1・新年度予算より、地域包括ケアシステムの構築について
その先、その次へ GO NEXT「市民一人一人が、それぞれの目的や夢を持って主体的に人生を謳歌し、幸せを実感できる街」各務原市は、浅野市長のもと理想の街の実現に向けて、これまで市民のみなさんとの「対話」を継続しながら様々な事業を着実に実行し、10年先20年先の未来に向かう新しい芽や木が確実に育ち始め、次へのステージへとステップアップするため、これらの新しい芽や木を、さらに太く力強く伸ばすことを目指しています。平成30年度予算案「課題解決型予算」では市民の「くらし」を守る子育てや雇用、高齢者対策そして教育対策に力点が置かれた事業が数多く入っております 。これらの事業を通して市民のみなさんとともに、多くの英知を集め素晴らしいまちづくりをさらに進めていきたいと私も考えております。私は「誇り」「やさしさ」「活力」3つの基本理念と9つの基本目標のすべてを兼ね備えた総合政策が地域包括ケアシステムの構築と考えます。新年度、各務原市は地域包括ケアシステムの推進体制を一層強化するため、高齢福祉課に「地域包括ケア推進室」を新設し、「地域包括ケア推進係」を置くことになっています。
地域包括ケアシステムとは、可能な限り住み慣れた地域(通常は中学校区)で、誰もが医療、介護、介護予防、住まい、生活支援などのサービスを一体的に、切れ目なく受けられる体制です。高齢者であれば、病気になった場合に急性期病院で治療を受け、回復期リハビリテーション病院での集中リハビリなどを経て住まいに戻る。その後は地域の医療機関への通院や訪問診療・訪問看護、また、訪問介護や介護の通所サービスなどを利用するといった流れになります。
2025年団塊の世代が全て75歳以上になり、医療、介護などの需要の急増に向け、国・地方は、住み慣れた地域でサービスを切れ目なく受けられる「地域包括ケアシステム」の構築を進めています。今年は同システムにとって“正念場”の年で医療や介護の制度改革が重なり、市の役割も一層、重くなります。
18年度は、2年ごとの診療報酬改定と3年ごとの介護報酬・障害福祉サービス等報酬改定が重なる6年に1度の「トリプル改定」で、医療・介護・福祉の制度改革が一斉に行われ、併せて生活保護制度なども見直され、全ての社会的弱者へのサービスを一元化しようとする時期になります。
介護予防のうち、要支援者向けの通所・訪問介護サービスは17年度から、介護保険による全国一律の運営だったものが市の事業に移行されました。NPOやボランティアなどによる通所サービスや移動支援、見守り支援など多様なサービスの提供が可能になりました。住まいへの支援は、自宅のバリアフリー化のほか、医療・介護と連携して高齢者の生活を支える「サービス付き高齢者向け住宅」の整備などです。
介護保険制度においては、18年度から完全実施される四つの事業があります。「在宅医療・介護連携推進事業」のほか、「認知症総合支援事業」では、看護師や社会福祉士などでつくる認知症初期集中支援チームの関与による早期診断・早期対応などが実施されます。「生活支援体制整備事業」では、生活支援コーディネーターの配置などにより、生活支援の担い手やサービスを開発し、高齢者の社会参加や生活支援の充実を推進。「地域ケア会議」では、自治体職員、ケアマネジャー、医師など多職種が、地域包括支援センターなどで高齢者の個別課題を検討しながら、地域のネットワーク構築や課題の把握などを進めていくことになっています。
さて法律上、地域包括ケアシステムは高齢者が対象ですが、広い意味で言えば全ての人が対象になると考えます。高齢者以外にも障がい者や母子世帯、ひきこもりなど、地域で困っている人はたくさんいます。社会福祉系の人材は不足し公的なサービスで全てに対応するのは財政的に厳しいです。今こそ制度の縦割りをこえ、医療・介護・福祉の専門人材を育成し、地域住民がお互いに助け合う体制をつくらなければ医療、介護、福祉の制度は維持できなくなります。
各務原市の取り組みとしては、医療などとの連携を密にまちづくりの視点で知恵を出して、市が組織全体として地域包括ケアシステムの理念への理解を深めることが必要と考えます。それには市長と地元の医師会長が話し合い、自治体と医師会の距離を縮め、さらに医療をつかさどる部署も作らなければならないと思います。なぜならば医療に関する行政は本来、県の所管で、地域医療や在宅医療は市の問題や介護保険と密着しているからです。現在、高齢者が病気になった場合、市外あるいは県外の急性期病院で治療を受ける方が約5割近くお見えになることも考えなければなりません。そして、介護・福祉人材の雇用の安定や処遇改善、在宅医療・介護のネットワークづくりも求められるので、ハードへの投資よりソフトへの投資が重要になりますので、地域包括ケアシステム方針や情報の共有を進めるため、副市長を本部長とする地域包括ケアシステム推進本部を設置し、介護保険の枠外でも介護予防に相当する事業ができるのではないかといった知恵を皆で出して、部や課を超えたお金の使い方などを考えてはどうでしょうか。
