2011年第2回定例会一般質問
■質問
4月の区議選で初当選させていただきました公明党の井下田栄一でございます。
本日が初めての質問となります。先輩、同僚議員の皆様、今後とも御指導、御鞭撻のほど何とぞよろしくお願い申し上げます。
私は、ことし4月に区内の幼稚園に入園した4歳の娘と昨年4月に生まれた双子の男の子の3人の子育てに奮闘中です。
〔「頑張れ」と呼ぶ者あり〕
私と同じく子育てに奮闘中のパパ友達やママ友達が多くでき、楽しく交流をしております。そうした中、特に私あてに御意見、御要望が多かった在宅で子どもを育てている皆様からの角度から質問をさせていただきます。
まず初めに、情報の公平性、重要性という点からお伺いいたします。
5月24日付の読売新聞4面に、「東日本大震災・陸自日誌(5)」というコラムの中で、次のようにありました。3月27日、日曜日「ここ数日、ようやくガソリンが入ってきて、スタンドの前に長蛇の列ができています。国が無償で提供するガソリンは、すべての人には支給できないので、不公平感が出てきます。情報を持っている人は支給を受けられ、自宅にいる人は何時間も待ってお金を払ってガソリンを入手することが多くなるようです。」と掲載されていました。これは極端な例かもしれませんが、しかし、こうしたことはままあり得ることでもあります。
例えば、区内の保育園に通っていらっしゃる方々は、保育園からお知らせ等があり、情報を得やすいと思います。その情報は、区としても「広報しんじゅく」やホームページ等で周知徹底されているとは思いますが、同じ税金を払っているにもかかわらず保育園に通っている、いないで情報を得られる、得られないではさまざまな格差ができるのではとの懸念もございます。
そこで第1の質問として、毎日の子育てに忙しいお父さん、お母さんが、パソコンではなく、携帯電話で手軽に区の子育て情報にアクセスできるような仕組みづくりが必要であると考えます。子育てをしている皆様に対して、いつでも、どこでも、手軽に子育て情報が得られるような工夫はできないでしょうか。
次に、3月11日の大震災後、福島第一原発による放射線の影響で、3月23日東京都葛飾区の金町浄水場の水道水から1キロ当たり210ベクレルの放射性ヨウ素が検出したという報道がありました。乳児の飲み水としては国の基準の2倍を超えるため、金町浄水場から給水している東京23区と多摩地域の5市を対象に、乳児に水道水を与えるのを控えるよう呼びかけるニュースが報道されました。私も乳児2人を抱える父親としてすぐに水を買いにいきましたが、コンビニやスーパー、薬局ではほとんど売り切れているという状態でした。
その後、東京都から対象地区に緊急対応として放射性物質検出前に詰めた水道水550ミリリットル入りのペットボトルを乳児1人につき3本、翌日の24日、新宿区では3本プラスの1人当たり6本が各区役所、出張所などで配布されました。この件も新宿区としてホームページ等で掲載されていましたが、緊急性がある情報についてはなかなか周知徹底されるのが難しい状況であると思います。
そこで第2の質問として、区の防犯対策に登録制で不審者情報を発信するしんじゅく安全・安心情報ネットというサービスがありますが、それを活用もしくは新たに子育て用ネットを開設し、緊急性に対応できる情報発信をすべきと考えますが、この点はいかがでしょうか。
次に、子どもの一時保育についてお伺いいたします。
一時保育に預けようと思っても利用しづらい、不足しているとのお声をたくさんいただき、私もまだまだ足りないのではとの認識でいます。現在、専用室型一時保育の富久町保育園や私立の認可保育園、原町みゆき保育園、新宿せいが保育園、オルト保育園は、1日の定員数は乳児6名、幼児3名、緊急1名の計10名となっています。四谷子ども園、西新宿子ども園は0歳児2名、1歳から2歳児5名、3歳から5歳児2名、緊急の枠1名の計10名。あいじつ子ども園は、乳児4名、緊急1名の計5名。地域子育て支援センター二葉は、生後6カ月から未就学児までを対象に10名以内となっています。このほかにも、子どもショートステイや、ひろば型一時保育、ファミリーサポート事業など、区としてもさまざまなサービスを展開されています。
質問の第3として、一時保育に対して、区長はこれで充足しているとお考えでしょうか。
国立社会保障・人口問題研究所が行った全国家庭動向調査で、夫は外で働き、妻は主婦業に専念すべきだと考える既婚女性の考え方は45%となりました。2003年に行われた前回調査は41.1%でしたので、今回上昇に転じ、専業主婦志向が高まるという調査結果が公表されました。こうした調査結果からも、今後、専業主婦の方が在宅で子育てをする家庭がふえることが予想されます。
質問の第4として、こうした専業主婦の母親、つまり在宅で子育てしている母親に対して、買い物やリフレッシュ等のため一時保育の定員数をふやすことは大変重要であると考えます。その点、区長はどのようにお考えでしょうか。
区長のマニフェストや新宿一押しプロジェクトの中で、平成23年度から平成26年度までに保育園入園待機児童の解消を目指し、保育施設全体で受け入れ枠を1,000人ふやすと明記し、努力されていることは高く評価しております。
質問の第5として、先ほど述べた保育園以外の区立保育園の一時保育の1日の定員数は、あきがある場合に限り1名となっていますが、1名という定員数をどのような根拠で設定されたのでしょうか。私は、良好な子育て環境をつくるために、在宅で子育てをしている方々を対象にリフレッシュに必要な時間数などを調査し、検証する必要があると考えます。
〔「そうだ」と呼ぶ者あり〕
