■令和4年3月議会より【3】ネットいじめから守るための整備を!
【令和4年3月議会・一般質問より】
■子どもたちをネットいじめから守るための環境整備を!
ネットパトロールの限界と新たな展開は?
文部科学省が2021年10月13日に公表した令和2年度 の問題行動・不登校調査では、パソコンやスマートフォンを通した誹謗(ひぼう)中傷といった「ネットいじめ」の認知件数が、1万870件と過去最多を更新。「ネットいじめ」の認知件数は、平成27年度が9187件であるため、5年で倍増しています。令和2年度でみると、小学校ではいじめ全体に占める割合の1・8%、中学校は10・7%、高校では9・8%と割合が高まり、「ネットいじめ」は年齢が進むにつれ、割合が増加する傾向あります。
今後「GIGAスクール構想」のもと、ネットを通じて学ぶ機会が広がる環境においては、ネットいじめへの対策は、必要不可欠と考え質問に取り上げました。
ネット上での人権侵害は深刻化しており、総務省が運営する「違法・有害情報相談センター」に寄せられた相談件数は、令和2年度には5407件に上り、開設当初の平成22年度の約4倍まで増えています。そのような中、政府は先の3月8日の閣議で、社会問題となっているインターネット上の誹謗中傷を抑止するために、これまでより一歩重い、刑法などの関連法の改正案を閣議決定しました。
また、平成22年に国が定めた「子ども・若者育成支援推進法」では、時代状況に合わせ、令和3年4月に第3次の改定が行われ、今回の改定では、SNSの誹謗中傷対策の必要性が改めて明記されました。ネット上の法整備が急速に進んでくる中、教育現場でもその影響から、今後の対応が必要と考えます。
ネットパトロールは以前より党として提案し、令和2年7月から本市独自のネットパトロール事業が開始されました。一方で、取り組みの成果は出ているものの、あくまで対象はインターネット上でのやり取りで、SNSでの相互に閉じた環境で行われるやり取りは関与できず、この部分が課題と考えておりました。
そこで、
ネット上における法整備に合わせ、方針の見直しと修正を!
【一瀬質問】『令和2年度 浦安市教育委員会点検・評価報告書に係る意見書』には、健全育成の施策において[ネットパトロール事業を独立させ、さらなる事業成果の向上を図ることがネットトラブル対策の大事な事業活動]との意見があった。ネットいじめ対策として、ネットパトロール事業の新たな展開が必要と考えるがどうか
【教育総務部長:児童生徒によるSNS上でのいじめは、家庭で購入されている携帯端末によって発生していることが多いため、学校では発見しづらく、また、発見しても対応が遅くなってしまうのが現状です。
各学校では、いじめに関する指導を、道徳や特別活動の授業で行うとともに、情報リテラシー教育などの講習会に、保護者にも参加を呼びかけ、児童生徒と一緒に考える取組みを進めているところです。
また、各家庭においては、子どもと一緒に機器の使い方やマナーについて十分に話し合い、正しい使い方を身に付けさせていただくよう、学校便りや保護者会などで周知しています。今後とも、学校と家庭の両輪で、ネットいじめの防止に取組んでいくことが重要です】
【一瀬質問】浦安市のネットいじめ対策である『浦安市いじめ防止基本方針』についても、本市独自事業としてのネットパトロールが導入されたこともあり、これらの法改正に沿う形で、ネットいじめ対策のための基本方針の見直し、および修正を行うことを推奨したいと考えるが見解をうかがう
【教育総務部長:教育現場における情報化が急速に加速している中、児童生徒の不適切な端末の取り扱いも、各地で問題となっていることから、市教育委員会では、学校と家庭とが連携して、児童生徒の情報モラルや、活用能力の育成を図るため、今年3月に「1人1台端末を上手に使うためのガイドライン」を策定したところです。
また『浦安市いじめ防止基本方針』については、これまでもネットいじめに関する内容も含め、必要に応じて見直しを図っており、令和4年度にも改訂を予定しています。
引き続き、これらの基本方針やガイドラインを効果的に活用しながら、情報教育の充実を図る中でネットいじめ対策についても取り組んでまいりたい】
【一瀬質問】ネット上の誹謗中傷対策として、ネット上の誹謗中傷は「犯罪」であるという認識を持たせるための教育、つまり「いじめは犯罪であり、犯罪行為とみなされるネット上での投稿が行われれば、事件として警察による捜査が行われ、投稿者が必ず特定される」と警鐘を鳴らして教える機会をもって頂きたい。
そこで、スマホを持つ子どもたちが、してはいけないことをきちんと学ぶとともに、自らを守るための手立てについても、学べる機会をもって頂きたいが、見解をうかがう
【教育長:本年2月に行われた総合教育会議では「SNSの利用に学校や家庭がどうかかわるべきか」という議題で話し合われ、教育委員から「学校だけではなく保護者も一緒にかかわることが大切である」という意見や、市長から「大人がもっと子どもたちのネット社会の実態を理解していく必要がある」との助言をいただきました。
この問題は、子どもだけの問題とせず、我々大人も同じネット社会の中で生活していることから、それぞれの立場で責任と自覚をもって対応に当たることが重要と考えており、今後も、児童生徒と保護者が共に学べる取組みを充実させてまいります】
【一瀬要望】ネットいじめは発見しづらく、発見できたとしても深刻な状況になっているケースが散見され、対応には本当に苦慮されていると聞いている。
ネットいじめの場所は、学校では目の届かない、時間と場所を選ばないネット空間で行われる。たとえ自宅の、ゆっくりしているときや、深夜であっても。「自宅での安息」という最後の居場所まで奪うネットいじめは、極めて悪質であり残酷と考える。策定されたガイドラインの効果的な活用に期待する。