■暮らし、経済立て直す <石井幹事長の衆院代表質問(要旨)>
【公明新聞より主張】

[新型コロナ]オミクロン株の対策強化
世界的に拡大しつつある新型コロナウイルスの新たな変異株(オミクロン株)が国内で確認された。水際対策を徹底し、国内における変異株の拡散を防ぐことが喫緊の課題となる。現状では、重症化のリスクやワクチン効果への影響など、明らかになっていない点も多くある。科学的知見を集約し、それらを踏まえた対策を講じることが急務だ。オミクロン株を迅速に検知する監視体制を強化するとともに、“第6波”への備えを急ぐなど、対策が後手に回ることのないよう政府は高い緊張感を持って対応に当たっていただきたい。
ワクチン・飲み薬
時間の経過とともに効果が減少すると指摘されているコロナワクチンについて、3回目の追加接種を着実に推進することが重要だ。2回目までのワクチン接種の経験を生かし、円滑に実施できるよう国は自治体と緊密な連携を図っていただきたい。国民の中には、3回目の接種による副反応に不安を抱いている人や、2回目までと異なるワクチンを使用する「交互接種」の安全性などに懸念を示している人も少なくない。不安や懸念を払拭すべく、政府は国民に対して分かりやすく丁寧に説明することが求められる。
オミクロン株への対策として、岸田文雄首相は「既存ワクチンのオミクロン株への効果などを一定程度見極めた上で、8カ月と待たずにできる限り前倒しする」と表明された。ぜひ、ちゅうちょなく取り組んでいただきたい。
公明党は先の衆院選において、飲み薬の開発・実用化についても重点政策として掲げ、党を挙げて強力に推進してきた。今後、薬事承認されれば合計で約160万回分の飲み薬が確保される。飲み薬は、患者が手軽に自宅で服用することができ、重症化のリスクを減少させる効果が期待されている。今後のコロナ対策の切り札となる。
ただ、発症からできるだけ早い時期に服用することが推奨されていることから、コロナ陽性と判明した患者に対し、飲み薬を速やかに届ける具体的な仕組みを構築しなければならない。
自宅・宿泊療養者
“第5波”では、保健所業務が逼迫し、自宅・宿泊療養者への健康観察や医療支援が十分に行き届かない事例があった。こうした事態を二度と招かないとの決意で対策を考えなければならない。
政府が先月策定したコロナ対策の全体像では「感染ピーク時においても、すべての自宅・宿泊療養者に、陽性が判明した当日、遅くとも翌日に連絡をとり、健康観察や診療を実施できる体制を確保する」との方針が示された。“第6波”への備えとして極めて重要な取り組みだが、その役割を担うのは保健所だけでは限界がある。政府は「保健所のみの対応から転換し、地域の医療機関などと連携し、健康観察や診療を実施する」としているが、保健所と地域の医療機関などとの連携を具体的にどう行うのか。
困窮者対策
新型コロナによる影響が長期化する中、特に生活が厳しい方々に対し、給付金などの支援を速やかに届けることが重要だ。公明党は、衆院選の公約で「生活困窮者の生活を守る給付金の支給を検討」を約束した。
今般の経済対策には、住民税非課税世帯に対し、1世帯当たり10万円の現金を「プッシュ型」で給付するとともに、厳しい状況にある学生らの学びを継続するための緊急給付金を支給することが盛り込まれている。
住民税非課税世帯に対する給付については、昨年の収入が非課税であった方だけでなく、今年に入ってから収入が減少し非課税の水準に至った家計急変世帯も対象にしている。真に困った方を救うために、困窮学生や家計急変世帯についてなるべく柔軟に認定していただきたい。
事業者支援
事業者支援については、これまでも持続化給付金や月次支援金の迅速な支給を進めたが、売り上げが半減に満たない場合は支援の対象外となっていた。公明党は、本年3月1日の衆院予算委員会で、この問題を取り上げ、売り上げが3割減少した事業者などについても支援するよう求めてきた。
2021年度補正予算案には、こうした事業者なども含め地域や業種を限定せず、幅広く支援を講じる観点から、事業復活支援金が盛り込まれており、評価している。
足元では感染再拡大への懸念など先行きの不安感も増している。中小事業者などが安心して今後の見通しを立てられるよう、事業復活支援金の申請手続きの簡素化や迅速な支給などに努めるべきだ。
