失態続きの玉城県政/沖縄県議会で公明が追及 #公明新聞電子版 2024年12月20日付
沖縄県議会公明党は、12月議会で玉城デニー知事の災害対応や生活応援事業、米国の駐在事務所に関する問題を追及した。
■北部豪雨災害、鈍い対応で国支援逸す/「警戒本部」も検討せず
沖縄県は、11月に本島北部で発生した豪雨災害の「災害対策本部」の立ち上げが遅れた。このため、国の災害救助法の適用外となり、被災地の応急対応などに充てる財政支援を逸した。県は対策本部の設置が遅れた理由として「変化する気象情報に、的確に対応できなかった」と弁明。豪雨災害対応として約6億円の一般会計補正予算案を提出した。
糸数昌洋議員は、県地域防災計画で災害対策本部の設置に至らない場合に立ち上げるとする「警戒本部」すら設置されなかった経緯について説明を求めた。これに対し、溜政仁知事公室長は、警戒本部の設置検討が行われなかったことを述べ、「(対策・警戒本部の設置は)最終的には知事の判断」と答えた。
糸数議員は「今回の失態は心身ともに疲労困ぱいの被災者にとって『二次被害』であり、県政に対する信頼を大きく失墜させた。想定外の県の財政出動は県民負担になる」と語気を強めた。玉城知事は「認識の甘さがあり、初動が遅れた。痛切に反省し、体制を検証する」と陳謝した。
■生活応援事業で対象者絞り「先着順」/支援行き届かず苦情
「非常に性急であり、支援を届けたい人に届かなかった」と松下美智子、高橋真の両議員が指摘したのは、年収343万円未満の女性または児童扶養手当を受給するひとり親を対象に、1万円分の生活用品を購入できるポイントを交付する「くらし応援サポート事業」。同事業の対象者は約2万人に限定され、募集期間などのあり方が問題視されている。
高橋議員は、本島中部在住の対象者が申請に必要な面談のために窓口を訪問したにもかかわらず、当日受付枠が上限に達していたため、翌日早朝から並び直した事例を紹介。その上で、「受付期間が15日間と短く、対象者を絞ることで、先着順のような事業になった。こうした支援策は対象全世帯へ平等にすべきだ」とただした。
県側は受付方法や対象設定などの課題を認め、玉城知事は「市町村とも連携し、同様の事業に関する課題を検証するよう指示した」と答弁した。
■米国事務所の必要な報告怠り続け/23年度決算が不認定
沖縄県が米国ワシントンで行う駐在活動のために設立した会社の不適切な運営が明らかになった。県は、在沖米軍基地問題に関する米国政府への理解促進などを目的に2015年度からワシントンに事務所を開設。しかし、駐在のために設立した会社の経営状況について議会への報告を怠っていた。地方自治法上、経営状況の報告が必要で、適法性に懸念がある。
このため自民、公明の両党などは11月26日の本会議でワシントン駐在費を含む23年度会計決算を不認定とした。その上で、駐在に関するさまざまな問題について監査請求の動議が提出され、賛成多数で可決した。
一連の問題に対する公明党の質問に対し、玉城知事は「議会への経営状況の報告などに改善が生じたことは、重く受け止めている。速やかに必要な措置を講じ、説明責任を果たす」と釈明した。
これに対し、上原章議員は「県側の答弁が二転三転するなど、管理意識が欠如している。監査結果は年明けに判明する見込みなので、引き続き注視していきたい」と述べる。