『全住民の80%以上を検診』
『検診後の追跡率99%以上』
福岡県久山町で、住民を対象にしたゲノム(遺伝子)疫学研究が進んでいる。「久山町研究」といわれるもので、最終的に、住民の生活習慣病を予防し克服するのが目的。5日には公明党福岡県議団が、同町のゲノム疫学研究の拠点である「ヘルスC&Cセンター」を訪れ、尾前照雄同センター長や佐伯勝重・久山町長から同研究の現状と課題を聞いた。
同町は、福岡市に隣接する農村地域で、全域を調整区域にすることで都市化を拒んできた。そのため、人口は1960年に約6500人、今年は7857人(9月現在)と変動が少ない。
同研究は、九州大学、町行政や町民、開業医師の協力で61年に始まり、今日まで43年間、住民の検診データの収集と追跡を行ってきた。検診対象は40歳以上の全町民。尾前センター長によると、「全住民の80%以上を検診、検診後の追跡率99%以上、死亡者の80%に病理解剖が行われている」のが特徴。
2002年度からは、検診項目に血液採取が追加され、詳細な疫学調査と遺伝子解析によるゲノム疫学の研究が進んでいる。
席上、同センター長は「(久山町研究のように)43年間、一般住民の健康状態を把握している所はない。日本の宝であり、世界的にも注目されている。久山町から生まれた医学だといえる時代が必ず来る」と述べ、同研究が「貴重な歴史に残る仕事」であることを強調した。その上で、国、県による同研究への財政的支援を訴えた。
また、佐伯町長も、同研究が「宝の持ち腐れにならないよう、県、国レベルのプロジェクトに位置づけてほしい。久山の研究が世界に情報発信できるよう協力を」と語った。
久山町のゲノム研究については、公明党県議団の上岡孝生議員が今年9月の県議会代表質問で取り上げ、「研究成果が世界に誇れる遺産であることを考えると、財団法人や特区を設立してゲノム研究を全面的に支援すべきだ」と提案。麻生渡知事は「長い研究成果が具体的に使えるよう、県としても全力を挙げて取り組む」と述べ、支援に前向きな姿勢を示した。
この日の視察には、党県議団の北原守団長、広田誠一、森下博司、上岡孝生、浜崎達也、新開昌彦、高橋雅成、大城節子の8議員が参加した。北原団長は「県、国が連携を取りながら久山研究を発展させるよう促したい」と語っていた。
<ゲノムとは>生物が生きゆくために必要な一組のDNA(遺伝情報)のセットをいう。人間の全遺伝情報(ヒトゲノム)の研究では、個人個人の遺伝子を調べることで遺伝性疾患の要因や、将来の発症リスクなどが明らかになり、新しい予防・治療法につながるものと期待されている。
(公明新聞より)
