Menu

  • Home
  • ブログ
  • 議会改革のページ
  • 4期目の決意
  • プロフィール
  • 実績
    • 実績(その2)
  • 議会活動
    • 第1期(平成19年…
    • 第2期(平成23年…
    • 第3期(平成27年…
    • 第4期(令和元年5…
  • ニュース
  • リンク
  • 視察資料など
    • 資料(~2019年…
    • 資料(2019~)

甲府市議会議員  兵道けんじのページ

議論を通じた合意形成へ

2014年11月30日

国政は21日に衆議院が解散され、12月2日の衆院選公示に向け、各党とも事実上の選挙戦に突入した。自公連立政権に対して、野党では選挙区での候補者の調整等が取りざたされている。

衆院選では、小選挙区と比例区の2本立てで選挙が行われ、小選挙区では一人しか当選できない。与党候補に勝つために、候補者の一本化を図り、そこに反与党の勢力を結集する狙いがある。

しかし、現代では多様なものの考え方があり、政治的な課題に対しても決して一つの考え方に収れんされるとは限らない。候補者の一本化もなかなかうまくいかないのが通例である。

そもそも政党といってもそこに集約された民意があり、これがそれぞれの政党を性格付けている。国民の側からは、自分たちの主張を実現してもらうべくその代弁者として政党に託している。

こうした政党の背後にいる支持者としての国民の存在を無視して、単に反与党というだけで糾合できると考えるのはあまりに安易である。それぞれの民意の共通項的な政策で一致を見ない限り、政党間の連携協力は実際困難であるし、こうした共通政策での連携でなければ、単なる「野合」である。

選挙が民主主義の基本的なツールであればあるほど、政策競争でなければならないということは、むしろ当然のことである。それぞれが自己の政策を出し合い、その議論を通じて国民に選択肢を提供するのが本来の在り方だろう。

このように考えた場合、当然現下の課題に対してこれを解決する優れた政策を立案する技量を政党が持たなければならないことは自明である。なおかつ、議論し合うという態度が求められることはいうまでもない。

何の具体的なプランやアイディアもなく、単に相手の批判ばかりに終始するようでは、到底成熟した民主的政党とはいえない。

我々が期待するのは、現代のような「多様性」をもつ社会にあって、自分の主張ばかりに固執し、異なる考え方を排除するようなあり方ではなく、それぞれが「差異」を認め合い、そこから徹底した議論を通じて妥協点を見出す「議論による合意形成」政治である。

「民主主義は多数決」と多くの人が考えているが、実はそのプロセス、すなわち「議論」の存在を見落としている。議論を通じてある程度までの妥協点を見出したのちに、最終的な意思決定方法としての「多数決」である。

「数の横暴」という言葉がよく聞かれる。だが、その発言がなされるほとんどの場合が、こうした民主的なプロセスを故意に拒否し、議論に応じようともせずに、多数の側の落ち度があるかのように印象付けるケースである。こうなるともはや「少数者の横暴」である。

先の臨時国会最終盤でも「審議拒否」の野党によっていくつかの法案が廃案になった。首相の衆議院解散表明により、もはや審議する意味もないからといった声が聞かれた。

衆院本会議で解散詔書により解散が宣言されるまでは、衆院議員は失職しない。であれば、最後の最後までその職責を果たすべきは当然である。

これまで国会ではこうした「審議拒否」という民主主義理念にもとる不毛な「戦術」が取られてきた。これが国民の政治離れを加速させた一つの要因であることは疑う余地がない。よもや「反論」の理論構成ができないからボロが出ないように「審議拒否」するのでは、と勘繰りたくなる。

今回の選挙戦での野党の主張にも、批判はするが代替案を提示できているとは決して言えないようなものがある。アベノミクスに対する「批判」などがその典型である。株価の回復、行き過ぎた円高の是正、新卒内定率の向上、有効求人倍率の回復、など、その効果とみられる状況は一切無視して、ただ失敗だと強弁するその姿勢には、批判はいいから具体的な代替案を提示せよ、といいたくなる。

これなどは典型的な「減点主義的」な我が国の伝統的な精神風土の産物であろう。相手のアラを探すことによってしか自己主張できない。じつに「ガラパゴス」的な政治風土である。

議論を通じた合意形成。人口減少社会へ向かう我が国にとって、次の世代へ大きな財産を残すためにも、こうしたパラダイムへ転換することが今まさに求められている。

人間社会は情けない

人間社会は情けない

 

いよいよ総選挙へ

2014年11月25日

先週21日に衆議院が解散され、12月2日公示、14日投票の選挙日程が決定された。

一昨年の衆議院議員総選挙から約2年のこの時期に再び総選挙が行われることに、当初戸惑いと反発があったようだ。

野党からは、「解散の大義」を問う発言が相次いだ。実に奇妙な光景である。

政権運営に異を唱え、解散して国民の信を問うべきと声高に叫ぶのが野党のこれまでの態度であった。いうまでもなく、議席増を目指すことができるチャンスが解散総選挙である。

であるにもかかわらずである。解散に反対するということは、裏返せば連立政権の政権運営を是とすると言っているに等しい。

その理由として挙げている一つに、多額の費用をかけてなぜ選挙しなければならないのか、というのがある。これなどは、議院内閣制を定めた憲法の規定を無視した論外の主張である。

国の行く末を左右する重要事項について解散総選挙により国民の信を問うのは、憲政の常道である。そのため、衆議院議員は任期があってないようなものである。「常在戦場」といわれるゆえんである。

当然、国民の信を問うためのコストについては憲法で予定されているというべきである。こうしたコストをかけても国民の信を問うというメリットの方がはるかに大きいというのが民主主義であり、「主権者」である国民の立場からは、よくぞ信を問うてくれた、というべきである。

