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福井市 西本恵一
nishimotokei@ybb.ne.jp
バックナンバー 2009年 1月 18日

写真1:水戸市ボランティアセンター
写真2:豊田市能楽堂
写真3:豊田市民センター地区市街地再開発ビル「参合館」

西口再開発ビル5階部分に、市の施設として市民福祉会館移設が提案されています。その機能であるボランティアセンターおよび能楽堂の利用について調査するため、水戸市ボランティアセンターと豊田市能楽堂を15日、16日にわたって視察してきました。

水戸市ボランティアセンター視察

 

茨木県都である水戸駅から2つ離れた赤塚駅北口に再開発ビル「ミオス」が平成12年にオープンしました。

福祉・住宅・商業・医療の4つのコンセプトの元で1階には商業施設、2階には市社会福祉協議会とボランティアセンターが入居しています。さらにデイサービスセンターや老人ホーム、医療施設があります。分譲住宅は募集と同時に1日で完売したそうです。

 

1階にある商業施設は、南口に大規模スーパーが出店したことにより空き店舗が多くなり、後期高齢者広域連合や金融機関が入居するなど床利用の用途が変わりましたが、シャッターの下ろされている店舗が多く、正直、閑散としているのには驚きました。

ボランティアセンターとしては、年間相談が2,674件。福井市が852件ですので約3倍の件数を扱っています。手話、点字などの障害者ボランティアをはじめ、将棋の相手や祭りなどの人手など様々な要望があるようです。コミュニティが薄れていく中、高齢者社会を迎え、ボランティア活動は大切なことです。しかし、多くの方が来館するというものではなく、特定のボランティアの方々が研修や打ち合わせに来る場所です。

また、ボランティアの男女比率は1:9と圧倒的に女性が多く、主婦層で占められています。定年退職後の高齢者は、元気であれば働くため、高齢者をボランティアの担い手として期待することはあまりできないようです。

このセンターでは、福井市より3倍の相談件数があり、ボランティア登録数やサークルも多く、研修室や録音室など充実した部屋がそろっており、ボランティア養成もしっかり行っており、市内全中学校との連携も進めています。

福井市がこれから頑張って水戸市のような利用度になったとしても、西口再開発の「賑わい」というコンセプトには程遠い施設であり機能です。果たして、福井駅西口の1等地である再開発ビルにボランティアセンターが入居することは適切なのでしょうか。少なくとも、市の説明にある高齢者が集う場所にはならないでしょう。

豊田市能楽堂

続いて、トヨタ本社のある豊田市駅前にある再開発ビル「参合館」に行ってまいりました。平成10年にオープン。地下1・2階は駐車場、1・2階は店舗・事業所、3階〜7階は図書館、8、9階が能楽堂、10階〜13階がコンサートホールとなっています。

豊田市はJR駅がなく2つの私鉄が主要な交通手段になっています。その主要な私鉄駅である豊田市駅からデッキを伝って1分で再開発ビルにつきます。

施設を利用した場合、駐車場利用は3時間無料になります。1・2階の商業施設は、美容室の他はほとんど事業所です。図書館内の移動はエスカレーターで、膨大な蔵書があり多くの市民が利用しています。さらに、最上階にはコンサートホールがあり正面にはパイプオルガンが設置されています。訪問した時には、市民の方が練習をしており心あたたまる音色に包まれてきました。

最上階から、トヨタ本社のあるビル群(4つ)を見せていただきましたが、2km×1.5kmにわたる広大な企業の敷地が広がっており、天下のトヨタの陣容にあらためて認識を新たにしました。昨年のリーマンショック以来低迷が続いており、市の税収も大幅減少が見込まれており、ここ数年間は厳しい状況を迎えそうです。


さて、能楽堂です。10年利用したとは思えないほど綺麗な施設であり、稼働率をあげるために様々な取り組みを行っています。

能・狂言だけではなく、邦楽、日本舞踊、演劇、民族芸能、落語、シンポジウムなど多様な利用のされ方をしています。ただし、講演などを行う場合には、舞台を養生して傷がつかないように工夫し、さらに文化芸能への理解を深めていただくために、必ず「なにがしかの芸能」をプログラムに入れてもらっています。

この能楽堂は、再開発ビルとともに出来たもので、以前はありませんでした。能楽堂(およびコンサートホール)が出来てから、市民の意識調査で課題のあった「文化芸術に触れることができない」という意見はほとんどなくなったそうです。


また、市内の中学1年生(4,000名)は、文化教育のために必ず参加するプログラムが盛り込まれています。この数字を入れて能楽堂だけの利用数は17,800人。利用率は23.4%です。


福井市より人口が多い豊田市(42万人)、名古屋から1時間、トヨタ本社があり、福井市より共働き率の低い豊田市。文化芸能に通じる方も少なくない環境です。

福井市の現状の能楽堂利用は、稼働率21.7%、利用者が11,500人。これから、能以外の演目ができるようになったとして、はたしてどれくらいの集客力があるでしょうか。豊田市の担当者に「特定の方だけの利用になりませんか」とお聞きしたところ、「どうしても特定の方がリピーターとして訪れることになります。」との返答でした。文化芸術振興には大きな寄与を与えることはできると思いますが、やはり「賑わい」というコンセプトには合いません。


考察
 

2つの施設を視察して、JR福井駅西口再開発ビルのコンセプトである「賑わい」には程遠い施設であることがわかりました。

 

ただし、福井市の施設は飽和状態にあります。何を入れるかを考えた場合「子ども」「観光」「福井市の物産(魚や野菜も含めた地場産)、「ホール」「美術館」「アミューズメント」などが考えられますが、県が入るとされる3階、4階に何が入るかも含めて総合的に考えなければなりません。県の施設に広域観光があれば、市の施設に入れる必要はありません。したがって、県・市一体となって考える必要があります。しかし、市が先行しない限り県が応じる姿勢はないようです。また、維持管理費用のかからないものが望ましいとされます。したがって、「子ども」や「美術館」「アミューズメント」は課題がでてきます。能楽堂でさえ、企画や維持管理で費用がかかるのです。

再開発ビルの採算性や市の責務を考えた場合、1フロアを市の施設が入らざるを得ない状況であることは理解しています。したがって、「賑わい」だけを論議にするのもどうかとも思います。賑わいはビル全体で考える必要があります。さらにアオッサとも一体となって考えなければなりません。

どうすべきか、私も今考えに考えている最中です。