令和6年2月定例議会
2月定例議会・予算特別委員会での質疑の概要を報告いたします。
事業承継支援事業について
民間調査会社の昨年10月末現在の岡山県内企業の事業承継に関する調査結果によれば、事業承継の準備を始める目安とする経営者60歳以上の企業では、後継者不在が32.8%、全体では57.3%でした。後継者不在率はいずれも前回調査より改善されていますが、依然として中小事業者の後継者不足は深刻です。
地域経済や雇用を支える企業の事業承継を支援することは、大きな社会的価値があると思います。
質問 これまで取り組んできた事業承継支援の効果と課題は?
答弁 岡山市では、親族内及び従業員承継への助成や相談支援を中心に行ってきました。既に後継者が決まっている企業への支援は実施出来ているものと認識しています。
しかし、後継者が不在で事業承継を意識できていない経営者へのアプローチができていないこと、また、第三者承継のニーズの高まりにも対応できていないことが課題です。
質問 来年度、拡充されるところは?
答弁 来年度から、経営者にアプローチして事業承継の検討を働きかけていくとともに、第三者承継の伴走支援を行うことのできる人材を育成することにより、それぞれの企業に適した事業承継を選択できる環境づくりに関係団体と連携して取り組む予定です。
質問 第三者承継による事業承継の可能性がある中小事業者が市内にどのくらい見込んでいるか?
答弁 民間調査会社によると、第三者承継による潜在的な事業承継の可能性がある事業者は、全国で約30万社、岡山市内の事業者数に置き換えると約2,000社を想定しています。
質問 第三者承継の伴走支援とは?
答弁 地元企業との関わりが深い、商工団体や金融機関などの関係機関、中小企業診断士や税理士等の士業等に呼びかけて支援人材になってもらうための研修を行い、研修修了者に第三者承継の伴走支援者になっていただき相談支援を行うことを想定しています。
質問 地域のサプライチェーン(供給連鎖)の維持から、地元企業とのマッチングの意識も必要では?
答弁 第三者承継が地域内で行われることは重要な視点です。地元企業との関わりが深い方々に伴走支援を担ってもらうような役割を持っていただくことで、域内の承継に繋がっていくと考えています。
スタートアップ支援事業について
岡山市の経済成長の担い手として期待されるスタートアップへの支援を実施することにより、スタートアップが創出され成長が促進される環境づくりを、令和元年度からももたろう・スタートアップカフェ「ももスタ」で取り組んでいます。
「ももスタ」を中心とした支援策により、スタートアップの開業数が増えるなどの効果が出ています。
質問 スタートアップ企業数、市内ファンド件数は?
答弁 「ももスタ」は令和元年8月に開設して以来、官民一体となって起業の裾野の拡大、スタートアップの成長の支援に取り組んできました。
市内のスタートアップ企業数は、令和6年1月末現在41社に、ファンド件数は、6件に、いずれも増加しています。
質問 本事業についての評価と評価基準はどこに置くのか?
答弁 支援に地道に取り組んできた結果、徐々に認知度も高まり、イベントへの参加者数やスタートアップの創出数が成果として現れてくる状況になってきたと感じています。
創業支援のKPI(重要業績評価指標)として市内での創業者数を設定しておりますが、現状、スタートアップに特化した評価基準を定めていないため、今後、市内スタートアップ企業数や資金調達件数等、どのような基準と目標が望ましいのか検討していきます。
質問 既存企業や投資家とのマッチングの取組は?
答弁 スタートアップの成長においては、投資機関や地元企業など様々なステークホルダーの関わりが不可欠であると考えています。
スタートアップが急成長するためには、投資機関との接点が欠かせませんが、「ももスタ」で実施しているイベントやプログラムに積極的にベンチャーキャピタルを招くなど、投資家との接点を増やす取り組みを行っています。
一方、これまでの「ももスタ」の取組では、地元企業の関わりが少ないことが課題でした。来年度は、スタートアップと地元企業の新規事業担当者等の交流を促進するため、常時交流できるコミュニティを「ももスタ」に形成する取り組みを実施していきます。
質問 後継者「アトツギ」の支援内容について
答弁 後継者が家業を見つめ直し、個々の経験とビジネスアイデアを結び付けるための専門家相談等を行う集中支援プログラムを今年度は中小企業庁と、来年度は地元商工団体と連携して行っていく予定としています。
質問 単に起業家を増やすだけではなく、せっかくなら、企業価値10億ドル以上の未上場企業とされるユニコーン企業になり得るスタートアップ企業が岡山で育ってほしい。量と質を両立させる支援の必要性があるのでは?
