■希望・安心の未来に全力 <山口代表の参院代表質問(要旨)>
【公明新聞より主張】

参院は13日の本会議で、岸田文雄首相の所信表明演説に対する各党代表質問を行った。公明党の山口那津男代表は、謙虚な姿勢で真摯な政権運営に努めるとの自公連立政権合意の原点に言及するとともに、「コロナを乗り越えたその先に、希望と安心の未来が展望できるよう、日本再生へ不断の取り組みに挑戦する」と力説。新型コロナウイルスの感染再拡大に対する万全の備えや経済再生をはじめ、子育て・教育支援、被災地復興、核廃絶に向けた日本の積極的な貢献などを政府に訴えた。以下、その抜粋要旨をご報告致します。
新型コロナ対策 国産治療薬 実用化進めよ
緊急事態宣言が解除された。危機対応は「常に最悪の事態を想定」した備えが重要。第6波の流行も想定した対策に万全を期す必要がある。希望する方へのワクチン接種を着実に進め、効果的な治療薬の開発・普及に全力を挙げるべきだ。
公明党は、自宅療養者など軽症者の重症化予防に効果のある「抗体カクテル療法」を、より多くの場所で使用できるよう政府に求め、当初、入院に限定されたこの治療は、宿泊療養施設、外来、往診へと投与の場が拡大した。
感染拡大が落ち着いた今こそ、こうした治療が、新たに承認された抗体薬も含めて各地域で速やかに実施できる体制を整える必要がある。
より強力な変異株や新たな感染症にも対応できるよう、国産のワクチン・治療薬の開発・実用化を強力に支援することが急務だ。
コロナ禍で苦しむ事業者や生活困窮者などを守る支援策も必要だ。雇用対策では、雇用調整助成金などの特例措置を実施しているが、感染状況を踏まえ、十分な水準を確保すべきだ。
パート・アルバイトなどシフト制で働く方については、休業手当が支払われていない場合に、休業支援金・給付金で生活を支え、より安定した雇用に結び付く取り組みが重要だ。
事業者を守る資金繰りに万全を期すため、公庫による実質無利子・無担保融資は来年以降も継続すべきだ。既往債務の再度の条件変更など、事業者の要望に沿った最大限、柔軟な対応を徹底していただきたい。
子育て世帯に対しては、2020年度第2次・第3次補正予算で、子ども食堂などの支援を通じて見守り体制の強化を行っている。ぜひ恒久化してほしい。
経済再生 マイナポイント 3万円分付与を
本格的な経済再生に向けて、新たな成長の源泉となるデジタル化やグリーン化への投資を通じて潜在成長力を高め、その成果を賃金などに広く分配し、家計の所得水準を向上させることが重要だ。
コロナ禍では、非正規雇用労働者などの収入が大幅に減少するなど所得格差の問題が浮き彫りとなった。所得格差の是正には、成長と分配の好循環を支える賃上げが不可欠。その鍵を握るのは雇用の7割を支える中小企業である。
売り上げの大幅な減少や、今月から実施されている最低賃金の引き上げに伴い、中小企業からは、さらなる支援を求める声が寄せられている。生産性向上に向けた各種補助金などの大幅な拡充や、所得拡大促進税制などの支援、価格転嫁対策など、中小企業が賃上げしやすい環境整備を強力に支援すべきだ。
公明党は、コロナ禍で落ち込んだ消費の回復につなげることが重要と考え、「新たなマイナポイント」事業の創設を提案する。私たちの暮らしを便利で豊かにするデジタル社会の実現には、その基盤となるマイナンバーカードの普及が不可欠だ。
本年9月1日現在、その交付率は37.6%と十分に行き渡っているとは言えない。マイナンバーカードの取得やキャッシュレス決済の普及促進と同時に、消費を喚起する対策として、カードを保有している方や、これから取得する方に対し、幅広いサービスや商品の購入に使えるマイナポイントの付与を提案する。
従来の仕組みを改め、1人3万円分のポイントを直接付与する「新たなマイナポイント」事業の創設を求める。
グリーン社会
グリーン社会の実現に貢献する製品の普及、消費喚起策として、電気自動車や燃料電池自動車、省エネ性能の高い住宅の購入支援制度の一層の拡充と、家庭用の太陽光パネルや蓄電池の導入支援制度も創設すべきだ。
厳しい経営状況が続く観光や飲食産業、輸送需要が激減する中でも国民の暮らしや経済活動を支えてきた地域公共交通への支援も、しっかり取り組まなければならない。政府は、今後の感染対策と社会経済活動の両立を図るため、観光や飲食、イベント参加など行動制限の緩和に向けて、ワクチン・検査パッケージを活用した新たな仕組みの検討を進めている。