そこで今回の選挙で信を問う内容が問題となる。安倍総理は、税と社会保障の一体改革法で時期まで明記されている消費税の引き上げを先送りにすることは国民の信を問うに値する重要事項だとしている。

当然この判断に至った大きな要因は、直近の経済指標が思わしくなかったことにある。デフレ脱却のために実行した「アベノミクス」を今後も継続すべきかどうか、国民の判断を求めることも十分うなずける。特に長い間のデフレ、景気低迷から脱却し、地方にまで景気回復の実感を浸透させるために、アベノミクスの継続実施が必要なのかどうか。一つの論点になる。

消費税の引き上げは、超高齢化・人口減に向かう我が国の社会保障制度を持続可能なものとするため、避けて通れない問題である。その引き上げを先送りすることは、当然社会保障制度をこの間どう手当てするかという問題とセットで主権者の判断を仰ぐべき重要事項である。

加えて、消費税の逆進性を緩和するための「軽減税率」導入も大きな焦点となる。消費マインドを冷やすことなく適正な負担を求めるためには、やはり、食料品などの日常生活に不可欠なものについては税負担を軽減することが必要である。

こうしたことを総合的に考えれば、この時期に衆議院を解散し、総選挙を行うことは、国民主権の基本理念からいって批判されるべきことではない。

野党の選挙準備態勢が整わないうちに解散するのだろう、というシニカルな評論家的な見方も一部にあるようだが、前述のように、衆議院は常に解散がありうる「常在戦場」なのであり、そのため国民のためにしっかりと働いているという実績を残していくことが、何よりの「選挙準備」ではないだろうか?

いずれにしても、我々はこれまでの実績を丁寧に訴えていくだけである。そして今後何をしていくのかを具体的に提示し、理解を求める努力をするだけである。決して「アラさがし」だけに終始するような無責任な態度だけはとるまい、と。

地域活動は大事

地域活動は大事

議会運営委員会行政視察(3)~松本市~

2014年11月22日

視察最終日の11月19日、松本市議会の議会改革の取り組みについて研修した。

同市議会では、平成19年8月に議会改革検討のための組織である「松本市議会ステップアップ検討委員会」を設置、翌20年1月から条例制定に向けた検討を行い、最終的に平成21年3月議会で全会一致で基本条例が可決成立した。

この条例に基づく具体的な議会改革策を遂行するため、4つの部会を設置している。その概略を紹介すると、

(1)政策部会では、①政策提案・提言の仕組みの研究、検討、②議会運営の充実・効率化の検討、③議員研修の企画、運営等を所管する。

(2)広報部会では、①情報発信、情報提供方法の検討、②議会報告会の企画、運営等を所管する。

(3)交流部会では、①市民参加、市民連携の検討、②市民意見の把握方法の検討、③他市議会との交流、連携方法の検討等を所管する。

(4)これらの部会の所管施策の進行管理や部会間の調整を担う部会として、進行管理部会を設置している。

全議員がいずれかの部会に所属し、一人ひとりが自覚と責任をもって、議会改革を推進することを求めている。役割分担を明確にし、効果的な推進が実現できるよう体制整備が行われている。

これまでの各部会の具体的な取り組みを見ていくと、

まず、政策部会では、①請願・陳情の趣旨説明の導入、②移動委員会の実施、③政策提案の推進として、常任委員会ごとにテーマを設定し、研究・検討を行い、その結果を「松本市議会政策討論会」で議論し、集約した成果を議会として政策提案している。④議員研修は年2回当面する課題について主に外部講師を招いて研修を行っている。

次に、広報部会は、①委員会レポートとして、委員会審査状況、直近の議会活動等を地元ケーブルテレビで60分番組で放送している。②議会報告会は、議会の状況等の報告とともに、参加者から議会への意見・提言を受け、市政や議会活動への反映に努めている。③議案に対する賛否の公表として、HPで全議案について公表、議会だよりでは紙面の都合上一部を公表している。④このほか、議員講師による「出前講座」を実施している。

交流部会では、各種団体との意見交換会のほか、松本市議会ステップアップ市民会議を平成22年度に設置し、委員からの意見・提言を議会活動、議会運営に反映させることに努め、市民参加によるより開かれた議会の実現を目指している。

松本市議会は前日までの2市議会と同様、日経グローカルの議会改革度調査で上位を占める常連議会である。基本条例制定で議会機能の充実・強化のための基盤をしっかりと築き、定められた改革策を部会設置により全議員の役割分担のもときちんと遂行していく。

いずれにしても、議会が自律的に制度の現状が抱える課題に向き合い、その克服についての目標を全議員が共有することがまず重要であると思われる。市民の負託、期待の応え得る議会へと脱皮するために、常に制度を検証し、改革の不断の努力が今後益々求められるだろう。

我が甲府市議会も現任期満了までに、議会改革、とりわけ議会機能の充実強化に向けた検討組織を立ち上げる必要があるのではないか。検討組織の設置による議会としての方向性を明確にこの時点で規定しておくこと、これが今回の3日間の行政視察で痛感したいわば視察の成果といえるものである。

IMG_0640

 

議会運営委員会行政視察(2)~奈良市~

2014年11月20日

視察2日目の11月18日は、奈良県奈良市の議会改革状況の調査である。

前日の四日市市がH26の日経グローカル「議会改革度調査」で全国1位となった同じ調査で、全国11位、県庁所在市で1位に輝いている。前回の85位からの大躍進である。

奈良市議会の取り組みの特徴は、平成23年7月設置の「議会制度検討特別委員会」を母体として、現行制度が抱える課題の解決を目指して、運営面の改善の具体的実践を行いつつ、制度面での「議員の政治倫理条例」の全部改正及び「議会基本条例」の制定を同時並行でおこなったところにある。