[経済再生]デジタル基盤、構築進めよ
半導体・蓄電池
成長と分配の好循環を通じた経済再生を本格的に進めるためには、経済対策に盛り込まれたグリーン、デジタルなど分配の原資を生み出す成長分野への投資や研究開発を着実に実行することが重要となる。
コロナ禍からの経済再生に向けて、欧米などでは、かつてわが国が世界をリードしてきた半導体や蓄電池への大規模な開発支援を進めている。わが国としても、経済安全保障や国際競争力強化の観点を踏まえつつ、国民生活や経済活動の基盤を支えるため、21年度補正予算案では、国内での生産基盤の確保に向けた支援措置などが大幅に盛り込まれた。
今後は、グリーン社会の実現に必要な電気自動車などの普及も一層加速することから、半導体や蓄電池の安定供給を通じて需要回復を後押しできるよう、長期的な戦略を策定し設備投資支援やサプライチェーン(供給網)の強靱化などを大規模かつ計画的に支援すべきだ。
併せて、わが国の強みである、ものづくりを生かしつつ、開発や供給などで再び世界をリードし、脱炭素社会の構築をはじめ、地球規模の課題解決に貢献できるよう、研究開発や社会実装、技術協力などに取り組むべきだ。
新マイナポイント
デジタル基盤の構築は、安定的・持続的な経済成長をつくり出すための重要な取り組みとなる。
21年度補正予算案には、公明党が衆院選で公約に掲げた「新たなマイナポイント制度」が盛り込まれた。この新制度は、1人当たり最大2万円相当のポイントを付与する消費喚起策としての役割だけでなく、マイナンバーカードの普及拡大策、キャッシュレス化を含む国全体のデジタル基盤構築に向けた効果が期待されている。
新制度は「既に健康保険証の利用登録をしている人は対象にならない」、「銀行口座に登録すると所得情報も抜き取られる」などという誤解や懸念の声も上がっている。
新たなマイナポイントについては、正確な情報を周知するとともに、いつからポイントを使うことができるかを早期に明確化し、自治体による準備や運営に配慮すべきだ。
ポイント終了後も、マイナンバーカードの利便性を実感できるよう、新制度を通じてキャッシュレスの拡大や健康保険証などの利用拡大も併せて加速化させるべきだ。
地方のデジタル化
コロナ禍に伴い、長年続いてきた東京一極集中に変化が出始めている。総務省調査によると、東京都は昨年の5月、初めて転出超過が確認され、就職や進学などの月を除けば15カ月もの間、転出が転入を上回るなど転出超過の傾向が定着しつつある。これは、テレワーク導入が進んだことが要因の一つで、地方創生の着実な前進である。
「転職なき移住」を実現するとともに、引き続き地方への新たな人の流れをつくり出すために、地方のデジタル化をさらに加速させる財政支援が重要だ。設備の整備などだけでなく、運営費などの支援もできるよう、自治体に寄り添った施策を講じるべきだ。デジタル田園都市国家構想の実現に向け、自治体のデジタル化への一層の財政支援が重要だ。
赤潮・軽石被害
コロナ禍の影響で、農林水産業も大きな打撃を受けている。水産業はコロナ禍の影響に加え、本年9月、北海道において、これまでにない大規模な赤潮が発生し、ウニやサケが大量死する問題が起こった。迅速な原因究明とともに、漁場環境の早期回復を図り、持続可能で豊かな漁場を取り戻すための対策が重要だ。
海底火山の噴火によって、沖縄県や鹿児島県、東京都の離島など各地の漁港に軽石が漂着し、漁船の損傷やエンジントラブルなどの被害が発生した。追い打ちをかけるように、原油の価格高騰による燃料費への影響など漁業者にとって、大変厳しい状況が続いている。今後の風向きや潮流次第で、さらなる被害の拡大が懸念される。しっかりと注視し、引き続き漁業者を支えるよう、地域の実情に即した柔軟な対応が必要となる。
[子育て・教育支援]「1人10万円」速やかに
教育費の負担軽減
コロナ禍は、子どもたちを巡る環境にもさまざまな影響を及ぼし、小学1年生から高校3年生のうち、何らかのストレス反応のあった子どもが7割に上っている。
昨年は、児童虐待の相談対応件数や、不登校、いわゆるネットいじめ、子どもの自殺者数がいずれも過去最高を更新し、極めて憂慮すべき事態だ。保護者も、精神的な負担や家事・育児の負担、食費・水道光熱費などの出費が増加したとの指摘もある。
