H30年2月第339回 定例議会 谷井県議 一般質問

 谷井いさお県議が第339回定例県議会で、2月27日、一般質問に登壇しました。中では障がい児者や社会的養護が必要な児童へのきめ細かな支援策や夜間中学校の就学機会の提供推進、また尼崎の森中央緑地の魅力向上や尼崎総合医療センターの施設拡充など地元尼崎の発展に直結する課題などに持論を交えて当局の考えをただしました。

第339回(平成30年2月)定例県議会 一般質問 谷井いさお

質問項目

  1. 障がい児者対策について
    (1)県東部における障がい児者リハビリテーションの拠点設置について
    (2)障がい児者における短期入所サービスの充実について
  2. 社会的養護における高校卒業児童への自立支援対策の充実について
  3. 動物愛護センターのリニューアルについて
  4. 尼崎の森中央緑地の集客及びリピーター対策について
  5. 尼崎総合医療センターの施設拡充について
  6. 夜間中学校における集学機会の提供推進について

質問・答弁のダイジェスト

1、障がい児者対策について
 (1)県東部における障がい児者リハビリテーションの拠点設置について
谷井県議
 本県では、神戸市西区と播磨科学公園都市に障がい児者のリハビリに対応できる総合リハビリテーションセンターを設置しているが、人口のおおい阪神地域には障がい児者が一貫して診てもらえるリハビリテーションセンターが存在していない。我々公明党は毎年、政策要望会を開催し、各諸団体よりご要望を伺っている。その中で、阪神地域の障がい児者の保護者から「阪神間においては重度心身障がい児者に対して切れ目なく対応してもらえるリハビリテーション病院がないため、特に阪神地域の脳性麻痺等の障がい児者は大阪の森之宮病院や南大阪小児リハビリテーション病院まで通院しており、多大な負担を強いられている。そのためにも、早期に県東部に障がい児者に対応したリハビリテーションセンターの設置を」との要望を受けている。

 また、補装具の判定機能を有する身体障害者更生相談所については、現在、県立総合リハビリテーションセンターに併設されているが、阪神地域から重度の障がい者を連れて来所することは身体的にも負担が大きいため、併せて更生相談所の機能も県東部に設置してほしいと大変強い要望を受けている。

 本県では今年度、県東部における障がい児者リハビリテーション拠点設置に関し、現状把握や必要性の検討に着手したと聞いているが、県東部での障がい児者リハビリテーション施設等や身体障害者更生相談所のブランチ機能の必要性についてどのように考えているのか。また、来年度以降どのように進めていかれようとされているのか。

井戸知事
 ご指摘の県東部からの総合リハビリテーションセンターへの通院実態や他の病院への通院の状況などを確認のうえ、拠点病院の整備の必要性について検討する必要がある。今年度は庁内にプロジェクトチームを設置して、これら通院の実態の把握や専門家の意見聴取等を行っている。

 これまでのところ、阪神地域はまず、脳性麻痺等にも対応した障がい児のリハビリ施設が慢性的に待機状態であること。二つには18歳以上の障がい者が通院できるリハビリ施設がないという状況にあることが明らかになっている。来年度は、県東部におけるリハビリテーション拠点の整備について有識者会議を設置して、総合リハビリテーションセンター等との役割分担も踏まえつつ、まずその整備の必要性の有無や代替手段の有無、二つに、整備する必要があるとすると、その必要とされる機能、三つに、既存の病院施設との関連、四つに、小児科医等の専門人材の確保の可能性、五つに先進的医療機関との連携など、整備するかどうかの課題の検討を進めていく。

 また、阪神間における身体障害者更生相談所ブランチ機能については、更生相談所の利用者の約半数が阪神間に居住されている。二つに、高齢化、重度化により移動による負担が大きいという実情にもあるので、更生相談所へ来所が必要な電動車いすなどの補装具判定について、阪神地域の医療機関へ委託し、移動困難な障がい者の負担軽減に努める必要がある。来年度前半で委託する病院との協議や研修などを行い下期からの実施を目指す。