市長 市内のスタートアップは、実は「ももスタ」開設前は、8社だったものが、今41社に増えています。また、中四国最大のスタートアップイベントなども市内で開催し、そういった場にも、私も出させていただいています。非常に積極的、前向きな人たちの集りで、これは面白いなという感じがしているところであります。今まさに株式上場の準備に取り掛かっているスタートアップ企業も市内に出てきていると、こういう状況です。
ユニコーン企業は、日本ではそもそも数えるほどしかありませんが、もちろん出来れば、ありがたいことですし、また、スタートアップをやろうとしている人もそういう気持ちで皆さんやっておられます。
我々も、支援させていただきたいと思いますが、それとともにスタートアップは、やはり、リスクがあります。リスクがあるので、すべてが勝つわけではありませんから、そういったいろいろな失敗もあると思います。そういった企業に対して、どうやって、手を差し伸べていくのか、また、何回も挑戦できるような、そういう環境をつくっていくのか、いろんなことを考えてやっていかないといけないのではないのかと思っています。
いずれにしても、官民挙げて、一体として、取組む必要があると考えています。
質問 岡山で活動する事業者にこだわりすぎず、岡山出身で首都圏に基盤を置く事業者へのアプローチもあっても良いのではと思うがどうか?
答弁 岡山市の出身で、首都圏等でされているさまざまな事業者、企業、起業家の方々は多くいらっしゃると認識しています。
東京事務所にも、産業担当を置き、首都圏で活躍する岡山出身の先輩起業家の存在をつかまえて、これから成長を目指す、岡山市のスタートアップの方々へ、先輩としていろんなアドバイスをいただけるように、人脈であるとか、そういったところを今、形成しているところです。
質問 個人が起業のインセンティブを持てるような制度など考えられないか?
答弁 スタートアップの起業に限ったものではありませんが、新年度より市内で法人設立した際に「岡山市創業促進助成金」の給付や、起業に関する事務手続きと相談をオンラインで対応する「ワンストップ開業サービス」を設置する予定で、今、動いています。
我々としては、そういったものを利用して、新たに起業される方々が、ドンドン出てきていただけるようになれば良いなと期待しております。
野犬対策事業について
近年、地域やボランティアの方々の協力により野犬の捕獲が強化され、捕獲頭数は増加傾向です。また、捕獲だけではなく、行政が自ら捕獲した野犬を専用施設で人に慣れさせる訓練を重ねて譲渡する取り組みが行われています。
しかし、保健所への収容数が譲渡数を上回る状況が続き、施設は満杯状態になることもあります。野犬対策を進めるため、野犬の捕獲頭数の増加により、ひっ迫している収容から譲渡までの体制の強化を継続することが必要です。
質問 これまでの捕獲数、譲渡数の成果は?
答弁 令和4年度は、捕獲数230頭、譲渡数187頭、今年度は、捕獲数172頭、譲渡数147頭です。(令和6年2月現在)
質問 野犬対策を進める上で、今後の収容施設等の拡充は?
答弁 今後は関係団体等の協力をいただきながら、捕獲数に応じた収容施設を確保できるようにしっかり取り組んでいきます。
質問 目指すところは、野犬の減少。今後、どのように野犬を減少させていくのか?
答弁 野犬を減らすため、野犬、うち子犬を、これ以上ふやさないようにすることが重要と考えています。捕獲数は近年増加して、成犬をより多く捕獲をしたことによるものなのか、その結果を見極める必要がありますが、子犬の捕獲数は、減少傾向が見られます。野犬の減少に向けて、引き続き取り組みを進めていきます。
地球温暖化対策事業について
岡山市は、令和3年2月に「ゼロカーボンシティ宣言」を行い、2050年二酸化炭素排出実質ゼロを目指すことを表明しています。各種計画に基づき、CO2排出削減目標を達成し、ゼロカーボンシティ岡山を実現するための道筋を示すことを目的として、昨年6月に岡山市脱炭素ロードマップを策定しました。
2050年二酸化炭素排出実質ゼロを達成のため、再エネと省エネを中心としたエネルギーシステムへの移行を実現することが脱炭素化だけでなく地域経済にとっても重要となると思います。
質問 スマートエネルギー導入促進事業補助金の来年度の予算額と今年度の予算額と申請状況は?
答弁 令和6年度予算額は2億9千万円です。また、令和5年度の予算額は当初が2億8千5百万円で、その後、9月に1億3千7百万円の増額補正を行い、4億2千2百万円となっています。
令和5年度の申請件数は、12月末時点で2,172件です。
質問 ロードマップには再生可能エネルギー導入促進が重点項目の柱の一つとして位置づけられており、スマートエネルギー導入促進事業補助金が一番効果があるのではないかと思うが、令和6年度予算額が、令和5年度9月補正後の予算額と比較すると減額となっている理由は?
答弁 今年度は国の物価高騰対策に係る交付金を財源として9月に増額補正をしたところであり、来年度も有利な財源があれば検討していきます。
質問 補助金申請が増加する中で、事務量の負担軽減についてどう取り組んでいるのか?
答弁 補助金申請処理業務に係る職員の割り振りを見直すとともに、「処理手順の見直し」や「AI-OCRの導入によるデジタル化の試行」等により効率化に取り組んでいます。
質問 この補助金に限らず、事務費について指摘があるが、本来ゼロカーボン達成のために時間を割くべきと思うが、委託を含めて負担軽減を考えてもよいのではないか?
答弁 外部委託も含めて検討していきます。

