3月21日の議会運営委員会で、私から提案した介護労働者に対する待遇改善を求める意見書が、昨日の最終議会で市会案として採択されました。早速、議会事務局から福田総理、厚生労働大臣、衆参議長、地元国会議員などに送付されました。
私の意見書提出の理由は以下の通りです。
今、介護の現場では賃金などの待遇の悪さから、人材が定着せず、離職に歯止めがかからない状態が続いており、介護サービスの屋台骨が崩れかねない状況となっています。
昨年9月から10月にかけて財団法人・介護労働安定センターが行った介護労働者2万9,124人分のアンケートをまとめたものによりますと、介護労働者の税込平均月収は、
ホームヘルパーで14万5千円、
施設職員などで16万8千円、
介護支援専門員いわゆるケアマネージャーで23万2千円
となっています。
特に、ホームヘルパーは10万円未満が最も多くなっています。施設職員などは半数以上が10万円台です。専門性を要する介護労働サービス対価と収入が見合っていない現状が浮き彫りになっています。
こういった介護労働者に対して、同アンケートで、労働条件・仕事の負担についての悩み、不安、不満等をたずねたところ、
「仕事内容のわりに賃金が低い」が40.3%、
「休憩がとりにくい」31.4%、
「健康面の不安がある」30.1%
の順で多くなっており、特に、入所型の施設系では、
「夜間や深夜時間帯に何か起きるのではないかと不安がある」が44.8%
で、他の介護保険サービスと比べて多いのが目立っています。
こういった現状により、主に低賃金などの待遇面を理由に人材が定着せず、介護現場では激しく人が入れ替わっています。全従事者数のうち、1年の間に離職する人の割合は2割に達しており、募集しても人員が確保できない事業所が増えています。
一方、同様に事業者にたずねた運営上の問題点においても、
「今の介護報酬では、十分な賃金を支払う事はできない」が45.9%、
「経営が苦しく労働条件や福祉環境の改善をしたくてもできない」が34.4%
と厳しい状況になっています。
独立行政法人福祉医療機構の調査で、平成18年度の介護保険制度改正により、事業所を運営する事業者に支払われる介護報酬が、介護給付費抑制策の一環として抑えられ、経営難に陥る事業者が続出しているとの報告があります。
また、来月から改正パートタイム労働法が改正され、正社員登用制度の義務規定が盛り込まれるようですが、先ほどのアンケートによれば、指定介護サービスを実施する事業所の非正社員率が50.2%であり、積極的な正社員登用の道を開くためには、事業者への安定的な経営が可能な環境の整備が求められます。
国は高齢者人口や要介護認定者数の伸びを踏まえ、少なくとも今後10年間に約40〜60万人の介護職員の増加が必要と見込んでいます。しかし、人材確保は足下から揺らいでおり、ここ2〜3年、専門職の国家資格である介護福祉士の養成校で、入学者が減っています。
厚生労働省によると、
平成18年度は全国の養成校の定員充足率は71.8%。
これに対して平成19年度は64.0%
に低下しており、既に一部の学校は閉校や定員減、募集停止に追い込まれています。本年度はさらに事態が悪化するのではないかと、養成校は危機感を募らせています。未来を担う若者の介護職離れは、待遇改善が急務であることを何よりも訴えかけています。
昨年8月、厚生労働省は将来にわたって福祉・介護ニーズに的確に対応できる人材を安定的に確保するための新たな指針(新人材確保指針)を告示しました。
この中では、「他の分野とも比較して適切な給与水準が確保されるなど、労働環境を整備する必要がある」と基本的な考え方を示し、経営者は「適切な給与水準を確保すること」に、国は給与の元となる「適切な水準の介護報酬等を設定すること」などに総力を挙げて取り組むことが重要と指摘しています。
ただし、事業者に支払われる介護報酬の引き上げは、介護保険料の設定のあり方や介護保険の被保険者の範囲の検討など、多くの課題と関連するだけに一体的な議論が欠かせません。議論を深め、一刻も早い待遇改善の具体策の立案と実行が望まれます。
世界に類を見ない超高齢者社会の進展により、介護を必要としている方がこれから多くなっていくにも係わらず、一方で介護に従事する労働者が、労働環境の悪化や不備で職を離れざるを得ない現状を打開するためにも、国に対して早急の見直しを要望します。