只今より、板橋区議会公明党を代表し、令和3年度の「東京都板橋区一般会計予算」、「国民健康保険事業特別会計予算」、「介護保険事業特別会計予算」、「後期高齢者医療事業特別会計予算」、「東武東上線連続立体化事業特別会計予算」の、原案を可決することに賛成の立場から、また、共産党提出の一般会計予算に対する修正動議には、反対の立場から討論を行います。
2021年の世界経済の行方は依然として新型コロナウイルスの感染拡大の影響により不透明感が強いなか、OECDは3月9日、2021年の世界経済の成長率が5.6%になるとの見通しを示し、昨年12月予想の4.2%から上方修正をしました。
世界経済が本格的に回復するカギを握るワクチン接種は世界各国で始まり、我が国においても2月17日よりワクチン接種が開始され、先行きには明るい兆しも見えてきております。
板橋区の財政は、新型コロナウイルス感染症の影響による経済情勢の悪化に伴い、歳入の主要な財源である特別区民税の減収が想定されるほか、特別区交付金についても、原資となる法人住民税の減収が想定され、国による不合理な税制改正などの影響を含め、大幅な減収が続くことが見込まれています。
また、歳出においては、「(仮称)板橋区子ども家庭総合支援センター」の整備や老朽化した小・中学校などの公共施設の更新対応をはじめとして、多額の経費負担を伴う事業が継続している中、今後は、景気の低迷などにより、生活困窮者、高齢者及び児童などを支援するための扶助費などの増加が見込まれ厳しい財政状況となりました。
しかし、緊急財政対策に取り組み、このような区財政の非常事態においても、新型コロナウイルス感染症拡大など激変する社会経済情勢にしっかりと対応しながら、区民生活に与える影響を最小限にとどめる観点を基本とし、持続可能な区政経営を実現していくために、全庁を挙げて令和3年度の各予算編成に向けた取り組みをされたことに敬意を表します。
それでは、令和3年度予算の主要事業について、板橋区基本計画2025の3つの基本目標並びに計画を推進する区政経営にそって意見と要望を申し上げます。
まずは「未来をはぐくむあたたかいまち」についてであります。
第一に (仮称)板橋区子ども家庭総合支援センターの令和4年度開設に先行し、子ども家庭支援センターの「子どもなんでも相談」「児童虐待相談」を24時間365日受け付ける体制整備について申し上げます。より多くの相談を受けることで、子どもたちやご家庭の課題解決を支援し、児童虐待の未然防止、早期発見、重篤化の防止につなげる予算を措置したことに高く評価を致します。
相談者に寄り添い、課題解決に向けて関係機関との連携強化を図りながら、マニュアルの整備等を進め、迅速な対応をお願いいたします。また、いたばし版ネウボラを拡充する産後ドゥ—ラの導入とコロナ禍で孤立している妊産婦を支援するオンライン相談の導入を強く要望します。
第二にGIGAスクール構想の推進について申し上げます。学校現場では1人1台の端末を配備するGIGAスクールがスタートします。
本区においても区立小・中学校に、ネットワークの整備、子どもたちへのパソコン端末及び学習ソフトウェアの導入や、家庭のインターネット環境の整備に向け、就学援助として費用の一部支援等を行い、ICT機器を活用した教育環境を整備することを高く評価いたします。導入当初は教師たちが混乱することも予測できます。ICTを良く分かっている人がサポートできるICT支援員の配備を着実に進めていただくとともに、今後、緊急事態宣言時などで学校が休校になった際のオンライン授業の実施や子どもたち一人ひとりの状況に則した効果的な学びを支援し、創造性を育む教育を要望いたします。
第三に貧困対策と子どもの貧困対策実態調査について申し上げます。平成29年度に実施した子どもの貧困対策実態調査後の変化を検証し、児童扶養手当受給世帯及び関係団体に対する調査を実施することは重要だと評価いたします。ユニセフがまとめた、分析結果によると、少なくとも今後5年間は子どもの貧困が日本でも増加し、コロナ禍前よりも厳しい状況が続くと予測しております。コロナの影響を十分に加味した調査をしていただき次世代育成推進行動計画の策定に取り入れていただくことを要望いたします。特に会派の総括質問で要望した女性の貧困対策並びにフードバンクを活用した食糧支援の個別支給を行うフードパントリーの構築と導入を求めておきます。
