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一宮市議会議員 しばた雄二 今日も元気で

防災講演「南海トラフ巨大地震に対する地域の自主防災活動について」

2026年5月30日

2026年5月30日に開催された「一宮市自主防災リーダー研修会」における、名古屋大学減災連携研究センターの平山修久准教授による講演会を拝聴しました。
本講演では、能登半島地震や熊本地震などの過去の教訓を交えながら、南海トラフ地震への備えとして「安全な空間の確保(家具の転倒防止)」と「災害時の水・トイレ対策」の重要性が地域や個人の視点から詳しく語られました。
1. 過去の地震から学ぶ命の守り方家具の転倒防止による効果:
日本の地震災害では、伝統的に建物被害の約5%の割合で人的被害(窒息や圧死)が発生します。しかし、能登半島地震では緊急地震速報の活用と家具の転倒防止対策により、人的被害の割合が3.6%程度に抑えられ、100名以上の命が救われました。日常生活の中で対策を再確認する仕組み(災害文化)を作ることが大切です。 安全な空間の意識(熊本地震の教訓):
熊本地震では、本震の前に前震があったため多くの住民が避難しており、壊れた家屋の下敷きになる人が激減しました。自宅の中に「壁に囲まれた一番安全な空間(寝室の耐震化など)」を知り、確保しておく重要性が示されました。
2. 行政の限界と地域・個人の備え「65.8%」のからくり:
年間時間の約65.8%は、役所に職員がいない時間帯(夜間や休日)です。過去の大地震の多くもこの時間帯に発生しており、災害直後に行政(公助)がすぐ動けるわけではありません。そのため、地域や個人(自助・共助)による事前の備えが不可欠です。 寝室の安全:
日本人は年間の約30%の時間を寝室で過ごすため、まずは寝室に家具を置かない、または固定することが最優先の対策となります。
3. 災害時の「水」と「トイレ」の深刻な現実応急給水の盲点(3リットルの意味):
日本の水道局が掲げる震災後3日間の応急給水目標「1人1日3リットル」は、生命維持のための飲み水のみであり、トイレの水は含まれていません。最初の3日間は、各家庭や地域でトイレの水を確保する必要があります。 お風呂の水の有効活用:
トイレを1回流すには約5〜6リットルの水が必要です。お風呂に水を常に溜めておけば(約150リットル)、4人家族の約4日分のトイレの水を賄うことができます。 一宮市におけるトイレ対策:
南海トラフ地震が発生した場合、被害の大きな太平洋沿岸地域が優先されるため、一宮市に仮設トイレがすぐに届かない可能性があります。一宮市でもトイレトレーラーやマンホールトイレの整備が進められていますが、各自で携帯トイレを備蓄することや、説明書を読んで断水・停電時の自宅トイレの流し方を確認しておくことが強く推奨されました。
4. デジタル情報の活用とコミュニティの重要性デジタルデータの進化:
能登半島地震では、給水拠点や道路の通行可否、通水状況などがデジタルマップ(Googleマップや防災クロスビューなど)でリアルタイムに共有され、大きな進化を遂げました。住民自身もこれらの情報へのアクセス方法を知っておくことが役立ちます。 事前の訓練と避難所運営:
過去の事例から、事前に地域でトイレの設置場所や管理・掃除のローテーションを話し合っていた地域ほど、震災後の復興計画の住民合意がスムーズに進む傾向があります。実際に夜間の避難所開設訓練を行うなど、試して学ぶ活動が安心感に繋がります。
質疑応答(液状化地域でのトイレ対策について)参加者からの質問: 濃尾平野の液状化が激しい地域では、マンホールが浮き上がったり下水管が詰まったりして、風呂の水を流しても機能しないのではないか?
平山先生の回答: 近年のインフラ(マンホール)には液状化による浮上防止技術が導入されており、能登でも有効に機能しました。ただし、地域全体が激しく液状化する場合は個人の基礎補強や携帯トイレの多めな備蓄、地域の防災倉庫への分散配備などの個別の対策強化が必要です。

Jiam 第4講義 「カタチだけの福祉会議」で現場は死ぬ。重層的支援体制の予算削減から考える、本当の包括的支援とは?

