
足利市では、ユニークな職員採用を行っていることについて調査を行なった。
その取り組みは、一定の成績を収めたスポーツ選手を優遇採用するという内容である。全国大会出場で主力選手であるというような条件で、筆記試験等に一定の加点を行なっている。
平成18年度からスタートした方式であるが、現在、計5人のアスリートが業務に励んでいる。
市職員は、精神的な負担も多く、一部には精神疾患問題をかかえる職員がいるが、スポーツで心身ともに鍛えられ、忍耐力や協調性に期待しこの制度を導入したということであるが、全体の市役所への申込が減少する中で、この制度の尊属も含め、推移を見守って生きたいということであった。
私としても、スポーツで成果を上げてきた人は、市役所においても人材として注目できるという観点で、視察を行なったが、宇都宮市も筆記試験は行なわず、この制度を実施しているということであったので、機会があれば、宇都宮市にも訪問し、さらに調査研究を行って参りたい。

日本理化学工業株式会社(ダストレスチョーク製造元)
昭和34年に初めて障がいのある15歳の2人の少女を雇用してから、現在に至るまで50年間障がい者を雇用し続け、今では社員の7割を占めるまでになった。(従業員49人の内、知的障害者36人、内重度が24人)障がい者雇用し続ける理由について大山会長からは人間の究極の4つの幸せのためであり、憲法で保障されていることでもある、1、人に愛されること。2、人にほめられること。
3、人の役にたつこと。4、人から必要とされること。このことを常にご自身に問いながら進んできたとのこと。
月給は11万から19万まで、授産施設では考えられない給与を受給している。会長の話の中で、感心したことは、障がい者本人の能力に合わせた、作業工程を構築していけば十分就労や定着は可能であるということである。
私自身も、そのことを企業が取り組めば、どのような障がい者でも、就労可能になるということを実感した企業訪問であった。

北九州市
◎放課後児童クラブ施策について
○施策の概要
北九州市では、両親共働きの理由により昼間保護者のいない、主に小学校低学年を対象としていた放課後児童対策を、市長マニフェストに基づいて、低学年の留守家庭に限らず希望するすべての児童を対象とする、いわゆる全児童化に転換した。
すべての放課後児童クラブで全児童化に対応できるように、平成20年度から22年度までの3年間で必要な施設や体制の整備を行うとともに、放課後児童クラブの運営の充実を図っている。
○有効な点
・小学校敷地内への整備を基準とし、地域で子供を育成するという機運が生まれる
・施設整備の段階から、クラブ規模の適正化(70人以下)を図っている
・小学校を通じて、全家庭を対象にニーズ調査を行っている
・ガイドラインを作成し、運営団体への補助基準を明確化している
・指導員研修をふやしている(年2回⇒年10回)
○課題
・需要が喚起され、希望者がふえる
・施設や体制整備に費用がかかる
・全児童化に対応するため、定員を設定できない
・運営団体の理解が必要
○意見
「全児童化」は放課後児童クラブ施策として、最も市民のニーズに即しているものと思われるが、そのための施設や体制整備にかかる費用は課題である。浜松市の放課後児童会については、運営状況や保護者の負担等の地域差がありガイドラインを作成し、運営団体への補助基準を明確化している北九州の事例は、今後の考え方として有効に感じた。
「全児童化」については、施策の有効性と予算のバランスを加味する中で、慎重な判断が必要であると考えた。
北九州市
◎赤ちゃんの駅事業について
○施策の概要
乳幼児を抱える保護者の子育てを支援する取り組みの一環として、外出時に授乳やおむつがえなどで立ち寄ることのできるような施設を「赤ちゃんの駅」として登録するもので、商業施設など民間施設とも協働して取り組み、地域社会全体で子育て家庭を支える意識の醸成を図っている。
○有効な点
・乳幼児を抱えた保護者の外出を支援できる
・地域社会全体で子育て家庭を支える意識の醸成を図ることができる
・子育て支援に取り組む姿勢をアピールでき、市のイメージアップにつながる
・民間事業者の協力を得ている(施設整備は設置者の負担)
・費用がかからない
○課題
・福岡県は参加していない
・公共施設への設置をふやしていきたい
・管理者の配置を義務づけていない
○意見
授乳やおむつがえに対応する施設は、ユニバーサル化推進の中で、多くの公共施設や民間施設に既に整備されており、これらの有効活用はすばらしい

