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甲府市議会議員  兵道けんじのページ

会派行政視察(2)~山鹿市その2~

2014年3月27日

 山鹿市での視察項目の2つ目は、「歴史、文化、景観を生かしたまちづくり」についてである。

 実は山鹿市での視察のメインとしては、先に紹介した「やまが子育て浪漫物語事業」を考えていた。時間の関係も考慮してこれだけに絞ろうとも考えていた。が、参考資料等を眺めていたら、このまちづくりの取り組みが目にとまった。特に、歴史、文化、景観を生かしたまちづくりが一体どのようなものかをこの目で確かめたいという気持ちが強くなったのである。

 甲府市の場合も、舞鶴公園を中心とした歴史的な城下町の復興ということが議論されたこともあって、山鹿市がその「歴史」をどの時点のものととらえているのか、市民の共通認識としての「歴史観」が確立されているのかも知りたくなったのである。

 山鹿市で説明していただいた資料によれば、古くから産業・文化・交通の要衝温泉郷として発展し、千年以上の歴史をもつ良質な温泉と夏の「山鹿灯篭まつり」で有名であり、また、旧豊前街道沿いには江戸時代の伝統を受け継ぐ国指定の重要文化財「八千代座」があり、現在も旧街道沿いに面して江戸期から明治・大正~戦前にかけての歴史的町並みが数多く残されている、とある。

 こうした山鹿にとっての貴重な財産である歴史的・文化的ストックを保全し、かつ積極的にまちづくりに活用するため、平成7年度に通称「歴みち事業」に向けた調査、旧山鹿町地区町並み調査を行い、翌平成8年度にはまちづくり交通調査を行っている。歴みち事業は熊本県内では山鹿市の旧山鹿町地区の100haのみが指定されており、全国的にも数は少ない。それだけ、希少価値があるということである。

 こうした、道路整備と町並み整備のセットで歴史を意識させる空間の創出に成功しており、その背景には、市の景観条例、これに基づく景観計画の裏打ちがある。

 このまちづくりの重要なポイントはやはり「八千代座」にある。平成8年に大改修が始まったこの八千代座がまちづくりの方向性を決定づけているといえる。そこには、まちづくりとはどうあるべきか、を教えてくれる重要なサジェスチョンがある。

 実は半年くらい前に読んだ、「わが街再生」(鈴木嘉一著、平凡社新書)の中に、全国のコミュニティシネマやFMラジオなどの取り組みとともに、芝居小屋の復興が取り上げられ、その模範的事例として、「八千代座」の復興が紹介されていた。山鹿市の担当者から説明を受けてようやくこの本で読んだことを思い出した次第である。以下、同書から八千代座の歴史を紹介したい。

 八千代座は、江戸時代の芝居小屋の伝統を受け継ぐ明治末期の建築物であり、地元の旦那衆が「八千代座組合」をつくり、資金を出し合い建設した純民間施設である。杮落し公演は、岩井半之助、新井新之助らの大歌舞伎興行であり、その後芸術座の松井須磨子、映画スターの長谷川一夫、歌手の淡谷のり子など往年のスターが舞台に立ったが、戦後は映画館となり、1970年代前半に閉鎖された。傷みが激しくなったが、改修には莫大な費用がかかるため、80年に山鹿市へ寄贈された。

 ここからがドラマの始まりである。愛着ある芝居小屋の窮状を見るに見かねた山鹿市老人クラブ連合会が募金活動を始め、わずか2か月間で500万円を集めた。その呼びかけは八千代座の瓦1枚のオーナーになろう、というものだったようで、「瓦1枚運動」と呼ばれた市民の熱意とパワーは八千代座復興の精神を表すものとして今も語り継がれている。

 この復興資金が主となって87年、山鹿市は5万枚の瓦を葺き替え、翌88年には国の重要文化財の指定を受けることになる。伝統的な芝居小屋では、全国で3番目の指定だった。

 こうした流れはその後、市民の手による「八千代座桟敷会」設立へと受け継がれる。発会式には永六輔やパントマイム芸人のマルセ太郎、さらには地元出身の宝塚歌劇団上月昇などが参加したそうである。

 この、「市民から」という「下からの運動」の盛り上がりが、平成8年からの大改修工事につながり、山鹿市の歴史・文化・景観を生かしたまちづくりに結実している。この経緯を知れば、山鹿市民にとっての歴史とは何か、が市民の間で見事に共有されていることが分かる。江戸時代の銭湯の伝統を受け継ぐ「さくら湯」の復興もこの延長にある。

 ここまで記せば、まちづくりが成功するか否かのターニングポイントがどこにあるかは、一目瞭然である。いうまでもなく、市民から巻き起こった運動であるかどうかである。決して「上から」押し付けたものではない。自分たちのまちは自分たちで、という「下から」の運動である。

 この動きは、夏の「山鹿灯篭まつり」の3日間だけの賑わいと評されてきた街の様相を一変させ、見事に「まちの再生」を実現させている。

 まちづくりの担い手、プレーヤーの登場をこれまで強く訴えてきたのは、運動自体が市民の間で理念として共有されなければまず成功しない、と考えたからである。山鹿市の取り組みは、改めてこの考え方を如実に証明するものと考えている。

