時代とともに行政サービスが複雑化・専門化していくなかで議員にもより専門的で高度な知識をもつことが求められています。
かつて国から委任される事務を行うことがほとんどであった地方も、地方分権改革によって国の機関委任事務が廃止され、国と地方が対等になり全ての事務・事業について条例を制定できるようになりました。
そこで2000年に旧自治省(現総務省)の第26次地方制度調査答申で、地方自治における議会と議員が充分にその機能を発揮するための提言がなされました。
提言内容は次のとおりです。
●議員への幅広い人材確保
●議会の調査機能・議員研修の充実
●審議の透明性確保
●住民との意思疎通
●夜間休日議会開催の促進
●公聴会・参考人制度の活用
24年前の提言ですが、確かに今もって必要と感じます。
地方自治体(市)議会の本来の役目とは
市長や執行部に対する「チェック(監視)機能」と「政策提言機能」といわれています。
議会を通じて各種議案の審議・質疑の活性化は当然ですが、今後の地方分権時代においては、特に「政策提言機能」を強化することが必要と考えます。
ではどのようにしたら政策提言機能を強化することができるのでしょうか。
このことを少し考察したいと思います。
①調査研究による政策提言の活性化
地方分権改革以前の議会での政策提言とは、質疑で問題点を指摘して善処を要望する、いわゆる「お願い型」が主流であったといわれています。
そうではなく十分に先進地や国の制度を調べて、こういう政策を実施するほうが効果があるなど、具体的な提言をすることが重要だと指摘されてきました。
そのため地方自治法で2001年から各自治体は条例によって議員の調査研究に資するため会派または議員に対して支給できると、制度化されました。
これを「政務調査費」といい、
2012年には議会の議員の調査研究その他の活動に資するためとして「政務活動費」の名に変更されました。
なお松戸市議会政務活動費の交付に関する条例で、議員に認めている項目は次の通りです。
松戸市政務活動費
| 項目 | 内容 |
| 調査研究費 | 議員が行う市の事務、地方行財政等に関する調査研究及び調査委託に関する経費 |
| 研修費 | 議員が研修会を開催するために必要な経費又は議員が他の団体の開催する研修会の参加に要する経費 |
| 広報費 | 議員の調査研究活動及び議会活動並びに市政について市民に報告するために要する経費 |
| 広聴費 | 議員が行う市民からの市政及び議員の活動に対する要望、意見の聴取、地域課題における住民相談等の活動に要する経費 |
| 資料作成費 | 議員が行う調査研究活動のために必要な資料の作成に要する経費 |
| 資料購入費 | 議員が行う調査研究活動のために必要な図書、資料等の購入に要する経費 |
| 人件費 | 議員が行う調査研究活動を補助する者を雇用する経費 |
| 事務所費 | 議員が行う調査研究活動のために必要な事務所の設置及び管理に要する経費 |
| 事務費 | 議員が行う調査研究活動のために必要な事務的経費 |
| 通信交通費 | 広報及び広聴活動に要する通信交通費 |
以上が議員に対してですが、会派にはこれとは別に「会議費」として会派が行う調査研究活動のために必要な各種会議に要する経費を認めています。
年々複雑化・専門化する行政に対して、政策提言する議会である必要があります。
②議会事務局の強化
議会運営のために議会事務局が設置されています。
松戸市の事務局職員は大変優秀な方々についていただいてますが、それでも現状の人員は少ないものと見受けられます。
全国的にみても、議会事務局の人員は少ない傾向のようです。
そのため学識者らは、政策支援スタッフの強化として政策担当職員や議会事務局選任職員の採用を検討する必要があるといいます。
いずれにしても松戸市議会を支えてくださっている議会事務局職員と二人三脚で政策提言機能を強化していきたいと思います。
③住民との対話促進
より的確な政策を立案するためには、幅広い住民ニーズの把握が重要です。
1997年 政府の地方分権推進委員会は、議会の閉鎖性に対する批判にこたえ住民の議会への理解を深めるため、休日・夜間の議会開催、住民と議会が直接意見交換する場の設定を提言しています。
インターネットを活用して、より開かれた議会にすることもひとつの方法と考えます。
議場でも行政の専門用語が飛び交っていて、住民からしても、よくわからないことがほとんどです。
松戸市でもインターネット中継で字幕が掲載されるようになりましたが、専門用語の解説などもあると今よりも内容がよくわかるかもしれません。
いずれにしても市民の暮らしにもっとも関係していることを議論しているのが地方議会(市議会)です。今よりも興味を持っていただき、住民の多様で幅広い意見を反映していきたいと思います。
④条例制定の活性化
もともと、条例制定権は議会の先決事項です。にもかかわらず全国的にみても議会が提出する条例は少ないです。
最初に述べたように、地方分権改革によって地方と国は対等になり全ての事務・事業について条例を制定できるようになりました。つまり、政策的な条例制定を議員が主導して行う機会が広がったということです。
現在のほとんどは、執行部提案の条例を審議・可決することにとどまっています。
市の立法機関ともいうべき市議会は条例制定権を駆使し、政策立案をもっと行ってもいいのでは感じています。
そのためには、それぞれ意見を持つ議会なかで納得と理解を得るための粘り強い対話が必要ですね。
議会の政策提言機能を強化するためにも頑張って参ります。
※今回のブログはミネルヴァ書房発行の新版現代地方自治論(橋本行史編著)<2018年12月10日新版第2刷発行>から多くを引用しています