2026年5月15日

ニッセイ基礎研究所・三原岳氏の講義「包括的な支援体制と重層的支援体制整備事業の今後の在り方」を聴講してきました。
自治体関係者の間でいま大きな話題となっているのが、「なぜ重層的支援体制整備事業の予算が大きく見直された(カットされた)のか?」、そして「これからの包括的支援体制はどうあるべきなのか?」という点です。
今回の研修で、その本質的な理由と、私たちが進むべき「本当の福祉政策」の姿が明確に見えてきました。
1. なぜ「重層的支援」の予算は削減されたのか?
国(厚生労働省)の想定を超えて、この事業を実施する市町村が一気に増えました。一見、良いことに思えますが、ここに大きな「落とし穴」がありました。
多くの自治体が、「隣の町がやるなら、うちもやらなきゃ」、「新しい制度(ハコモノや専任組織)をとりあえず作ろう」と、手段の目的化に走ってしまったのです。
国の本来の狙いと現場のズレ
国の狙い: すでに現場にある取り組みを「上乗せ(ステップアップ)」するために予算を使ってほしかった。
現場の実態: 「重層的支援」という新しい看板を掲げ、書類や手続きを厳密に運用すること(事務執行)ばかりに追われてしまった。
結果として、中身が伴わないまま予算だけが膨らみ、国は「義務的経費(カットされにくい予算)」である生活困窮者自立支援の枠組みなどへの誘導(予算の適正化)に舵を切らざるを得なくなったのです。
2. 制度の「狭間(はざま)」は、国が制度を精緻に作りすぎた結果
三原氏の指摘で最も腑に落ちたのは、「制度を細かく作れば作るほど、制度と制度の『断裂(はざま)』は大きくなる」という点です。
日本の福祉は、介護保険なら「要介護認定」、障害福祉なら「障害程度区分」と、対象を明確に区切って平等にサービスを提供してきました。しかし、その網の目から漏れる「複合的な課題を抱える人」や「孤独・孤立」のリスクは、制度を細分化するほど潜在化していきます。
かつては地域社会や企業の「支え合い」がその隙間を埋めていましたが、コミュニティの力が衰退した今、出口のない「福祉の混乱ケース」が多発しています。
3. 「ケースの押し付け合い」で終わる地域ケア会議の罠
多くの自治体で「地域ケア会議」や「多職種連携会議」が頻繁に開かれています。しかし、現場の職員や専門職はこう漏らします。
「会議ばかりやっていて、一向に具体策が進まない」「複雑な困難ケースのゴミ箱のようになっている」
なぜこうなるのか。それは、会議が「目の前のAさんをどうするか(個別支援)」だけで終わっているからです。
「個別支援」から「地域課題の把握」への転換
本来の地域ケア会議の目的は、個別の事例から「地域全体の課題」を抽出することにあります。
【例:引きこもりの息子と暮らす80代の高齢男性のケース】
間違った会議: 「Aさんに何のサービスをあてるか」「誰が担当するか」の押し付け合い。
正しい会議: 「この地区には退職した高齢男性の居場所がない」「男性が参加しやすいコミュニティが不足している」という地域の構造的な課題に気づき、仕組みを作ること。
個別ケースを地域全体の仕組み(地域づくり)へと昇華させなければ、専門職のマンパワーは擦り切れ、現場は死んでしまいます。
4. 今後、市町村はどう対応すべきか?(提言)
三原氏は、「人口の規模や財政の厳しさは関係ない。小さな自治体だからこそ、最初から全員の顔が見えていて包括的支援ができているケースもある」とエールを送ってくれました。
私たちがこれから取り組むべきは、新しい制度に飛びつくことではなく、「足元の工夫」です。
通知を「尊重して無視する」勇気
国の事務次官通知やガイドラインの通りに1ミリの狂いもなくやろうとすると、現場はガチガチになります。給付事業は厳密であるべきですが、包括的支援は「地域の文脈」に合わせるべきです。国の考え方を読み解いた上で、自社に合わない部分は良い意味でスルーし、地域のリアルに合わせる柔軟性が必要です。
住民を「巻き込む(タスクハメ)」のをやめる
行政はよく「住民を巻き込む」と言いますが、行政の都合で作ったイベントに住民を動員しても長続きしません。住民自身が「楽しい」「やりたい」と思える興味・関心のネットワーク(趣味の集まりなど)を行政が「おもしろがって応援する」関係性への転換が必要です。
「重層的支援事業」の看板はいらない
重層的支援体制整備事業(予算)を使わなくても、生活困窮者支援や高齢者福祉、あるいは独自の地域計画を使って「包括的な支援」はいくらでも可能です。手段に振り回されてはいけません。
結び:市町村議会議員としての決意
今回の講義を経て、私たちがチェックすべきは「予算がついているか」「事業を実施しているか」という表面的な数字ではないと確信しました。
現場の職員が会議の山に埋もれて疲弊していないか?
縦割りを排した「顔の見えるネットワーク」が本当に機能しているか?
行政が住民の主体性を奪っていないか?
足元をしっかりと見つめ直し、制度の枠組みを超えた「本当に温かい、持続可能な一宮市の福祉」を実現するために、今後の議会活動や政策提言に活かしてまいります。

