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福井市 西本恵一
nishimotokei@ybb.ne.jp
バックナンバー 2009年 3月 23日

100年に一度と言われている経済危機の中で、定額給付金が支給段階に入ってきた今、評価する声が巷にあふれてきました。しかし一方で、未だにバラマキ批判や、他の政策に使うべきではないかという声が漏れ聞こえてきます。

この定額給付金は、昨年の8月30日には定額(ていがく)減税という形を取っていました。定率(ていりつ)減税では高所得者に多くの恩恵がいってしまうため、一定の金額を課税世帯から減税するといった低所得者に有利な定額(ていがく)減税としたものです。

しかし、一番生活支援をしなければならない非課税世帯が全くその恩恵から抜け落ちてしまうのです。もちろん生活保護世帯や年金世帯等には臨時福祉特例給付金を支給することでセーフティネットが張られましたが、それでも年収3百数十万円以下の子供さんが2人いらっしゃるような家庭など、約2000万人へ支援の手が差し伸べられない状況でした。

幾人かの市民の方から「私の家庭は2人の小学生の子どもがいるが、年収が低く非課税世帯だが、定額減税だと支援対象からはずれてしまうのでしょうか」と首をうなだれて私に訴える方が少なくない現状に、私は9月13日、9月16日、10月26日と国会議員に「こういった手を差し伸べるべき方を支援するために、欧米で採用されている給付付税額控除を採用せよと」強く要望いたしました。

通常の手法による減税では所得税を納めていない課税最低限以下の所得しかない家計に対しては、もともと所得税を納めていないのですから減税になってもなんのメリットも生じないのですが、この「給付付き」税額控除は、一定の所得以下の家庭に給付金の形で政府からお金が支給されますので、所得税を納めていない極めて所得が低い層、たとえばワーキングプアと呼ばれる状況下にある人々やその他の理由で所得が低い方々に対してメリットを及ぼすことができます。世界の主流はこの方法をとっています。

しかし、早急に経済対策を行い、国民に税を還元する政策をいち早く行うためには、この給付付き税額控除では、会社員や自営業者の所得を把握するのに膨大な時間と経費、事務量がかかるために、緊急政策としては向かないことがわかりました。

いつの時点での所得を基準にするのかといった問題もあります。給与所得者は年末調整を行なう時の年末時点の収入、自営業者は確定申告を行なう年度末時点での収入ですが、所得の把握時期が分散することで支給時期が大きくずれ込むことになるのです。

次の課題は、この制度を導入している先進諸国の執行体制を見ると、すべて税務官庁が減税と給付を統一的に行っています。課税最低限以下の者は、税務署にこの制度の適用を申請し、審査を経て税務署から給付を受けます。

問題は、この制度を自営業者も含めて実施するためには、正確な所得捕捉を行う必要があるということです。クロヨンと呼ばれるように、給与所得と事業所得の間には所得の捕捉率に差があり、そのままでは不公平な問題が生じます。また、所得制限を家族単位で入れる場合には、家族の所得を合算する必要がありますが、これも手間がかかります。

したがって、非課税世帯にも恩恵が及び、すぐに実施できる政策として浮上してきたのが、定額給付金なのです。すぐに国民に恩恵が及ぶ簡単な方式にするために、課税世帯を減税するというやる方をやめ、非課税世帯と同様に給付する形にしたのです。

この定額給付金が浮上してきた時に、私は「非課税世帯にも恩恵が及ぶと歓迎しましたが、一方で、なぜ高額所得者まで恩恵をいきわたらせる必要があるのか、高所得者を制限せよ」と国会議員に訴えました。

しかし、これも先ほどの理由と同じく、所得制限の制度設計を複雑にすれば早期の給付金支給が難しくなり、大幅な時間と労力を要するために、早く支給するためには単純にした方がよいという結果になったのです。

私は、定額給付金というネーミングが嫌いです。なぜならば、おかみが上から見下ろして支給してやるというふうに感じとられるからです。定額還元金とか定額戻し金とかにするべきだと思っています。

さて、給付付き税額控除の導入について、今ほど申し上げたように9月の初期段階から私は何回となく国会議員に導入を促してきました。決して私の主張が影響を与えたわけではないでしょうが、その後、与党でも検討されるようになり、民主党や社民党でも導入すべきと言ってきました。

今申し上げたように、定額給付金は給付付き税額控除の減税部分を給付するという形を変えただけなのです。したがって、定額給付金をやめろということは、減税をやめろと言っているのと同義なのです。

また、10年1日の如く、「定額給付金は貯蓄に回すから経済効果はほとんどない」などとうそぶく方がいらっしゃいますが、3月10日付の産経新聞が報道した世論調査によると、定額給付金について7割以上の人が「消費に回す」と回答する一方、「貯蓄」は17・5%にとどまっています。

