定例の研修会で佐竹関学大教授が講演
  働き方改革と地方創生について意見交換

 県議会公明党・県民会議は、定例の研修会を7月17日、神戸市内で行い、佐竹隆幸関西学院大学経営戦略研究科教授が「働き方改革と地方創生」をテーマに講演しました。また、兵庫県の地方創生戦略や今後の課題などについて意見交換しました。

 はじめに佐竹教授は、人口知能の発達によって我々の生活に大きな変化が起こるとされるシンギュラリティ(技術的特異点・2045年問題)にふれ、デジタル化がもたらしたカメラのフィルムメーカーへの影響や冷戦後の防衛力整備に伴ってIT産業が発達したことなどを紹介し、昨今の大きな産業の流れを俯瞰しました。

 次に、第4次産業革命といわれる現在の環境の変化について、情報が偏在しいつでもどこでも情報や人とつながれるユビキタス社会から環境の側から必要な情報を必要な時に提供したり、快適な環境が保持できるアンビエント社会への移行などを説明。「IОT(モノのインターネット)とAI(人工知能)の開発が大きな変化をもたらしており、コンピュータが身近なものとなって、人と人、人とモノのつながり方が広がっている」とその特徴を話しました。

 これに関連して高性能なロボット、3Dプリンター、バーチャルリアルティの登場によって予測される様々な産業や雇用への影響などについても考えを示しました。

 また、18歳人口が減少しはじめ、人口減少と少子高齢化の指標ともなっている2018年問題への対応策として企業の第2新卒の採用に言及。兵庫県が行っている奨学金返還支援制度を説明するとともに他府県の制度と比較し「新卒者は就職後3年以内に3割が退職している。新卒者の情報は大学に入ってくるが、第2新卒者の情報はなかなかつかめない。大学と学生とのつながりを密にしてリクルート活動に繋げることが大事だ」と大学側に求められる対応についても話しました。

 次に、6月に国会で可決した働き方改革関連法の内容を確認し「働き方で大切なのは、本人にとって一番いい働き方で成果を出すこと。ワークライフバランスは本来、ワークイコールライフであるべきだ。働くことが生き甲斐や楽しみになること。生きがいや働き甲斐と日本的経営をどう結び付けていくかである」と持論を述べました。さらに「欧米のように企業や働き場所を渡り歩く文化は日本に根付いていない。そのあたりが変わると日本の産業は成り立たなくなる」とし、女性の働き方や外国人労働者の雇用が労働力の確保にとって重要になってくることを強調しました。

 最後に、働き方の一つとしてのテレワークに関して「テレワークは自身でマネージメント管理ができることが不可欠。在宅勤務は育児中や家族の介護をしている人にとっては最適だ。しかし、ずっとテレワークをするとオーナーシップが身につかない。日本の伝統や文化を保ちながら、どう労働力を確保していくのか。これも改革を進めるにあたっての課題となってくる」と締めくくりました。

 このあと、本県が進める地方創生戦略の概略を確認しながら意見交換しました。

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兵庫県 谷井勲
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