神戸市におけるSDGsの取り組みについて

 令和元年第一回定例市会の本会議で、7月2日に一般質問を行いました。内容は次の通りです。
 SDGsの取り組みについてお伺いいたします。
 国連サミットにおいて,我々の世界を変革する持続可能な開発のための2030アジェンダが採択され,その中核として17のゴールと169のターゲットから成るSDGs──持続可能な開発目標が策定されて4年を迎えようとしています。
 2000年以降,貧困や飢餓などの改善を進めてきたミレニアム開発目標に続くもので,そこで積み残された課題に加え,気候変動や災害といった喫緊のテーマを幅広く網羅し,2030年に向けて包括的な解決を図ることが目指されています。
 この2030アジェンダの特徴として,次の5点が上げられています。
 1点目は,誰一人取り残さないという包摂性。2点目に,対象を先進国・開発途上国も同様に含む全ての国とする普遍性。3点目は,国・自治体・企業・コミュニティーまでもが取り組む多様性。4点目は,持続可能な開発の3側面である経済,社会及び環境を調和させる統合性。5点目に,進捗管理を徹底する行動性であります。
 これらの特徴に即して内容を概括すると,何より注目されるのは17のゴールの筆頭に掲げられた,あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせるとの目標が象徴するように,全ての課題を貫く前提として,誰も置き去りにしないという誓いが明記された点です。
 そして,これまで,国連の行動計画といえば,ややもすると開発途上国への支援というイメージが先行しがちでしたが,SDGsは先進国を含む全世界のあらゆる関係者を対象に,持続可能な世界を構築するため,おのおのの力を結集することを呼びかけています。
 特に,国を超える地域レベルでの取り組みや地方自治体を含む準国家主体の貢献に大きな期待が寄せられています。また,17のゴールには,全ての人に健康と福祉を,働きがいも経済成長も,気候変動に具体的対策をなどの項目があります。教育,健康,ジェンダー,まちづくりといった社会面から,経済成長,雇用,不平等の是正などの経済面,水や資源,災害対応などの環境面にまでわたる幅広い目標です。これらは,統合され不可分のものであり,持続可能な開発の3側面,すなわち経済,社会及び環境の3側面を調和させるものであるとしています。
 国連サミットにおけるこの採択を受けて,我が国も,日本自身がその一員として国際社会とともにアジェンダ実施に最大限努力するとの声明を発表しました。以来,SDGsを国家戦略の1つとして位置づけ,アクションプランを策定するなど,その取り組みが評価されてきました。また,産業界では,経団連が技術革新を通じたSDGsの達成を柱として,企業行動憲章を改定し,持続可能な社会の実現を牽引する役割を担うことを明示しました。その結果,大手企業を中心に急速な浸透が見受けられるようになりました。自治体においても,SDGsの内容は,日常的に取り組んでいる施策と親和性が高いこと,その取り組みが地域の雇用の創出や都市のイメージ向上などにつながることから,前向きに進めようという機運が高まっています。
 その他,自治体がSDGsに参画するメリットとして,今や世界の共通言語となりつつあるSDGsへの参画によって,国際的に広く蓄積されるノウハウへのアクセスが容易になります。また,SDGsに取り組む内外のステークホルダーとの連携によって,国際的パートナーシップのさらなる推進が期待できます。
 もともと神戸市は,目標年次を2025年とする新・神戸市基本構想において,世界と触れ合う市民創造都市との基本理念を掲げています。目指すべき都市像は,ともに築く人間尊重のまち,福祉の心が通う生活充実のまち,魅力が息づく快適環境のまち,国際性にあふれる文化交流のまち,次代を支える経済躍動のまちであります。このように,人を中心にグローバルな観点で,経済・社会・環境に配慮した都市を目指す神戸市のこの取り組みは,誰も置き去りにしない社会の実現を宣言するSDGsの理念と軌を一にするものであり,本市こそがSDGsへの参画に値する十分な資格を備えていると確信いたします。
 したがって,持続可能な神戸のまちづくりのため,SDGsの取り組みに積極的に参加すべきであると考えますがいかがでしょうか。
 その上で,SDGsにも関連する具体の施策について数点お伺いいたします。
 まず,食品ロスの削減についてお伺いいたします。
 SDGsの17のゴールのうち12番目に,つくる責任使う責任との題目で,持続可能な生産消費形態を確保するという目標があります。そのターゲットとして,2030年までに小売,消費レベルにおける世界全体の1人当たりの食料の廃棄を半減させるとしています。食品ロスの削減は国際的な課題であり,5月のG20農相会合でも食品ロスの削減について各国が足並みをそろえて取り組むことが確認されました。
 日本では,年間643万トンの食品ロスが発生しており,この量は日本人1人当たりにすると毎日茶わん約1杯分の御飯を捨てていることに相当します。近年,コンビニが期間限定で販売する恵方巻きやクリスマスケーキなどが大量に売れ残り,廃棄されることが問題となっています。そのような中,5月24日に食品ロス削減推進法が参院本会議で可決・成立しました。同法の前文には,食品ロスの削減は国際的にも重要で,大量の食品を輸入し食料の多くを輸入に依存している我が国として,真摯に取り組むべき課題と記しています。その内容として,食品ロスの削減を,まだ食べることができる食品が廃棄されないようにするための社会的な取り組みと定義し,国や自治体,消費者や事業者が一体となって取り組む国民運動と位置づけました。