そこには、議会に対する市民の信頼を高めるため、条例の制定を待って改革策を実行するのではなく、出来るところから改革策を実行しながら条例制定を行うという、実践的な考え方がある。

すぐに実行に移した改革策の多くは、例えば本会議や委員会のネット中継会議資料のホームページ公開の範囲の拡大、議会だよりの内容の充実など、議会の情報を市民に分かりやすく伝えることにより「見える化」を進めるというものである。これらは基本条例の制定を待つことなく直ちに実施すべきものとされた。

こうした具体策の実施の一方で、平成23年9月から特別委員会で議会基本条例の検討が開始され、翌24年1月からは作業部会を設置して本格的な作業に入った。中間で自治法100条の2に規定する「専門的知見」を活用し、専門的立場からの助言を求めるとともに、市民アンケートの実施により、条文への市民意見の反映に努めている。

こうした経緯を経て平成25年3月定例会で議会基本条例は可決成立した。

前文に条例の精神というべきものが凝縮されており、紹介すると、目指すところは「地方自治の本旨に基づき議会の権能を高める」ことにより、市民主体の市政・自立した地方公共団体の構築を推進することにある。

その具体的な方策として、「市政運営の監視と評価機能」を強化するとともに「政策立案、政策提言」を積極的に行う。議会に期待される機能として最近の議会改革の主流となっているものである。

こうした努力とともに、市民に開かれた議会、信頼される議会となるために「情報公開や説明責任」を積極的に果たすことを宣言している。

本文には、近年の議会基本条例で多くみられる「改革条項」がほぼフルスペックで規定されている。すなわち、「議員間の自由討議による合意形成(23条)」「文書による質問制度(21条)」(国会の質問主意書と同様の制度)「一問一答制(第16条1項)」「反問権(16条2項)」「議会報告会(12条)」「議員研修(22条)」などである。

いずれの基本条例も同様であるが、分権時代の即応した議会の在り方として、議会機能の強化が求められるのであり、特に2元代表制のもとでは、執行機関の監視はもとより議会の視点からの政策立案・政策提言による執行機関との「人道的競争」が要請されるものである。

そのためには、議会が単に議員の集合体ではなく、合議制の「組織」であることを再確認する必要がある。「議員間の徹底した自由討議」による合意形成、意思決定を強く主張するのは、議会がこうした「組織」であることからの当然の帰結であり、単に個々の議員の態度表明の単純集合では決してない。

「組織」としての意思決定は、例えば会社ならば株主総会の決定であり、また業務執行の場面での取締役会の決定である。そこに至る過程では株主や取締役の議論があり、その結果としての決定は、会社という「組織」の決定であり、単に個々の株主・取締役の決定とは言わない。

総じていえば、議会改革というのは、結局はこうした「組織」 としての議会の権能の充実強化である。執行機関が組織ならば議会も組織である。しかし執行機関が行政運営に携わる組織としてすでに整備充実しているのに対し、議会はまだまだこれからである。

近年の議会改革のうねりは、分権時代にふさわしい、かつ2元代表制という地方自治の本旨にかなった議会の組織としての権能の強化がその目指すところである。

奈良市議会もこの命題に的確に対応したからこそ、改革度が飛躍的に向上したものといえるだろう。

IMG_0047

議会運営委員会行政視察(1)~四日市市~

2014年11月19日

11月17日~19日の日程で、甲府市議会議会運営委員会の行政視察を行った。今回のテーマは3日間通じて「議会改革について」である。

1日目は三重県四日市市議会、2日目は奈良県奈良市議会、最終日は長野県松本市議会である。いずれも「議会基本条例」を制定し、開かれた議会として、また、言論・立法の府として、2元代表制の地方議会がより市民の負託に応え得るものとなるよう様々な取り組みを行っている。

日経グローカルの改革度上位にランクされるほど、その取り組みは我々甲府市議会の今後の議会改革を検討するにあたって大いに参考となると考え、今回の視察先に決定したものである。

初日の17日は、四日市市議会を視察した。同市議会は日経グローカルの第3回調査で、議会改革度全国1位に輝いた。

四日市市議会では議会基本条例制定に向けた検討を平成21年6月から開始し、平成23年3月議会で条例を可決成立させている。

その経過を見ると注目すべき点が見える。同市議会では平成12年に当時の議長の提案で「市政活性化推進等議員懇談会」という組織を発足させている。これは、市政の様々な課題について、執行部を交えず、議員だけで自主的に意見交換、情報交換を行う場として設置されたものである。平成17年にはその発展的組織として「議員政策研究会」を立ち上げている。いわば「議員間討議」の組織である。

この組織が母体となり、いくつもの「分科会」が設けられ、議会基本条例もそのひとつの分科会として、平成21年度~22年度に精力的に検討が進められ、成案をみたものである。この組織は今後わが市で議会改革ないし議会活性化の検討を進めるにあたって大いに参考になる。

さて、四日市市議会基本条例には、3つの柱を内容とする基本方針が定められている。第5条に定められている基本方針をみると、(1)「市民との情報共有」がまず定められている。その中心は、議会活動についての積極的な情報公開である。議会の傍聴の促進や会議のネット中継のみならず、最近の議会改革の主流となっている「議会報告会」などがある。

(2)2点目は、「市民参加の推進」である。これは、議会における討議に市民意見を反映させる仕組みであり、委員会における公聴会制度・参考人制度の活用、専門的な知見の活用、議員提案条例等に係るパブリックコメントの実施、また、請願審査にあたっての紹介議員や晴眼者からの意見陳述制度などをその内容としている、