第四に不妊治療費助成について申し上げます。不妊治療の拡充について、公明党では20年以上前から保険適用の実現を最終目標に取り組み、2004年に初めて、わが党出身の厚生労働相の下で助成制度が設けられました。
以来、助成措置の拡大を進め、保険適用もいよいよ2022年度から実施する見通しとなり、助成額もこれまでより増額し、所得制限は撤廃されました。助成回数も、子ども1人当たり6回までと拡充されたことを受けて、今後、板橋区においても区独自事業の、特定不妊治療費助成における助成対象年齢と回数の速やかな要綱改正をおこない、変更内容の周知をしていただきたいと思います。また、医療機関等の連携をより深め、不妊治療費助成のみならず、不育症助成費を含め制度利用促進の役割を主導していただくことを期待しております。また、多胎児の上乗せ妊婦健診の助成も求めておきます。
次に「いきいきかがやく元気なまち」についてであります。
第一に産業融資利子補給、信用保証料補助について申し上げます。
新規事業、経営安定化特別融資として、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて売上減少等経営に影響の出ている中小企業の資金調達の円滑化を図るため、産業融資利子補給を創設し、借入後に生じる利子を全額補助する事業並びに本事業を利用する中小企業者の負担軽減を目的に、信用保証料について全額免除する信用保証料補助の予算措置に対して高く評価を致します。
先行きの見えないコロナ禍において、区内事業者及び区内在住の区外事業者に対して、特別相談窓口、総合相談窓口や融資情報の周知と拡充を要望するとともに、柔軟な中小企業診断士の派遣など、幅広い業種に対して、切れ目のない支援をしていただくようお願い申し上げます。
第二に植村直己80周年記念事業について申し上げます。
生誕80周年を迎える記念となる本年、東板橋体育館と複合化するかたちで、植村冒険館をリニューアルオープンすることとなり、「映像シアター」など、質の高い展示室を整備し、植村直己のチャレンジスピリットにいつでも触れることができることは、区民にとって有益なことであります。多くの方にご利用いただき、世界初の五大陸登頂者となり、数々の偉業を成しとげた人物が板橋区民であった事を知り、学ぶことのできる価値ある施設となることを期待いたします。また、リニューアルにかかる経費を「ふるさと納税を活用したクラウドファンディング」により、目標総額 1,000万円の寄付を募るという手法により取り組んで参りました。最終年度となる今年度に目標を達成するとともに、今後の施設維持経費に向けて、クラウドファンディングによる、寄付の継続を提案させていただきます。
次に「安心・安全で快適な緑のまち」についてであります。
第一に防災減災対策について申し上げます。
東日本大震災から10年が経過し壊滅的な被害を受けた地域も、徐々に活気が戻ってきました。しかし先月、東日本大震災の余震と考えられる、福島県沖を震源とする地震が発生し、最大震度6強を観測しました。自然災害の多い我が国では地震や津波だけでなく、毎年のように台風や豪雨に襲われ、地球温暖化によって被害は大きくなっています。常に災害の危険と背中合わせの生活を送っているなかで、板橋区が新規事業として住民防災組織の強化を目的に非常用電源確保の支援や荒川浸水想定区域内のコミュニティー防災の推進を行うことに高く評価を致します。
近い将来の発生が想定される首都直下地震などの対応整備をしていただくと共に、水害に備えた宿泊施設自主避難補助や垂直避難体制の確立をはじめ、気象台OB・OGによる、「気象防災アドバイザー」の活用の検討や、実効性のある福祉避難所の整備、更には要配慮者利用施設の避難計画の早期策定も求めておきます。
第二に感染症等予防対策の推進について申し上げます。
区民の命と生活を守る新型コロナウイルス感染症対策として、医師会と連携し、転院先の調整や転院費用の負担などの支援を行い、転院を円滑に進め、病床確保を図る取り組みをはじめ、医療提供体制の強化に向けた予算を高く評価致します。また、4月下旬以降、高齢者施設から優先接種されるワクチンにおいて、板橋区では「かかりつけ医」で接種できる体制を優先しつつ、区立施設及び区内医療機関計205箇所、高齢者施設約130箇所で接種ができる体制を構築されたことに感謝申し上げます。この大事業を成功させるために、私どもも全力で協力して参ります。そして介護従事者に対する優先接種、板橋区民以外の例外的な接種や副反応が生じた場合の対応など、円滑に接種できるよう体制づくりを求めます。また、透析患者、障がいのある方など移動が困難な方に対しては、訪問巡回による接種を可能とするなどの柔軟な対応を要望いたします。