観光や飲食産業からは、GoTo事業再開を望む声が上がっている。再開に当たっては、感染収束を前提に、パッケージの活用を含め、感染防止対策の維持・徹底が不可欠。ワクチン接種をしていない方々が、不利益や不当な差別を受けることがないよう十分な配慮が必要だ。これまでの教訓を生かした創意工夫を盛り込み、安全・安心の観光産業の復興の原動力として、新たな「GoToキャンペーン」を実施していただきたい。
科学技術立国
今月5日、プリンストン大学の上級研究員である真鍋淑郎さんがノーベル物理学賞を受賞された。地球温暖化を予測する地球気候モデルの開発が評価された。気候学分野での物理学賞の受賞は初めてであり、歴史的な快挙である。
好奇心から始まった研究が人類が直面する課題の解決に貢献したことを考えると、基礎研究の重要性を改めて認識する。多くの人々に夢と希望を与える科学技術の基盤強化を、未来への投資として強力に推進することが重要だ。本年創設された大学ファンドを早期に10兆円規模へ拡大するなど、若手研究者らが基礎研究をはじめとした研究に専念できる環境づくりを進めていただきたい。
人への投資 出産・子育ての負担軽減
公明党は、成長戦略の一環として、人への投資が重要であり、産業構造の転換や格差の是正を図るためにも、リカレント(学び直し)教育や職業訓練を強力に支援すべきと考える。
非正規雇用
非正規雇用などで働く方については、生活費として月10万円を受給しながら、無料で職業訓練を受けられる「求職者支援制度」による支援が行われている。コロナ禍でシフトが減少したパート・アルバイトの方が、働きながら訓練を受けやすいように、収入要件や出席要件の緩和など特例措置も実施されている。より多くの方が受講し、デジタル分野をはじめ希望する就職へとつながるよう、制度の拡充が必要だ。
子育て応援
首相は分配戦略の中で、子育て世帯への支援を表明した。公明党が推進した、幼児教育・保育、私立高校授業料、大学など高等教育の「3つの無償化」により、わが国の家族関係支出の対GDP比は、2015年の1.31%から、20年には1.9%程度へと増加し、OECD(経済協力開発機構)に加盟する先進諸国の平均値である2.1%に近づきつつある。
少子化が加速化し、児童虐待、いじめ、不登校、貧困、自殺など、子どもと家庭を巡るさまざまな課題が多様化・複雑化している。誰もが安心して子育てができ、十分な教育を受けられるように、子育て・教育支援を国家戦略に据えて、強力な支援を行うべきだ。
ライフステージに応じて必要な支援策をきちんと整え、その全体像を示すことが、子育てへの希望のメッセージとなり、安心につながる。出産費用は年々増加傾向にある。その実態を把握した上で、出産育児一時金の増額を行うべきだ。
不妊治療については、公明党が1998年に党の政策として保険適用を掲げ、現在の助成制度の創設・拡充をリードしてきた。この保険適用が来年4月から実施される予定だ。保険適用となる治療や検査の範囲などについて検討を急ぐとともに、働きながら治療ができる環境づくりをさらに進めていただきたい。
政府が本年、閣議決定した、いわゆる「骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)」には、「不妊治療への保険適用」や「出産育児一時金の増額に向けた検討」が、公明党の提言も踏まえ明記された。新政権において、ぜひ実現すべきと考える。
公明党は、前回の衆院選公約で「教育の負担軽減」を掲げ、幼児教育や高等教育の無償化を前に進めてきたが、中間所得世帯も含めた教育費の無償化を段階的に拡充すべきと考える。
子どもたちが安心して学べる環境整備も重要な課題だ。本年の通常国会では、公明党が主導した、わいせつ行為などの性暴力を行う教員から子どもを守るための法律が成立した。新法に基づき、わいせつなどによる免許状失効者の情報を閲覧可能にするデータベース整備などの取り組みを着実に進めることが必要だ。保育士や塾講師などの子どもと接する職種においても、わいせつ行為の対策強化の検討を求める。
文化芸術