(3)3点目は、「議員間討議の活性化」である。これは、あらゆる会議で議員同士の討議を尽くしたうえでの意見集約の実現であり、この点は議会が「合議制の議論の場」であることを明確に意識したものである。

以上の基本方針の帰結として、第6条で議会の位置付けを明確に宣言している。内容を要約すると、議会は市民の代表者である議員で構成する「議論の場」であり、行政の監視機能のみならず、政策立案機能・政策提言機能を併せ持つ「意思決定を行う議事機関」であるとする。

最近の議会改革の潮流はまさにこの点に集約される。すなわちこれまでの議会はこうした機能を本来持ち合わせているにもかかわらず、議会内部での徹底した討論およびそのうえでの意見集約ないし合意形成というプロセスが必ずしもなされておらず、議決行為が議会という「組織としての意思決定」にはほど遠いことから、議員同士の「議論」を通じた意思決定システムを条例という形で明確に制度化しているものである。

議会改革を考えるうえで何より重要なことは、これまで議員個人と執行当局との個別的なやり取りのみで最終的に採決されていたものを、議員同士の意見のやりとり、すなわち「議員同士の議論」を通じて最終的に議会の意思決定を行うシステムに変更することである。

例えば委員会審議などを見ても、議員対当局という図式しかないのであり、たとえ議員個人の意見に対して疑義をはさみたくとも直接当人にぶつけることは制度上できない。これはどうみても不可思議である。議会という組織がおよそ対外的に意思決定を行うのであれば、四日市市のように、「議論」は当局を交えず議員同士で行うべきであり、こうした議論を尽くして初めて採決という方法での意思決定が正当性をもつ。

こうして初めて、市民への議会活動の報告すなわち「議会報告会」が可能となるのである。

これまで議会が言論の府であるとか合議制の機関であるといわれてきた一方で現実に目を向けるとその理想には程遠い実態がある。それは現行制度の限界ともいえるものであり、四日市市議会基本条例の定めるようなあり方に議会制度を変えていくことが市民の負託によりこたえ得る議会へと脱皮するための一つの方向ではないだろうか。

IMG_0633

 

 

秋の夕べに~JAZZと朗読~

2014年11月16日

先日、知人に紹介されて、ふじかわ文化倶楽部の「音・語れり 秋の夕べ」コンサートを初めて見に行った。

富士川町ますほ文化ホールロビーを会場にしたロビーコンサートで、フリーアナウンサーの山形由紀子さんの朗読をはさんだ洒落たコンサートである。

この日は、「今宵は、JAZZで・・・」と題し、JAZZのスタンダードナンバーを中心に見事な演奏で楽しませていただいた。

パンフレットを見た時に、ピアノ、ベース、そしてなんと尺八のトリオということで、非常に興味がわいたのである。

ドラムやサックスが加わるのはこれまでも聞いたことがあるが、尺八は初めてである。しかし、最初の曲「スターダスト」で尺八の音色にふれたとき、これほどまでにJAZZに合うとは思いもよらなかった。どこまでも新鮮な、新たな発見をした思いである。

メンバーは、尺八が岩間龍山氏、ピアノが雨宮一博氏、ベースが石合也寸志氏である。いずれも一流の演奏者と見える。

進行役は雨宮氏が務め、JAZZの生命線が「アドリブ(即興演奏)」であることが紹介された。その時々の演奏で即興で奏でることから、同じ曲でも違った印象を受けることはよくある。非常に奥が深い音楽である。

2曲目の「ミスティー」はスローバラードではよく聞く曲だが、この日はボサノバ風にアレンジ。これが実に軽快でノリがいい。

1部最後の曲は、「Left alone」。曲紹介では、映画「キャバレー」の主題歌とあった。いわずとしれたマル・ウオルドロン作曲、ビリー・ホリデイが詞を付けた名曲である。

大学時代、もう35年くらい前にLPを買って、毎日のように聴いていた曲である。ヴォーカルのかわりに、ジャッキー・マクリーンの切なげなサックスが今でもよみがえる。ビリー・ホリデイが逝去した後のたしか追悼アルバムだったと思う。

サックスの代わりに岩間氏の尺八のこれまた胸をえぐるような音が郷愁を呼び起こす名演奏だった。

休憩後に登場した、山形さんの朗読。題は筒井康隆作ジャズ小説より「葬送曲」。その声質の良さと、目の前に情景が思い浮かぶほどの巧みなしゃべりに、さすがと感服した。とにかくあっという間に山形ワールドに引き込まれる。

彼女は、先月の甲府市制祭記念式典の司会を務めて頂いた。これまでも成人式の司会などで、甲府市ともなじみが深い、式典などでいまやなくてはならない人である。

瞬く間に、エンディングになり、リクエストにこたえて、これまたJAZZファンにとって知らぬものはいない名曲「オータム・リーブス(枯葉)」が演奏された。

もともとはシャンソンだが、いろいろなJAZZアーティストが取り上げており、今やJAZZのスタンダード曲である。これも大学時代、ビル・エバンスの演奏でよく聴いた。

瞬く間の約2時間。名残惜しいひととき、しばし「文化」に癒しを受け、心地よい興奮の中、帰途についた。

この機会を与えていただいた、「ふじかわ文化倶楽部」に深く感謝したい。同倶楽部は、コンサート活動を通して地域における芸術文化の活性化を目的としている。これまで素晴らしい活動をされており、また、サポーター会員を募集していると伺った。益々のご発展を心から期待したい。

ボランティアを考える

2014年11月14日

11月13日午前、甲府市役所1階市民活動室で開催された、「心の健康ボランティア雅の会」の10周年記念フォーラムをのぞいてみた。

同会は、桜林会長さんを中心に、市内の小学校で読み聞かせや放課後児童クラブでの交流事業、防犯紙芝居や環境紙芝居など、様々な活動を行ってきた市内でも有数のボランティア団体である。