 紹介するのはここまでにしたい。あとは実際にその空間に足を運んでいただくことを願うだけである。それが、この再生ドラマを見せてくれた山鹿市へのせめてもの恩返し、と考えるからである。

八千代座外観

八千代座内部

 

会派行政視察(1)~山鹿市その1~

2014年3月25日

 2月12日~14日の日程で、我が会派5名で熊本県山鹿市、人吉市、水俣市の視察を行った。調査項目は、少子化対策、歴史等を生かしたまちづくり、読書のまちづくりである。

 このうち、山鹿市では、「やまが子育て浪漫物語事業」と「歴史・文化・景観を生かしたまちづくり」について視察を行った。2回に分けて状況を留めておく。

 山鹿市は平成17年1月に1市4町が合併し、新たな「山鹿市」としてスタートした。面積は約300㎢で熊本県の北部に位置し、北部を中心とする緑豊かな山林は52%を占め、また中央部を流れる菊池川流域には豊かな田園が広がるなど、自然環境に恵まれた地勢である。

 人口は微減状態が続きH22の国勢調査では55,391人、世帯は微増の19,308世帯と核家族化の進行がうかがわれる。

 最初の視察項目は「やまが子育て浪漫物語事業」である。内容はどの自治体でも策定している「次世代育成支援行動計画」であるが、そのネーミングから、子育て支援への並々ならぬ決意が読み取れる。

 これが最も表れているのが、平成22年3月議会での「子どもはやまがの宝だ」という市長の宣言である。この出発点から「やまが子育て浪漫物語」と称する次世代育成支援計画がスタートしている。

 「子どもに夢を、子育てに温もりを」を基本理念に、「子ども・若者が希望を語り、夢を育てられる環境づくり」、「地域の一人一人が子育てを温かく見守り支える体制づくり」の2つを基本目標に据えている。ここに、地域全体で子育てを行い、「ここで生まれてよかった、ここで子どもを育ててよかった」と思える地域づくりの方向性が明確に打ち出されている。

 具体的な施策は7つの柱にそれぞれ位置づけが行われているが、特に次の点に注目した。

 一つは、大きな夢を描き、人生を豊かにする読書コミュニティづくりを推進するとしている点である。子どもたちが本との出会いを通して大きな夢を描き、人生をさらに豊かにしていくために、絵本・児童図書や各種図書・資料の充実を図るとしている。また、いつでもどこでもだれでもが本を身近に感じ、手に取ることが出来る読書コミュニティづくりを進めるとしている。

 この着眼点はさすがと思わせる。まず子供がしっかりと人格形成が行えるような環境整備のためには「読書」が重要なキーワードであることを鋭く見抜いている。私も市議会で子ども読書活動推進計画の策定を提案し、また図書館のネットワーク化を提言してきたが、「良書」に親しむことは、物事の本質を見抜く力、自分の考えをきちんとまとめ上げる力を育む上で、また豊かな想像力を育む上で極めて重要である。

 そして、もう一つは、家庭と仕事が調和できる環境づくりを推進するとしている点である。男女共同参画社会の進展とともに、女性も仕事を持って社会で活躍する時代となっている。こうした時代の変化が子育てに障害とならぬよう、保育サービスの充実とともに、企業・商店主らによる子育て支援・従業員支援の取り組みを支援するとしている。

 その特徴的な取り組みが、「子育て応援の店」の登録事業であり、例えば外出中にミルクが必要になったときに、お湯を提供したり、授乳のために立ち寄ることが出来る「赤ちゃんの駅」と登下校時の見守りや、子どもたちが外出中、気軽に立ち寄ることができる「子どもの駅」がその内容である。

 その温もりある取り組みは、人間関係が次第に希薄化していく現代にあって、「交流」をキーワードとしてまちづくりを行っていこうとする山鹿市の熱い決意が伝わってくる。こうした取り組みは、甲府市の中心街でも取り入れることが出来るのではないか。どこまでいっても「人」と「人」との関わりが人間社会の人間社会たるゆえんである。

 山鹿市では、「子育ては浪漫」であるととらえている。祖父母から父母へ、父母から子どもへと脈々と引き継がれてきた子育てのたすき、この「いのちのリレー」を地域全体で担っていこうとする。「子どもはやまがの宝」という思想が随所に貫かれている。

 翻って甲府市においても市長がたびたび「子どもは甲府市の宝」と訴えている。認識は同一だ。私も大いに賛成である。そのうえで、地域全体をうまく巻き込んできたかというとまだまだという感がある。今回は山鹿市の取り組みに謙虚に学びたい。

山鹿市で復興した江戸時代の銭湯「さくら湯」

 

議会改革視察研修(2)~兵庫県三田市~

2014年2月9日

 2月7日、定数・報酬研究会の先進地視察2日目は、三田市の取り組みである。

 説明いただいたのは、(1)議会基本条例、(2)議会報告会、(3)議員間討論、(4)定数及び報酬、の4項目である。議会事務局職員の説明の後、議会改革推進会議の平野委員長と中田副委員長が質疑応答にあたっていただいた。いずれも素晴らしい女性議員である。