新型コロナウイルス感染症の影響により、文化芸術関係者は、早くから公演などの自粛を余儀なくされるなど、大きな影響を受けている。その方々への支援を実施するため、公明党は文化芸術団体などに最大2500万円を支援する「ARTS for the future!」や18歳以下の子どもたちが無料で舞台などを鑑賞できる機会の確保などを推進してきた。関係団体やフリーランス、舞台技術スタッフの方々が活動を継続するための支援を充実していただきたい。
外交・安保 核廃絶への環境創出重要
唯一の戦争被爆国として、核保有国と非保有国の「真の橋渡し」役を担い、現実的かつ実践的な取り組みをさらに積み重ねていただきたい。
公明党は、核廃絶への機運を高めている核兵器禁止条約(核禁条約)について、締約国会合への日本のオブザーバー参加を強く求める。中長期的には、日本が同条約を批准できる安全保障環境を創出していくべきだ。
核保有国に対して核軍縮を進める義務を負わせている核兵器不拡散条約(NPT)の進展も重要だ。
来年1月に開催予定のNPT運用検討会議では、懸念される核保有国の関係悪化や核兵器の近代化の進展などを課題として議論し、透明性の向上および信頼醸成につなげる体制づくりや核兵器を巡るリスクの低減などについて、各国がともに取り組むことのできる実質的な措置を見いだしてほしい。その成果を踏まえ、核禁条約と互いに補完し合いながら、実質的な核廃絶への道筋を示していただきたい。
国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた取り組みも大事だ。コロナ禍で遅れが余儀なくされたが、達成目標年の30年に向けて、より一層加速させることが求められる。
公明党の提案で実現した、全世界に公平にワクチンを供給する国際的枠組み「COVAXファシリティー」への参加もSDGsの取り組みの一つだ。
各国が協力して行動を起こす時、SDGs達成に向けた取り組みを着実に軌道に乗せることができると確信する。
貧困、教育、労働、環境、ジェンダー平等などの課題解決に向けた取り組みを加速化していくため、政府は、自治体、企業、市民社会、国際社会との協力を深めるべきだ。「誰一人取り残さない」との考えの下、SDGs達成に向けた取り組みを進めていただきたい。
防災・減災・復興 流域治水の前倒し急げ
首相は地方活性化に向けた基盤づくりに向け、積極的な投資に言及したが、最優先すべきは、防災・減災・復興の取り組みだ。
自然災害の脅威は、温暖化の影響で以前にも増して風水害が深刻化し、迫りくる大規模地震や火山災害への対策は待ったなしだ。コロナ禍との複合災害への対応など新たな課題も生じている。これまで以上に、国と地方、官と民がしっかりと連携・協働し、新技術や過去の教訓を生かすことが重要だ。
わが国の危機管理対応力を総点検・強化するとともに、ハード・ソフト両面にわたる防災・減災対策を、より一層進めなければならない。「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」に盛り込まれた流域治水やインフラ老朽化対策など、さまざまな取り組みの完了時期については、可能な限り前倒しを求める。
東日本大震災をはじめ、近年の災害で被災された方々に、しっかりと寄り添い、支援の取り組みに全力を尽くし、発災前を上回る「創造的復興」を進めて、被災地の発展につなげることが重要だ。
災害時、自力での避難が難しい高齢者や障がい者などの避難対策や被災者支援は、引き続き重要な課題だ。本年、改正された災害対策基本法では、要支援者の避難先や経路などを事前に定める個別避難計画の作成が市町村の努力義務として規定され、新たにその作成経費も措置された。
個別避難計画は災害時だけではなく、平時における地域福祉の強化や、孤立を防ぐ観点からも重要な取り組みだ。
コロナ禍での自宅療養者などの避難対応や生活支援など新たな課題も生じており、行政負担が増大している。これらの課題にも対応し、被災者支援の質を向上させるため、個別避難計画と連携し、地域の福祉団体や福祉専門職、自治会、NPOやボランティアなど多様な主体が効果的に連携・協働できるよう、平時と災害時をつなぐ地域の防災福祉の仕組みづくりが重要だ。
共生社会 バリアフリー推進さらに
人口減少やコロナ禍の影響で、地域公共交通の維持が一層厳しさを増す中、買い物や通院など日常生活に不自由を強いられる高齢者や障がい者など交通弱者の方々に対する移動支援の強化が喫緊の課題となっている。地域の実情に応じて、コミュニティーバスやデマンド(予約)タクシーの導入、公共交通機関の利用割引など移動支援の拡充について、国は一層の後押しを図るべきだ。
