童話から思う
2019年も明けたと思ったら、あっという間に明日から2月。
ここで、改めてひと月前を回想し、こんな童話を。
大晦日の夜中に猪と犬が街角で出会った。
やあ犬さん、もう帰るの?
やあ猪さん。もう来たの?
二人は握手した。
猪が言う。
もうじき来年になるが、それまでまだ時間があるから、そこらでお別れに飯を食わないか?
そうだね。
犬は大きな荷物を持っていた。
それは何?
猪が訊くと、これは犬の年の子供がした良いことと悪いことを集めたものだと言う。
そんなものをどうするのか?
犬が答える。
十二年後に戌年がまた回ってきて、自分もくる。
その時には、戌年の子は二十五歳になっている。
良いことをした子には良いことをしてやり、悪いことをした子には罰を与えるのさ。
猪が言う。
今年はまだ子供だから誰でもいたずらをするよ。
だけど成人したら理屈もわかってしなくなる。
なのに罰を食わせるなんて酷だよ。
犬は考えた。もっともだ。
ではいたずらっ子が、二十五にもなって悪いことをやめなかったら罰し、またよい子が悪くなっていたらほうびをやらないことにするよ。
猪は賛成した。自分も来年はその心がけで、よい子悪い子の名を集めよう。
そして、猪年の子がどうなるのか見守ってやろう。
二人はそれが良いと握手した。
十二時の鐘が鳴りだした。二人は右と左に別れ、犬の年の子万歳! 猪の年の子万歳! と叫んだ。
1922年(大正11)11月、九州日報紙に掲載された、夢野久作の童話。
干支に合わせて執筆した96年前の作品 である。
今月は、野田市の小学4年生が父親から暴力をふるわれ、亡くなるという痛ましい事件があった。
自宅訪問を一度も行っていなかった、県柏児童相談所の対応が問題となっている。
子供たちが安心し、過ごせる猪年にしたいと決意する。