地域包括ケアシステムは医療や福祉にとどまりません。住宅や経済、雇用、交通、子育て支援など、まちづくりの全てが含まれます。地域包括ケアシステムの構築は持続可能なまちづくりにつながるものであり、どう築くかが、各務原市にとっての一番の総合政策となると考えます。
そのうえで、一番は住民への啓発です。医療や介護は、保険料、税金、窓口負担を支払う住民がいるから成り立つし、医療や介護があるから住民はその地域で暮らせます。住民が地域の医療や介護を支えていこうと思えるように、地域がこうした支え合いで成り立っていることを自覚していけるようにする必要があります。 啓発は、大きな会場での講演会だと来てくれる人も固定されるので、コミュニテーセンター、公民館など小単位が望ましいです。そのうえで高齢者だけでなく、中高生なども交えた多世代で地域のことを話し合えればより効果的です。
また、啓発推進を口コミでしていただける女性のグループ・サークルを募集することも必要と考えます。なぜなら広報誌あるいはネットで配信をしても興味がなければ誰も見ないし高齢者でネットを見る方は少ないからです。聞いたことを地域の友人、知人に伝え、話し合いをしていただける女性のコミュニケーションパワーが必要となります。そこから、地域の課題解決や活性化に向けたヒントとなる話題が出てくる可能性もあります。
また、居住する高齢者の情報を地域で共有することも大事です。認知症の人を手助けする「認知症サポーター」を養成する活動の取り組みが世代を超えて浸透している地域は、認知症の高齢者が徘徊していても近所の中学生が気付き、連れて帰ってくることがあります。子どもでもそういうことができるのが、地域共生の理想的な社会であり、高齢者が尊厳を持って地域で暮らすことにもつながります。
地域包括ケアシステムへの理解をさらに深め、住民や関係者の声をよく聞きながら、市長には地域包括ケアシステムの構築をさらに進めていただき持続可能な街づくりの総合政策をリードしていただきたいと考えます。市長の考えを伺います。
問1 地域包括ケアシステムの構築の考えは。
問2 市民にむける、地域包括ケアシステムの啓発の考えは。
2・地方創生に向けた自治体SDGs(持続可能な開発目標)推進について
国は地方創生の実現のため、2014年に「まち・ひと・しごと創生法」を施行しました。この施策は、少子高齢化の課題に的確に対応し、地域の人口減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたっての成長力を確保することを目指しています。さらに、「国民一人一人が夢や希望を持ち、潤いのある豊かな生活を安心して営める地域社会を形成すること」 が目標として示されました。
聞きなれない言葉ですが、SDGsとは2015年9月にニューヨークの国連本部において、「国連持続可能な開発サミット」が開催され、150を超える加盟国首脳の参加の下、その成果文書として、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダが全会一致で採択されました。
この2030アジェンダは、持続可能な開発のための行動計画として、宣言及び目標等を掲げました。その中核文書が、17のゴール(目標)「1雇用、2飢餓、3保健、4教育、5ジェンダー、6水・衛生、7エネルギー、8経済と雇用、9インフラ・産業化・イノベーション、10不平等、11持続可能な都市、12持続可能な消費と生産、13気候変動、14海洋資源、15陸上資源、16平和、17実施手段」と169のターゲット等からなる「持続可能な開発目標(SDGs)」です。
わが国では、2016年5月に政府内に本部長・内閣総理大臣、全国務大臣が構成員となり持続可能な開発目標(SDGs)推進本部が設置されました。また、SDGsの達成に向けた我が国の取組を広範な関係者が協力して推進していくため、行政、NGO・NPO、有識者、民間セクター、国際機関、各種団体等の関係者が集まり、意見交換を行う「持続可能な開発目標(SDGs)推進円卓会議」が、 SDGs推進本部の下に設置されました。
地方創生とSDGsのかかわりについては、2017年6月9日に開かれた、SDGs推進本部会合(第3回)において、安倍総理大臣から、「これはまさに地方創生の実現にも資するものです。関係閣僚が連携して、SDGs達成に向けた地方の取組を促進する施策を検討、実施していくようお願いします」との発言がありました。
また、 同日「まち・ひと・しごと創生基本方針2017」が閣議決定され、「Ⅲ.各分野の施策の推進」の「4.時代に合った地域をつくり、安心な暮らしを守るとともに、地域と地域を連携する」において、「地方公共団体における持続可能な開発目標(SDGs)の推進」が盛り込まれました。この中で、今後「環境未来都市」構想の更なる発展に向けて、地方公共団体におけるSDGs達成に向けた取組を促進するための施策を検討し、 方向性を取りまとめることとされました。