また10日のNHKニュースで放送された世論調査では、給付金の使途について「生活費に使う」が44%で最も多く、「旅行・行楽や娯楽などに使う」が19%、「前から欲しかったものを買う」が14%と続き、「貯蓄する」が13%でした。高額の所得を得ているマスコミのコメンテーターや評論家に、庶民の生活に困っている生活が実感できますか。全く市民の困窮した状況をおわかりになっていません。

また、経済効果は生まれないなどとおっしゃる方がいらっしゃいますが、定額給付金支給時期に合わせて、商工会や商店街、小売店が様々なアイデアを出して、この給付金を利用したセールを展開中です。また、商店街独自のプレミア付き商品券を発行し、完売する市町村が続出しています。

経済危機の中で、一番影響を受けているのが、建設業や不動産業とともに、小売、飲食、旅館業が厳しい状況になっています。この給付金がこういった業界に回れば、おおいに消費を喚起します。薄利多売かもしれませんが、全く売れないよりましです。と同時に物が売れれば、在庫を抱える中小企業や発注が激減した中小企業に潤いをもたらす効果があり、かつ雇用対策にも連動し、冷え込んだ消費活動、いわゆるデフレスパイラルを切る役割を果たします。

今、経済の大原則である、お金の循環が鈍っています。歯車が回らないのです。この定額給付金はこの歯車に潤滑油を注ぐものとして大変有効なものです。

さて、3月20日付の京都新聞に大要以下のような記事が掲載されました。
『京都市議会では、「経済危機への緊急対策と思えない」と民主党が昨年11月市会に定額給付金に対して反対する意見書を提出し、これに共産党が賛成し、1票差の小差で可決された。

当然、今回定額給付金支給の関連議案にも反対するとみられていたが、結局、民主も共産も賛成。本会議場で民主・都みらいが条例案に「衆議院で議決されており、公平性をかんがみ賛成する」と賛成討論すると、「どういうことだ」とヤジが飛んだ。

賛成したことについて、民主党は「制度には反対したが、国で実施が決まった以上、京都市民だけが不利益を被るようなことはできない」と釈明し、討論を行わず賛成した共産党も「法律が決まったのだから自治体は支給事務を行うべき」と強調した。

これに対し、公明党は本会議で「政党の政策は有権者への約束のはず」と厳しく追及。「反対した両会派は説明責任を全く果たしていない」と批判した。

自民党は「意見書で反対しておいて、法律が成立したからという理由で賛成に回るのはまったく筋が通らない」と憤った。』 とあります。

共産党は、地方議員用のテキストが出ていて、そこには賛成するときの原稿まで示されているようです。以下の内容です。

『定額給付金については、各種の世論調査で約8割の国民が、「給付金をやめて、雇用や社会保障などに使うべきだ」という意見を出しています。

最近でも毎日新聞2月23日付けの世論調査では、定額給付金を「評価しない」が73%で、「評価する」20%の4倍近くにもなっているなど政府与党の必死のキャンペーンの中でも国民の反応は相変わらず冷ややかです。

 私ども日本共産党は、国会で定額給付金に反対の立場で対応してきました。 国民の8割近くが反対を表明してきたように政権与党の総選挙対策と批判され、消費税増税とセットで政策化が検討された経緯もあり、2兆円は雇用や社会保障などに有効に使うべきであると主張してまいりました。現在もその立場に変わりありません。

同時に、国会で予算と関連財源法が成立すると、国民1人ひとりに定額給付金を受け取る権利が生じます。その権利を行使するかどうかは、国民の意思に委ねられるべきもので、地方自治体がその選択権を奪うべきものではありません。

わが党は、定額給付金には批判的な立場でありますが、給付金を受けとる住民の権利をうばわず、支給の事務の遂行も妨げない立場から本補正予算には賛成の態度をとることを表明します。」

99%批判し内容はまさしく反対です。最後にとって付けたように最後に賛成を表明しているさまはあきれ返るばかりです。本当に愚策であるならば、地方議会でも反対すべきではありませんか。

なお、将来消費税を増税が前提の定額給付金支給とあおっていますが、今回の定額給付金と消費税アップは全くリンクしたものではありません。将来の社会保障費のアップを見込んで麻生総理が述べたものです。ただし、私もこのような厳しい経済情勢の中で、将来の消費税アップに言及すること自体、正直おかしいのではないかと思っています。

消費税アップと定額給付金をはじめとする緊急経済対策を同じ時期に言ったために、このような意図的に悪意ある批判を受ける結果になっただけです。

3月9日付の読売新聞が報道した世論調査では、定額給付金を「評価する」との回答が前回調査の21%から37%へと増加し、前向きにとらえる意見が16%増えた。

さらにNHK調査でも、給付金について「大いに評価する」が10%、「ある程度評価する」が28%で、読売新聞調査と同様に「評価する」が約4割に上ってきています。おそらくこの数字はどんどん「評価する」に変わっていくでしょう。

定額給付金は減税政策の一環です。