不育症をあきらめない 牧野 恒久著
不妊症についてはほとんどの方が知っていると思いますが、逆に不育症は聞いたこともないという人がほとんどではないでしょうか。
妊娠はするものの何度も流産してしまう。学会でも何度流産したら不育症と診断するか定まっていないようですが、一般的に2度続けて流産したら不育症と診断して原因を調査するようになっているようです。
この不育症を永年研究し、広く社会に問題提起をすることで、国の不育症対策を前進させるために著されたのが、「不育症をあきらめない」という本です。
著者の牧野東海大学医学部教授が2007年8月に著されたものですが、当時は産婦人科医も不育症についての認知度が低く、私がこの本を読んだのも昨年のことです。
今回なぜ紹介しようと思ったかというと、厚生省の不育症研究班が不育症の実態調査を初めて実施し、その内容が明日から始まる日本産婦人科学会で報告されるとの報道に触れたからです。
報道によれば、「不育症」患者は妊娠経験者の4.2%で発生し、年間3万人が発症、140万人の患者がいると推計されるそうです。
牧野教授は厚労省の調査以前から自ら推計し、不育症患者が適切な治療を受ければ年間5万人~6万人の赤ちゃんが誕生すると同書において指摘。
今回の厚労省の発表数字と患者数の推計値に大きな開きはありませんから、不育症治療への公的支援を急ぐことが求められます。
少子化対策としても有効ですが、牧野教授は産婦人科医としての40数年の経験から、近年の晩婚晩産時代にあって、30代から40代の人生で最も充実すべき10年間を度重なる流産と格闘している女性を救いたいという思いから本書を世に問うています。
この本が出版されてから1年後に厚労省の研究班が発足されていることからすれば、牧野教授の先駆的提言が国を動かした一つの要因といってもいいかもしれません。
実は公明党も1昨年より国に不育症治療の保険適用、公的支援を国会の中で主張し続けています。
厚労相からは前向きな答弁が出ているのですが、現実にはまだ前進していません。今回の厚労相研究班の報告が支援の第1歩になるよう期待するものです。
昨年度岡山県の真庭市が国に先駆けて、独自の不育症助成制度を創設いたしました。
以来今日まで10の自治体が助成制度を創設しています。
国が動く前に自治体で独自に支援することは地方分権の流れからいって自然なことです。今後もあとにつづく自治体が出ることは間違いないでしょう。