Jiam 第3講義 孤立を生まない地域づくり〜身寄りのない高齢者支援と包括的体制〜

2026年5月15日

身寄りのない高齢者支援の限界を突破する!jiam「孤立を生まない地域づくり」セミナー受講レポート
本日(5/15)、jiam(全国市町村国際文化研修所)にて開催された、令和8年度第1回市町村議員特別セミナーに参加してまいりました。
今回は、その中でも特に私の胸に深く刺さった第3講義、「孤立を生まない地域づくり〜身寄りのない高齢者支援と包括的体制〜」(講師:身寄りなし問題研究会・代表 須貝秀昭氏)の学びと、一宮市の未来に向けた私の想いを共有させていただきます。
⭕️ 「溺れる赤ちゃんを助けるだけ」でいいのか?(感動のメタファー)
講義の冒頭、須貝先生は一つの印象的な例え話をされました。
川で溺れている赤ちゃんを個人のスキルで何度も助けていても、上流で赤ちゃんを川に投げ捨てている「怪物」を退治しない限り、根本的な解決にはならない。
福祉の現場では、ケアマネジャーをはじめとする専門職の方々が、制度の枠外の仕事(シャドーワーク)で身寄りのない高齢者を必死に支えています。しかし、個人の努力だけではもう限界に達しています。
私たち議員や行政がすべき「ソーシャルアクション」とは、この上流にいる怪物、つまり「単身高齢者を孤立させてしまう社会構造や制度の狭間」にアプローチすることなのだと強く再認識させられました。
⭕️ 「令和のサザエさん一家」が直面する、身寄りなし問題のリアル
昭和の時代に描かれた「サザエさん」のような理想的な家族像は、令和の今、大きく変化しています。3組に1組が離婚し、引きこもりや奨学金返済に追われる現役世代。自分の生活で精一杯で、親の介護まで手が回らないケースは珍しくありません。
須貝先生の定義によれば、「身寄りのない人」とは、単に親族がいない人だけではありません。「親族がいても、困った時に支援を受けられない関係性の人」すべてが含まれるのです。
こうした方々が倒れた時、現場では壮絶な問題が起きています。
保証人がいないと、病院が入院を拒否する(過剰なリスクマネジメント)
認知症が進行し、成年後見人がつくまでの「タイムラグ(約半年)」の生活費を誰が管理するのか
亡くなった後の「火葬・葬儀(死亡時事務)」の担当課が自治体内でたらい回しにされる
⭕️ この問いへの解:コーディネーターを活かす「2つのアプローチ」
「色々な支援はあるが、コーディネートする人がいないと上手く回らない。では、どうすればいいのか?」
この問いに対し、セミナーからは一宮市でもすぐに実践すべき2つの明確な突破口が見えてきました。
① 行政を巻き込んだ「組織判断(ケア会議)」の仕組み化
現場のケアマネジャーが孤立してお金や医療の判断を背負うのではなく、行政・弁護士・医師などを交えた公的な「ケア会議」で組織として役割分担し、判断する仕組みを作ること。これがあれば、独自の金銭管理マニュアルなどを通じて、即座に動ける体制が整います。
実際、新潟県魚沼市では、地域の「顔役(医師会、消防、特長、弁護士など)」を集めて、本人の意思決定を最優先する素晴らしいガイドラインを市主導で作成し、ICTで共有している先進例が紹介されました。
② 「制度」ではなく「土壌(ご助会・コミュニティ)」を作る
専門職が24時間すべてを支えるのは不可能です。必要なのは、法的なサービス(制度)の手前にある、緩やかなつながり(土壌)です。
須貝先生が実践されている「福祉のバー」や「おっさんレンタル」、そして「月1回集まり、エンディングノートを書き、入院時は着替えを届け合う本気の互助会」というアイデアは、まさに目から鱗でした。
しばた雄二としての決意
一宮市においても、 こうした「誰一人取り残さない、制度の狭間を埋める福祉の網の目」を構築することが不可欠です。
まずは、身寄りのない方が亡くなった後の火葬手続きの明確化など、自治体として「できること」の可視化を議会からも働きかけてまいります。
「毎日が文化祭の現場のようで、ワクワクが原動力」と語る須貝先生のように、私も一宮市の未来をワクワクする安心な街にするため、全力で行動してまいります!
皆様からのご意見や、地域の現場での困りごともぜひお聞かせください。