 議会基本条例は、平成22年10月に議会に特別委員会を設置して以来、平成24年5月までの43回にわたって会議を重ね、平成24年6月議会で成立したと伺った。

 条例はオーソドックスな形をとっており、議会での議論の活発化、政策立案の充実強化などが盛り込まれており、2元代表制の議会がこれまで以上に直接民意を担う機関であることを明確に規定している。もちろん、再確認の意味であるが。

 特に、当局の重要な計画、すなわち総合計画や分野別の基本計画等について議会の議決事項としていることは、自治法の改正を受けてのこととはいえ、議会の関与の範囲を拡大し、市民の意見反映の機会を広げるものである。具体的内容については別個の条例が制定されているが、地方分権の大きな流れを感じる。

 議会基本条例で見落としてはいけないのは、法律等ではこれまで必ずしも明確ではなかった、「議員の活動原則」が規定されている点である。三田市の条例にもこの例にもれず、規定がおかれている。

 すなわち、言論の府であり、合議制の機関である議会の一員であるということ、その帰結として相互の自由な討議を行うこと、市民の代表としての任に耐えうるよう自己の資質向上に努めること、「市民全体の」福祉の向上に努めること、がそれである。

 ここから、対外的に例えば議会報告会などの場においては、議員個人という立場ではなく、「議会」という組織の一員として行動することが求められる。きわめて当然のことであるが、残念ながら、この点は誤解や無理解も少なからず存在するようだ。

 三田市の議会報告会は、ユーストリームによる動画配信も行っているという。若い世代にも情報提供が容易であり、今後ますます需要が高まるのではないか。

 定数については、市民団体から定数条例改正の直接請求が提出されたこともあって、様々苦労されたようだ。最終的には2減の22で決着したようだが、定数や報酬には「基準」というものがないことから、妥当な水準を探ることがしばしば困難が伴う上、「減すること」が「正解」と安易に考えられがちであり、粘り強い説明が求められる。

 2日間の研修を通して、いずれの自治体も丁寧に議論を積み上げ、じっくりと時間をかけて取り組んでいることが伝わってきた。そして、いずれも、定数・報酬の検討は、「議会のシステム改革」という大きな検討の枠組みの中のひとつに過ぎない。

 要は、2元代表制の議会が本来、多様な市民の意見をその意思決定により反映させるシステムであるべきことを改めて再認識する必要があるということだ。議員一人一人は直接選挙で選ばれ、それぞれの民意を背負って議会に登場してくる以上、そして、議会が「言論の府」であり、「合議体」である以上、構成員である議員が議会の場で相互に自由に議論を戦わせ、そのプロセスを通じて最終的な「合意形成」を図っていく。それが2元代表制の下での議会である。

 しかし、本市議会は残念ながらこのような状況に至っていない。だから、議会という組織としての情報発信が弱いのであり、これが市民の側から議会が何をやっているのか分からない、といったコメントが寄せられる一つの要因になっているのではないか。

 「市民の負託に応える」とは、議会において市民の代表として「議論を戦わせる」ということである。こうした徹底した議論を通じて民主的方法による最終的な「合意形成」を図り、議決という形で意思決定を行っていくのが本来の在り方だ。

 そのためには、多様な市民意見をいかに反映できる一人一人であるか。常に自己研さんによって資質向上の努力を行っていくことは当然である。

 いよいよ議会改革という概念を正確に共通理解したうえで議論をすべき段階がきており、これまでのように、議会という「制度上の話」と議員個人の「資質」の話を混同したようなあり方を排し、「言論の府」にふさわしい議会の充実強化に向けてのシステム検討を始めるべきである。これが今回の研修の大きな成果である。

三田市資料

議会改革視察研修(1)~兵庫県明石市~

2014年2月8日

  2月6日~7日に市議会の定数及び報酬等に関する議員研究会のメンバーとして、兵庫県明石市、三田市の議会改革の状況について視察を行った。先週の議会運営委員会の視察に引き続いて議会改革の先進都市の視察である。

 明石市議会では、平成22年3月制定の自治基本条例の議会、議員の役割、責務の中に自由討議や報告会の実施などが規定されたことを受け、1年間かけて議会活性化計画を平成23年8月に策定し、本会議・委員会の運営や議会基本条例の制定など、平成23年から27年の間に実施すべき25項目を定めた。

 その実行のために、23年9月に議会活性化推進会議を設置し、議長からの諮問を受け、特に重要とされた「議会基本条例の調査研究」「議員定数・報酬の検討」「議会報告会の実施」について検討を始めた。

 検討を進めるにあたって、まず20歳以上の市民3,000人を無作為に抽出し、アンケートを実施、また24年1月には、市議会の役割や議会の審査の状況などを説明するための第1回議会報告会を開催するなど、作業を進め、計11回の会議を経て、24年2月に、議会基本条例については平成25年度中の施行を目指すこと、定数・報酬の見直しについては24年度中に結論を出すことを内容として議長に答申した。