第三に低炭素社会を実現するまちづくりについて申し上げます。
板橋区では、省エネ機器の導入や省エネ行動を促進する「いたばし環境アクションポイント事業」を行い、ゼロカーボンシティーの実現を目指す取組として、SDGs戦略として位置付けられました。
公明党は“環境の党”として長年、温暖化対策をリードしてきました。本区において脱炭素社会実現に向けた取り組みを推進していくには、区民と事業所の意識の向上と協力が不可欠です。事業所が賛同して行動しやすくなるような、投資できるためのルール作りや政策を求めます。また「やるべき目標」を明確にして取り組まれ、「板橋区地球温暖化対策実行計画2025」の策定を総合的かつ計画的におこなっていただくことを要望いたします。
第四に板橋駅周辺西口地区・大山駅周辺・上板橋駅南口地区・高島平地域のまちづくり、並びに東武東上線ホームドアの早期設置について申し上げます。
板橋区では現在 4 地区で、駅を中心とした沿線まちづくり事業に取り組み、快適・便利で、個性と魅力あるまちづくりを地域、住民の方々とともに進めています。板橋・大山・上板橋は個性と魅力ある市街地の実現に向け、活性化と交通結節点等の都市基盤の整備をおこない、不燃化の促進や消防活動困難区域の解消をめざし、高島平地域は、グランドデザインに基づき、都市再生を推進していくという、いずれも板橋区の未来へつながるまちづくりとして、重要な事業だと評価しております。コロナ禍の緊急財政対策の中ではありますが、若い世代の定住化や交流人口の増加など、にぎわいの創出や災害に強いまちづくりに向け円滑に進めていただくことを要望いたします。
また、東武東上線ホームドアの早期設置についてですが、区の実施計画において鉄道事業者との協議を定めたことについては高く評価をしています。
より一層の実効性と早期実現を求めて、調査費の予算措置と条例改正を視野に入れた基金活用の検討も求めておきます。
次に計画を推進する区政経営についてであります。
「実現プラン2025重点戦略Ⅱ」にも掲げられた「板橋区スマートスクールプロジェクト」や「区民サービスの向上と業務の効率化」を実現するためのDX戦略を、高く評価致します。公明党はこれまで、デジタル化を推進する上で、「誰一人取り残さない社会の実現」を訴えてきました。誰もがデジタル化の恩恵を最大限に受けられる環境の整備が最重要であります。業務の効率化、働き方改革、区民サービスの向上につなげるとともに、高齢者などデジタル機器に不慣れな人への配慮をし、スマートフォンの使い方やオンラインの行政手続きなどを教える「デジタル活用支援員」の導入などを行い、情報格差を生まない取り組みを求めます。
以上、令和3年度予算について、評価と意見・要望を述べさせていただきました。
私ども公明党は、国、都、区の縦割り行政に現場の声を届け、区民、行政、議会が一丸となってスクラムを組んで、この難局を乗り越えるために全力で取り組んで参いる決意です。
次に、共産党提案の一般会計予算に対する修正動議についてですが委員会の質疑では様々な課題が明らかになりました。例えば、小規模事業者等緊急家賃助成事業における固定費の家賃、地代、リース代の件数については「数字として全くわからない状況です。」との答弁に、整合性はありませんでした。
また、板橋区新生児臨時特別給付金支給事業では、要綱を確認したところ、給付金を延長できる状況に適合しないことが明らかになりました。更には生活保護受給世帯夏季加算金については「電気代が負担増になっているという何らかのエビデンスはあるのか?」との質問に対し、確たるエビデンスがないことが判明しました。以上、これら委員会での質疑を通して、コロナ禍で大幅な税収不足、財源不足が見込まれる中、大事な区民の税金を支出するには総合的に整合性がなく、予算措置の根拠に乏しいと言わざるを得ません。よって、共産党提出の修正動議は反対します。
最後に長きにわたり区政発展に貢献され、ご尽力いただきました藤田浩二郎教育委員会事務局次長、湯本隆地域教育力担当部長を含め133名の退職される職員の皆様に心から感謝を申し上げます。
以上で、板橋区議会公明党を代表しての討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。



