定例研修会で上崎時事通信社解説委員が講演
道州制の今後の方向性について意見交換

定例の研修会を3月22日、神戸市内で開き、上崎正則・時事通信社解説委員が「道州制をどう考えるか」をテーマに講演しました。これまでの国の動きや政党の考え方などを示しながら意見交換しました。

まず、上崎氏は「道州制は東京一極集中の解消や規制緩和が眼目。これまでは早くても30、50年のスパンで実現されるのではと言ってきたが、現在の政治状況から見て道州制への流れが速くなっている。慎重なのは民主党のみで、自民が基本法制定後5年以内、公明が基本法制定後5年を目途との主張をしており、国会での数的には多数を占めているので実現への可能性はある。しかし、各論でなかなかまとまりにくいだろう」と概ねの見方を話しました。

また、以前住んでいたカナダを例に上げ「自治権が確立されており、州の力が大きく、州ごとに税率などが違う。日本はそのようにできるのか。どこまで自治権を認めるか財界や官界では意見が分かれている」と日本と比較しながら実現への困難な要素も指摘しました。
次に、これまでの政府の道州制についての動きを説明。2006年(平成18年)に地方制度調査会からの答申が出され、内政に関して地方公共団体が担うことを基本とする見地から「道州制の導入が適当」とし道州の担う事務や区域例など制度設計についての考え方が示されたことや結局平成22年に道州制ビジョン懇談会が廃止されたことを解説。
しかし、最近道州制への動きが活発になってきた状況に関して「民主党政権の時には道州制の動きはなかった。昨年3月ごろから議論が活発になってきたが、日本維新の会の影響がある」とし、昨年の総選挙の際の各党の政権公約と具体的な項目を提示。「大筋では方向性は同じだが、各論になると違いが見られる」とスムーズな移行には課題が山積していることを強調しました。
また、道州制が求められる理由として「行政が画一化してきたが、一つの自治体だけでは対応できない問題が出てきたため広域的な対応が必要になってきた。また、行政サービスの向上に向け財政再建が不可欠。そのためには地方に権限を委譲する必要がある」と述べ、新潟県と新潟市、国とで就労支援と生活支援について一カ所で相談や申請ができる体制をつくって行政サービスの向上を図っている事例を紹介し、道州制での行政上の無駄の削減などをメリットとして上げました。その一方で「中心市と周辺市町が合併すれば、中心市は栄えるが周辺地域はさびれる可能性がある。州都に権限が集中し他地域は活性化できないのではとの懸念を持つ人もいる」と予測されるデメリットも示しました。
最後に「道州制の論議が一般的に盛り上がらないのは、市民へのメリットがわかりにくいため。道州制によって行政の無駄や国の膨大な負債が削減でき、国民の負担が軽くなるといったような分かりやすい説明が不可欠。何のためにやるのかを明確にし、現実を見つめながら早急に議論をしていくべきだ」と話しました。
このあとの各議員から「カナダが国全体として行政的にうまくいっているとのことだが、デメリットを乗り越えた方途は」「生活者の目線からのメリットの提示が急務では」との質問などが出され、意見交換しました。