東京五輪・パラリンピック大会を契機に、ハード・ソフト両面から大きく進んだバリアフリー化をさらに進めることも重要だ。公共交通機関における障がい者用ICカードや精神障がい者割引、ウェブによる障がい者用乗車券の予約・決済などの実施の現状は一部の事業者に限られており、さらなる対応が求められる。
本年3月、各国における男女平等を数値化した「ジェンダーギャップ指数」が発表され、日本は156カ国中120位だった。一つの要因として、近年、国民の関心が高まっている選択的夫婦別姓制度の有無が指摘されている。法務省によれば、夫婦別姓が選べない国は日本だけだ。女性の活躍促進という観点から、さまざまな理由で、希望する夫婦がそれぞれの姓を変えることなく結婚できるよう、制度導入を実現すべきだ。
性的少数者に対する課題解決も重要だ。現在わが国には、自治体におけるパートナーシップ認定制度は進んでいるが、根拠法がない。先の通常国会において超党派の議連で議論を重ねてきた理解増進法案が、与野党で合意に至った。性的指向と性自認に対する差別、偏見、不適切な取り扱いを解消し、多様性を尊重する社会の構築に向けた第一歩となる法案だ。早急な成立が求められる。
通学路安全対策
本年6月、千葉県八街市で飲酒運転のトラックが下校中の小学生の列に衝突し、児童5人が死傷する痛ましい事故が発生した。事故を受けて全国で実施した、通学路の総点検結果を踏まえ、歩道の設置・拡充やガードレールの整備など、危険箇所への対策を講じる際は、子ども目線と地域住民の声に配慮した安全対策を進めていただきたい。
事故を起こした飲酒運転のトラックが自家用車と同じ白ナンバーだったことを踏まえ、一定台数以上の白ナンバー車両を有する事業者に対し、ドライバーのアルコール検知の義務付けなど、飲酒運転の事故を根絶するための取り組みを強化すべきだ。
歳費法改正 迅速に取り組め
政治家への国民の信頼なくして政治を進めることはできない。公職選挙法違反などを起こした国会議員の歳費などの取り扱いは、これまでも、たびたび問題視されてきた。
公明党は、これらの国会議員の歳費などについて、勾留された場合は支給停止、当選無効となった場合は返納を義務付ける骨子案を取りまとめ、8月末の与党骨子案の策定にも尽力してきた。
議員の不祥事が相次ぐ中、政治家自らが襟を正す姿勢を示していかなければならない。政治とカネの問題を二度と起こさないために、速やかな法改正をはじめ、不断に政治改革に取り組むことが重要だ。
山口代表に対する岸田首相らの答弁(要旨)
岸田首相らの答弁(要旨)
【岸田文雄首相】
<新型コロナ対策>自宅で使える飲み薬は、コロナ対策の大きな決め手だ。国産の経口治療薬の研究開発を積極的に支援するとともに、国民の安全・安心を確保できるよう、治療薬の確保に最大限に取り組む。
<新たなマイナポイント事業>(公明党の)提案を含め、今後、与党の議論を踏まえながら政府内においても検討を進める。
<出産育児一時金の増額>費用実態を踏まえた支給額の検討などを行う。
<不妊治療の保険適用>(来年4月からの開始に向けて)具体的な制度設計とともに、不妊治療のための休暇制度を導入した中小企業に助成金を支給するなど、治療を受けやすい職場環境の整備を進める。
次世代の人材育成に力を入れてきた公明党と共に、子どもを産み育てやすい社会の実現に向けて、子どもの視点に立った施策をしっかりと推進していく。
<核兵器廃絶>核兵器国も参加するNPT運用検討会議を重視している。次回こそは核兵器のない世界に向けて意義ある成果が得られるよう、関係国と緊密に連携していく。
<歳費法の改正>国会議員の歳費のあり方は政治活動の自由と密接に関連し、各党各派がそれぞれの考えを持ち寄って議論すべきもの。自民党総裁として、党内で議論が進むよう促していきたい。
【斉藤鉄夫国土交通相(公明党)】
<公共交通機関のバリアフリー>障がい者用ICカードや精神障がい者割引の導入、ウェブによる障がい者用乗車券の予約・決済の実現など、当事者の負担軽減に資する施策について事業者に対する要請や実務的な検討を行い、着実に進めていく。
2021年10月14日(木)付 公明新聞より引用