 こうした手続きを経て、24年3月、議会に市議会活性化特別委員会を設置し、条例の制定、定数・報酬の検討、議会報告会の実施を正式に検討することとなった。

 委員会開催ははもうすぐ50回と、短期間に精力的に検討作業を進めてきたそうである。25年1月には、定数・報酬に関する最終報告案を取りまとめ、パブリックコメントを経て、定数については1減の30名とし、報酬については特別職報酬等審議会の議論にゆだねることを決定した。

 議会基本条例の検討も並行して進められ、25年9月定例会で成立し、26年4月から施行される予定となっている。議会報告会の実施、本会議での1問1答方式の導入、市長の反問権の規定、委員会での委員間の自由討議など、「議会改革」といわれる制度があまねく規定されている。

 明石市においては定数・報酬の検討と基本条例の検討という2つの大きな難解な課題を同時進行で進めており、その「議会力」に敬服する。一人一人の問題意識と、「組織」としての議会の「まとまり」が感じられる。

 特に議会報告会は、議員個人の報告会ではなく、議会が何をしているのか、議案に対してどういう審議を行ったのかを市民に正確に伝えることを内容とするため、組織としてのまとまりがなければ運営はできない。議会という組織の一員であることを議員一人一人が理解していることが必要である。

 いずれにしても大きな課題である議会改革である。議会内で徹底的に議論を重ねていくことが求められるのであり、また憲法を淵源とする地方自治制度の根幹をなす議会制度であるから、拙速にことを運ぶことは危険である。まず、一人一人が現状のどこに不具合があり、どこに改善の余地があるのか、深く理解することから出発すべきである。改めて学ばせていただいた。

明石市資料

議会改革視察

2014年1月30日

 1月29日、30日に甲府市議会議会運営委員会委員として、横須賀市議会、町田市議会の議会改革の状況について視察した。いずれも人口が40万人を超える首都圏の中核都市であり、財政規模も甲府市のほぼ2倍である。

 今回の視察の柱は、いわゆる議会改革の取り組みであり、議会基本条例、議会報告会、議員間討議などについて先進都市の状況を調査研究することにある。

 議会運営委員会としては、昨年度所沢市議会の取り組みを視察した経緯がある。甲府市議会でも「定数・報酬等研究会」を立ち上げているが、議会活性化の視点から何をすべきかゼロベースから議論を積み上げていくことが必要と考えられる。

 さて、横須賀市議会では、平成22年に議会基本条例を制定している。平成21年に検討委員会を設置し、1年半の議論を経て平成22年の第2回定例会で可決成立した。

 同条例(→こちら)では、議会報告会の規定(第13条、14条)、議員相互の討議(第20条)、請願・陳情者の意見陳述(第12条)が定められている。議会報告会では、開催を知らせるチラシの配布、ポスターの掲示を行い、参加を呼び掛けている。横須賀市議会では、市長提案の予算案について議会側で減額修正議決の実績があるという。条例が契機となったのであろうか定かではないが、2元代表制の議会の役割を大いに発揮していると感服した。

 町田市議会では議会基本条例の制定はないものの、日本経済新聞社が実施した「議会改革度調査」で都内ナンバーワンの評価を受けた実績があり、特に本会議、委員会の傍聴者が毎年年間千人を超えることは驚きである。

 町田市議会では、議会の傍聴人受付簿を廃止し、傍聴しやすくするとともに、議案資料を本会議、委員会とも傍聴席に設置している。また、コミュニティバスに議会開催のお知らせを掲示することや、町内会・自治会に議会傍聴を促すパンフレットの配布を行い、市民への広報に努めている。

 さらにHP上に議会での審議・審査内容を分かりやすく市民に知らせるための「議案のカルテ」を掲載している。市議会のHPは年間50万件近くのアクセス数があるそうだ。このほか、請願者の意見陳述の制度や委員会での請願審査について「議員間討議」を導入している。

 今回特に印象的だったのは、横須賀市議会が基本条例を制定して議会活動の枠組みを定める一方で、議会の意思決定結果を「議会報告会」という形で市民に情報提供を行っているのに対し、町田市議会では、条例はないものの、議会の傍聴を促す努力をしたうえでいかにわかりやすく議会の審議を市民に伝えるかに意を用いている点である。

 方法論は異なるものの、共通するのは、議案に対して議会がどういう審議をし、どういう結論を導き出したかを市民に提供している点である。こうした市民への情報提供に耐えうるような「審議内容」でなければ、当然市民からそっぽを向かれる。

 議会改革というのは、市民に向けて胸をはって発信できるような成熟した審議を行えるような仕組みをつくることである。そのための議員間討論を通じた合意形成であり、また得られた「議会としての決定」を正確に市民に伝える仕組みづくりである。こうした努力を通じて議会への信頼、少なくとも議会の役割への理解を促すことこそ今まさに求められているのではないだろうか。

横須賀市議会視察資料

町田市議会資料

  

