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研修会で森田神戸市看護大学事務局長が講演
  地域包括ケアに向けての課題やあり方について言及

 定例の研修会を3月24日、神戸市内で開催し森田文明・神戸市看護大学事務局長が、国が計画している「地域包括ケアシステム」について講演しました。森田氏は神戸市保健福祉局高齢福祉部長、県後期高齢者医療広域連合事務局長、厚生省「地域包括ケア研究会 地域包括ケアシステム検討部会」委員などを歴任されています。当日は県内の公明党市町議会議員も出席しました。

 同システムは、高齢者が住みなれた地域で医療・介護サービスを一体的に受けられる体制づくりを目指すもので、平成27年から平成29年4月にかけて全国でスタートする計画。スタートするに当たり各市町での調整や体制への取り組みが求められます。

 森田氏ははじめに、地域包括ケアシステム実現への背景について、2025年には団塊の世代が75歳を超え後期高齢者が人口の約18%の2179万人となることを述べました。また、一人暮らしの高齢者や認知症高齢者の増加予測についてもデータを見ながら、介護サービスの効率化が急務であることを示しました。その際、介護保険の財政逼迫が予想されため、在宅介護のさらなる普及とその環境整備の必要性を強調しました。

 次に、同システムについて国が目指しているものとして
▽包括的ケアに不可欠な介護・医療・予防・住まい・生活支援の5つが自宅や地域で一体的に提供される体制づくり
▽病院の機能の分化や医療・介護の連携による効率的な医療の提供
▽都市部での後期高齢者の急増への対応
▽自治体の自主的な構築などを挙げ、NPO・民間団体との連携や介護人材の発掘・育成が欠かせないことを指摘しました。

 また同システム構築後の地域のイメージに関しては、概ね30分以内に必要なサービスが提供できる環境の整備や在宅医療や在宅介護サービスの提供体制の確保、高齢者の希望に応じてできる限り長く在宅生活が営むことができる―といった地域の姿を示しながら「連携が難しい多様な社会資源や専門職種がそれぞれの違いを超えての取り組みが不可欠になる。在宅介護をしている世帯でも、それが困難になればいつでも施設に入所できるという安心感を与えることを目指すべきである」と自身の考えなども話しました。

 さらに、同システム構築のポイントとして
▽自治体での担当部署の決定
▽地域医師会等との協議
▽人材の確保
▽経済的な負担能力を考慮した住民ニーズ
▽顔の見える関係づくりなどを挙げました。

一方、課題として同システムを担う主体としての県と市町の連携や市町の格差の問題などを指摘しながら「低所得者が利用できる高齢者向け住宅が少ないのが現状だ。阪神・淡路大震災後につくられた復興住宅など公営住宅の空き家を利用することも解決の一助となるはず。補助金の関係などクリアしていかねばならないものはあるが一つひとつを粘り強く解決していく姿勢が大切」と述べ「システムの構築とともに希望する人全員が活用できることがなにより重要だ」と付け加えました。

 このあとの懇談では、介護人材の確保に向けての財源やこれからの高齢化社会での行政の役割りなどについて意見交換しました。

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兵庫県 谷井勲
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