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福井市 西本恵一
nishimotokei@ybb.ne.jp
バックナンバー 2008年 5月 25日

 民主党は、後期高齢者医療制度の導入を決めた平成18年の国会審議で、これまでの老人保健制度について

 「(国民保険や政府管掌保険の)健康保険組合などの保険者の我慢も限界」

 「高齢者への拠出金(高齢者が使う医療費)が(全体の)3割、4割いってしまう不満を払拭(ふっしょく)できていない」

 と、今年の3月までの健康保険制度を批判しています。

 また、平成12年には鳩山由紀夫代表(当時)が「高齢者を対象とする新しい医療保険制度を創設する」と発言しています。

 このように、前の制度は見直すべきだ、今のままではだめだと言っているのは、民主党自身です。
 

 医療費は平成18年に33兆円かかっています。これが、わずか17年後(2025年)には56兆円に膨らみます。

 また昨年75歳以上の高齢者にかかった医療費は12兆円でした。この金額は赤ちゃんから高齢者まですべての国民の全医療費の1/3になります。これが17年後には28兆円になると予想されており、75歳以上の高齢者だけで全医療費の1/2に達します。
 
 誰が、この医療費を負担するのでしょうか。すべて現役世代に負担させていいのでしょうか。現役世代も負担増で苦しんでいます。

 そこで、余裕のある高齢者にも、一緒に支えてくださいというのが長寿医療制度の負担の在り方なのです。

 現在、国民健康保険も政府管掌保険(中小企業サラリーマンが加入)も破綻(はたん)寸前です。医療機関で皆さんが支払う1割や3割以外の医療費である9割、7割部分は、これら健康保険組合が支払っているのです。

 もし、長寿医療制度を廃止せよというのであれば、元に戻すということなので、破綻寸前の健康保険制度は、今までより保険料をもっと上げなければなりません。それは、生活に余裕のない方が健康保険に入れなくなることを意味します。

 みんなが保険証を持って安心して医療機関にかかるための国民皆保険制度が瓦解してもいいのでしょうか。これこそ”うば捨て山”になってしまいます。

 廃止法案を出し、その対案を出さないのであれば、全く無責任としかいえません。

 ただし、この長寿医療制度は課題もあります。したがって、現在運用見直しを行っています。私も幾つも見直しすべき個所を指摘して、国に具申しています。

 公明党医療制度委員会(福島豊委員長=衆院議員)は23日、衆院第2議員会館で会合を開き、長寿医療制度(後期高齢者医療制度)に関し、党の地方議員から寄せられた同制度に対するさまざまな運用改善の意見について検討した。太田昭宏代表、北側一雄幹事長、斉藤鉄夫政務調査会長らが出席した。

  会合では、低所得者の保険料の軽減割合を現在の最大7割からさらに引き上げることや、軽減措置を講じる際の所得判定基準を世帯単位から個人単位に見直すことをはじめ、(1)年金から保険料を天引きする対象者の縮小(2)被用者保険から同制度に移り大幅に保険料が増える事例などへの対応(3)広域連合に対する都道府県の関与の強化などについて議論を進めることを決めた。

  席上、福島氏は、現場で同制度の説明に全力を挙げている地方議員の声を改善策に生かすべきとの考えを強調。同委員会は、来週中にも改善策をまとめ、政府に要請する方針だ。

 制度の主旨や骨格は維持しなければなりません。しかし、制度の説明不足や低所得者への負担減、負担のさせ方の不公平さなどの不備があります。

 超高齢化社会はどんどん進んでいます。2025年には、65歳以上の方は30%を突破します。

 医療費、年金、介護費を合わせると、17年後の2025年には、今よりさらに年間50兆円が新たに必要になります。その現実に政治は応えていかなければなりません。

 日本の人口構造(超高齢化、超少子化)に着目しなければなりません。支えられる人が多くなり、支える人が少なくなるのです。

◆「産経新聞」 【主張】高齢医療廃止法案 旧制度に戻すのは無責任

 ところが、法案には肝心の代替案が示されていない。来年度から旧制度の「老人保健制度」に戻すとしただけだ。そもそも、新制度が導入されたのは、旧制度への批判が強かったためだ。その旧制度に戻すというのでは、無責任と言わざるを得ない。

 老人保健制度の見直しは、平成12年の参院委員会で共産党を除く与野党が付帯決議で確認していることである。旧制度は医療費を支援する若年世代の負担額が分かりづらく、高齢者医療費の増大が続く中で「負担が青天井になる」との懸念が強かった。

 さらに高齢者の多い市町村では、国民健康保険(国保)が財政破綻(はたん)の危機にあった。保険料格差も、都道府県単位の新制度で2倍に縮まったが、国保は最大5倍あった。民主党は政権交代を目指す以上、旧制度の問題点について解決策を示す責務がある。

 保険料年金天引きを10月1日までに廃止するともしているが、廃止しても保険料負担がなくなるわけではない。窓口で支払う手間が省け、便利だと感じていた高齢者も多い。新制度で保険料が下がった人は、旧制度に戻れば元の高い額を支払うことにもなる。納得のいく説明が求められよう。

◆「読売新聞」 【社説】後期高齢者医療 混乱を増すだけの廃止法案

 後期高齢者医療制度はその呼称を含め、配慮を欠く面が目立つ。不備や欠陥など問題点が多いことも確かだ。しかし、新制度のすべてを否定して白紙に戻すというのは、混乱をさらに広げ、長引かせるだけだろう。

 野党4党が後期高齢者医療制度の廃止法案を参院に提出した。ところが、新制度を撤廃した後にどうするのか、対案がない。とりあえず、従来の老人保健制度を復活させるという。これでは、あまりにも無責任ではないか。(中略)

 老人保健制度の歪(ゆが)みが限界にあるのは与野党の共通認識だったはずだ。2000年の医療制度改革で参院が関連法案を可決した際、共産党を除く各党で「早急に新たな高齢者医療制度を創設せよ」との付帯決議を採択している。

 新制度で老人保健制度の問題点は改善しており、再び後退するのは望ましくない。利点は適切に評価してさらに磨き、欠点を迅速に改めていくべきだろう。

 野党の攻勢に、政府・与党は大あわてで制度の見直し作業に入った。ところが、負担増になる高齢者の救済策として、バラマキのように幅広い減免措置を検討している。

 これもまた拙劣だ。政治が右往左往する間にも高齢化は進む。必要なのは建設的な議論であり、目先の人気取りで拙劣な対応を競うことではない。

◆「朝日新聞」 【社説】高齢者医療「廃止」の怒りも分かるが

 しかし、制度を「元に戻せ」と言うだけでは、問題は解決しない。

 老人保健制度に戻れば、多くのお年寄りは市町村の運営する国民健康保険に再び入ることになる。今後、お年寄りが増えた時に、いまでも厳しい国保の財政が維持できるとは思えない。

 後期高齢者医療制度も老人保健制度も、お年寄りの医療費を会社員の健康保険組合や国保の保険料と税金で支えることに変わりはない。

 だが、老人保健制度では、お年寄りの保険料も現役世代の保険料もまぜこぜで、だれがどう負担しているのかが分かりづらかった。現役世代の負担が際限なく膨らみかねないという不満もあった。 こうしたあいまいな点をはっきりさせておこうというのが新制度だ。