会派行政視察~太田市(2)~

2013年11月10日

 大田市での視察事項の2つ目は、デマンドバス事業である。

 市内には、平成21年度まで11路線35系統の市営路線バスが走っていた。しかし、毎年1万人近い利用者の減少があり、市民からの批判があったため、平成22年度から2路線4系統まで縮減し、その財源で福祉的な利用者に限定したデマンド方式の「おうかがい市バス」を開始した。

 当初はスクールバス事業も統合し、ドアtoドア方式で利用料無料としたが、一般旅客運送事業者、福祉優勝運送事業者から客を奪われたとの批判が相次ぎ、また、利用登録者の急増によりニーズにこたえきれない状況に陥った。特に、市外の医療機関への送迎も批判の対象となった。

 そこで、平成23年度は、スクールバス運行を教育委員会に戻し、台数も6台(10人乗りワンボックスカー)に縮減するとともに、市外への送迎を廃止、最寄りの駅までの送迎へと変更した。

 平成24年度からは、国の緊急雇用創出基金の助成が切れることから、利用料を徴収するとともに、総事業費を抑制するために、市内の医療機関、大型店舗、公共施設等622か所を「停留所」に指定し、これまでのドアtoドア方式から停留所間を運行する方式に改めた。と同時に、直営方式から、旅客運送事業者への運行委託方式とした。

 登録者の条件も当初の、「75歳以上の方、障害認定を受けている方、市長が特別に認める方で自力でバスに乗降できる方」から、平成24年度以降は「65歳以上の方、市長が特別に認める方で自力で乗降できる方」へと変遷した。 運行時間も平日の午前7時から午後4時までに変更し、利用料も片道100円と改めた。

 平成24年度の実績を見ると、利用登録者2,362名、年間利用者数延20,582名で、うち女性が16,000人強と圧倒的に女性が多い。1日平均で84人が利用している結果となっており、また、実利用者は775人と、登録者の32.8%が利用している結果となっている。

 目的地別にみると、医療機関等が圧倒的に多く、7,600人強、続いて、公共施設、大型店舗が2,000人強となっており、高齢者の日常生活を色濃く反映している。

 さて、デマンドバスは利用者減による路線バスの路線廃止が相次いだことによる、交通弱者である高齢者や障害者の移動手段の確保という課題を解決するために生まれたサービスである。

 その一方で、一般事業者への圧迫、すなわち民業圧迫という批判を回避しなければならないという宿命的な課題がある。公共交通機関も利用者がなければ営業が成り立たず、いきおい廃止という方向に向かわざるを得ない。特に、自家用車による移動が生活上必要不可欠の社会では、公共交通機関の利用は次第に低下する。路線が廃止されれば、自動車を運転しない高齢者等は移動手段を奪われる。こうした事態を避けるために、赤字バス路線に対する補助により何とか廃止を食い止めようとしているが、すでに限界にきている。

 高齢化が加速し、なおかつ景気低迷にあえぐ地方社会では、一番問題となるのは、医療機関での受診と食料品などの日用品の買い物である。遠くの医療機関にかからなければならないとすると、移動手段が問題となる。また、買い物も遠くまで行かなければならないとすると、同じ問題が発生する。しかもこちらは大量に買い込むことは荷物の運搬の点から現実大変な困難が付きまとうが、身近な店舗は郊外の大型店舗に押されて閉店が相次いでいる。

 しかし、デマンドバスがすべてを解決するとは考えにくい。太田市が「自力でバスに乗降できること」を利用条件に挙げているように、介助が必要な者は個人的にタクシーを頼むほかない。しかも「デマンド=要望、必要」であり、要望は右肩上がりに拡大することが常であることから、経費増への歯止めが常に問題となる。

 こうした高齢化という社会構造の劇的変化に対応する一つの考え方は、これまでの生活様式や社会の在り方を時代に適応するものへとまさに転換することである。コンパクトシティ、すなわち歩いて暮らせるまちづくり、がそのひとつだ。

 歩いて行ける範囲に、医療機関や行政機関、日用品を販売する店舗などの社会資源が整備され、利用されることにより、最低限の日常生活が成立すること。いわゆる医療難民、買い物難民の発生を防ぐことがまず必要である。

 そのためには、かかりつけ医を持つこと、日常必要な買い物は地元商店で済ませること、こうした生活様式に変えていくことが必要である。「利用」によって、こうした医院、商店を支えていく、いわば育てていくという発想に転換していかなければならない。

 高齢化社会に適切に対応していくためには、日常生活という基軸をいかに支えていくかという視点から総合的な対策を考えていくべきであり、単に交通機関の確保という局地的な対策だけでは課題解決は難しい。これが大田市のデマンドバスを学んだ素直な実感である。

デマンドバスご案内

 

  

 

会派行政視察~群馬県太田市(その1)~

2013年11月8日

 視察2日目の11月6日、朝霞市から電車を乗り継いで前日夜、太田市に到着した。市内のビジネスホテルに宿泊し、視察は先方の都合で6日午後1時からとなっていたので、ホテルに荷物を預けて、郊外の「ぐんまこどもの国」に行ってみた。

