■委員会視察です!(その1)福岡県大野城市・子ども食堂の取り組み
委員会視察の初日は福岡県大野城市。人口は平成30年で100,308人、市の面積は26.89㎡。福岡市の南部に位置し、筑後方面に抜ける交通の要所で栄えてきたまちです。現在も人口と世帯数は増え続けており、福岡市のベッドタウンとして高齢化率もゆっくり進んでいるとのこと(20.3%:平成27年10月時点)。
浦安市の高齢化率は16.77%(平成29年12月現在)であり、都内からのベッドタウンとして位置づけられている本市とも類似するまちにおいて、積極的に開催されている「子ども食堂」のお話しを伺ってまいりました。
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■区での「子ども食堂」の取り組み
・開催区:市内27区のうち14区(平成30年5月時点)
・開催回数:のべ20回
・開催場所:区の公民館
・利用者数:平均100人(スタッフ含む)
・その他:学習支援、卓球、オセロ、囲碁、将棋、折り紙、バルーンアート、読み聞かせなど
【担当部門:こども部 こども未来課】
★対象者が子どもであるということから、こちらの部門が担当とのこと。一般的に、公民館を使用し地域のコミュニティ活性化の目的から公民館部門であったり、困窮者対策として社会福祉部門であることをよく耳にするのですが、大野城市ではこども部で対応されているそうです。
※子ども食堂は困窮者対策ではなく、子どもの居場所づくりが目的とのことでした。困窮者対策と銘打ってしまうと、子どもが来づらいのでは?と考えたそうです。
■公民館での子ども食堂開催までの経緯
【課題】核家族・共働き・ひとり親の増加等により、子どもが一人で過ごす時間が増加
(留守番や孤食など、安全性、人とのふれあいの低下)
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子どもが一人でも安心して安全に過ごせる場所が必要との認識に立つ
平成28年1月:
NPO法人チャイルドケアセンターが、コミュニティセンターで大野城市において初めて子ども食堂を開催。
その後、個人や社会福祉法人、NPO法人が子ども食堂を開催。
平成28年4月:
NPO法人チャイルドケアセンターが区長会会長に取り組みを相談。
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区長会会長【子どもの成長には「安心できる場所や大人」などの『地域』の関わりが必要】
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平成28年5月:
区長会会長の地元区で「子ども食堂」を試行開催。NPO法人チャイルドケアセンターが運営を支援。
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平成28年11月:
区長会会長の提案により、NPO法人チャイルドケアセンターが大野城市の区長会で区の自主事業として子ども食堂の開催を呼びかけ。
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■公民館で子ども食堂を開催するメリットについて
(その1)
・調理室がある
・調理道具と食器が揃っている
・家から近い
・豊富な人材(福祉部、食生活改善推進委員会、子ども会等)
・経験や実績がある(イベントでの炊き出し等)
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地域住民と交流が可能(地域における子育て)
公民館を身近に感じる(緊急時の避難場所など)
(その2)
区は地域のつながりの希薄化を懸念しており、子ども食堂を開催することで、地域の活性化や公民館の活用につなげられる
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公民館が地域住民の居場所という新たな役割を作る
※支援が必要な子どもを見かけた場合は、市の専門の機関につなぐ
→もともと子どもの居場所づくりが目的であり、行政にとって来てほしい家庭の子ども等に来場を促したりはしていないとのこと。その分、学校や子ども会等で開催チラシやお知らせを配布してもらっているそうです。そこで開催側から気になった子の情報を市にあげていただき、それを連携・対応されているそうです。

★安全管理について★
子ども食堂開催時の食中毒や事故への対応
・食材の取り扱い
保健所から指導を受けたNPO法人チャイルドケアセンターが指導を行う(開催場所で調理する、食材には火を通す、手洗い・消毒の徹底、帽子・マスクの着用等)
・アレルギーチェック
当日の受付時に、参加者にアレルギーの有無を確認する
・保険対応
コミュニティ活動中における不慮の事故について、市の「コミュニティ活動災害補償制度」により補償
