■委員会視察です!(その3の2)福岡県大牟田市・住宅と福祉の連携による地域包括ケアの推進について
4)大牟田市の住宅と福祉の連携(居住支援協議会)の取り組み
前回のブログでは、認知症ケアを中心とした大牟田市の取り組みをご紹介しましたが、今回は住まいを中心とした地域包括ケアの推進。視察当日の第二弾として、建築住宅課から大牟田市居住支援協議会と空き家の利活用補助制度についてご紹介いただきました。
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■大牟田市の高齢者福祉の始まり
背景
・全国的な人口減少や都市部への人口流出などから空き家が急増しており、空き家対策が行政上、優先度の高い課題となっている状況がありました。また、高齢者や障がい者、低所得者、離職者などからなる「住宅確保要配慮者」も増加傾向にあり、住宅確保要配慮者にとって生活の基盤となる住宅を円滑に確保できていない問題も発生しておりました。
このようなことから、空き家の利活用や住宅確保要配慮者への円滑な住宅供給を進めていくことが、行政の取り組みとして求められる状況となっておりました。右の図は、当日配布資料より大牟田市の現状とそれぞれの分野における課題、またそこから考えられる対応先を加工しております。
大牟田市居住支援協議会の特徴
■空き家を活用(流通していない空き家に着目)
住宅・土地統計調査でいうところの「その他空き家」に分類される物件
★課題:相続トラブル関連、家族との思い出など
■空き家活用での家賃は、家の維持費程度(敷金・礼金なし)
★課題:所有者の理解を得ること
■事務局を市の社会福祉協議会が担っている
★課題:補助金による運営のため、運営の継続性
特徴からくるメリット
・さまざまな相談を包括的に受けることができる(居住支援=生活支援)
・市民ニーズに対して迅速な対応ができる。フットワークが軽い(予算措置面)
・相談内容(金銭管理が出来ない等)によっては、市の社会福祉協議会サービス(生活福祉資金貸付制度・日常生活自立支援事業・成年後見など)につなぐことができる
・入居後の生活相談などのフォローも、社会福祉協議会だからこそ可能
・地域福祉を展開するためのサロンとして、空き家を活用することは社会福祉協議会の得意技(大牟田市においては)
※補足で、住宅確保要配慮者は、生活困窮者自立支援の対象者でもあるが「生活困窮者自立支援の対応はするが、居住支援(住まい)は別」という庁内の声もある、、との談話。難しい組織の課題です。
■空き家の実態把握
【第一次調査】
・地域の民生委員さんに調査依頼。空き家調査など、マンション等の集合住宅を除く全ての戸建て住宅を対象に、外観による空き家悉皆調査(全て)を実施。
→空き家を外観で「使えそう、使えない、判断がつかない」の3つに分類し、地図上にマーカーをしてもらう。
※ここでかかった経費は、3色蛍光ペン代×民生委員300人分!
【第二次調査】
・地元の高等専門学校である、有明高専建築学科(鎌田研究室)に依頼し、老朽度などの調査を実施。
→空き家実態調査表を、小学校区と割り当てた空き家番号とで管理し調査票として起こす。
※ここでかかった経費は、有明高専への業務委託料80万円程度!