Jiam 第2講義 介護福祉業界における生産性向上とICT化

2026年5月14日

「介護を世界へ。ICT×日本流の『心のケア』が創り出す、一宮市発の新成長産業」
1. 介護のイメージをアップデートする
まず、これまでの「人手不足で大変」というイメージから、今回の講演で得た「テクノロジーで進化する」イメージへの転換を提示します。
本日、株式会社ビーブリッドの髙橋利明氏による「介護現場のDXと生産性向上」についての講義を受けました。そこで確信したのは、今の介護現場は「耐える場所」ではなく、最先端の技術で「人を守り、質を高める」クリエイティブな場へ変貌を遂げているということです。
2. 「特別なスキル」を補うテクノロジーの力
「誰でも適正なサービスができるモデル」について触れます。
ICTやAIの導入は、決して「効率化」だけが目的ではありません。熟練の勘や経験をデータ化し、AIが最適なケアをナビゲートする。これにより、経験の浅い若手や外国人材の方々でも、質の高いサービスを安心して提供できる土壌が整いつつあります。
テクノロジーが「目」や「耳」となって支えることで、職員は、機械にはできない「心を通わせる時間」を最大化できるのです。
3. 日本流の「心の介護」を輸出産業へ
日本が世界に先駆けて直面している超高齢社会を、ピンチではなくチャンスと捉える視点です。
日本には、相手を思いやる「おもてなし」の心に根ざした独自の介護文化があります。これにDXという強力なエンジンを組み合わせることで、世界中で通用する「日本型介護ビジネスモデル」を創出できるはずです。
かつて一宮の繊維産業(Bishu)がその技術力で世界を席巻したように、今度は「介護×DX」がこの街の、そして日本の新たな輸出産業として大きな期待を集めています。
4. 市議会議員としての決意
最後に、行政としてどう動くか、温かい決意で締めます。
ICT導入にはコストやアレルギーも伴います。だからこそ、現場に寄り添った「伴走支援」が必要です。私は一宮市のスマートシティ推進、そしてDXの知見を活かし、地域の事業所が孤立することなく、最新技術を味方につけて輝ける環境づくりに全力を注ぎます。
介護を「働きたい、託したい」と思える憧れの産業へ。皆様と共に、一宮から未来の介護を創っていきましょう。