コロナ禍を克服し、わが国の再生を成し遂げる主役は、未来を担う子どもたちだ。次世代の人材を育てることは、持続的な経済成長や、安定的な社会保障制度の構築など、日本社会の活力と発展にもつながる。
公明党は衆院選の公約で「子育て・教育を国家戦略に」と訴え、0歳から高校3年生に相当する世代の子どもたちに、1人当たり10万円相当の「未来応援給付」を約束した。
経済対策には、児童を養育している者の年収が標準的な世帯で960万円以上の世帯を除き、03年4月2日から来年3月末までに生まれた子どもたちに対し、1人当たり5万円の現金と、子育てにかかる商品やサービスに利用できる、子ども1人当たり5万円相当のクーポンを基本とした給付が盛り込まれた。
今回の給付はコロナ禍での特例的な支援策だが、わが国の家族関係社会支出が国内総生産(GDP)比でいまだ経済協力開発機構(OECD)諸国の平均を下回っている状況を踏まえ、今後さらに子育て・教育を国家戦略に据えて、教育費の負担軽減といった恒久的な支援策強化へつなげていくことが重要だ。
子ども政策
子ども政策については、政府の有識者会議において、報告書が取りまとめられた。公明党は衆院選の公約で、子ども基本法の制定や、子ども政策に関し調査・勧告などを行う機関の設置を掲げたが、有識者会議の報告書は公明党の公約とも軌を一にするものだ。
来年の通常国会での関連法案提出に向けて、法制化の作業を着実に進めるとともに、子ども政策の新たな行政組織については、必要十分な予算・人員を確保すべきだ。
[孤独・孤立]継続的な支援が必要
新型コロナによる影響の下、子どもや女性の自殺の増加、DV(配偶者らからの暴力)・虐待に加え、「8050問題」(80代の親が50代のひきこもりの子を支える)、うつ、ひきこもり、孤独死など、社会的孤立を巡る課題が深刻化している。
人とのつながりが減ったために、社会的に孤立していると見られる人は、18歳以上の12%に上ると推計されているが、コロナ禍で、もっと高い数字になる可能性も指摘されている。
本年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2021(骨太の方針)」では、「孤独・孤立対策の重点計画を年内に取りまとめ、安定的・継続的に支援する」と明記されている。重点計画の策定に向けて、現在、政府の有識者会議において検討が進められている。社会的孤立の問題は個人だけの問題ではなく、国を挙げて取り組む姿勢を明確にし、誰一人孤立させないとの決意を国内外に広く示すことが重要となる。
「安定的・継続的」な支援を実現するためには、複数年にわたり切れ目なく継続的に取り組むことが不可欠だ。国を挙げて孤独・孤立対策に取り組む体制を恒久化するとともに、孤独・孤立対策に携わっているNPOや社会福祉法人などの民間団体に対して、単年度主義の弊害を是正し、複数年度にわたって広く支援を行うべきだ。
[防災・減災]インフラ老朽化対策を推進
21年度補正予算案では、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の2年目として、十分な規模の予算が確保された。加えて、国庫債務負担行為の柔軟な運用、いわゆる「事業加速円滑化国債」の設定によって、複数年かけて行われる大規模な事業が円滑に進められるようになった。わが党が主張してきた、5か年加速化対策に盛り込まれたインフラ老朽化対策をはじめさまざまな取り組みについて、着実な実施が図られるものと考える。
豪雪地帯対策
本格的な冬の到来に際し、豪雪地帯対策も重要だ。昨年12月の中頃から本年1月の上旬にかけ、日本海側を中心に記録的な大雪となり、高齢者の雪下ろしなどに伴う事故や北陸地方での大規模な交通障害など大きな被害があった。今年度末で豪雪地帯対策特別措置法の特例措置の期限を迎えることから、延長などの法改正をはじめ、さまざまな課題を抱える今後の豪雪地帯対策のあり方を幅広く検討しなければならない。
個別避難計画
本年5月に改正された災害対策基本法において、市町村に対し高齢者や障がい者などの個別避難計画の作成が努力義務化された。現在、市町村では、優先度が高いと判断する高齢者や障がい者などから、個別避難計画の作成が進められているが、行政の事務負担などが課題となっている。