・校区別・老朽度別空き家戸数
戸建て住宅(一部アパートを含む)を中心とした空き家合計:2853戸
→その後の調査で戸建て住宅のみ:2333戸
・ランク分け
Aランク:そのまま使用が可能な状態
Bランク:若干の修繕が必要と思われる
Cランク:使用するにはかなりの修繕費がかかる
Dランク:損傷が著しく倒壊などの危険性がある
※市からの予算は極力かけず、話し合いを繰り返していく中で関係者から協力を得られ、産官学その他あらゆる方面と連携をしながら手作りで創り上げていく姿勢には、本当に頭が下がります。
■空き家所有者向けの意識調査(平成27年度)
1)調査趣旨
・空き家である可能性の高い住宅等の所有者に対し、その住宅等に関する状況の確認および将来の利用・活用に関する意向を調査し、今後の施策検討の基礎資料とする。
2)調査結果(速報)
・空き家の状態
昭和60年(1985年)以前に建築した物件が全体の65%
空き家になっている期間「3年~10年」58%
空き家になった理由「死亡」「入院・入所」約70%
・空き家の維持管理
維持管理のために「月1回以上の頻度で通っている」55%
維持管理に「年間10万円以上かかっている」約50%
困っていることで最も多いのが「自宅から遠い」45%
・空き家の活用等
空き家の活用について「売却したい、または売却してもよい」が最も多く43%
「貸してもよい」17%
「解体したい」12%
困っていることは「荷物・仏壇が置いたままであり、その処分に困っている」が最も多く24%
住情報システム(住みよかネット)に「登録したい」と回答9%
※空き家の管理に困っている実態はあり、売却(処分)したいという意向が強いが売れない
※空き家の期間が長期化しており、それに比例して老朽化も進んでいる
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■まとめ■
【大牟田市居住支援協議会の取り組みから見えてきたもの】
・居住支援とは中古住宅や空き家を確保するだけでは解決できない。
・人口減少社会、少子高齢化、生活困窮者の増加等、一人ひとりの生活の背景にあるものを考えなければならない
・居住支援は「生活支援」であることを理解し、多職種による行動連携が必要
【居住支援協議会を運営するにあたり求められるスキルとあり方】
・生活支援の専門家である福祉部局や社会福祉協議会との連携はとても重要。特に相談者の言葉の背景にあるものを聞き取れるスキルは大切
・都道府県の居住支援協議会の役割は、住民生活に密着している市町村の単独、または隣接都市で構成する協議会の設置支援および運営支援が求められる
・地域包括ケアシステムの構築は、福祉部局だけの政策ではなく、全ての部署に関係する政策と意識することが重要
・住まいとは、福祉(暮らし)の延長線で考えるべき時代。職員が少ない中、まちの生き残りをかけて10年後を見据えた大胆でしなやかな人事政策が求められている。
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■大牟田市 居住支援協議会(大牟田住みよかねっと)
↓ 詳しくはこちらのサイトへ
http://www.sumiyoka.net/omuta/akiya
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【今回学んだこと】
大牟田市においても、生活困窮者自立支援の取り組みは行われているものの、こちらの居住支援(住まい)は別との考えが根強いとのこと。確かに国では厚生労働省と国土交通省での役割分担がある中で、いち自治体で居住福祉を推進していくには、縦割りを超えた対応がますます必要と考えます。今後、公営住宅が積極的に建設される見通しは低い時代においては、民間賃貸住宅への入居が断られやすい高齢者・低所得者を支援し、入居拒否の不安を解消していく必要があります。
市役所で私がお受けする市民相談でも、公営住宅の抽選に外れたという相談が増加傾向にあります。生活費を切り詰めるにはまず比重の大きい住居費から、という考えから公営住宅に応募するケースも多いと聞いており、平成30年3月議会の教育民生常任委員会において、生活困窮者自立支援部門には公営住宅落選者情報を連携・共有いただけるよう要望をしましたが(毎回共有頂いているとの答弁でしたが)、住まいは、福祉とともに語られるべき時代に差し掛かっていると考えます。つまり、居住支援は「生活支援」であることを前提に考え、そこに関係する担当部署や関係機関による連携がますます必要と考えております。
賃貸集合住宅物件がわりと潤沢で、毎年1万人が市外へ転出し、同じくらい1万人が転入してくるといった特殊性がある本市において、居住福祉を推進するには今回の空き家の取り組みや入居マッチング、産官学その他さまざまな機関との連携の仕方を参考に、浦安市向けのあり方を見出しながら取り組んでいきたいと思います。




