総務委員会視察概要 2日目 日立市 スマートシティ推進計画・日立製作所との共創プロジェクト
総務委員会は、日立市において進められている「次世代未来都市スマートシティ構想」および、株式会社日立製作所と市が連携して推進する共創プロジェクトについて説明を受け、意見交換を行った。
本プロジェクトは、人口減少や少子高齢化、産業構造の変化といった地域課題に対応し、持続可能で若い世代が住み続けたいまちの実現を目指すものである。令和5年6月、日立市出身である日立製作所の徳永副社長(当時)からの提案を契機に、市と同社が包括連携協定を締結し、本格的に始動した。
スマートシティの基本的な考え方として、デジタル技術やデータを活用しながらも、「人を中心とした社会(Society5.0)」を目指す点が強調された。単なる利便性向上にとどまらず、市民一人ひとりに「1日1時間のゆとり」を生み出し、心豊かに暮らせる社会の実現を長期的なビジョン(2050年)として掲げている。
プロジェクトは、市と日立製作所が同じ庁舎内で職員を常駐させるなど、これまでにない密接な協働体制のもとで進められており、現在は両者合わせて約160名規模の体制となっている。行政と企業が対等な立場で地域課題に向き合う点が大きな特徴である。
具体的な取組は、主に次の三つのテーマを柱としている。
① グリーン産業都市の構築
再生可能エネルギーの地産地消や、中小企業の脱炭素経営支援を進め、産業競争力の強化と地域経済の循環を目指している。CO₂排出量の「見える化」システムを導入し、現在100社以上の中小企業が参加するなど、脱炭素と経営支援を両立させる取組が進められている。
② デジタル健康・医療・介護の推進
オンライン診療や24時間対応の医療相談、小児夜間救急のオンライン化などにより、市民の通院負担や医療現場の負担軽減を図っている。また、健康データの分析やAIを活用した疾病予測、在宅医療・介護情報の共有による地域包括ケア体制の強化など、「進めば健康になるまち」の実現を目指している。
③ 公共交通のスマート化
交通渋滞や移動手段の縮小といった課題に対し、交通データの可視化・分析を行い、効率的な交通施策につなげる取組を進めている。将来的には多様な移動手段を組み合わせ、誰もが移動しやすいまちづくりを目指している。
説明では、フィンランドなど海外の先進事例も紹介され、スマートシティの主役は市民であり、市民参加が不可欠であるとの考えが共有された。日立市では、若者世代を中心としたワークショップやアンケート調査を通じ、市民の声を計画に反映する取組も進められている。
今回の視察を通じ、スマートシティは単なるICT導入ではなく、企業と行政、市民が一体となって地域課題を「自分ごと」として捉え、解決に向かう長期的な挑戦であることを学んだ。日立市での取組は、人口減少時代における全国共通の課題解決モデルとしても注目されるものであり、本市における今後の政策検討においても多くの示唆を得る視察となった。