被災者支援システムを活用し、個別避難計画作成や更新事務の効率化を図ることが求められる。同システム内の被災者台帳との連携が可能となれば、被災者支援の向上も期待される。
[外交関係]日中、対話通じ相互理解
安全保障環境が厳しさを増す中、わが国の平和と繁栄を守り抜くためには日米同盟のさらなる強化が不可欠だ。
岸田首相は、11月の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)での懇談などバイデン米大統領との間で着実に信頼関係を構築されていると評価する。首脳間の信頼関係をさらに強固なものとし、地域・世界の諸課題に日米両国で立ち向かうために、早期に訪米し、バイデン大統領との首脳会談を実現されることを期待する。
中国はわが国にとって最大の貿易相手国であり、両国間にはさまざま交流の歴史がある。一方、米中関係の悪化や中国の軍事力増強、人権問題への懸念などの課題も山積する中、対話と実務協力を適切な形で進めていくことが重要となる。
10月、首相と習近平国家主席の電話会談において、来年の日中国交正常化50周年を契機に、経済・国民交流を後押しすることで一致した。懸念への指摘を含め、率直な対話を通じて相互理解を深めることが重要だ。
北朝鮮問題
北朝鮮は、弾道ミサイルなどの発射を繰り返し、非核化や、一刻の猶予もない拉致問題解決に向けた動きを全く見せていない。わが国が共同提案国として名を連ねた、北朝鮮人権状況決議が11月、国連総会の人権問題を扱う第3委員会において採択された。このことは、国際社会から大きな後押しを受けた証しだ。
[身を切る改革]歳費2割減の延長すべき
先の衆院選を受けて、10月の在職日数が1日にもかかわらず、文書通信交通滞在費が1カ月分満額支給されたことについて、国民から見直しの声が高まった。公明党は、見直しの声を受け、衆院選で当選した新人と元職は同月分を全額、前職は日割り支給となる55万円を党に拠出し、党から国民の理解の得られる所に寄付する措置を取る。
国民の声に今後も応えるため、文書通信交通滞在費を現行の「月割り」支給から「日割り」支給に変更する法改正を与野党の合意の下で成立させ、国民との信頼構築に一層努めていくべきだ。
文書通信交通滞在費について、使途公開などの透明化も重要であり、実現すべきだ。適切な使途の範囲の明確化など検討すべき課題が残されており、引き続き、議院運営委員会などで政党間の協議を続けるべきだ。
コロナ収束までの間として実施していた国会議員歳費2割削減については、前衆院議員の任期満了月までとなっており、現在では2割削減が元に戻っている。コロナ収束がいまだ見えない中、国会議員は、引き続き国民に対し寄り添う姿勢を示すことが重要だ。歳費2割削減については、各党の合意の下、確実に実現すべきだ。
岸田首相らの答弁(要旨)
【岸田文雄首相】
<オミクロン株への対応>水際対策において、緊急避難的・予防的措置を講じている。全ての国内新規感染者に変異株PCR検査などを実施し、早期探知に全力を尽くしている。
<ワクチン・飲み薬>ワクチンの接種間隔は、2回目の接種から8カ月以降を原則としていたが、オミクロン株への効果などを見極めた上で、できる限り前倒しする。飲み薬については、年内に約20万回分、年度内にさらに約40万回分を医療現場に届ける。合計で約160万回分を確保している。
<新マイナポイント>新規に取得した人に対する最大5000円相当のポイント付与は、来年1月1日から開始する。カードの健康保険証利用や公金受取口座の登録に伴う各7500円相当のポイント付与も、できるだけ早期に開始する。
<孤独・孤立対策>21年度補正予算案で、孤独・孤立対策に取り組むNPOなどへの支援を充実した。年内に重点計画を取りまとめ、政府一体となって安定的、継続的に支援する。
【斉藤鉄夫国土交通相(公明党)】
<豪雪地帯対策>補正予算案に、除雪・排雪作業中の死傷事故防止に向けた新たな交付金の創設や、地方整備局を通じた生活道路除雪への支援を盛り込んだ。豪雪地帯対策特別措置法の改正への対応も含め、総合的な豪雪地帯対策の推進に全力で取り組む。
2021年12月10日(金)付 公明新聞より引用