式典終了後、県立育精福祉センター成人寮の塩沢施設長の講演「ボランティアとはなにか?」を拝聴した。

同氏は県庁の障害福祉課在職中にともに仕事をした「戦友」ともいうべき方である。氏が福祉関係で仕事をしようと決意したきっかけが、学生時代にある知的障がい者施設と出会ったことにあるとのことだ。

障害を持った方と初めて出会い、その生き生きとした姿に驚きと感動を受けたそうである。大学で「カビ」の研究を専攻していた同氏が福祉の世界に飛び込んだということを初めてお聞きし、もともと福祉の専門課程を修了した方とばかり思っていたので少なからず驚いた。

現在、県のレクレーション協会とも関わりを持ち、また傾聴ボランティア活動も熱心に展開、自殺予防のゲートキーパー養成講座にも携わるなど、幅広いボランティア活動に携わっておられる。

今日の講演も巧みなトークで会場の笑いを誘いながら、ボランティア活動の重要性を講義していただいた。これからの時代、行政がカバーすべき部分はこれ以上拡がらず、市民の力がますます求められ、従って、これまで以上にボランティアの要請が高まるといわれる。

ボランティアが一般的に拡がったきっかけはやはり阪神・淡路大震災だろう。そして近年では3.11の大震災が再びボランティアの機運を高める要因となった。

ボランティアはおそらく人間精神の復興を促す極めて「人間的な」行動と捉えられるだろう。人と人とのつながりを新たに生み、また深める大きなうねりを起こすものと考えている。

しかしながら、同氏も指摘するように、活動の継続性をいかに確保するかが宿命的な課題であるといえる。

かつて障害福祉課時代に痛感したのが、福祉の世界における「支援」とは「人間性の自然の発露」としての行動ではないか、であるならばそれは「事業」として展開されるのではなく、例えば朝起きて顔を洗う、歯を磨くといったような、当たり前のようになされる日常生活行動であるべきだ、ということである。

そしてこれはボランティア活動にも当てはまると今でも考えている。

今、新田小・児童見守りボランティアの会の代表として会員のみなさんと児童の見守り活動をずっと行っている。当初から見守り活動は「特別な事業」としてではなく、日常生活の一部として考えてほしい、と訴え続けてきた。

いうまでもなく、特別な事業としてとらえる限り、どうしても「気負い」が生じがちであり、やがて「負担感」へと変わってしまう。平成17年当時のあの痛ましい事件の続発をきっかけに各地で見守りボランティア組織が生まれた。が、残念ながら休眠状態に陥った団体も少なからずあるようだ。

その背景には、おそらく負担感とその後の平和な状況がもたらす見守り活動の必要性が次第に意識から遠のいてしまったことがあげられると思われる。「長続きさせる」ことのむずかしさがここにある。

あの3.11でさえ、時の経過とともに風化が危惧されていることからも、ボランティアは「事業」としてではなく我々の日常生活活動としてとらえなおすことが今まさに求められるのではなかろうか。

幸いにも、我が団体はこうした危機を乗り越え、今は皆さんが当たり前のように見守りをしてくださっている。実にありがたいことである。

そのかいもあってか、昨年は「安全・安心なまちづくり知事賞」をいただくことができ、今年は学校安全・学校保健の分野での文部科学大臣奨励賞をいただいた。

今日の塩沢氏の講演を聴きながら、改めてボランティアについての考え方が決して的を外れたものでないことを実感させていただいた。

11月6日にいただいた奨励賞

会派視察~韮崎市子育て支援センター・佐久市読書通帳~

2014年11月12日

11月11日に、会派で韮崎市子育て支援センターと佐久市立中央図書館の視察を行った。

午前9時半からは韮崎駅前の市民交流センター「ニコリ」3階にある韮崎市子育て支援センターで、同施設が担当している子育て支援事業を視察した。

「ニコリ」は、旧イトーヨーカドーの建物を改修し、公民館や図書館、市民活動スペースなどを整備した文化的な施設としてリニューアルしたものである。先日総務委員会で視察した「前橋プラザ元気21」と性格が似通っている。

その3階に整備された子育て支援センターは、韮崎市の子育て支援の拠点施設として、NPO法人子育て支援センターちびっこはうすが指定管理者として事業運営にあたっている。

同センターは、子ども・子育て支援法に定める子育て支援事業のうち、地域子育て支援拠点事業とファミリーサポート事業を担っており、正スタッフ4名と数名の補助スタッフが配置されている。

平成23年9月開設以来、充実した施設内容と支援事業の質の高さから、市内だけでなく他市からも電車等でわざわざやってくる利用者もいるほど人気が高い。

担当者からの説明でその人気の秘密を垣間見た感がする。現場の職員の皆さんの情熱もさることながら、人口減社会に向かう今の時世でやはり何を重点に置き予算配分するかが行政サイドでも明確になっている点である。

大型店が撤退した後の建物を依然商業施設として利活用する道をとらず、文化施設に転換した点、そのなかで、子育て拠点施設に多くのスペースを割いていること、図書館の設置、市民活動のスペースと、市民が「使う」という視点から整備をした点に大いに先進性を感じる。

以前この建物を訪れた時にも感じたことだが、高校生などの若い世代も多く利用し、明るく活気のある空間という印象を強く受ける。

子育て支援センターも、多くの子育て世代でにぎわっている。子どもを中心に保護者同士の交流も新たに生まれ、また子育て相談なども専門スタッフによる相談だけでなく、親同士のいわば「ピア・サポート」的な子育て体験の共有などもあり、利用しやすさが大きな魅力と考えられる。