 さながら森林公園のような広大な敷地にサマーボブスレーやパノラマチェアをはじめ、芝生広場にはアスレチック設備があり、大人から子どもまで楽しめるテーマパークである。

 見学中も小学生や保育園児などが何組も遠足にきており、天気も良かったため、伸び伸びと歓声を上げながら走り回る姿が見られた。園内の管理を担当している職員の方にたまたま行き会ったので、しばらく話を伺った。

 山の中腹に湧水の池があり、そこから流れ出る小川は水量も水質も抜群にいい。戦国時代には金山城が難攻不落といわれたのは、この豊富な湧水があったおかげといわれている。かの太田道灌も攻めることをあきらめたほどで、籠城に不可欠な「水」が絶えることなく湧き出たことがその最大の要因だという。

 芝生広場の管理で苦労していることはなんですか、との問いに、秋の落ち葉拾いを真っ先にあげた。また捨て猫にも頭を痛めているといわれた。餌やりをする人に困っているそうである。犬を連れての散歩は禁止しているそうであるが。いずこも同じ悩みを抱えている。

 こうした自然に親しめるスペースは市民だけでなく県民にとって貴重な財産である。子どもにとって、また子育て世代の親にとっても一日過ごすことができ、しかもそれほど経費も掛からない。

 さて、午後1時前に市役所に到着し、最初に「1%まちづくり事業」について研修した。

 この事業は、現在の市長が当選する際にマニュフェストに掲げたものを具体化したもので、H17に周辺の3町と合併したときの新市構想に「まちづくり基本条例」の策定が義務付けられたことと関連し、その実践事業としてスタートする当初の予定であった。

 合併を機に10年間で職員を400人削減する行政改革方針をかかげ、その削減額を1%まちづくり事業の財源に充当しようという考えがあったようである。「1%」というのは市民税の1%相当をいい、おおむね3億2千万円ぐらいになる。職員削減による人件費削減額がおおむねこの額に見合う額のようである。

 事業のスタートは合併スタート時を予定していたが、その根拠となる条例が、公募委員が大多数の審議会の熱心な議論もあって成案の仕上げに時間を要したため、ほぼ1年遅れとなった関係で、H18からのスタートとなった。

 すでに総務委員会の行政視察で愛知県の一宮市の「1%まちづくり事業」の視察をしたばかりであったため、概念自体はよく理解できた。当初市長の考えは、太田市にある16地区に、1地区2千万円を「枠」として交付し、各地区に自由にまちづくりに使ってもらう、というものであった。使い道を地区に考えてもらうことにより、より住民自治に近づけよう、という趣旨である。

 最終的にこの考えは実現しなかったものの、納税者である市民側に地域コミュニティの活性化を条件に、納税額の1%をまちづくり事業のために「保障」する制度として実現した。

 採択基準をみると、①住民と行政の協働事業であること、②地域コミュニティを活性化させる事業であること、③特色あるまちづくりを推進すること、④住民自らが考え行動し汗を流す事業であること、とされている。

 特に④は納得させられる。汗を流さないところに助成はしない、と明確にうたうことで、安易な「金の無心」を排除している。地域活動を促すことにより地域を「元気に」していこうとする理念が読み取れる。

 平成18年からの決算状況をみると、おおむね毎年3千万円台で推移している。市長からは、これでは「0.1%まちづくり事業ではないか」と叱咤されるそうであるが、継続して実施している事業も多数ある。

 事業の種類をみると、環境美化や清掃が最も多く、次に花いっぱい事業やまつり・イベントなどが続く。いずれにしても、地域が自ら考え汗を流す活動に対して行政がサポートするものであり、経費面だけでなく、書類の作成や運営・執行などのサポートを地区ごとにある行政センターが行っているようだ。

 太田市は合併により現在人口約23万人であり、わが市が20万人弱である点をみると1%まちづくり事業の取り組みは大いに参考とすべきである。特に、納税者である市民にとって、納税額の1%をまちづくり事業のための「枠」として保障することは、納めた税金が確かに自分たちのために使われているという実感を市民にもたらす。ますます地域活動の励みになるに違いない。

パノラマチェア。休日のみ運行である。

会派行政視察~埼玉県朝霞市~

2013年11月8日

 11月5~6日の日程で、市議会公明党会派視察を行った。今回は、埼玉県朝霞市(TMO事業による空き店舗対策)、群馬県太田市(デマンドバス事業、1%まちづくり事業)を視察研修した。

 まず、朝霞市の空き店舗対策(TMO構想推進事業)である。

 朝霞市は、東京都心に隣接するベッドタウンとして発展し、人口減へ向かう日本にあっても右肩上りに人口が増加して、現在13万人を超えている「若い」街である。

 東武東上線朝霞駅、朝霞台駅、JR武蔵野線北朝霞駅の3駅が市内に位置するとともに、旧米軍朝霞キャンプがあったことで知られている。最近ではこの跡地への公務員宿舎建設を巡って国政上の議論があったことも記憶に新しい。

