軽症者の自宅療養に活用
厚生労働省は3月19日、新型コロナウイルスの感染が爆発的に拡大した際の臨時措置として、自宅療養する軽症者へのオンライン診療や薬の処方を認める通知を都道府県などに出した。通院せずに自宅で経過観察できれば、病院での待ち時間や対面診療による感染リスクを抑えられることから、公明党が活用を訴えてきた。
新型コロナに感染した人は、軽症や無症状でも入院治療を受けるのが原則だ。しかし今後、さらに感染が拡大すれば、重症者の病床確保を優先する場面も想定される。このため厚労省は、軽症者らが自宅で療養できるようオンライン診療の活用を進める。
オンライン診療の対象疾患は、これまで生活習慣病などの慢性疾患に限られていたが、今回の通知で新型コロナ感染症にも広がった。初診は原則、対面診療だが、その結果、陽性と判断されて自宅で療養することになった患者の経過観察はオンラインでできる。症状の変化に応じて解熱剤など必要な薬を処方することも可能だ。
既に高齢者や持病のある人については、オンライン診療の特例が認められている。厚労省は2月末、高血圧の薬など普段から処方されている薬を病院や薬局に行かなくても受け取れるよう、手続きを簡略化した。
■高齢者、持病の人も 薬処方は電話でもOK
これらの診療は、オンラインに加えて、電話も含まれる。問診のみの電話は診察の幅が狭まるが、オンライン機器の扱いに不慣れな高齢者を念頭に置いた。
3月上旬から“電話処方”を始めている川崎市立多摩病院の担当者は、「電話での薬の処方に移行する患者さんが増えてきている」と説明する。
■ビデオ通話で症状把握/専門医「患者負担を減らせる」
オンライン診療のシステムを先行して16年6月から導入している医療機関がある。千葉県いすみ市にある小児科の「外房こどもクリニック」(黒木春郎院長)だ。スマホやパソコン用の診療アプリを使い、重度心身障がいなどで通院が困難な患者の診療にも役立ててきた。
モニターに映る患者の様子は、発疹の有無や、喉の腫れ具合を把握できるほど鮮明だ。新型コロナの対策にオンライン診療を活用することについて黒木院長は、「感染が疑われる人や軽症者の診察は十分に可能。感染を広げず、患者の負担も減らせる」と強調する。
一方、オンライン診療の設備が整う医療機関は限られている。18年に行った厚労省の調査では全体の1%に満たなかった。対象とする疾患数が少ないことや、初診は対面診療を原則とする規制などが普及の遅れの一因となっている。政府は3月31日、新型コロナへの対応強化策として、初診からでもオンライン診療が受けられるよう規制緩和の検討に入った。
■医療機関への導入後押し/党厚生労働部会長 高木美智代衆院議員
新型コロナの感染が国内で発生した当初から、公明党は政府に対しオンライン診療の活用を繰り返し訴えてきた。感染が疑われる患者と、高齢者や慢性疾患のある定期受診患者の接触を減らし、病院内での感染拡大を防ぐためだ。
3月31日に首相へ提言した党の経済対策にも、(1)医療機関に対し、情報通信設備の導入支援(2)感染が疑われる患者や、自宅療養する軽症者へのオンライン診療の保険適用――の2点を盛り込んだ。
日本のオンライン診療は、限られた対象疾患からスタートしており、先行する諸外国に比べて体制整備が遅れている。今回の新型コロナへの対応を機に、普及加速を後押ししていく。