★NPOとのつながりについて★
NPO法人チャイルドケアセンター
・大野城市からの受託事業
大野城市留守家庭児童保育所運営業務(学童)
ファミリー・サポート・センターおおのじょう
大野城市ファミリー交流センター運営・管理事業
・自主事業(チャイルドケアセンター独自の子育て支援事業)
おおのじょう 子ども食堂-子どもの居場所づくりプロジェクト
中学校子育てサロン
南福岡エリア子育て情報誌『びぃ~んずキッズ』発行
↓ 詳しくはこちらのサイトへ
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■大野城市からの支援について
(その1)
・子ども食堂:安定的な食材の確保が重要
今後、自主性や独立性を確保するためには、市の財政援助が無くても継続可能であることが大事
且つ
・寄贈された食材:少しも無駄にせず活用したい
寄贈された食材を一括して取りまとめ、それぞれの「子ども食堂」に分配
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「ふくおか筑紫フードバンク」の基盤整備を支援
寄贈された食材の保管設備の整備に対して補助を行っており、多くの子ども食堂がこれを利用することで公益性の向上を図っています。
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(その2)
寄贈された食材の保管設備を確保するため、大野城市から補助金を交付
【補助額:400千円】
【補助金交付先:ふくおか筑紫フードバンク運営委員会】
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冷蔵庫・冷凍庫を購入し、寄贈された食材等を保管
【設置場所:協力企業の社員寮(場所提供の協定を締結)】
※市の今後の関わり方
1)子ども食堂開催の呼びかけ
2)開催周知(ホームページ等)
3)食材の寄贈や寄付金の呼びかけ
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■今後の課題について
【大野城市】
子ども食堂を持続可能な形で継続して開催できる仕組みづくり
支援が必要な家庭への情報の周知
【フードバンク(NPO法人チャイルドケアセンター)】
食材等の寄贈元の開拓
寄贈された食材等のより効果的な管理
運営資金の調達
【子ども食堂(区)】
効率的な運営(スタッフ管理・メニューの整理)
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【今回学んだこと】
今回伺いました子ども食堂の取り組みは、地域の区長さんの「公民館を子どもたちの思い出の場所に」との情熱が生み出したものであり、また視察時に閲覧しましたNHKの放送でもクローズアップされておりました。
区ごと公民館が存在するなかで、それぞれの地域住民が集まって食事を作り、子どもたちの居場所としてみんなで協力して運営。ふくおか筑紫フードバンクも、そこに様々なかたちで子ども食堂を開催している方々に運営支援をおこなっており、また市の支援も、関わり方として最低限にとどめている印象でした。また、このフードバンクへの寄付も厳格に管理されており、賞味期限や食材の種類(生ものはNG)、食べきれないほどの食材(保管しきれない量)等、お断りをしなければならないケースもあるとのこと。
すべての子どもたちが安心して過ごせる『居場所』とは、地域の大人たちの見守りがあり、子ども食堂で何かあったときの対処も保険(保健?)で対応できており、気がねなく安心して来られる場所、であることが条件と思いました。今回の大野城市の子ども食堂は困窮者対策ではなく、子どもの居場所づくりが目的としているところに、気持ちへの配慮・温かさを感じとりました。
また一方で、農林水産省が平成30年3月に子ども食堂における調査を行った際に「来てほしい家庭の子どもや親に来てもらうことが難しい」というレポートを。
↓ 詳しくはこちらのサイトへ
http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/hyoji/180412.html
もちろん日本全国、地域ごとの事情を含んだ上での運営があると思われますが、どのような思いがあるにせよ「すべての子どもたちを取り巻く環境として、居心地のよい子ども食堂ならば自然と広がりを見せてくる」と考えられます。今回の視察での学びは「子ども食堂はこうあらねばならない」と形づくってしまうのではなく、あくまで子ども目線で・自然体で、というのが最も感じたところでした。そのうえで、持続可能な運営と支援をそれぞれの立場で行うことが、今後、子ども食堂が地域に、多くの世代にとってなくてはならないものとして存在感を示していくことになる、との思いをふくらませました。



