Jiam 令和8年度第2回市町村長・議会議員特別セミナー2日目
第3講義
「公民連携で地域を再生する」~オガールが実践してきた協働 Design~講師:岡崎 正信 氏
岡崎氏は、岩手県紫波町(しわちょう)において、補助金に頼り切らない独自の公民連携(PPP)手法「オガールプロジェクト」を成功させた第一人者です。日本の行政手法や開発に対する鋭い指摘と、人間中心のまちづくり・土地価値向上への情熱的な論理は大変深い学びとなりました。
以下、講義の要点をまとめます。
1. 日本の開発・行政への問題提言と「土地の価値」
「不動産学」の欠如と日本の開発遅れ
日本には多くの「建築学部」が存在するものの、「不動産学部」を持つ大学は全国でたった1校(明海大学)しかありません。都市開発やまちづくりが「建築デザイン(ハード)」に偏り、「不動産の価値(経済性や持続可能性)をどう高めるか」という観点が欠落しがちであると指摘されました。
単年度予算主義の弊害
行政の公共事業は「単年度予算」で動くため、計画・設計・工事・運営がバラバラになりやすく、「誰がこのプロジェクトの維持・運営に最終的な責任を負うのか」が曖昧になります。作ることが目的化し、作られた後に放置され「ぐれた公共施設」となって周辺エリアの価値まで下げてしまう事例が多く見られます。
2. 人間主体で考える「居心地のよい空間」と土地価値
制度ではなく「人間の感覚」に向き合う
「歩きたくなる街(ウォーカーブルシティ)」を作る際、単に交通網(LRT等)を整備しても、日陰がなければ人は歩きません。欧州では上空から見た樹木の割合(樹冠率)を意識したまちづくりが進んでいますが、日本の都市計画では合理性から「樹木より駐車場」が優先されがちです。
心地よさが経済を生む
オガールでは、利便性を追求する駐車場ではなく、緑豊かな「広場(ランドスケープ)」を中心に配置しました。快適で居心地の良い空間(視覚・音・香り)を提供することが、結果として20〜40代を中心とする人々の滞留・移住を生み、地域の不動産価値を高める結果につながっています。
3. 「オガール」が実践した新しい公民連携(PPP)の仕組み
プロセスの逆回し(市場対話と銀行との信頼関係)
仕様を行政側で先にガチガチに決めるのではなく、金融機関(銀行)と対話し「事業として本当に成立するか(=お金が回るか)」を徹底検証しながら柔軟に仕様を作り上げる手法を採用しました。
稼ぐインフラと持続可能な運営
オガールプラザ(図書館・民間店舗等の複合施設)では、民間会社を設立して出資・融資を受け、図書館の集客力と民間店舗の収益性を組み合わせる構造を構築。税金に頼らず、地代や固定資産税を行政に納めつつ、借入金も全額返済・配当まで実現しました。
健全なバトンタッチ
事業が好調な時期(現役な時)に次世代へ経営をバトンタッチすることが、「終わらないまちづくり」のために極めて重要であると示されました。
【学びと気づき(ブログの締めなどに)】
行政・議員としての役割は、単に予算を使い切り施設を建てることではなく、「自分たちの街の土地の価値(不動産価値)をどう高め、持続可能な未来をつくるか」という経営判断を行うことだと強く実感させられました。
人間を中心においた空間設計と、自立した事業構造の両立を目指し、今後の地域づくりに活かしてまいります。
第4講義
「政策議会の質問力」
講師:法政大学法学部政治学科 教授 土山 希美枝
地方自治体議会論の第一人者である龍谷大学の土山希美枝教授の講義(研修)を受講しました。
一般質問の本来の意義や、市民の皆様の課題をどう行政に届け、解決につなげていくかについて深い学びを得ましたので、今回はその気づきと私の決意をお伝えしたいと思います。
「言ったもん勝ち」の質問から、「解決につなげる」質問へ
議会の「一般質問」というと、皆さんはどんなイメージをお持ちでしょうか?
「議員がアピールする場」「行政を追及する場」という印象をお持ちの方も多いかもしれません。
土山先生のお話で特に印象的だったのは、「一般質問は、単なる議員個人の発表会ではなく、まちの課題を可視化し、みんなで共有するための『政策の素材』である」という点でした。
単に「あれを作ってほしい」「これに予算をつけてほしい」と要求するだけの質問(土山先生はこれを「おねだり質問」と表現されます)では、行政から「検討します」という定型的な答弁を引き出して終わりになってしまい、本当の課題解決にはつながりません。
大事なのは、行政を論破することではなく、「どうすれば現場の課題が解決するか」を行政と一緒に考え、対話を動かしていくことなのだと再認識しました。
市民の「困った」を「仕組みの課題」としてとらえる
市民の皆様からいただく「ここが困っている」「こうしてほしい」という声は、どれも切実なものです。
これからは、いただいた声をそのまま行政に伝える「伝書鳩」になるのではなく、次のプロセスを徹底して一般質問に臨みます。
現場の「事実」を集める(市民の生の声と、数値や制度の現状)
「なぜその問題が起きているのか」を分析する(個人の問題ではなく、制度の隙間や仕組みの問題として捉え直す)
具体的な「解決策・政策提案」を組み立てる
一人の市民の方の「困った」の背景にある「構造的な問題」を見抜き、客観的なデータと論理をもって質問を作ることで、行政も動かざるを得ない「効く質問」に磨き上げていきます。
皆さんと一緒に、住み良いまちを作っていきたい
一般質問は、本会議場で質問文を読み上げて終わりではありません。
議会で浮き彫りになった論点を、その後の予算審議や委員会にしっかりと引き継ぎ、そして何より「質問した結果どうなったか」を市民の皆様にフィードバックしていく循環を作ることこそが、私の役割だと考えています。
「こんなことで困っている」「ここを変えたらもっと暮らしやすくなるのでは?」という疑問や声がありましたら、ぜひ私にお聞かせください。
皆様からいただいた貴重な声を、まちを良くするための「本物の政策」へと昇華させ、皆さんと一緒にこの街をより住み良くしていくために、これからも全力で取り組んでまいります!