佐世保市
◎子ども育成条例について
○条例の概要
佐世保市子ども育成条例は、教育を考える市民会議からの提言に基づき、策定検討委員会での議論を経て、平成17年12月議会に上程された。最終的平成18年6月議会において、修正可決された。
子供条例については、全国的に「概念的な条例」「権利保障にかかわる個別的な課題に対応するための条例」「権利に関する条例」の三つに分類されており、佐世保市は浜松市と同じく、子供の育成支援を主とする概念的な条例に分類される。本条例の策定結果としての大きな特徴は、条文の子供の年齢を15歳未満としている点と、議員修正によって「郷土や国を愛し」という文言が追加された点である。
○有効な点
・市民会議から提案されたという観点では、市民発議による条例となる
・市民視点での条例内容となっている
・子供用と大人用のリーフレットが、わかりやすくつくられている
・次世代育成支援行動計画を内包するものではない
・15歳未満に集約した条例としている
・議会において、2度の継続審査となり、修正可決された
○課題
・15歳以上18歳未満の者の受け皿部分が欠けている
・「郷土や国を愛し」という文言について、愛国心という部分が強調されて報道されたこともあり、さまざまな意見(苦情)があった
・大人の役割が規定されているが、努力義務となっている
○意見
浜松市では、子供を社会全体で支えていくための取り組みの基本理念、基本的施策を定めた条例(案)を策定し、本年10月15日まで、パブリックコメントを実施した。
平成18年に策定された佐世保市の条例については、愛国心が議論の焦点となり、2度の継続審査を経て、最終的には修正可決されているが、その修正内容にかかわらず、議会運営や議会活性化という観点から、学ぶべきものがあった。
条例としては、「子供の育成支援の概念的な条例」ということもあり、現状での市民への周知という点で課題があるということであったが、市民発議的な条例は、その策定経過にも意味があるものと感じた。
浜松市の条例は、市長マニフェストの具現化であり、その内容については、市民からの意見書も提出されており、今後も議論が予想される。

尾道市
◎公立みつぎ総合病院(地域包括ケアシステムについて)
○施策の概要
地域包括ケアシステムは、ハードとソフトを含めた保健・医療・福祉(介護)の連携システムであり、施設ケアと在宅ケアとの連携システムでもある。施設ケアと在宅ケアとの連携には、緩和ケア病棟と在宅ケア緩和ケアとの連携、回復期リハビリ病棟と在宅リハビリとの連携、介護保険施設と在宅ケアとの連携があり、これらの連携は、「点」から「線」、「線」から「面」へという地域連携へ向かうことが求められ、この地域においては、長期的な取り組みによって、地域ぐるみの包括ケア体制が確立されている。
○施策の有効性
・ハード、ソフトの両面が整備されている
・黒字経営となっている(高い病床利用率、医療機器を買いたたく、介護保険制度の活用、一般職員並みの医師の給与体系等)
・医療・介護を包括する中で、医療に係る診療報酬の減額改定の影響を受けにくい
・施設が地域的に集約されている
・日常的な交流によって、住民のニーズを把握している
・在宅寝たきり老人の割合(昭和55年:3.8%⇒平成19年:1.2%)が減っている
・高度医療の充実、IT化(オーダリングシステム等)がされている
・病室のほとんどが、ユニット化されている
・治療等を求めての遠方からの移住もあり、地域の活性化に結びついている
・大きな費用を必要とする一括的な工事は行わず、起債を最小限にしている
・地域の開業医(3医院)との連携がとれている
・福祉バンク(ボランティア貯金)が整備されている
○施策の課題
・施策の導入に当たって、ハード、ソフト面の早急な整備が難しい
・他都市の状況と同じく、医師の確保に苦慮している面がある
・トップの考えが施策に大きく影響する
○意見
システムの核となる公立総合みつぎ病院は、公営企業法全部適用により運営されており、地方独立行政法人よりも、人事、予算における行政の影響力は大きいが、その理念の説明や黒字経営によって、行政の病院への信頼は高いものになっている。
この地域のシステムは長い期間をかけ、病院が主体となって構築されたものであるが、病院、行政、地域住民の意思疎通を第一義的なものと考える中で、住民の保健福祉を担っている行政がイニシアティブをとることも必要と考える。

講演会「いま、発達障害が増えているのか」に参加
次第 12:50 ~ 16:50
開会挨拶
(社) 日本発達障害福祉連盟 会長 金子 健 氏
行政説明
今後の施策の基本方針と具体的内容について
障害のある子どもの増加について
文部科学省初等中等教育局特別支援教育課特別支援教育専門官
石塚 謙二 氏
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課障害福祉専門官
青木 建 氏
各方面からの検証 いま、発達障害が増えているのか
医療面の調査結果とそれに基づく提言
石崎 朝世 氏
発達障害のある子への臨床からみた障害のある子への臨床からみた障害の変化
橋爪 一幸 氏
知的障害特別支援学校における児童生徒数の急増と求められる対応
尾崎 祐三
さまざまな福祉サービスにおける利用者児童の変化
大塚 晃 氏
現状の医療・福祉・教育サービスへの要望と新たなニーズ
玉井 邦夫 氏
【所感】
近年、増加傾向にある発達障害児・者の動向を調査すべく当講演会に参加する。
行政説明は、政権が交代したこともあり、明確な話ではなく期待した内容とはいかなかった。
各方面からの検証は、興味深く、発達障害は増加傾向にあるが、検証の中で、明確な発達障害の増加ではなく、グレーゾーンが増加しており、その影響が顕著であると感じた。
ただ、統計的には、増加傾向にありながら、特別支援学校の増加が対応しきれず教育現場の取り組みが遅れていることに、課題を感じた。
国の言い分では、設置義務のある県に対し要望しているということであったが、責任のなすりあいの感がぬぐえなかった。


