先週、2冊の本を読みました。両方ともアメリカ経済学者の訳本です。一人はライシュ(クリントン政権労働長官、カリフォルニア大学バークレー校教授)、もう一人はガルブレイス(元ハーバード大学教授)でとても著名な大学者です。
この2つの本から学んだことで感じた私の意見を紹介します。
今回の経済危機の原因はサブ・プライムローンにあり、大きな引き金となったのはリーマン・ブラザーズ破綻です。しかし、根本的な要因は「人の心にある貪欲さ」にあるのではないかということです。
以下はバブル崩壊の歴史です。
1637年蘭、1716年仏、1720年英、1819年米、1837年米、1873 年米、1929年米・世界大恐慌、1969年米、1987年米、1990年日本・バブル崩壊、2008年米・サブプライムローン
これらに共通するのは、(金融)新商品を開発する者がいて、これらの商品は明らかに欠陥であるにも関わらず、そのことがわからずに多くの支持を受け、大投機ブームが起き国民がなだれ込み、やがてバブルが弾け破綻していることです。まさに、今回のサブプライムローン、日本の土地神話がそうです。1637年のオランダでのチューリップ投機は、異常を通り越して笑い話です。
新商品を開発し、ばらまいた個人や企業も悪いけれども、それを支持する政府や学者それに乗る国民、結局“金儲けしたい”という人の心に住む貪欲さが狂わせ加速させたと言えます。
そして悪いことに、グローバル化した現在、その影響が1国だけにとどまらずまん延することなのです。
※参考 「バブルの物語」 ジョン・K・ガルブレイス著
「個人も機関も富の増大による満足感の虜になってしまう。」
さらに、企業の在り方も、資本主義の進展とともに変わってきています。その原因は何でしょうか。
安価な商品を求める消費者、安定雇用を求める従業員、高い企業利益を求める投資家(消費者はイコール従業員、さらにニヤイコールで投資家 消費者=従業員≒投資家)がいます。
一方で、企業は、他社に勝つこと・消費者に満足してもらうために安価な商品を市場に出すこと・投資家を引き付けて株価を上昇させること、それらのために結局従業員の福利厚生や雇用を犠牲にしても、利益を出す必要が出てきます。
(従業員の福利厚生や雇用形態を安定させるということは、そこにお金をかけることを意味します。したがって、商品にそのお金を上乗せすると高くなります。商品が高くなれば、購買力が落ち、そのため利益は減り、投資家は離れ、株価は下落し、つまりライバル会社との競争力がなくなり、会社そのものが危うくなるという三段論法です。)
したがって消費者が求める要望に応えるためには、企業は徹底した合理主義になるしかなくなったのです。また、グローバル化が進んだ現在、ライバル会社は世界中の企業が相手になりました。
ただし、企業が利益を誘導するために、政治を利用し裁判を提起し、その企業の金目当てに銀蠅(ロビースト)が群がっている様は醜い一面を露わにしています。さらに、海外で超低賃金・過酷な労働環境の中で部品や製品を作らせ(100円ショップなどいい例です)、貧困を生みだし、環境破壊を促進し利益を得てる様は、まさに極端なエゴイズムが進行していることを示しています。
ほんの一握りの人だけが、莫大な金を得、圧倒的多数の民衆があえいでいます。アメリカでは、0.1%の富裕層が全国民の総所得のうち7%の所得を得ている(2004年、カリフォルニアバークレー校調査)といいます。
しかし、企業だけの課題ではありません。安い商品を求め儲けたい自分と、企業に安定を求める自分、私たちにはその2面性があります。
したがって、私たちは自己抑制が必要です。さらに資本主義には世界共通の一定の規制が必要だと感じています。
この2冊の本は、大きな視座と示唆を与えてくれます。
ただし、この手の本は素直に読んではいけません。筆者の論がすべてではないからです。真実もあるでしょうが、デフォルメされている部分があったり、引導する面があります。したがって批判精神を持ちながら読み進む必要があります。
それでも、ガルブレイスの著書は納得するものが少なくありません。