Jiam 第1講義 地域共生社会の課題と展望

2026年5月14日

同志社大学 永田教授に学ぶ「地域共生社会」の課題と2027年法改正のポイント
1. 冒頭:講義を受けて
先日、同志社大学の永田祐教授による「地域共生社会の課題と展望」という講義を拝聴しました。
一宮市でも取り組んでいる「スマートシティ」や「防災・在宅避難」の根底には、常に「いかにして誰も取り残さない地域を作るか」というテーマがあります。今回の講義では、2027年の法改正を見据えた、非常に具体的かつ先進的な知見をいただくことができました。
2. なぜ今、「地域共生社会」なのか?(縦割りから横断へ)
これまでの福祉は、高齢者・障害者・子どもといった「属性別」の縦割り支援でした。しかし、現代の課題は、8050問題やダブルケアのように、一つの世帯に複数の課題が絡み合っています。
永田教授は、「制度の隙間に落ちる人をどう救うか」という視点で、既存の資源を「重ね合わせる(重層的支援)」ことの重要性を説かれました。これは、一宮市が目指す「DXによる行政の横串(よこぐし)連携」とも合致する方向性です。
3. 【重点】2027年施行予定:社会福祉法改正の3つの柱
講義の中で特に注目すべきは、現在国会で議論され、2027年(令和9年)4月から本格施行が予定されている社会福祉法の改正内容です。
① 「身寄りのない高齢者」への公的支援の創設
これまで民間サービスや善意に頼らざるを得なかった「身寄りがない方」への支援が、新たに「第2種社会福祉事業」として法的に位置付けられます。
入院・入所手続きの支援: 保証人がいない不安を解消。
死後事務支援: 葬儀や家財処分など、亡くなった後の手続きまで一貫して公的に支える仕組み。
② 小規模自治体向けの「特例体制」の整備
人口減少地域でも包括的な支援が維持できるよう、人員配置基準の緩和や、分野(高齢・障害・子ども等)を跨いだ「総合窓口」の運営をより柔軟にする特例が設けられます。一宮市のような中核都市においても、地域ごとの特性に応じた柔軟な体制づくりのヒントになります。
③ 成年後見制度の「柔軟化」
「一度利用するとやめられない」と言われてきた成年後見制度が、「必要な時だけ利用し、役割が終われば終了できる」仕組みへと見直されます。本人の意思決定を尊重し、権利を守りながらも、過剰な制限をかけない「適切な利用」が促進されます。
4. 結びに代えて:一宮市の未来に向けて
永田教授が仰った「地域にある材料(資源)をどう料理するかは、その街次第」という言葉が胸に響きました。
一宮市には、歴史ある「びしゅう(繊維)」の繋がりや、熱心な民生委員・ボランティアの皆様という素晴らしい「材料」があります。2027年の法改正を追い風に、デジタル技術(DX)を駆使して、これらの資源を網の目のように繋ぎ合わせ、孤独や不安のない「共生社会」を実現していく。その決意を新たにした講義でした。

自治体を「経営」するということ――都城市長から学んだ、地方創生の真髄

2026年5月13日

本日、最後「自治体経営による地方創生の実践とAI活用」と題したセミナーを拝聴しました。登壇されたのは、ふるさと納税やデジタル化で全国的にも注目を集める宮崎県都城市の池田宜永市長です。
そこで語られたのは、行政の常識を打破し、民間さながらの「経営感覚」で街を動かすリーダーの強い覚悟でした。
1. 市民の幸福を「利益」と捉える経営感覚
「自治体経営」という言葉。市長はこれを、「地域の経営資源(ヒト・モノ・カネ・ノウハウ)を最大限に活用し、利益の最大化=市民の幸福と市の発展を図ること」と定義されています。
民間企業が売上を追うように、行政は「市民がどれだけ幸せになれるか」という結果に徹底的にこだわる。
「役所は結果が出なくても潰れない。しかし、その損失はすべて市民にいく」
この言葉に、行政を預かる者の責任の重さを痛感しました。
2. すべては「人間力」というアナログな根っこから
都城市の取り組みで驚かされるのは、AIやDXといった最新技術の裏側に、極めてアナログな「都城フィロソフィ」があることです。
「挨拶をすること」「感謝を忘れないこと」といった当たり前の人間としての在り方を、全職員で共有する。
どんなに素晴らしいデジタル技術も、扱う「人」がしっかりしていなければ、良い結果にはつながらない。
「アナログな人間力があるからこそ、デジタルという手段が活きる」という考え方は、技術先行になりがちな現代において、私たちが最も忘れてはならない視点だと感じました。
3. デジタルとAIは、市民の恩恵のための「手段」
池田市長は、自ら「デジタルに詳しいわけではない」と断言しながらも、CAIO(最高AI責任者)として強力に旗を振っています。
失敗を恐れない風土: 「10個やって10個成功することはない。どんどん失敗しなさい」と背中を押す。
スピード感: 意思決定をトップ直結にし、行政特有の停滞を排除する。
目的の明確化: デジタル化自体が目的ではなく、それによって「市民がどう便利になるか」を常に問い続ける。
この「旗を振る勇気」が、書かない窓口やAI面接、生成AIの独自開発といった、全国トップクラスのDXを支えているのだと納得しました。
4. これからの自治体に求められるもの
「頑張っている自治体を支援する」という競争の時代。
他市と同じことをしていては、生き残ることはできません。自らの強み(都城市であれば「肉と焼酎」や「マイナンバー普及率」)を熟知し、戦略的に差別化を図る。
今回のセミナーを通じて、これからの自治体には「管理」ではなく「経営」の視点が不可欠であることを強く確信しました。
おわりに
「できない理由を探すのではなく、どうやったらできるかを考える」。
池田市長の熱いメッセージは、自治体関係者だけでなく、地域を良くしたいと願うすべての人へのエールのように感じました。
私も、この「自治体経営」という視点を大切に、自分に何ができるかを改めて考えていきたいと思います。

