一般質問と答弁の要旨(平成23年6月10日)
1.災害対策
(1)指定避難所の現状について
① 小中学校については耐震化を進めているが、その他の施設の耐震化についてはどのように考えているのか。また、洪水時や施設の民営化等で避難所の許容に影響はないのか。
≪答弁≫
指定避難所の耐震化の現状については、小中学校施設を除く避難所の耐震化率は48%となっている。市の公共施設全体の整備計画の中で、計画的に耐震化を進めて参りたい。また、洪水時における避難所の使用の可否を、洪水ハザードマップで示しているように、必ずしも全ての施設が使用できるとは限らないため、その状況により使用できる避難所への避難誘導を迅速に実施することとしている。施設の民営化による影響については、現状のまま継続して使用できることになっているため、その影響はないものと捉えている。
② 災害時の非常食や資器材の備えや、発電システム、マンホールトイレ、井戸といった設備をできる限り整備していくべきだと考えるが見解を伺う。
≪答弁≫
主食に関しては、県が示す阿賀野市の基準備蓄量約11,000食を超える16,000食を備蓄している。一般的な防災資器材に関しては、予算の範囲内で整備に努めているが、発電システム、マンホールトイレ、井戸といった施設の整備については、その整備費用や設置場所及び維持管理等の観点から、現状では難しいものと判断している。
③ バリアフリー化の進捗を伺う。
≪答弁≫
学校施設は大規模な避難所となることから施設のバリアフリー化を進めてきた。現在、車椅子用トイレは15校のうち5校で整備済みとなっているが、まだ十分とは言いがたい状況であるため、教育委員会部局と協議を行い、障がいのある方々の避難生活に配慮した施設整備に努めて参りたい。
④ 「災害時にどこへ避難すればよいのか」という声を聞く。これまでに、防災のしおり、地震・洪水ハザードマップを全戸配付しているが、どこまで浸透しているのか不安である。継続した啓発活動が必要と思われるが見解を伺う。
≪答弁≫
災害時、市民が速やかに避難できるよう、改めて当市の避難所情報の周知について取り組んでいく。
(2)地域の防災力
① 自治会を基本とした自主防災組織育成事業の取り組みについて現状を伺う。
≪答弁≫
現在は組織数162団体、世帯数が8,988世帯、組織率で67.4%となっている。5年前と比して約6倍となっているが、すべてが積極的に活動しているのかというと決してそうではなく、組織は結成したものの実際の活動はこれからという団体もあり、地域の実情に合わせた活動とないいているのが現状である。温度差があるとしても、地域の防災力向上のため、今後も引き続き自主防災組織の育成事業に取り組んで参りたい。
② 東京・荒川区では民間施設で災害時に地域住民を救助する設備を備えた建築物を、災害時地域貢献優良建築物に認定する事業を始めている。また、バール、ハンマー、スコップ、炊き出し用の調理器具などの購入に対する助成制度を設けている。当市でも、例えば自治会単位で災害時の発電システム、井戸の整備から応急活動資器材の購入に助成制度を設ける等、地域の防災力を高めるための施策を検討してはどうか。
≪答弁≫
自主防災組織育成事業の一環として、防災資器材の購入や活動費を助成する補助制度を設けている。一般的な防災資器材の整備が自主防災組織の結成のきっかけになり得るものと捉えており、現時点では現行制度を活用した自主防災組織の活性化を推進して参りたい。
(3)災害時の協力体制
① 平成19年第6回定例会にて、胎内市の取り組みを紹介し、災害時の協力体制の確立について質問した。市として非常に有効ととらえ、対策を講じていく旨の答弁であったが、現状を伺う。
≪答弁≫
民間企業との物資の支援協定の締結に積極的に取り組んできた。現在では、地方公共団体及びホームセンターや飲料水メーカーなどの民間企業を合わせ、21の団体と支援協定を結んでいる。今後も引き続き、民間企業との支援協定の締結を推進して参りたい。
