中野県立大准教授が公務員制度改革について解説
課題を指摘し今後のあり方を探る
県議会公明党・県民会議は10月27日、神戸市内で定例の研修会を開き、中野雅至・兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科准教授が公務員制度改革の動向について講演しました。
まず、公務員制度改革が求められる社会的背景や公務員制度改革のこれまでの経緯を説明しました。次に中野氏は「大学卒業程度の公務員志望者は、国家公務員試験に合格すると省庁ごとの面接試験で省庁ごとに採用され、試験の種類や能力に応じて昇進していく。しかし、限られたポストに入れなかった人材は民間企業や地方の出先機関などに行くか、独立行政委員会などいわゆる天下りへと至る」と組織構造を解説した上で「一つのポストに長期間とどまるケースが増えており、それも天下りなどの遠因になっている」と付け加えました。
また、自身の経験を踏まえながら「現公務員制度の中でも特に改善が求められているのが、各省庁間での強固なセクショナリズムだ。人事労務管理・給与などは各省庁統一・一律で、国家公務員という意識よりも所属省庁の一員としての意識が強い」と実態を解説。
さらに、日本と外国の公務員制度の違いを比較。アメリカは数千人の政治任用職がおり、政治家と官僚の二層構造となっていることやイギリスでは政治任用は少なく政治家と官僚の補完としてアドバイザー的な役割を担っていることを紹介。韓国は幹部候補の3分の1が民間から採用されるが、日本は資格任用制が徹底されており民間からの中途採用や政治任用はほとんど行われていないとの特徴を示しました。
公務員の人事評価については、民間企業での営業成績のように公務員の業務は数値化しにくい面があることや組織全体のレベルアップにつながる評価の必要性を強調しました。
最後に、官民の人材流動化の推進が急務であることを述べ「民間から各省に人材を受け入れるとともに、活発に行き来できる環境整備を推進していくべきである。官民の垣根を低くした幅広い官民交流の流れが求められていく」と今後の改革に期待しました。
このあとの懇談では、公務員の人事評価のあり方、公務員給与や首長の退職金などについて意見交換しました。