ここまでして初めて子育て支援といえるという質の高さに圧倒された1時間の視察であった。

支援センター内部

午後からは、佐久市立中央図書館で読書通帳について研修した。

佐久市には市立図書館が5館ある。さすがに文教都市長野県だ、と改めて感服する。人口は約10万人、甲府市の約半分であるが、図書館数は5倍。なにをかいわんやである。

読書通帳はこの7月に、長野県では初めて、全国でも8番目として取り組みが始まった。

1冊300円、佐久市内の中学生以下は無料と気軽に作ることができ、借りた本の名前と借りた年月日が「記帳」され、最高で216冊分まで記録できるという。

通帳を専用の機械に通すと、あのATMのように記帳されるもので、自分の読書歴を後々まで保存できるという利点がある。いわば自分自身の「知的財産」である。

読書を重ねることによって自身の「拡大」が実現されると考えるが、残念ながらどの時期にどのような本を読んだか、について記録することは少ないのではないだろうか。買った本であれば、本棚に並べること自体が記録となり得るが、借りた本については、記録を残せない。

マメな性格の人であれば別だが、図書館で借りた本についておそらく記録する人は少ないと思われる。読書通帳はこうしたことから生まれたものだろう。

特に子どもたちの読書活動をより進めるうえでは、通帳は有用なアイテムだ。借りることに張り合いが出てくる。益々読書の習慣が身に付くのではないか。大人になって振り返った時に大きな財産になるだろう。

わが市でも子ども読書活動をより進めるために推進計画がつくられている。やってみる価値は大いにあると思うのだが。

記帳機械

総務委員会行政視察(3)~前橋市~

2014年11月1日

視察最終日の10月30日は、群馬県前橋市を訪れ、中心市街地活性化の取り組みの状況について視察した。

前橋市は群馬県の県庁所在市であり、人口34万人の中核市である。よく新幹線の停車駅がある隣の高崎市と比較されがちであるが、世界遺産に登録された富岡製糸場に象徴される県の中心産業であった絹の出荷基地として、前橋駅は倉庫街が拡がる重要な拠点駅であったようだ。

こうした歴史的な背景もあり、県庁所在市としての役割を担ってきたが、ここでも中心市街地の衰退という共通の課題があった。前橋駅周辺は旧倉庫街の名残からか商業施設はほとんど見られない。高崎駅と比べるとオフィス街的な様相である。

中心市街地は、駅から北にやや離れたところに形成されている。自動車保有率が高いことから、ここでも郊外のロードサイド店舗へと顧客の流出があり、相対的に中心街のプレゼンスの低下がみられる。あえて中心街に出向く理由が次第に薄れてきたというのである。

結果として、空き店舗の増加に拍車がかかり、他都市同様中心市街地の活性化計画を策定し各種のまちづくりの事業を展開している。平成23年から計画期間を28年までの5年間として策定した計画であるが、本市のように国の認定をとっていない。

周辺県の中心都市でも国の認定を受けないところが多いという。そこにはそれぞれの市が抱える固有の事情があるようだ。おそらく中心街の再整備だけでなく郊外の計画的整備なども視野に入れているからと推察される。

前橋市の中心市街地活性化計画に大きな影響を与えた要因の一つとして、西武系のデパートの撤退があると考えられる。その跡地の活用策の検討から、一旦策定した基本計画の一部改定を本年3月に行っている。

前橋市は、この大型商業施設の跡地を「前橋プラザ元気21」及び「アーツ前橋」という文化教育施設へと転換した。通常は別の経営主体による商業施設の継続を考えるところであるが、あえてそのような方策をとらないところに、中心街と郊外の商業というレベルでの役割分担の現状と将来をしっかり踏まえていると感じる。

車社会における利便性という点ではるかに優る郊外型店舗に対して同じレベルでの競争を仕掛けても結果は見えている。そのため、前橋市は中心市街地の活性化の基本的方向性をこれまでの「商業オンリー」である「中心市街地を一つのショッピングモールと捉える」から「中心市街地の歴史・文化や固有の強みを守りながら、人と人とが交流する拠点として」と重要な転換を図っている。

商業による活性化から、商業+商業外による活性化へとシフトさせている。今後のまちづくりにとって何が重要かに気が付いたからではないか。まさに「わが意を得たり」と感激した所である。

これを受けて、重点的取り組み事項も、これまでのハード整備中心の考え方からアーツ前橋を核とした芸術文化活動の推進や街なか居住の促進といったソフト事業重視の方向へと舵をきっている。

拠点施設となる「前橋プラザ元気21」はH19年12月にオープンした。施設は地下に地元スーパーが入居し、上階には群馬医療福祉大学、中階に公民館、地域交流プラザ、2階に子ども図書館、1階にイベント広場、コミュニティFM、喫茶店など、バラエティに富んだ施設内容となっている。

特に注目したいのは子ども図書館である。広い空間に多種多様な児童書などが収納されている。むろん、読み聞かせのスペースも確保されている。次の世代を強く意識した取り組みであり、大変参考になる。

空中通路でつながっている隣の建物に「アーツ前橋」と立体駐車場が整備されている。アーツ前橋は、一般の美術館のように所蔵品を鑑賞させるだけのいわば「受動的な」施設を目指すのではなく、むしろ地域へのアートの場の提供と捉えている。従って、特定の芸術家や一部の関係者だけではなく、「誰でも」活用でき、多様な人が集うことによる交流の場の創出を目指しているといえる。

商業以外の面で活性化を促進する方策として前橋市は、まちなかでの市民活動支援の仕組みづくりを進めている。イベントへの市有地の低廉での貸し出しや物品の無償貸出しなどを行うほか、まちなかの活力創出につながるイベントへの補助、情報誌のこまめな発行などに取り組んでいる。