 朝霞駅を中心とする中心市街地は、近年の全国の地方都市に共通する商店主の高齢化や後継者問題等による空き店舗増加の問題が顕在化し、さらにH20の副都心線の乗り入れにより、新宿や渋谷などの都心へのアクセスが飛躍的に向上したことによる「ストロー化」が懸念されてきた。

 朝霞市でも他の地方都市同様、H16年3月、「中心市街地活性化基本計画」を策定し、活性化に向けた取り組みを開始した。そして、H18年3月に中心市街地活性化にかかる事業の企画立案や総合的な活性化推進組織を立ち上げるため、朝霞市商工会が「朝霞TMO構想」を策定し、同商工会が「TMO」(タウン・マネージメント・オーガニゼーション)として誕生した。

 TMOとは、簡単にいえば活性化事業を企画・立案し、なおかつ実施をコーディネートする「司令塔」組織である。現在、朝霞駅前商店会、朝霞本町商店会、仲町商工振興会の3つの商店会でそれぞれの地域特性に応じた事業が展開されているが、これを「中心市街地活性化」に向けてうまくコントロールし、マネージメントしていく役割を担っている。

 空き店舗の解消は、土地の所有者と建物所有者が別個というケースが非常に多いことから困難を極める事業である。朝霞市では「アート」を一つのキーワードとして、市民ギャラリーや若手アーティストの活動の場としての空き店舗利用を打ち出しており、あわせてアートイベント開催などによる賑わいの創出も目指している。

 注目したいのは、「休み処」としての空き店舗利用を打ち出している点である。これはおそらく高級な喫茶店というイメージではなく、商店街を訪れた市民が「ほっと一息」つける「茶みせ」的なイメージである。実際甲府の中心街でこういう気軽に一息つける空間があったら、と常々感じていたところだが、朝霞市では早くからこの点に着目している。いわゆる「スローライフ」になくてはならない要素である。

 今回紹介していただいた、「ホッと茶屋 あさか」はまさにTMOの目玉というべき取り組みである。朝霞駅前通りの旧てんぷらやを改装し、商工会の出張所も兼ね、なおかつ埼玉県が進めている「地域支え合い事業」の拠点施設として、H22に開設した。

 店内にはカウンターと10人くらいが打ち合わせのできるテーブルがあり、軽食も安い値段で提供できるようになっている。人懐っこいマスターと女性の店員がおり、ソフトクリームを注文してしばしお話を伺った。

 マスターは北海道出身。仕事の関係で朝霞市に越して今は退職してこの茶屋のマスターとして市民に憩いのひと時を提供しているという。ここにいると店の名のとおり、ホッと一息つける気がするから不思議である。ここには、商店街で不可欠と考えられる「交流」がある。しかも一過性のものではなく「日常生活の一部」としての「交流」である。これこそ商店街再生の重要な「鍵」ではないだろうか。

 このホッと茶屋「あさか」は、もう一つ重要な「地域支え合い事業」 の拠点としての顔がある。

 地域支え合い事業とは、元気な高齢者等をボランティアとして登録し、市内に住むサポートが必要な高齢者等のところへ派遣し、必要なサービスを提供する謝礼として「地域商品券」で支払う仕組みのことである。

 これは高齢者の生きがいづくり、健康づくりを兼ねたボランティア活動と、支援を必要とする高齢者等へのサービスの提供、そして、「地域商品券」で謝礼を払うことによる市内商店での購買促進という1石3鳥の効果をねらいとする。我々が甲府市で推進している「介護予防ボランティア制度」と似通った点があるが、朝霞市の場合は、65歳以下のボランティアも認めている点で、「有償ボランティア」という性格が強い。

 しかも、対価として「地域商品券」の導入により、地元商店での買い物を強く意識づけることが可能だ。加盟店は450店舗と聞いて、その多さに驚いたところである。TMOのマネージメント力だと改めて感服した。

 地域支え合い事業は、ボランティアと支援を必要とする高齢者等との交流、そしてホッと茶屋での交流、さらには加盟店での交流、すべてがこの「交流」という二文字に収れんされており、「あたたかさ」を感じる取り組みである。

 駅前通りは平日昼間のわりに人通りは多く、しかしながらこうした拠点があるせいか落ち着いた時が流れているような感覚にとらわれる。ありのままの日常生活がそこにはあり、「特別な」事業を実施しているという感覚はない。

 何より重要なことは、人々の「日常生活」のなかに中心街がどのように役割を果たしているかであり、逆に言えば中心街の活性化といっても人々の日常生活を離れてはありえないし、また日常生活に関係のないところでの中心街の活性化を考えてもあまり意味がないということを改めて学ばせていただいたと感じている。

 その意味で、こうした「休み処」に着眼し、「交流」を生み出す工夫をしている朝霞市の取り組みには大いに触発された。甲府のまちづくりでも「休み処」「交流の場」というのは重要なキーワードになるのではないか。

ホッと茶屋「あさか」の資料

 

