第25期 自治体政策講座 in 東京3を受講
第1講座 「監査する視点からのDX推進とは」
紺野 卓 日本大学商学部 教授
DX推進にともなう監査の重要性:紺野卓教授の研究から紺野教授の主要な研究テーマや論文(特に「地方創生SDGsと内部監査機能の必要性の研究-自治体DXの進展およびSDGs債の検討を通じて-」など)に基づき、DX推進期における監査の視点と重要性を整理します。1. 監査の役割:DXリスクへの対応とガバナンス強化DXは単なる業務のデジタル化ではなく、組織の変革を伴います。この変革期において、監査は新たなリスクに対応し、自治体のガバナンス(統治)を確保する上で決定的な役割を果たします。DX推進にともなう主なリスク監査による対応と重要性セキュリティ・プライバシーリスクデータ漏洩、システムダウン、サイバー攻撃などへの対策(技術的な統制)が適切かを確認し、住民の信頼を守る。透明性の低下AIやアルゴリズムの利用がブラックボックス化することで、意思決定過程の**アカウンタビリティ(説明責任)**が果たせるかをチェックする。投資の効率性多額の予算を投じるDX関連事業が、真に住民サービス向上や行政効率化に貢献しているか、費用対効果を検証する。法令・規定の遅れ新しいデジタル技術の利用に際し、既存の条例や規約が適切に対応できているかを検証する。2. 地方自治体における内部監査機能の必要性企業会計を専門とする教授は、特に地方公共団体(自治体)において、内部監査機能を強化することの重要性を指摘しています。これは、従来の監査委員による外部監査だけではカバーしきれない、DX時代の複雑なリスクに対応するためです。内部統制の評価と改善:地方自治法に基づき導入が進む内部統制制度(事務の適正を確保するための仕組み)の自己評価(評価報告書)は、その有効性が課題とされています。監査は、この内部統制がDX環境下で機能しているかを客観的に評価し、継続的な改善を促す役割を担います。「守り」から「攻め」への変革支援:内部監査は、単に不正を防ぐ「守り」だけでなく、DXやSDGsといった「攻め」の政策が、効率的かつ効果的に実行されているかを支援する機能として位置づけられます。具体的には、地方創生SDGsの達成目標とデジタル政策が結びついているかを検証し、政策実現をサポートします。3. 自治体議会が「監査の視点」を持つ意義自治体の意思決定機関である議会が、DX推進において監査の視点を持つことは、住民の主権と利益を守る上で不可欠です。予算執行のチェック:DX関連の予算案や事業計画に対し、「その投資が将来にわたって住民に最大のリターンをもたらすか」「リスク管理は十分か」という監査視点での質疑を行う。アカウンタビリティの確保:デジタル化された行政サービスやデータ利用について、住民への情報公開のあり方を常に問い、説明責任を徹底させる。DX推進のバランス:行政の効率化(内部)と住民サービスの向上(外部)というDXの二つの側面が、住民目線でバランス良く進められているかを監視する。紺野教授の研究は、DX時代において、監査が単なる過去のチェックではなく、自治体の未来と持続可能性(SDGs)を確保するための羅針盤であることを示唆しています。
第2講義 「コメを守れ・地域を守れ」
山田 正彦氏 弁護士・元農林水産大臣
オーガニック農業への第一歩:未来の食卓と地域を守るために
先日の元農林水産大臣・山田正彦先生の講演「コメを守れ・地域を守れ」をお聞きし、日本の食料、農業、そして未来の食卓について、皆さんと深く考える機会を得ました。
特に、私たちの関心を強く引いたのは、食料の安全保障と地域の活性化に深く関わるオーガニック農業の可能性です。
なぜ今、オーガニック農業なのか?
山田先生の講演では、食料自給率の課題や、農薬・化学物質が子どもたちの健康(特に発達障害との関連)に与える懸念など、目を背けられない現実が示されました。
しかし、同時に希望も見えました。それは、学校給食へのオーガニック食材の導入を推進する全国的な動きや、自治体レベルでの種子条例・給食条例の制定といった、地域から国を動かす具体的な取り組みです。
子どもたちの健康を守る:農薬や化学物質の使用を減らすことは、次世代の健康を守るための重要な一歩です。
地域の活性化と食の安全保障:地域の農家がオーガニックに取り組むことで、農地が守られ、環境負荷の少ない持続可能な農業が実現します。これは、輸入に頼らない、いざという時の食料安全保障にも直結します。
世界の潮流への対応:農水省も2050年までに有機農地を25%に引き上げる「みどりの食料システム戦略」を掲げており、この流れは不可逆的です。
オーガニック農業の「今」を調査し、発信へ
私たちは、この大きな時代の変化の中で、オーガニック農業が持つ可能性、そして私たちが地域でできることを深く掘り下げていきたいと考えています。
今後の調査テーマとして、
実現に向けた課題と成功事例:有機農業への転換を阻む要因と、それを乗り越えて成功している国内外の農家や自治体の事例。
地域での具体的なアクション:自治体条例、学校給食、消費者と生産者の連携など、地域レベルでオーガニックを広げる具体的な方法。
経済的な側面:有機農業のコスト、収益性、そして消費者が適正な価格でオーガニック食材を手に入れるための仕組み。
✨ 未来の食卓を「地域から」変える
「農家が食べていけないのは当たり前」という現状を変え、農家も消費者も安心できる持続可能な食料システムを構築することは可能です。そのカギの一つが、間違いなくオーガニック農業と、それを支える地域コミュニティの力です。
皆さんのご意見や地域での取り組み事例も、ぜひお寄せください!