また、市民レベルでの空き店舗利活用の動きも生まれている。面白いのは、「前橋〇〇部」という部活のノリでまちなかを起点とした活動を展開しているグループである。発起人は30代半ばの青年。FBでつながる仲間が集まり、まちなかの空き店舗の一室を「部室」にして活動を開始し、そのゆるやかさが受けて今では50団体を超す〇〇部が誕生し、昨年には日経新聞やフジTVなどにも取り上げられ、ブームとなっているという。

特に決まった活動を行うのではなく、また行政の補助等は一切受けていないという。それぞれの思いを持った様々な人々が自然と集まっており、まさにまちなか活性の原点を見るような思いである。

このほか、空き店舗をリフォームして学生向けのシェアハウスを提供している「シェアフラット馬場川」などの取り組みも誕生している。また、行政でも従来型の中心街の空き店舗を活用した開店への支援や起業への支援なども行っている。

このような仕掛けを効果的に展開する行政の拠点として、前橋市は昨年4月に中心市街地に「まちなか再生室」をオープンし、6人体制で活性化に向けた様々な取り組みを展開している。

仕掛けは徐々に功を奏しつつある。その根底にあるのは、やはり、「人」に焦点をあてた基本コンセプトの転換であると思われる。「交流」というキーワードに早い時期に気付いた結果だと考える。この点をわが市でも大いに宣揚していくべきではないか。

元気21館内案内パネル

子ども図書館内部

総務委員会行政視察(2)~魚沼市~

2014年10月31日

視察2日目の10月29日は、魚沼市の空き家対策について調査した。

魚沼市は、平成16年11月1日に北魚沼6か町村(堀之内町・小出町・湯之谷村・広神村・守門村・入広瀬村)が合併して誕生した人口39,000人強の市である。10年前の新潟中越地震の際は、この地域も大きな被害に見舞われたという。

俳優の渡辺謙さんはここ魚沼出身で、市制10周年の11月1日に名誉市民になられるそうである。

魚沼市は、いわずとしれた、「魚沼産こしひかり」の産地であり、この日の昼食で食べたこしひかりは、まさに絶品。思わずおかわりをするほど美味であった。もちろんお土産でこしひかりを買い、早速宅急便で自宅に送ったのはいうまでもない。

冬は降雪が半端ではなく、毎年のように3メートルもの積雪量を記録すると伺った。特に平成23年から3年連続で豪雪に見舞われ、市民、自治会からの苦情・相談を受け、市が緊急に職員、業者による除雪を実施してきたが、空き家に関して様々課題が浮かび上がった。

本市でも空き家が周辺環境にもたらす悪影響が次第に問題化しつつある。が通常は建物の劣化のスピードはそれほど速くない。

しかし、豪雪地帯では降雪により瞬時に建物倒壊の危険が顕現することが多い。特に魚沼市一帯に降る雪は水分が多く、要するに「重い」のである。屋根が崩落する危険もさることながら、庇雪の落雪による人的被害の危険も大きいという。

所有者が明らかな場合は、連絡して善処を要請することも可能であるが、問題の多い空き家は、所有者が所在不明、相続放棄による所有者の不在というケースが圧倒的に多い。

行政が所有者に代わって緊急に対策を取ろうとしても、個人の財産にどこまで手が出せるかという問題、また個人の財産に税金をむやみに投入できないという問題がある。民法第697条の「事務管理」規定を適用することも一案であるが、限界がある。

建築基準法や消防法など関係しそうな法律もはたして空き家に対してどこまで適用できるのか。行政内部でもどこが窓口になるのか。など、これまでの除雪作業を通じて、抜本的な対策の必要性を痛感し、秋田県大仙市などの空き家条例のような条例制定を検討するに至ったそうである。

こうして、平成24年10月に「魚沼市空き家等の適正管理及び有効活用に関する条例」が制定された。

この条例では、所有者への適正管理の指導・助言・勧告の措置、及び命令、氏名等の公表といった不利益措置のほか、代執行権を行政に付与しており、ここまでは空き家が周辺に対して及ぼす危険を除去するための必要な制度を規定するものであり、空き家条例では一般的に規定されるものである。

このほかに、こうした危険状態に陥る前に、都会からの移住者に空き家を提供する「空き家バンク」的な有効活用の途も規定している。

条例制定の効果は少なからずあったようだ。条例に基づく「助言・指導書」を送付することにより、それまで音信不通だった所有者から連絡が寄せられたり、自主的な解体・撤去につながった例もある。

また、所有者特定のための個人情報の入手も可能となり、対策が取りやすくなったことも挙げられる。これも法的根拠が明確化したことによる効果だ。

しかし、問題が全て解決したわけではない。相続放棄による所有者不在の空き家や所在不明の空き家は依然残っている。また、今後の高齢化の進行により管理不全の空き家の増加や、解体費用がねん出できず、経済面や税制面の負担から放置される空き家の増加が懸念されるという。

市では、やはり法律の整備や空き家対策に要する自治体負担を軽減するための交付税などの財政措置の創設を要望したいとしている。個人の財産権と公共の危険除去との間の調整、これから派生する「税金」を個人の財産に投入することの是非。一自治体だけではもはや解決が困難な状況に至っている。

魚沼市では、豪雪による空き家発の危険性の除去という喫緊の課題を解決するための一つのツールとしての条例制定であった。本市でも2月の歴史的な豪雪を経験して、空き家の問題を体感した。

そこには課題が共通する。それは、本来建物所有者の責務として適正な管理があるにもかかわらず、解体費用の点や再び住む予定もない家屋に維持費用を支出する例が少ないこと。近隣との人間関係の希薄化から周囲に迷惑をかけてはならないという意識の希薄化。