よって、待機児童の解消を目指し、保育施設全体で受け入れ枠を1,000人ふやすという区長の明確な目標と同様に、一時保育の必要数値も出すべきだと考えますが、区長の御所見をお伺いいたします。
〔「そうだ」と呼ぶ者あり〕
最後に、妻の入院時や落合保健センターで双子や三つ子をお持ちのパパ友達やママ友達とも知り合い、多胎児をお持ちの方は意外に多いということを実感いたしました。そうした多胎児をお持ちの方々から、何か行政の支援が欲しいとの御要望、お声も数多くいただきました。他の自治体では多胎児支援策としてタクシークーポン券を配っており、私も直接話を伺ってきました。新宿区としても、新宿らしい多胎児向けの支援策の検討はできないでしょうかと申し上げ、私の質問とさせていただきます。
◎答弁
井下田議員の御質問にお答えします。
在宅での子育てに関する御質問ですが、最初に区民が携帯電話で手軽に区の子育て情報にアクセスできるような仕組みづくりについてのお尋ねです。
区では、保育園などに通っているか、いないかによって情報格差によるサービスの不公平が生じないよう「広報しんじゅく」等の紙媒体だけでなくホームページ等も活用し、迅速で時宜にかなった情報発信を行っているところです。
また、携帯電話による情報へのアクセスとしては、モバイル新宿区で区からのお知らせやイベントなどの最新情報を提供しています。子育てに関する情報は非常に多岐にわたっており、その情報量もさまざまです。緊急情報やイベント開催情報などは手軽な携帯電話で、詳細な情報が必要な場合はパソコンを活用するなど、機器の特性に応じた情報提供の充実に努めてまいります。
次に、緊急性がある情報の発信についてのお尋ねです。
御指摘のとおり3月23日、震災に伴う福島第一原子力発電所による放射能の影響で、水道水から食品衛生法に基づく乳児の飲用に関する暫定的な指標値を超す放射性ヨウ素が測定されたと東京都から発表がありました。このときは区のホームページのほか、しんじゅく安全・安心情報ネットも活用し周知を図りました。その対応として、3月24日以降に特別出張所において乳児のいる御家庭に飲料水を配布することにつきましては、ホームページでの周知にとどまりました。
今後は、子育て世帯に向けた緊急性がある情報の発信については、しんじゅく安全・安心情報ネットや、ことし4月から運用を開始した区公式ツイッターを積極的に活用し、情報の周知徹底を図ってまいります。
次に、子どもの一時保育についてです。
一時保育は、在宅で子育てしている保護者の方に緊急の事情ができた場合や、子育ての疲れをリフレッシュしていただくためにも、とても重要な施策と考えています。そこで、区では、区内の公私立認可保育園等においてあき利用型一時保育を実施するほか、保育園の民営化や子ども園化等により建てかえ、新設するときには専用室型一時保育を設置してきました。
また、地域子育て支援センター二葉、榎町子ども家庭支援センター、本年4月開設の子ども総合センターでは、主に買い物、通院、リフレッシュなど、短時間の利用を想定したひろば型一時保育を実施しています。
このほかにも新宿区ファミリーサポートセンターによるファミリーサポート事業、二葉乳児院及び協力家庭による子どもショートステイ、障害のある子どもをお預かりする障害幼児一時保育など、さまざまな子育て支援事業を実施しています。
次に、区立保育園のあき利用型一時保育の定員が1日1名となっていることについてです。
これは通常保育の職員体制の中で、一時保育の子どもに対しても安全で十分に目の行き届いた保育を行うという趣旨で、1日1名としているものです。しかし、緊急の要件や双子の場合等で受け入れ態勢がとれるときには1名以上お預かりしていることもあります。
近年、ライフスタイルの多様化がさらに進んでおり、在宅で子育てをしている方のニーズも多様化していることから、さらに一時保育の需要は高まると思われます。今後も計画的に子ども園の整備などの中で一時保育の充実にも取り組み、その必要数につきましては利用状況等を踏まえて見極めてまいります。
最後に、多胎児支援策についてですが、同時に複数の子どもを育てていくというのは経済的にも肉体的にも大変なことであると認識しています。そこで、区では、経済的支援策として現在は子ども手当が支給されていますが、それ以前の国の児童手当に先駆けて平成18年度から支給対象を中学生にまで拡大した区独自の児童手当制度や、平成19年からの医療費助成制度を創設してきました。また、日ごろの子育ての負担感を軽減させるために、育児支援家庭訪問事業やファミリーサポート事業を実施しています。
育児支援家庭訪問事業では、生後1年未満の子どもを育てている家庭を対象とし、家事や育児の援助を1日3時間または4時間、年に10日まで30時間を限度に利用できます。多胎児の場合には、年に15日まで45時間を限度に利用できるよう利用枠を拡大しています。また、ファミリーサポート事業は、理由のいかんを問わず安心して子どもを預けられる仕組みとして、地域で子育ての援助を必要とする方、援助を行いたい方、それぞれが登録し、地域の顔見知り同士が助け合える子育てネットワークを構築しています。区では、多胎児も含め、すべての子育て家庭を対象に、子育て支援策として経済的支援と子育て環境の整備を今後もバランスよく推進してまいります。
以上で答弁を終わります。
■
御丁寧な御答弁ありがとうございました。
今回は、在宅で子育てをされている方々を対象に質問させていただきましたが、私は子育てをしているすべてのお父さん、お母さんが安心して子育てできる環境づくりと、すべての子どもたちが健康で元気に育っていける豊かなまちづくりを目指して今後も取り組んでいく決意を申し上げ、質問を終わらせていただきます。
大変にありがとうございました。(拍手)