支援チーム」が注目を集めている。
このチームは、全国で14か所に設置されたモデル事業。看護師や作業療法士、医師などで構成。支援活動は、①認知症やその疑いがある人の把握②家庭訪問による観察と評価③行政なども参加して定期的に支援検討を行うチーム員会議の開催④専門医療機関への受信の勧めなどの支援の実施 などと段階的に進められる。約6か月間、概ね月1回頻度で訪問を重ね、集中的に支援を行う。今年度は全国に108か所に新設される。遅くとも2017年には全ての市町村でも実施される予定となっている。
上田市も急ぎ、支援体制の構築に向け、財源はもちろん、認知症に対する市民の理解を深めるとともに人材の確保などの課題に取り組んでいかなければならない。