環境を軸としたこれからの医療経営のあり方を提示

 県議会公明党・県民会議の定例の研修会が、7月17日、神戸市内で行われました。今回は明石市明石町の医療法人社団松井クリニック理事長でまついe-クリニック院長の松井豊氏が「現状の医療経営の問題点とISO14001認証取得のブレイクスルー」と題して講演しました。

 まず、医療機関の現状として、民間病院や公立病院の大半が赤字経営となっていることを述べ、医療費の家計に占める割合をデータをもとに諸外国と比較し、日本の医療費はそれほど高くないことを話しました。

 続いて透析医療の現況を説明。わが国の慢性透析患者は2011年末では30万4592人で前年度より6340人が増加。透析患者の平均年齢は毎年増加傾向にあり、導入患者平均年齢は1991年に58.1歳、2001年には64.2歳、また、2011年は67.8歳と10年間で6歳、20年間で10歳上昇しており、これらから透析医療の質の向上とともに年齢の上昇による諸課題を指摘しました。

 次に、透析患者数100人と仮定して病院経営の事例を提示。患者の診療回数やさまざまな設備にかかる費用などを具体的に算定し、人件費や諸経費の負担の重さを示しながら10年後に利益が出はじめる実態を示しました。さらに、現在は病院間で患者獲得のために豪華な施設・食事といった過剰な付加サービスの例も挙げながら今後の医療経営の問題点を示しました。

 最後に、自身のクリニックでISO14001を取得し取り組んでいる環境を軸とした医療の提供について解説。水の使用量やエネルギー使用量の削減、医療材料の製品の使用・廃棄には環境負荷の軽減を図っていることなどを説明。これによって無駄な経費やミスマッチをなくし、従業員の意識改革と全体的な業務改善が着実に進んでいることを詳しく述べました。

 このあとの質疑では、各県議から終末期医療のあり方や公立病院の経営の改善点などに関して質問が出され、意見交換しました。

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兵庫県 谷井勲
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