第6回地域回想法サミット研修会、次の講演は「園芸療法と回想法」と題し、千葉大学大学院園芸研究科 准教授 岩崎 寛 氏の講演となりました。
園芸を学部として持つのは千葉大学だけで、多くは農学部などの中に学科として置かれている。
園芸療法やアロマテラピー、森林療法など緑の療法効果に関する研究を行っていて、環境健康学と言って、環境という分野と健康という分野を結びつけ、一つにした分野である。
取り扱うテーマは
①植物の療法的効果に関する研究
②医療福祉施設の緑化に関する研究
③緑地福祉ー人と植物の関わりに関する研究
①の植物の療法的効果に関しては、園芸療法や森林療法、アロマテラピーがあげられる。
②の施設緑化に関しては、病院や福祉施設の緑化に関し、どのような環境にすることで人に与える影響がどう変化するかなどの研究である。
③の緑化福祉に関してはオフィスの緑化や環境教育、地域コミュニティや公園浴などを研究している。
森林浴の効果が人体にいい効果がもたらされることはすでに広く知られているが、実際の数値的な分析では、週に3回程度の森林浴を継続しなければ効果が持続されないこともわかってきた。
週に3回はとてもでないが森林までは行けない。しかし森林まで行かなくても近くにある公園の木々や緑で効果が得られないか?と研究した結果、それでも十分であることから公園浴を勧めている。
人は環境の変化に対応して生体内の状態を一定に保っている。この性質を恒常性(ホメオスタシス)と呼び、これには神経系、免疫系、内分泌系の3つの系があり相互のバランスにより維持されている。そこに外からストレスなどの刺激が加わると、この3つの系のバランスが崩れ、鬱や認知症などへの症状につながる。そのストレスを除去するのが「緑(みどり)」である。
高血圧症、低血圧症、平常の方それぞれに次のような実験を行った。
ラベンダー畑に座っていただいて5分間じっとリラックスしてラベンダーを見ていただく。その前後の血圧を計測した結果、高血圧と低血圧の方はそれぞれ正常値になり、平常の方はそのままであった。
同じことを緑の芝生でも行ったが、数値の変化の幅は減少するものの、同様な結果が得られた。緑は自然治癒力を高める効果があるという事がこのことでわかる。
都市化が進み、自然と離れてきたことで、もともと持っている自然治癒力が低下している。
バイオフィリア理論では人間は自然を好む性質を先天的にもつと説かれている。園芸療法をこれまで行ってきた事例では、関節リュウマチ患者や特別支援学校で時間がかかるが変わっていく効果が認められた。また、がん緩和ケア病棟では「自分の家の庭を思い出す」「植物の名前を教える」など患者が自分の経験してきたことを思い出し、支援者とのコミュニケーションが生まれる。
園芸療法と回想法の結びつきでは、植物と関わることで発話や自主性を促すことや、植物は過去の記憶を呼び起こす役割を持っている。そしてそれぞれに思い出の花などの植物があり、そのことで回想が始まる。人と人とのコミュニティツールが「緑」である。
と要所をまとめるとこんな感じです。
園芸が持つ力、自然が持つ力は人間が備え持つ自然治癒力を高める効果があるのですね~
癒しとは自然治癒力だったのか!
つづく・・・
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