内閣府ではかねてより「環境未来都市」構想推進を推進し、環境問題や高齢化問題を中心とした課題を取り上げて見える化し、地方創生の進化につなげ成果を挙げてきました。一方、SDGsが掲げる「持続可能な開発目標」はより広範な課題であるため、17のゴールや169のターゲットをわかりやすい政策目標として整理し直し、市民に対して見える化を進め、実施に移すことが必要です。
さて「自治体SDGs」とは、全国の自治体による地域のステークホルダー(企業・行政・NPO等の利害と行動に直接、間接的な利害関係を有するもの)と連携したSDGsの目標達成に向けた積極的な取組の総体を言います。
地方創生とSDGs推進の基本的な考え方としては、地方創生は少子高齢化に歯止めをかけ、地域の人口減少と地域経済の縮小を克服し、将来にわたって成長力を確保することを目指し、地方が将来にわたって成長力を確保し、人々が安心して暮らせるような、持続可能なまちづくりと地域活性化を進めることです。
SDGsにおいては、17のゴールと169のターゲットの進捗状況を図るための約230の指標(達成度を測定するための評価尺度)が提示されています。これらを活用することにより、行政、民間事業者、市民等の異なるステークホルダー間で地方創生に向けた共通言語を持つことが可能となり、政策目標の理解が進展し、自治体業務の合理的な連携の促進が可能となる。よって、地方創生の課題解決をいっそう促進することが可能となると考えます。
まち、ひと、しごとの創生に向けた持続可能なまちづくりの実現のため、住民生活の質(QOL)の向上のためには、短期的に見た生活サービス機能の向上や居住の利便性の向上だけでなく、中長期的な視点から持続可能性のあるまちづくりを進めることが大事です。
SDGsは、経済、社会、環境の3側面を不可分のものとして扱い統合的な取り組みを通じて持続可能な開発を目指すものとしてデザインされています。SDGsを活用することによって自治体が抱える多様な課題について、経済・社会・環境の3分野にわたって相互関連性を知ることができ、統合的取り組みがもたらす相乗効果のメリットを確認したうえで、各種課題に取り組むことができます。
自治体SDGsは、文字どおり「持続可能な開発」を目指すもので、自治体において持続可能な開発が推進されることは、産業、経済の活性化に大きく貢献されます。昨年の第一回ジャパンSDGsアワード特別賞に輝いた、吉本興業株式会社や株式会社伊藤園などはSDGsを自らの本業にとりこみ、ビジネスを通じて社会的課題の解決に貢献することに取り組んでおり、このような活動を通じた多様なステークホルダーとの連携により、域内での循環型経済の進展も予想され自律的好循環の社会・経済の構築に貢献されます。
先日の新聞発表で、各務原市はじめ岐阜地区8市町の医師会等で構成する環岐阜地区医療介護情報共有協議会(TGP)は6月をめどに、インターネット上のクラウドサービスを利用し、医療機関や介護サービス事業が患者の医療データを共有するネットワークシステムの運用を始め、地域の医療や介護サービスの連携を深めていきたいと発表がありました。多職種連携の持続可能な開発目標(SDGs)での地域包括ケアシステムの構築と考えます。
自治体SDGsの推進に当たっては、各自治体が自身の固有の条件を踏まえて、独創性のある政策目標を打ち出すことが求められます。そのための努力こそが、自治体のポテンシャルを高めることになります。
各務原市の特徴は、現存する日本最古の飛行場とともに発展した航空機産業、日本さくら名所100選に選ばれた百十郎桜を始め市内一円を大きな桜の輪でつなぐ桜回廊都市、桜祭り、各務原フィルムコミッション事業でのロケ地、市民エキストラ、各務原市地域発信型映画「きっといつの日か」には、ジャパンSDGsアワードで特別賞を受けた吉本興業の(岐阜県住みます芸人)も参加しています。河川環境楽園でのフードバトルや夏フェスタ、マーケット日和、かかみがはら航空宇宙科学博物館等多くの経済、社会、環境の3側面を不可分のものとして扱い統合的な取り組みができ、相乗効果をもたらすものがたくさんあります。先ずはこれらを活用し発展させていくことが自治体SDGsにつながっていくと考えます。
新年度予算案に対して命名されました「課題解決型予算」からも推し量れますが、10年先20年先の未来に向かう多くの課題があります。その課題に対し各務原市における持続可能な開発目標(SDGs)の推進は、持続可能な開発を通して各務原市の一層の活性化を図り、地方創生のさらなる実現につながると考えます。
そして、何よりもSDGsの「誰一人取り残さない」との理念については、「公明党が長年掲げてきた『生命・生活・生存』を最大に尊重する『人間主義』の理念と合致するものです。社会の隅々にまで浸透するよう強力に推進していくことが大切であると考えます。 以上の点を踏まえ伺います。
問 地方創生に向けた自治体SDGs(持続可能な開発目標)推進の考えは。