【Q&A】 防衛装備の海外移転 国際共同開発への対応(公明新聞4/3付けより)
【Q&A】
防衛装備の海外移転
国際共同開発への対応
2024/04/03 3面

先端技術の固まりである防衛装備(武器と武器技術)は、一国だけで開発できる時代ではなく、国際共同開発が主流である。そこに参加すると日本も防衛装備の海外移転(輸出)の問題に直面する。国際共同開発が決まっている次期戦闘機に関し、政府は3月26日、平和国家としての移転のあり方を閣議決定した。この背景と概要をQ&Aで解説する。
■Q なぜ戦闘機を保有するのか
■A 専守防衛のために抑止力として必要
Q なぜ平和主義の日本が戦闘機を保有するのか。
A 他国からの一方的な武力攻撃があった場合、国民の生命と財産を守らなくてはならないからだ。四方を海で囲まれている日本は、空と海からの武力攻撃を阻止しなければならないが、必要な場所に高速で展開できる戦闘機なしにはとても対処できない。
Q 憲法9条の下で許されるのは専守防衛なのに、戦闘機のような強力な武器を保有できるのか。
A 専守防衛の下で保有が許されないのは、大陸間弾道弾(ICBM)や攻撃型空母のような明らかに他国の領土攻撃を目的にした武器だと政府は説明してきた。
陸海空の自衛隊は、戦車や護衛艦、潜水艦、戦闘機などの強力な武器を保有している。その理由は、これらがなければ武力侵略への“対処力”にならないし、また、保有することで相手に「攻撃すると手痛い反撃に遭う」と考えさせて日本への武力攻撃をためらわせる“抑止力”にもなるからだ。
Q 保有する戦闘機の機数と具体的な役割は。
A 戦闘機はF15、F2、F35の3機種合計で200機を超え、全て航空自衛隊が運用している。
戦闘機は武力攻撃の場合、相手の軍用機を攻撃する「空対空」戦闘や、海洋から侵攻する艦艇や上陸部隊を攻撃する「空対艦」「空対地」戦闘を担う。
一方で、平時でも領空侵犯の恐れのある航空機があれば、戦闘機が緊急発進(スクランブル)をして行動監視や退去警告をしている。2022年度の緊急発進は778回だった。
ただ、F2戦闘機は35年頃から退役するため後継機が必要であり、政府は英国、イタリアとの3カ国による共同開発を決めた。
■Q なぜ国産ではいけないのか
■A 科学技術が高度化、一国では対応不能
Q なぜ、国産ではなく国際共同開発なのか。
A 世界の科学技術の発展は日進月歩で、防衛装備も先端技術の固まりになっている。特に戦闘機は、もはや一国だけで開発・製造することは無理だと言われるほどで、実際、航空自衛隊が配備を進めている第5世代戦闘機F35も、日本は不参加だが米国を中心とした国際共同開発だ。
日本も高度な科学技術を誇っているが、防衛に関する最先端技術を全て独自開発できるほどの力はない。
Q 憲法の下、軍事大国にならないのだから、日本の技術の範囲内で次期戦闘機を開発すべきでは。
A 米国は、第5世代戦闘機としてF35とF22を配備しているが、F22と第4世代戦闘機との模擬空戦では、F22が108対0という撃墜率で完勝している。自衛隊の主力戦闘機F15、F2も第4世代戦闘機だ。
このように戦闘機の分野では技術の遅れは致命的であり、専守防衛のためにも高性能な次期戦闘機が不可欠だ。
Q 国際共同開発をした場合、パートナー国(英・イタリア・日)以外の第三国に次期戦闘機が輸出される可能性はないのか。
A それが今回、議論になっている。英・イタリア両国が第三国に輸出をした場合、日本は「部品と役務」は提供する。これは昨年12月の防衛装備移転三原則の「運用指針」改定で認めている。しかし、日本から直接、次期戦闘機の完成品を輸出するかどうかは結論が出せなかった。
そもそも、「武器移転三原則」には戦闘機のような殺傷能力の高い武器を輸出することは想定されていなかったからだ。ここが議論の肝心なところだ。
■Q 輸出が紛争を助長しないか
■A 平和主義を貫くため公明の主張で歯止め
Q 日本は武器全面禁輸ではなかったのか。
A 米ソ(当時)新冷戦時代の1983年に、日米同盟重視のため対米武器技術供与取極が結ばれ、全面禁輸に初の例外ができた。政府は2010年までに18件の例外を認めてきた。
民主党政権はこれらを整理して11年に海外移転の新基準を策定。その後、14年に自公政権が防衛装備移転三原則を閣議決定した。
Q その内容は。
A ①明らかに平和と安全の維持を妨げる場合は移転しない②移転は厳格に審査し情報公開を図る③目的外使用や第三国への移転は適正管理が確保される場合に限る―とした。
国連安全保障理事会の決議に反する場合などや紛争当事国には移転を禁止するが、「平和貢献・国際協力」と「わが国の安全保障」に資する場合は認める。国際共同開発・生産は安全保障に資する例とされた。
しかし、三原則の「運用指針」は、完成品の移転を救難・輸送・警戒・監視・掃海の5分野に限定している。戦闘機は対象外だ。
Q それなのに政府は、先月の閣議決定で完成品の輸出を認めた。
A 次期戦闘機に関し、「第三国輸出による生産機数拡大でコスト低減をめざす」とする英国とイタリアの考え方について、政府は高性能化にもつながると理解。日本も完成品輸出の努力ができる仕組みを整える方針にした。次期戦闘機に必要な技術開発をしたいのに、両国がコスト増大を理由に難色を示すようだと日本の安全が危うくなる。
しかし、公明党は戦闘機輸出は安全保障政策の大きな転換になると判断した。
そこで、まず完成品の第三国移転の方針を閣議決定し、将来は、輸出の個別案件ごとに閣議決定をするよう求めた。さらに、完成品輸出は①次期戦闘機に限定②輸出先も日本と防衛協力協定のある15カ国に限定③戦闘中の国は除外―とする歯止めも実現させた。
閣議決定には与党の了承が必要なため、与党議員が国会で政府の説明を求め国民的論議にできる。三つの限定も実効性がある。
Q 歯止めは不十分との批判もある。
A 「閣議決定を経て決めるということは、かなりの縛り」(作家・佐藤優『AERA』4月1日号)との評価もある。公明党は15年の平和安全法制の「自衛権発動の新三要件」も主導し、「不十分だ。明日にでも戦争に巻き込まれる」との非難を受けたが、そんな事態にはなっていない。












