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定例の研修会で中野神戸学院大学教授が講演
  働き方改革の背景や目標について言及

 定例の研修会を6月18日、神戸市内で開催し、神戸学院大学現代社会学部の中野雅至教授が「働き方改革について」をテーマに講演しました。

 現在、少子高齢化による生産年齢人口の減少や育児や介護の両立など働く側のニーズの多様化とそれらへの社会的な対応が求められています。このような中、投資やイノベーションなどで生産性の向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を発揮できる環境づくりが必要になっています。

 働く人のそれぞれの事情に応じて多様な働き方が選択できる社会づくりで、一人ひとりがよりよい将来の展望を持つために、国は労働制度の抜本的な改革を行おうとしています。そこで、今回の研修会で、中野教授に働き方改革の概要や課題などを話していただきました。

 まず、「働き方に問題が出てくる構造は大学、役所、民間企業も大きく変わらない」とし、特に取り上げられている残業について「会議が長く、仕事の成果に過剰な品質やこだわった資料作りを望まれたり、仕事が特定の人に集中している」と原因をあげながら改善の必要性を強調しました。

 また、企業の人材確保への特徴ある取り組みや経済に影響が大きい国民の消費行動、現代人の未婚化の理由などに様々な角度から言及。出生率の低下に危機感を持ち、子育て手当や就労の環境整備などで出生率があがったスェーデンやフランスの事例を説明しました。

 その上で働き方改革の重要な柱について説明。一つは非正規雇用労働者の処遇の改善による正規・非正規の同一労働同一賃金で、2者間の不合理な待遇格差の解消を目指すもの。2つ目は長時間労働の是正。長時間労働により働き方が固定化され、子育てや介護との両立などが困難になるため、法改正により安心して働ける職場環境の整備を進め、社会問題となっている過労死に歯止めをかけるものです。

 さらに、3つ目はそれぞれの生活環境に合わせての労働環境の実現で、子育てや介護がしやすいように、時間や環境を選ばないテレワークなどの活用が不可欠となり、これらのあり方を解説しました。

 このほかにも、多様な働き方を進める企業モデルとして、社員に副業を解禁しているロート製薬、サイボウズの両企業を取り上げ、他の分野を知ることで新しい事業の芽を発見したり、社員のマネジメントスキルの向上が図れたりといったメリットと共に、これからの柔軟な働き方の形として紹介しました。

谷井県議様1

 最後に中野教授は「今後労働時間は厳しく管理される。どんなことがあっても過労死は防止していかなければならない。多くの企業が創意工夫して取り組んでおり、制度改革と共に各職場ごとに考えてしっかり取り組んでいくことが最も重要になる」と今後の方向性を示唆しました。

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兵庫県 谷井勲
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