3、動物愛護センターのリニューアルについて
谷井県議
 本県では「動物愛護管理推進計画」に基づき、動物管理、動物愛護対策に努めてこられ、殺処分数は減少しているものの、平成28年度は犬264頭、猫1642頭、合計1906頭と、依然として多い状況にある。この間、ふるさと納税を活用した事業を私から提案し、平成28年度より子犬子猫の飼い主捜し応援プロジェクトを開始し、ミルクボランティアの育成、パピーウォーカーの育成、新しい飼い主の発掘・譲渡を推進している、年々譲渡数も増加しており、平成28年度では犬が150頭を超え、猫においては250頭を超えるようになっているが、更なる増加に期待するところだ。

 私の地元尼崎市では一昨年、猫の多頭飼育崩壊が相次いで発生している。地元の動物愛護ボランティアであるNPО法人の調査によると、無責任な飼い主が不妊去勢手術もせずに飼育した結果、猫の繁殖が拡大し、多数の猫が地域社会に流れ込んでいるのではないか、そして、そのような無責任な飼い主の中に独居老人もおり、中には認知症が疑われるような方もいるとのことである。

 今後急速に高齢化が進む社会における問題にも発展するのではないかと危惧するところだ。地域の見守りや民生委員の方々、ケースワーカー、ホームヘルパーなど福祉関係者の協力も得ながら、多頭飼育崩壊になる前の段階で予防できないものかと感じている。

 このような状況を見聞きし、これまで県と議論してきた中で、動物愛護センターではこのような状況を食い止めようと「猫の適正管理者及び推進のためのガイドライン」を平成29年3月に策定し、周知活動を積極的に行っており、県民への浸透を期待している。このガイドラインをいかにして県民に周知するかですが、例えば、尼崎市にある動物愛護センターは平成10年に整備され展示内容も古くリニューアルの時期を迎えている。そこで、動物愛護センター内に猫の適正飼養を啓発するスペースを整備し、そのスペースを活用したガイドラインの周知方法を検討してはどうか。それにより、屋内飼養・所有明示・不妊措置などへの理解も広がると考える。

井戸知事
 動物愛護センターでは、平成28年度から新たにふるさとひょうご寄附金制度を活用して、ミルクボランティアの協力を得て子猫を育て譲渡につなげる事業に取り組んでいる。また、本年度からは猫の飼い主の責任を明確にしたガイドラインを定め、それに基づいて猫の適正飼養の普及を図っている。また、高齢者等の多頭飼育の問題についても具体事例に対し県下5箇所の動物愛護センターが市町と連携しながら対処している。

 平成30年度には、開設20周年を迎える。これを機に機能充実のためリニューアルに着手する。まず、猫の適正飼養モデルルームを設置し、来館者に猫と飼い主双方に快適な居住空間を体験してもらい、完全屋内飼養を理解していただきたいと考えている。併せて、猫の譲り受け希望者とのマッチングを行う。次に、ライブラリーの蔵書を拡充して、絵本の読み聞かせなど子ども向け教育事業を行い慈しみの心を育てていく。

 第三に、多目的に活用できる啓発・レクチャーコーナーやふれあい広場などを整備し、動物愛護推進員や譲渡犬飼い主の会と協働して、来館者のニーズに応じて学び、体験できる事業、例えば、災害時の同行避難シミュレーションを行うとか、親子しつけ方教室を行うとか、ふれあい方教室を行うなど、学び、体験できる事業を展開していく。

4、尼崎の森中央緑地の集客及びリピーター対策について
谷井県議
 私は本会議などで、尼崎の森中央緑地の集客対策について提案してきた。一つには、芝生広場を整備し、音楽イベントや野外コンサート、花火大会、マラソン大会など多くの人が集えるイベントが開催可能な施設にすること。二つには、最寄りの駅から尼崎の森中央緑地までの経路と、尼崎の森中央緑地の外周にサイクリングロードを整備することやレンタサイクル、シェアサイクルなどを導入すること。また、サイクルイベントの開催や誘致を行うこと。三つには、若い方、特に女性をターゲットにしたスイーツハウスやレストランなどを整備すること。四つには、海に囲まれた立地を活用し、海に親しむための魚釣施設や釣った魚の販売などを地元密着型の施設運営による地域の活性化と交流の拠点とすることである。

 芝生広場の整備による各種イベントはすでに実施されており、サイクリングコースやレンタサイクル、スイーツハウスの設置など、整備計画に私の意見を取り入れていただいていることに大変感謝している。現在、第三工区で整備を進められているが、今までにない新たな取組によりリピーターを取り込める魅力のある施設にする必要がある。尼崎の森中央緑地の基本計画にあった、先端部分に浜辺を作る計画が見直されたが、尼崎21世紀の森づくり協議会の場でも、海に囲まれた立地を活かした魅力向上が必要との意見があったと伺っている。