 具体的には,国や自治体は基本的施策として,消費者に必要に応じた食品量の購入や,食品を無駄にしないための自律的な取り組みを促したり,事業者には国や自治体の施策に協力を求めるほか,貧困世帯に食料を提供するフードバンク活動を支援します。また,10月を食品ロス削減月間に定めました。
 一方,神戸市では,これまで家庭ごみに関する踏み込んだ実態調査を行い,食品ロス削減に向けたアクションメニューをもとに,フードドライブの推進を図るなどさまざまな施策を進めてこられました。そして,時を経るに従い,食品を捨てないはもとより,使い切るあるいは生かす方向へと展開してこられたことを評価するものであります。
 今後は,小売レベル,すなわちコンビニなどの事業者の協力を得つつ,全市的な運動として食品ロス削減の取り組みを加速していくべきであると考えますがいかがでしょうか。
 次に,ジェンダー平等についてお伺いいたします。
 ジェンダー平等とは,言うまでもなく男女の差別なく平等な権利・責任・機会を保障することです。SDGsの5番目のゴールにジェンダー平等を実現しようとあります。そして,そのターゲットの一つが,政治・経済・公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において,完全かつ効果的な女性の参加及び平等なリーダーシップの機会を確保するであります。
 この目標の達成に向けた進捗状況を計測するための指標,インディケーターとして2つの項目が設けられています。
 1点目は,国会及び地方議会において女性が占める議席の割合。2点目が,管理職に占める女性の割合です。我が国においては,国会議員に占める女性の割合が13.7%,地方議会における女性議員の割合は13.1%,我が神戸市会では21.7%,他方,管理職に占める女性の割合は課長職の場合,民間企業で11.2%,市役所で政令市平均が15.8%,神戸市は14.7%となっています。
 このような状況を世界はどう見ているのか,世界経済フォーラムがまとめた2018年の男女平等ランキングでは,女性の管理職登用の低評価が響き,日本は149カ国中110位でした。とても先進国と言える状況ではありません。神戸市では,女性活躍応援ポータルサイトの開設など,男女共同参画社会の実現に向けて種々取り組まれています。しかし,同時に足元の神戸市役所内の幹部登用に意を用いることが望まれます。
 そこで,本市としてこれまで以上に女性管理職を登用すべきであると考えますがいかがでしょうか。
 次に,空き家・空き地対策についてお伺いいたします。
 SDGsの11番目のゴールに,住み続けられるまちづくりをという題目で,包摂的で安全かつ強靱──レジリエントで持続可能な都市及び人間居住を実現するとあります。このゴール11は,都市SDGsと言われており,自治体行政と最も関連の強いゴールと捉えられています。
 SDGsにおいては,空き家・空き地に対して直接的な言及はなく,どちらかというと日本固有の課題かもしれません。しかし,持続可能なまちづくりにとって避けることのできない重要な課題であると思います。それは,昨年日経リサーチが行ったSDGsの先進度調査における指標の1つに,市街地荒廃の観点から空き家率が採用されてることからもうかがえます。本年4月には,総務省による平成30年住宅土地統計調査が5年ぶりに発表されました。当該調査では,空き家は846万戸で過去最高を更新しました。そのうち賃貸用でも売却用でもなく放置されているその他空き家が347万戸と空き家全体の41.1%を占めています。5年前と比較して9.1%増加しました。
 神戸市では,空き家とともに空き地も対象に対策を進めてきました。ワンストップの相談窓口を設け,老朽空き家の解体や空き家バンクによる活用など,さまざまな施策を講じておられます。今後は,点在する個々の空き家・空き地への対応とともに,まちづくりにどう生かしていくか,また,空き家の発生を予防するという観点から,地域という面的な対応が求められると思います。例えば,東京では,今年度より空き家が多い地域を指定して,プロデューサーやコーディネーターなどの代表者を通じて,地域全体を活用するエリアリノベーション──地域刷新の推進事業を設けました。
 そこで,神戸市としても持続可能なまちづくりや地域を意識した空き家・空き地対策を取り入れていく必要があると思いますがいかがでしょうか。
 最後に,パートナーシップの推進についてお伺いいたします。
 SDGsの最終,17番目のゴールが,パートナーシップで目標達成しようです。そして,持続可能な開発のための実施手段を強化し,グローバルパートナーシップを活性化するとあります。
 神戸市においては,これまで国や県,我々議会,市民,NPO,企業,大学,都市ネットワークなど,多様なステークホルダー──関係者との連携をもとに,持続可能で安全・安心なまちづくりに取り組んでこられました。最近では,公民連携や都市間の相互利益の関係構築も進んでまいりました。例えば国内では,昨年12月に楽天との包括連携協定を締結されました。これを受けて,AIを活用した市民サービス向上の取り組みや,大学等と連携した人材育成支援が行われるとのことです。
 一方,海外において,神戸市は国交回復後,日本で初めて中国の都市と友好都市として提携しました。その友好都市である天津市との間で,環境分野での提携を進めたほか,水・インフラ整備に関する技術支援を通じて,ベトナム・キエンザン省などとの交流を深めてまいりました。このようないわゆる文化交流にとどまらない相互利益,ひいては国際貢献に資する取り組みを評価するところであります。これらは,まさにSDGsが目指すパートナーシップのあり方に沿うものであると思います。
 今後は,国内外においてさらに幅広い連携を推進していくことが望まれます。市長の御見解をお伺いいたします。

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