ドローン×AIで挑む有害鳥獣対策

2026年5月13日


【登壇者プロフィール】
小林 氏(昭和村役場)
 現場主義でドローン運用を牽引。自らパイロットとして最前線に立つ。
田仲 氏(ドローンメーカー)
 最新のドローンポート技術やグローバルな活用事例を提供。
近年、全国的にクマやイノシシによる被害が深刻化しています。これまでの「人の目」と「経験」に頼った対策に、今、ドローンやAIといった先端技術が新たな光を投じています。
福島県昭和村での実践事例をもとに、テクノロジーがどのように有害鳥獣対策を進化させているのか、その最前線をご紹介します。
1. 「見えないもの」を可視化するサーマルカメラの力
夜間や深い藪の中など、人間の目では限界がある場所でも、ドローンの赤外線サーマルカメラは威力を発揮します 。
夜間の偵察: 日中だけでなく、獣が活動しやすい夜間や日没後でも、温度差を利用して鮮明に個体を検知できます 。 


獣道の特定: 上空から俯瞰することで、地上からは判別しにくい「獣道(けものみち)」をくっきりと捉え、罠を仕掛ける場所の特定に大きく寄与します 。 


白黒パレットの活用: 多彩な表示モードがありますが、現場の検証の結果、白黒画像が最も個体を識別しやすいという結論に至っています 。 


2. 人の安全を最優先する「ドローン・ファースト・レスポンダー」
この技術の最大の功績は、「人の安全確保」にあります。
猟友会との連携: 現場に近づく猟友会メンバーの安全を確保するため、ドローンが先行して周囲を偵察し、リアルタイム映像で指示を送ります 。 


衝動72時間の覚悟: 山岳遭難時や緊急時、初動の72時間を無休で飛ばし続ける覚悟を持った専任チームが、人命救助と防除の両面で活動しています 。 


3. AIによる「自動検知」と「持続可能な運用」
飛ばして終わりではなく、得られたデータをどう活用するかが未来のカギです。
独自の学習モデル構築: 既存の物体認識では、上空からの俯瞰映像を正しく認識できないため、ドローン専用のAI学習モデルを開発し、目視に頼らない自動検知を目指しています 。 


ドローンポート(基地)の活用: 遠隔地から飛行指示を出し、自動で離着陸・充電を行う「ドローンポート」の実証も進んでいます。これにより、オフィスにいながら広範囲を監視する未来が現実味を帯びています 。 


行政の壁を越える: 「できない理由を探すのではなく、どうすればできるか」。生成AIなども駆使して、現場の職員自らがツールを作り上げる精神が、運用の持続性を支えています 。 


4. 対策の枠を超えた「多目的活用」
ドローン導入のハードルを下げるのは、その汎用性です。
インフラ点検への応用: 有害鳥獣対策だけでなく、橋梁点検や観光振興、豪雪地帯での積雪管理(3Dモデル化)など、一つの機体で複数の住民サービスを支えることができます 。 


