県内中小企業の活性化について意見交換
 後継者育成や企業間連携の重要性を強調

 定例の研修会を6月16日神戸市内で開催し、中村智彦・神戸国際大学経済学部教授が「兵庫の中小企業に期待すること」をテーマに講演しました。

 中村氏はまず、アベノミクスなどで景気回復の兆しがみられるように言われている一方で、企業の2013年の休廃業数は約2万9000件で、過去10年間で2倍に急増している事実をデータで示しました。
「アベノミクスは大企業には恩恵をもたらしているが、円安などの影響もあり中小企業には原材料の高騰、若年労働者の確保の困難さなど依然、厳しい状況にある」と説明しました。

 それへの対策のひとつとして東大阪のロケット製作や東京都大田区のボブスレー製作などを例とし、シンボル的な産業の必要性を強調。「シンボルになるものを掲げることで、優れた中小企業があるというイメージを強くアピールできる。県やその他の自治体が支援することで地域ブランドにすることが可能となるはずだ。その上でさまざまな媒体を使ってのPRが不可欠」と中小企業と自治体との協力によって地域ブランドが作られることを解説しました。

 本県で地域ブランド創出の壁になっているものとして
▼神戸のイメージが強すぎる
▼多種多様にわたる産業分野がある
▼地域ごとの特色や特長の違いがある
―などを挙げ「本県において最大の問題点は県と中小企業、中小企業間の連携がうまくとれていないこと」と、今後県がコーディネイト役を担った取り組みに大きな期待を寄せました。

 また、これからの中小企業の発展にとってキーワードとなるものは「環境」「省エネ」「自然」とし、それら踏まえ世界的に注目され、時代の要請に合った技術開発につながり、オール兵庫で応援できるものが理想と指摘しました。さらに、そういう資源が県内にあるにもかかわらず生かし切れていない事例を示し「すでに実績があり産業創出の資源となるものを見つけ出し、産官学の連携で国内や国外にも大きく展開していく事が大切」との考えを話しました。

 最後に、これからの中小企業全体の課題として「企業間の連携を進めてきた世代が高齢化し、最先端産業といわれた医療・光産業の波及効果が低下してきている。せっかく県内に誘致・設立した優れた公的研究機関や教育機関をもっとPRしていってほしい」と述べ、事業継承者の育成や企業間連携の場づくりといった喫緊の問題を提示しました。

 このあとの質疑では、各県議から「中小企業の連携に必要なものは」「中小企業の情報発信における県の役割りは」といった質問が出され中小企業のあり方などについて意見交換しました。

コメントは受付けていません。

Twitter
ブログバックナンバー
サイト管理者
兵庫県 谷井勲
tanii-no1ama449@work.odn.ne.jp