また、仮に代執行ケースが増えた場合に、これ幸いと空き家を放置する風潮を助長しかねないという行政の苦悩。条例制定によってもなお根本的な空き家問題の解決にならない可能性も依然存在する。

現在、国でもこうした空き家対策に係る法整備を検討しているようであるが、管理不全に陥る前に有効活用を図る仕組みの整備も含め、早急に対策を講じてほしい。

特に、都市への若者の流出や人口減に苦悩する地方の立場からは、空き家問題は地方創生の最重要課題といえるのではないだろうか。

魚沼市役所広神庁舎

  • 前へ
  • 次へ
カレンダー
2022年8月
月 火 水 木 金 土 日
« 7月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  
最近の記事
  • 2022会派視察(3)
  • 2022会派視察(2)
  • 2022会派視察(1)
  • 6月定例会で議決された補正予算の概要
  • 6月定例会代表質問の状況(5)
検索
カテゴリー
  • お知らせ
  • まちづくり
  • オピニオン
  • 実績
  • 施策紹介
  • 未分類
  • 活動報告
  • 視察・研修
  • 議会報告
  • 議会改革
  • 選挙関係
  • 随想
最近のコメント
  • 平和安全法制は本当に憲法違反なのか に 甲府市 兵道顕司 より
  • 平和安全法制は本当に憲法違反なのか に 佐藤勇さとういさむ より
  • 2015年は? に 甲府市 兵道顕司 より
  • 2015年は? に ictkofu より
  • 市長の勇気ある発言 に Smithg349 より
ブログバックナンバー
  • 2022年7月 (3)
  • 2022年6月 (7)
  • 2022年3月 (1)
  • 2022年2月 (1)
  • 2022年1月 (2)
  • 2021年12月 (6)
  • 2021年11月 (4)
  • 2021年9月 (2)
  • 2021年8月 (2)
  • 2021年6月 (1)
  • 2021年5月 (1)
  • 2021年3月 (1)
  • 2021年2月 (1)
  • 2020年12月 (10)
  • 2020年10月 (1)
  • 2020年7月 (1)
  • 2020年6月 (2)
  • 2020年5月 (2)
  • 2020年4月 (2)
  • 2020年3月 (2)
  • 2020年2月 (2)
  • 2020年1月 (1)
  • 2019年12月 (2)
  • 2019年11月 (4)
  • 2019年10月 (3)
  • 2019年9月 (5)
  • 2019年8月 (2)
  • 2019年7月 (3)
  • 2019年6月 (1)
  • 2019年5月 (3)
  • 2019年4月 (3)
  • 2019年3月 (2)
  • 2019年2月 (1)
  • 2018年12月 (2)
  • 2018年11月 (9)
  • 2018年10月 (6)
  • 2018年9月 (8)
  • 2018年8月 (3)
  • 2018年7月 (3)
  • 2018年6月 (1)
  • 2018年5月 (1)
  • 2018年4月 (2)
  • 2018年3月 (4)
  • 2018年2月 (1)
  • 2018年1月 (3)
  • 2017年12月 (3)
  • 2017年11月 (5)
  • 2017年10月 (6)
  • 2017年9月 (1)
  • 2017年8月 (2)
  • 2017年7月 (1)
  • 2017年6月 (1)
  • 2017年5月 (2)
  • 2017年4月 (6)
  • 2017年2月 (1)
  • 2017年1月 (5)
  • 2016年11月 (2)
  • 2016年10月 (4)
  • 2016年9月 (4)
  • 2016年7月 (4)
  • 2016年6月 (1)
  • 2016年5月 (1)
  • 2016年4月 (1)
  • 2016年3月 (2)
  • 2016年2月 (4)
  • 2016年1月 (2)
  • 2015年12月 (2)
  • 2015年11月 (3)
  • 2015年10月 (8)
  • 2015年9月 (3)
  • 2015年8月 (2)
  • 2015年7月 (3)
  • 2015年6月 (3)
  • 2015年5月 (3)
  • 2015年4月 (3)
  • 2015年3月 (12)
  • 2015年2月 (3)
  • 2015年1月 (6)
  • 2014年12月 (4)
  • 2014年11月 (9)
  • 2014年10月 (6)
  • 2014年9月 (4)
  • 2014年8月 (5)
  • 2014年7月 (9)
  • 2014年6月 (6)
  • 2014年5月 (4)
  • 2014年4月 (7)
  • 2014年3月 (16)
  • 2014年2月 (4)
  • 2014年1月 (7)
  • 2013年12月 (11)
  • 2013年11月 (11)
  • 2013年10月 (14)
  • 2013年9月 (9)
  • 2013年8月 (17)
  • 2013年7月 (25)
  • 2013年6月 (9)
  • 2013年5月 (7)
  • 2013年4月 (5)
  • 2013年3月 (7)
  • 2013年2月 (3)
  • 2013年1月 (4)
  • 2012年12月 (7)
  • 2012年11月 (5)
  • 2012年10月 (12)
  • 2012年9月 (8)
  • 2012年8月 (6)
  • 2012年7月 (10)
  • 2012年6月 (3)
  • 2012年4月 (6)
  • 2012年3月 (8)
  • 2012年2月 (8)
  • 2012年1月 (9)
  • 2011年12月 (10)
  • 2011年11月 (14)
  • 2011年10月 (23)
  • 2011年9月 (24)
  • 2011年8月 (13)
  • 2011年7月 (10)
  • 2011年6月 (11)
  • 2011年5月 (14)
  • 2011年3月 (1)
  • 2010年11月 (2)
  • 2010年10月 (9)
サイト管理者
  • 甲府市 兵道顕司
  • ken_hyoudou2000@yahoo.co.jp

Copyright © 2010 [兵道顕司]. All Rights Reserved.