コスト削減: 航空機を飛ばす調査に比べ、ドローンの直営運用は大幅なコストカットに繋がり、浮いた予算を他の住民サービスへ充てることが可能になります 。 



自治体公共WEEK 東京ビックサイト サバ缶、宇宙へ行く――「失敗できる環境」

2026年5月13日

サバ缶、宇宙へ行く――「失敗できる環境」が、あなたの好奇心をプロにする「サバ缶を宇宙に飛ばす」 。
一見すると夢のような、あるいは突拍子もない挑戦に聞こえるかもしれません。しかし、これは福井県立若狭高校の生徒たちが10年以上の歳月をかけて、本気で成し遂げた実話です 。 先日、このプロジェクトを支えてきた渡邉久暢校長と小坂康之教育長によるセミナーを拝聴しました 。そこで語られたのは、技術的な成功以上に大切な「人が成長し、ワクワクしながら生きるための本質」でした。 そのエッセンスを、皆さんの明日へのエネルギーとしてお届けします。1. 「心のエンジン」を回すのは、誰でもない「自分」探究学習において最も大事なのは、知識や技能よりも先に、「心のエンジン」を働かせることです。自分が人生の主人公になる: 宇宙サバ缶に携わった生徒たちには、「私がやったんだ!」という強烈な主体性(自己肯定感)が芽生えました。「面白い」に気づくプロセス: 自分が何に興味を持っているのかを自覚し、それを自由に探究できるとき、人は初めて「学ぶ楽しさ」を知ります。大人が面白がる: 教える側の大人が「面白がっている」姿を見せることで、生徒たちの心に火が灯ります。2. 「失敗」を恐れない、最強のセーフティネットセミナーで最も印象的だった言葉は、「失敗できる環境が大事」というメッセージです。成果主義の罠: 大学合格やコンテストの優勝だけを目的にすると、純粋な好奇心(ワンダー)は消えてしまいます。失敗は挑戦の証: 種子島でのロケット打ち上げが延期になった際、「大人も失敗するんだ」と知った生徒たちは、そこからさらなる学びを得ました。心理的安全性を守る: どんな意見も否定されない、フラットに話し合える場があるからこそ、創造性は生まれます。3. 「対話」が「伴走者」を生む一人で戦う必要はありません。大切なのは、共に歩む「伴走者」の存在です。フラットな対話: 教師も生徒も、上から教え込むのではなく「あなたの考えを聞かせてほしい」というスタンスで向き合うことが、探究の第一歩です。違いを力に変える: 一人ひとりの「違い」を認め、それがどう全体を良くするために繋がっているかを確認していく。それが本当の意味での「評価」だと小坂教育長は語ります。最後に:あなたの「ワンダー」を大切に教育や学びの目的は、管理されることではなく、自分を「解放」することにあります。「やってみなきゃわからない」 。
若狭高校の生徒たちが、市場に出回らない厄介者のクラゲを食品に変えようとしたり、故郷の海を再生しようとしたりしたのも、すべてはこの純粋な好奇心から始まりました。 もし今、あなたが「何かに挑戦したいけれど、失敗が怖い」と感じているなら、こう考えてみてください。「成功することがゴールじゃない。自分の人生の主人公になるために、ワクワクする方へ一歩踏み出すこと。それ自体が、あなたのウェルビーイング(幸せ)なんだ」と。サバ缶が宇宙へ行ったのは、特別な天才がいたからではありません。生徒たちが本気で挑戦し、大人がそれを信じて支え続け、みんなで「面白がった」結果なのです。あなたの心の中にある「サバ缶」を、宇宙へ飛ばしてみませんか?【プロフィール】渡邉 久暢 氏(福井県立若狭高等学校長):SSH(スーパーサイエンスハイスクール)事業と地域連携を基盤に、生成AI活用や探究学習を推進 。 小坂 康之 氏(福井県小浜市教育長):生物資源学博士。JAXA宇宙日本食認証に向けたサバ缶研究を指導。「みんなが主役の教育」を実践 。

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