② 「災害時における相互応援に関する協定」を真岡市と結んでいるが、災害が広範囲になると考えた場合、さらに広域的に考える必要があるのではないか。本州の地方(東北、関東、北陸、近畿、東海、中国)のなかで1自治体ずつ協定を結び、災害時にはハード、ソフト面で支援体制が組めると有効だと思うが、見解を伺う。
≪答弁≫
災害の広域化を想定すると、近隣の自治体よりも災害被害が及ばない遠方の自治体との協定も必要と認識している。今後は、他の遠方自治体との相互応援協定の締結について、取り組みを進めて参りたい。
(4)被災者支援システムの導入
阪神・淡路大震災で、大きな被害を受けた西宮市で、震災発生直後から情報システム担当職員は、被災者支援システム(被災者台帳・被災者証明書の発行・義捐金の交付・避難所の管理・仮設住宅の管理等)を次々と短期間に開発し、救災、復旧・復興業務において大きな力を発揮した。
この被災者支援システムは汎用Webシステムとして発展し、被災地ならではの経験・教訓を活かしたシステムとして、総務省から全国の地方自治体に提供されている。当市での導入について見解を伺う。
≪答弁≫
サーバの導入やシステムの構築・管理業務などを業者に委託する必要があることや、既存の市のPCネットワークとの共存についても調整が必要となることから、現時点では、導入を見合わせている。参考までに、サーバの導入には、概算で100万単位の費用が要することになり、また、新潟県内の市町村では、本システムを導入している自治体はない。
(5)防災体制の見直し
① 危機管理責任者がいない、行政が機能しない場合のことも想定しなければならない。どのように対応していくのか。
≪答弁≫
現時点では、危機管理責任者が不在の際の具体的な対応については、検討していないところだが、少なくともその代わりの者、代わりの者という順で、危機管理を行なう者の指揮の下で最低限の行政機能だけは維持して参らなければならない。当市においても事態に備えて、改めて危機管理体制を検証して参りたい。
② 行革のために職員を減らす方向で進んでいるが、災害時の体制に影響がでないように役割等が考えられているのか。
≪答弁≫
人事異動に伴い、毎年見直しを行なっており、地震や風水害等の災害時における全職員の担当業務を確認している。定員適正化計画に基づき、職員数は減員となってはいますが、全職員の協力体制のもと、災害業務に当たっていく。
③ 防災会議に住民参加は必要ではないか。また、調査活動は行なわれているか。
≪答弁≫
防災会議の組織に住民参加の規定がないため、当市においては市民の参加がないところだが、防災事業においても市民との協働によるまちづくりを進める観点から、今後は防災会議への住民参加について取り組みを進めて参りたい。また、調査活動については、河川や山地の現地状況について巡視を行い、定期的な調査を実施している。
④ ハザードマップでの被害想定に基づく具体的な訓練や、各地域での避難訓練・啓発活動を実施していくべきであると考えるが見解を伺う。
≪答弁≫
市内3河川の洪水ハザードマップと地震ハザードマップを作成し、その中で各地域の被害想定を示していることにより、避難経路の確認や実際の避難行動など、地域の実情に合わせた訓練が可能となるため、今年度は、これまで実施してきた市の総合防災訓練に替えて、市民が主体となる自治会ごとの現実的な避難訓練等を積極的に推進して参りたい。
(6)救急医療情報キットの配付
生存率を高めるために、既往症や服用薬などの情報を医療現場に正確に早く伝える事がポイントになることから、必要な情報をケースに入れ、冷蔵庫の目立つところに保管する「命のバトン」といわれている医療情報キットの普及が望まれている。キット配付事業は、災害時にも有効である。事業の取り組みについて見解を伺う。
≪答弁≫
高齢者や障がい者をお持ちの世帯の安心な暮らしを確保する対策の一つとして、有効な施策であることから、今後高齢者や障がい者の担当課において、導入について協議を行なって参りたい。