総務委員会行政視察(3)~栗東市~

2013年10月26日

 10月25日午前、視察最終日は草津市の隣、栗東市を訪問した。テーマは市民参画と協働によるまちづくり推進条例についてである。

 栗東市と聞くと新幹線新駅の着工後に、建設凍結派の知事当選により新駅建設が中止されたことを思い出す。当時は大きな社会的関心を呼んだ問題であり、建設に向けて周辺の基盤整備等が進んだ時点で突然建設中止となったことによる混乱を指摘する意見もあったなかで建設凍結派が勝利した形となった。

 今回はその地元の栗東市の視察である。過去に思いを巡らせながら、市民参画と協働のまちづくりについての説明を伺った。

 条例は、市民参画という側面と協働によるまちづくりという2つの側面から規定している。特に目を引いたのは、「地域コミュニティ団体」をプレーヤーとしてその役割を明文化している点である。

 すなわち、「地域コミュニティ団体は、それぞれの地域が目指す地域社会の実現に向けて、身近な課題の解決等自主的な活動を推進し、住みよい地域づくりに努め」るものとされている。

 こうしたまちづくり条例は通常、行政、市民、事業者の役割を規定することはあっても、地域コミュニティを規定する例はあまりない。まちづくりの一番身近な担い手としてストレートに自治会等の地域コミュニティ団体を明確に位置づけした点は、地域活動こそが重要と宣言するものであり、共感できる内容である。

 条例で規定する2大柱のうち「市民参画」の側面は、市で行う重要な政策決定の際には、事前に市民を必ず参画させる内容であり、長期計画や市政の基本的方針を定める条例の制定などについて必ず市民参画の手続きを経たうえで決定するとされている。いわば住民自治による政策決定である。

 一方の協働によるまちづくりの分野は、協働事業の提案という形で具体化している。

 これまでの行政が決定した事業のいわば一方通行的な展開だけでなく、市民の側からの事業提案により協働して事業執行を行うもので、「双方向的」な事業展開である。事業効果の受け手である市民の側からの提案を求めることにより、現場の事情に即した事業執行を可能とするものである。そこには、事業決定時にすでに「市民満足度」をあらかじめ図るという狙いがある。

 提案事業は、市民側が自由にテーマを決めて提案するものと、行政が設定したテーマに沿って提案するものとの2つのタイプを用意している。いずれにしても提案する側と提案を受ける側とのしっかりした「協働」により事業を行うものであり、栗東モデルというべきものと評価したい。

 今回視察した3市いずれも真摯に市の実情を考え、知恵を絞って独自のまちづくりの方向を模索しており、他市の事例を参考にしつつも、自分たちのまちは自分たちの手で、というフロンティアスピリットあふれる取り組みを行っている。リニア新駅時代を迎えるわが市の今後の方向を考えるうえで、大いに参考になる。

栗東市の資料。何回も読み返した。

 

総務委員会行政視察(2)~草津市~

2013年10月26日

 10月24日午後、総務委員会視察2日目は草津市の「草津未来研究所」について研修した。

 草津市は近畿圏からも近くそのアクセスの良さ、また立命館大学の琵琶湖・草津キャンパス(BKC)の開学もあり、「若い力」の流入が続き、人口が増加しているまちである。高齢化率も未だ10%台であり、数字の上からも活力のある様子がうかがえる。

 2000年代に入って地方分権改革の流れが全国的に進展し、「地方政府」という考え方が次第に席巻してきた時期に、草津市では、自己決定・自己責任という自治体経営に求められる課題に対応するため、立命館大学との連携のもとにシンクタンクとしての「草津未来研究所」を創設した。

 その目指すところは、草津市の未来を見据えた創造力ある政策を提案し、草津市の政策審議機能の充実に寄与することにある、とされている。

 今後益々自治体間競争が激化する中で、地域課題に的確に対応し主体的に解決することがこれまで以上に求められる。「自分で考え、自分で解決する」ことが「地方政府」の目指すところである。

 そのためには、政策立案機能、政策立案能力を持つ人材を育成する機能をもった自前の機関が必要であり、「草津未来研究所」はこうした考えから2010年に設置された。

 研究所の所長には立命館大学から迎え、データバンク機能、シンクタンク機能、コンサルティング機能などの調査研究活動部門とトレーニング機能、プラットフォーム機能などの人材育成活動部門を備えて、市における政策形成能力向上にむけたサポートを行っている。

 何より敬服した点は、高齢化率が全国平均よりはるかに低く、「若い社会」であるうちに、「将来」の草津市を考え、市内の重要な社会資源である大学との連携を打ち出し、いわば「未来への投資」を具体的に打ち出している点である。

 しかも「学」との連携を確立することにより、「若い世代」の考え方を政策決定に反映できるシステムが具体的に出来上がっている点である。研究所が生まれてまだ日が浅いが、今後本格的に機能が認知されていけば、行政の在り方も大いに変わっていくに違いない。今後の推移に大いに注目したい。

 それにしても、こうした着眼点をもち、実行に移せることにうらやましいため息がでる思いである。

草津市からいただいた資料

 

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