福岡都市圏の慢性的な水不足を解消する“切り札”として、注目されている海水淡水化施設整備事業のプラント施設と取水施設の起工式がこのほど、福岡市東区奈多の現地で行われた。公明党が提唱した同事業は、福岡市など福岡都市圏の二十一市町で構成する福岡地区水道企業団が進めており、総事業費は約四百四十億円。二〇〇五年度から日量五万トンの給水を目指している。
「気候に左右されずに水道水を安定供給できる最新技術を駆使した世界的にも画期的な施設」。福岡地区水道企業団運営協議会長の山崎広太郎福岡市長は、こう胸を張った。起工式に参加した公明党の広田誠一(県議)、浜崎達也(同)、中原貢、上野忠之、志岐安彦(以上、福岡市議)、成吉大二(前原市議)、尾川辰実(大野城市議)の各議員も、ようやく夢が現実となった喜びに目を輝かせた。
同事業は、玄海灘からくみ上げた海水を半透膜に通し、淡水に変える仕組み。ダムと比べると建設期間が短く、天候に関係なく安定給水できるのが大きなメリットとなっている。海水淡水化の都市部への導入は沖縄県に次いで二例目だが、恒久的な水対策としては初めてで、全国の水不足に悩む自治体からも熱い視線を浴びている。また、高塩分の海水と淡水の塩分濃度差を利用した発電など、さまざまな新研究の可能性も秘めている。
海水淡水化の流れは、取水と淡水化の二工程に分かれており、まず、砂のろ過作用を利用するために海底に埋めた取水設備できれいな海水を取水(浸透取水方式)。
次に取水した海水を、調整設備で細菌類などを除去した後、逆浸透設備で淡水化を開始する。塩分を通さない半透膜で海水と淡水を仕切り、海水側に高圧力をかけると淡水が得られる。
高圧に耐えられる膜を使用することで海水の六割を淡水化でき、従来の四割から大幅に向上させた。浸透取水方式や高性能の膜などの開発でコストダウンを図るとともに、淡水化で生じる圧力エネルギーを回収、還元して省エネに利用する。建設される施設は国内最大級で、完成すれば同都市圏で使用する水道水の約一割を供給できるという。
同都市圏には一級河川がなく、ダム建設の適地も乏しいため、長年、水不足に悩まされてきた。一九七八年に二百八十七日間、九四年には三百日間にも及ぶ給水制限を経験。“水なし生活”を嫌というほど味わってきた。
公明党福岡県本部は九二年二月、慢性的な水不足の解消を目指し、他党に先駆け「福岡都市圏水対策本部」を設置。故・横尾和伸氏(当時、参院議員)が中心となり、海水淡水化事業の導入をいち早く提唱した。コストがかかるとの理由で、福岡市など行政は難色を示したが、九三年七月には同対策本部の粘り強い推進で、関係自治体の首長が一堂に会した「福岡都市圏水会議」が初めて開催され、同都市圏が一体となって水対策に取り組むきっかけとなった。
海水淡水化施設は、“水なし生活”解消の“切り札”となるもの。関係住民の期待は大きい。
(公明新聞より)