 中央緑地に隣接して旧神鋼桟橋があるので、その桟橋も利活用し海に親しむ拠点を整備し集客増を図るべきであると考える。そこで、これら海辺の立地を活用する提案を踏まえた、尼崎の森中央緑地の集客及びリピーター対策の今後の方針、取組について所見を伺う。

水埜まちづくり部長
 今後、第3工区、ちょうど緑地の南側のエリアに「海辺の芝生広場」や外周園路のサイクリングコースなどの施設整備を進めて行く。このエリア井の東側にある、旧神鋼桟橋についても海に親しむ拠点として、例えば夜景クルーズの発着場や海釣り施設としての活用に向けて、尼崎市や地域の活動団体等と協議を進めていく。

 また、さらなる集客対策として、今年度大規模イベントの提案を条件として指定管理者の公募をした。この公募で提案のあった野外音楽祭やB級グルメなどのイベント、こういったイベントを継続的に実施するとともに、イベント時にはバスの臨時便の運航などのアクセス対策も実施していく。

 さらには、湾岸線の尼崎末広のIC、ここに近接していることから高速道路の路外パーキングエリア、これは一定時間内であれば高速を降りて休憩して、また高速に戻ってもチャージされない仕組みであるが、この活用とかさらには民間資金によるカフェやレストランの整備、こういったことも進めて、新たな来園者の取り込みも図っていく。

5、尼崎総合医療センターの施設拡充について
谷井県議
 平成27年7月に尼崎総合医療センターがオープンし、多くの市民から感謝の声が寄せられており、経済波及効果にも多大な貢献をしている。県立大学政策科学研究所・地域経済指標研究会による「県立尼崎総合医療センターの整備・運営に伴う地域への経済波及効果」によると、平成27年7月から29年3月まで、医療センター運営に伴う県内経済波及効果は年間ベースで558億円、阪神地域で492億円、尼崎市内で425億円の推定とされている。

 医療面のみならず地域経済への波及効果も高く、経営も安定し今年度決算では黒字にV字回復を果たす予定であると伺っている。県内には県立ひょうごこころの医療センターをはじめ、精神科医療を専門とする医療機関は多くあるが、身体合併症を抱える精神病患者に適切に対応できる医療機関は極めて限られており大きな問題になっている。

 医療センターの取組は、今まで精神科病院では治療ができない医療行為を実現する画期的な取り組みであり、高く評価するものだ。しかしながら、8床では阪神地域の身体合併症患者を十分には受けきれないのではないか。早期に病床数を増床すべきである。

 また、新たな研修医などを受け入れるための医局室などのレイアウト変更など、少ない空きスペースを利用する工夫をしていると伺っている。そこで、今後、医療センターとしての役割を維持発展するためにも、施設の拡充を早期に進めるべきだと考えるが所見を伺う。

長嶋病院事業管理者
 身体合併症に伴う姿勢疾患に対応するための精神病床を8床整備しているものの、県保健医療計画の改定案でも対応の充実が謳われるなど精神科身体合併症医療に対する病床を有する病院は尼崎医療センターと神戸市立医療センター中央市民病院の2カ所しかないことから、尼崎医療センターの精神病床の増床への期待が大きいのが現状である。

 また、今後構築される地域包括ケアシステムの中で高度急性期病院としての役割を果たすためには、これまで以上に在院日数の適正化が求められている。そのため、入院前の段階からの計画的な退院支援など新たな機能の強化も求められている。

 これらの課題に対応するには、施設拡充が必要だが現有敷地での拡充は困難な状況にある。そのため、隣接する用地の取得に向けて関係者と協議を続けているが、課題が多く合意に至っていない。引き続き、関係者と協議交渉を行い、早期の施設拡充に努める。

6、夜間中学校における就学機会の提供推進について
谷井県議
 本県の公立夜間中学校は、神戸市立の2校と尼崎市立の1校の計3校が存在するのみで、神戸市立の2校は神戸市在住者のみ、尼崎市立の1校は尼崎市在住者と在勤者のみを対象としているため、現状では他市町在住者の夜間中学校への入学はほぼ認められていない。国では昨年春、県が夜間中学校を設置する場合においても、教職員給与等に要する経費を国庫負担の対象とするよう、義務教育費国庫負担法の一部を改正している。

