◆9月定例会活動レポートです!(一般質問より:介護を支えるきめ細やかな支援について【その2】)
【9月議会での一般質問テーマ:いつまでも安心して暮らせるまち→(2)介護離職の抑止と市外に住む親の介護相談について】
少子高齢化で労働力不足が進む今、人材を失うのは企業にとっても大きな損失です。経済産業省は今年、介護離職に伴う労働損失などで2030年には経済的損失が年間約9兆円に上るとの試算を公表しました。
浦安市では人口のボリュームゾーンが50代前後となり、核家族世帯の比重が高く、就労世代の方々が介護の問題を抱えているケースは、自らの市民相談からも増加傾向にあると感じています。今回は、浦安市でも介護離職をできる限り防止し、介護と仕事を両立可能な施策について質問に取り上げました。
そこで、介護は子育ての両立とは異なり、いつまで続くのかわからないため、その不安や肉親の介護に対する心情から「介護に専念しよう!」と一生懸命頑張ってしまうことがほとんどです。そのため「いつまで続くのかわからない」というプレッシャーで疲れ果てて、最終的に退職して専念しようと考えることは普通と考えます。
そこで、有識者会議で座長を務める、東京大学の佐藤ひろき名誉教授は「仕事と介護の両立は、就労している人が親の介護に専念したら仕事が続けられなくなってしまう」と指摘しています。さらに「地元の地域包括支援センターに行き、専門家へ相談するとともに、介護休業は介護に専念するためにつかうのではなく、専門家に親の介護を任せる体制準備をするために活用することが重要」とおっしゃっています。
【その2】介護を支えるきめ細やかな支援について
【一瀬質問】本市の地域包括支援センターに介護離職など、介護と仕事の両立に関する相談はどのような相談内容が多いのか。また、本市の子育て世帯の95%近くが核家族で、ダブルケアの場合、介護する近親者が市外に住んでいる場合もあり、その形態はさまざまで定義自体が薄れてきていると感じている。実際の本市におけるダブルケアの定義について改めてうかがう。また、ダブルケア家庭の掌握と掌握の必要性について。さらに、ダブルケアの課題認識についてもうかがう。
【福祉部長】介護と仕事の両立に悩んでいる方は、まずは職場へ相談することが一般的で、地域包括支援センターには、介護保険制度や認知症への具体的なケアなど、介護に関する内容が主なものとなっている。市では、就労しながら介護されている方が相談しやすいよう、土日祝日も開所する地域包括支援センターを設けている。
また、介護と仕事の両立に悩まれている方に対し、活用できる制度のご案内や、状況に応じ、ケアプランの見直し等の利用サービス拡充について、ケアマネジャーとも連携しながら対応しているほか、地域包括支援センターごとに「介護者教室」や「介護家族交流会」を開催し、家族介護者を支援する取組を通じて、必要な助言や情報提供を行っている。
ダブルケアについての本市独自の定義はないが、一般的には、同居の有無にかかわらず親の介護と子育てを同時に行っている状態とされている。市外に住む親の介護を担っているケースもあるため、正確な数の把握は難しい状況だが、各相談機関においては同居以外のケースも含め、状況の把握に努めている。ダブルケアの課題としては、ケアしている方の身体的・精神的・経済的な負担が大きくなりがちであることと認識している。
【一瀬質問】市内に暮らす子育て世代が、市外の祖父母、両親の介護を行なうダブルケア、トリプルケアなどのケースを、状況が解決するまで伴走型で対応いただきたいと考えるが、対応することが可能なのかうかがう。
【福祉部長】地域包括支援センターでは、市外に暮らす親族の介護や呼び寄せに関する相談も受け付けており、相談者の困りごとに応じた情報提供や、親族が居住する自治体の支援窓口のご案内等を行っている。
また、相談内容によっては、相談者の了承を得て、他自治体の支援窓口に連絡を入れ、初回相談が円滑に進むよう配慮している。今後も、相談者の状況に応じた伴走型の支援に努めていく。
【一瀬質問】ケアマネ制度の更新における資格費用の支援制度を、本市では国に先駆けて開始していただき感謝している。ケアマネ資格の更新は5年に1回、88時間の研修受講料も7万円と費用負担が大きく、しかもケアマネの平均年収が全産業平均よりも低い水準にあるにもかかわらず、このような資格更新制度が残存していることは制度の損失であり、国として早々に改革をしていただく必要がある。
そこで、本市の制度を成り立たせ、かつ持続可能なものとするためのケアマネの確保についての認識。また、課題についてもうかがう。
【福祉部長】介護サービスの提供に影響を及ぼす事態には至っていないものの、要介護認定者数の増加等に伴い、介護支援専門員、いわゆるケアマネジャーの負担が様々な面で増大している状況であり、市としても課題ととらえている。
このため市では、介護支援専門員等の経済的負担を軽減し、介護人材の確保と定着を図るための独自の取組として、令和6年度より、介護支援専門員更新研修受講料等補助事業を開始したところである。
【一瀬質問】ケアマネの業務上の課題として、介護を受けている当事者の入院の付き添いや、部屋の片付けなど、本来の業務を超えた負担が大きく、また今年度から介護認定の見直しを再開するようになった状況で、ケアプランの見直しに追われ、忙殺されていると推察する。
さて、このようなケアマネの課題について、近隣の船橋市では令和5年8月に介護支援専門員(いわゆるケアマネ)実態調査を行い、今後の市の制度設計に反映させる取り組みが行われた。
これは市内の居宅介護支援事業所におけるケアマネの確保の実態や取組状況を把握し、今後の施策検討の基礎資料とするとのことで、この調査では、市内166事業所のうち、約8割の132事業所からの回答があり、ケアマネの過不足感、事業所の人材確保の取組、市への要望などの項目について聞き取りを行い、全体的に市内居宅介護支援事業所ではケアマネが不足しており、人材確保に苦慮していることが把握できたということだった。
そこで、本市の制度設計上での課題解決に向け、本市でもケアマネ実態調査を行ってみてはどうか。
【福祉部長】市では、介護支援専門員を含む介護従事者の現況を把握するため、本年7月に、市内の介護サービス事業所に対する実態調査を実施したところであり、今後、この調査の結果等を踏まえ、必要な施策について検討していく。
【一瀬要望】船橋市の実態調査では、ケアマネが離職する理由として、心身の不調、業務内容がきつい、給与等の条件が合わないとの回答が市内166事業所のうち50におよぶ事業所からあったとのこと。ケアマネのメンタルヘルスのサポートや業務負担の軽減、給料等の処遇改善は、今後さまざま改善に向けた配慮を行っていただきたい。
今年度、本市では「ケアラー支援条例」の策定が進められていることから、ダブルケアという視点からも質問に取り上げた。本市は核家族が9割以上と高く、三世代が同居していないケースが大半という特徴のまちであることからも、介護相談において地元の相談だけでなく、遠方に住む親族の介護相談にも親身になって相談に乗っていただけるなどの支援の拡充をお願いする。
※質疑内容と答弁は、趣旨を変えずに出来るだけ分かりやすい言葉に表現し直して掲載しています