20万市民の水源となっている福岡県筑紫野市の山神ダム上流で産業廃棄物処分場(同市)を運営する産廃処理業者が、営業許可を取り消された。県が再三の違法行為を「悪質」と判断したためで、地元住民らは産廃問題解決への大きな前進と歓迎する一方で、「撤去費用が捻出できず、廃棄物が放置されるのでは」との懸念を抱く。処分決定から1カ月が過ぎた7月29日、公明党の浜崎達也県議と筑紫野市の森田健二、佐藤政志、古瀬富美子の3議員が、住民代表とともに同処分場を訪れ、現状を視察した。
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 山神ダムは、筑紫野、太宰府、小郡3市住民の“水がめ”。その上流1・5キロ、佐賀県との県境の峠道沿いに同処分場があった。かつて頻繁に出入りしたトラックの姿はなく、閑散としていた。
 同処分場は、金属やガレキなど水に溶けたり腐ったりする恐れがない安定型廃棄物(5品目)の処理施設。ところが、1999年に硫化水素ガスによる死亡事故が発生。これに対し県は2003年、許可容量を超えた産廃の撤去や処分場の一部使用停止などを命じた。また、処分場に隣接する残土処分場への産廃不法投棄が発覚し、県は撤去期限を今年8月末まで延長し、改善を求めた。その最中の今年3月、最終処分の許可を受けていないのに中間処理せずに不法に埋め立てたとして今年6月、営業許可が取り消された。
 この日、処分場はイオウのにおいがたち込め、ガス抜きの筒からは湯気が上がっていた。同処分場の中原優改善対策室長は「土中で分解が進み、地中の温度は70度近い。撹拌するとガスが大量に発生、2次災害の恐れがある」と語り、違法に埋め立てた産廃の撤去が、安全上からも期限の8月末までの履行は難しいとの考えを示した。このままでは、現状回復のめどすら立たず、業者への不信は募る一方だ。
 地元住民の最大の関心事である環境汚染についての不安は、解消できずにいる。「処分場に浸水した水を一端、汲み出し溜めている」(同)という処理場近くの貯留池は、油を流し込んだような、どす黒さ。「処分場の水を処理した池でコイが泳いでいるものの、近くの沢には黒いサワガニが大量に生息。足の数が少ない奇形も見つかった」(住民代表の山下信行さん)。県や住民の調査で、処分場の排水や川底からウランやマンガン、鉛などが検出され、下流にある山神ダムの水質汚濁の懸念は、ますます深まる。
 県営山神ダム上流域産業廃棄物処理場対策連絡協議会の日永田敏光副会長は「今回の措置は歓迎するが、処分場浸透水の水質検査を厳密に行うべき」とクギを刺す。浜崎県議も「営業ができず、産廃業者でなくなっても改善措置を実行する法的義務は負っている」として、県が引き続き改善命令の履行と適正な維持管理の指導に当たるように訴えていた。

(公明新聞より)

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浜崎 たつや
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