 また、夜間中学を設置している都府県では、居住地に関わらず都府県内の夜間中学に通えるよう都府県教委が調整を図っている例がある。例えば、大阪府では、夜間中学校設置市町との連絡会議の開催や広報紙やホームページなど広報媒体を活用した府民への啓発とともに、就学援助の補助を実施していない市町への協力依頼を行っているとのこと。

 兵庫県においても、既設3校の県立化、もしくは市立のままでも未設置市居住者からの受け入れが進むよう県教委の責務として積極的な調整を図るべきである。また、県内において、義務教育未修了者は神戸・阪神地区に限ったものではない。国勢調査では、姫路市とその周辺市で1000人を超える未就学者が存在している。さらに、不登校等により十分に義務教育を受けられないまま修了した方の数を加えると播磨地域でもかなり学び直しのニーズがあると予想される。

 このような質問を行えば「ニーズ調査を実施し、その結果を踏まえて対策を検討する」との答弁をいただくことがあるが「学ぶ場」があってこそ「学び」を求める人たちの存在が見えてくる、その声が聞こえてくるのではないか。教育機会確保法の第15条には「都道府県及び当該市町村の役割分担に関する事項の協議並びに当該事務の実施に係る連絡調整を行うための協議会を組織することができる」とあり、早期に協議会を立ち上げるべきと考える。

 夜間中学における就学機会の提供の義務は、地方公共団体にあると教育機会確保法で明記されており、本県の責務において義務教育未修了者対策の一つとして夜間中学校の整備も含めた迅速な体制整備を求める。

高井教育長
 本県では3校ありますが、在籍者数は最近の10年間を見ると、平成23年度151人おられたが、現在は77人と半減しており、その内4分の3、58人は中国・ベトナムなどの外国籍の方々である。在籍数は減っているが、隠れたニーズもあるのではないかという考えから、昨年8月に県内の市町教育委員会に対して、県民からの入学の問い合わせの有無等の調査を実施した。

 また、法律に基づく協議会については、まだ設置している都道府県はないが類似の組織を設置して、実際的な情報交換を始めたという都道府県が全国で18あり、本県もその一つ。昨年11月に夜間中学を設置している神戸市・尼崎市、過去に市民からの問い合わせがあった7つの市、過去に入学されていた市町も含めて、7つの市の教育委員会関係者と夜間中学の教職員による意見交換をした。

 そこで一つには、未設置市における夜間中学に関する認識が不足していること、市町に対応の窓口がないため潜在的入学希望者のニーズ把握が難しいということ、他の市の夜間中学に通学している方へ居住市から学用品費等の就学援助の例はあるが、居住市から設置市に対しての運営費用の負担が行われていないというような課題が明らかとなった。

 今後は、ボランティアが自主的に行われている、識字講座といったような義務教育内容の学びの場における状況調査を行い、調査等に現れないニーズを把握する。それから、既存の夜間中学の受け入れの広域化に向けた、設置市とのその他の市町間の費用分担などの運営上の課題の整理、窓口等の相談体制の整備を含めた研究を行う。

谷井県議(再質問)
 現在学び直しに行かれている方の中でも、夜間中学があるということを知らなかったという方が大半である。大阪府のように、こういう夜間中学という学び直しの機会、場所があることの広報をいろんな形でやるべきではないか。

高井教育長
 基本的な対応の方向が見えないまま、こんなことがありますからどうぞと言われても、神戸、尼崎両市が受け入れが難しい程の数が出てくるかもしれないので、まずは先程申しましたように、実際にどのようなニーズがあるのか、受け入れた場合にキャパシティはどうなるのか、費用負担はどうするのかといったような道筋をある程度、私どもが見い出したうえで、広く多くの方にこんな道を考えましたがいかがですかという形でもうちょっと詳細なニーズ調査をするということが考えられるかと思う。

谷井県議コメント
 未就学者がこれだけ県内にいらっしゃるという現状は、ある意味で教育環境の問題でもありますけれども、地域社会の問題として今、一億総活躍社会ということで、誰もが再チャレンジができる社会を作ろうと言われているわけですので、ぜひこういうものに対して、しっかり県民にアピールしていただき、すべての方が再チャレンジできる仕組みをぜひ知事も先頭をきって頂いて、総合教育会議の中でも議論していただきたいということをお願い申し上げたい。

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