EDACEFC4-D0F2-4F55-9920-0703603992CD内閣総理大臣
菅 義偉殿
令和2年10月9日
公明党 女性委員会
真の男女共同参画社会の実現へ すべての女性が安心して希望をもって生きられる社会を目指して
国連の持続可能な開発目標(SDGs)のゴール 5 には、ジェンダーの平等と 女性の能力強化が謳われている。日本も女性活躍のための法整備を進め、目 標を掲げて、着実に進めている。しかし世界の進み方は日本をはるかにしのぎ、世 界と日本との差は拡大する一方で、年々低下するジェンダーギャップ指数 121 位にそれが端的に表れている。
公明党は、全国約 3000 名の議員の 3 割を占める女性議員が、国・地方に おいて、女性の強い願いを受けとめ、署名活動や議会質問等を通じて、女性の 視点を生かした政策に取り組み、妊婦健診や出産・育児一時金の公的助成の 拡充を実現した。 2000 年 4 月には不妊治療への公的助成を求める署名活動 を展開し、2003 年 5 月に与党で合意して 2004 年度から助成をスタートさせる など、諸政策を粘り強く推進してきた。
新型コロナ禍の本年、女性登用が後退するとの指摘があるが、一方で、これ まで人権問題として捉えられてきた男女共同参画が、新型コロナ禍をきっかけに、 社会や経済を、将来にわたり持続可能なものとするためにこそ、必要不可欠な考 えであると多くの人が気づいているとの指摘もある。新型コロナ禍にあっても、さらに 強く、男女共同参画の取組を加速化させることが求められている。
本年、公明党女性委員会は全国各地で、さまざまな立場にある女性の声に 耳を傾ける「ウイメンズトーク」を開催してきた。新型コロナ対策等の緊急の課題 に対応しながら、「3 密」を避け、感染予防に最大限配慮しながら、オンラインな ども活用して各地域で開催している。
この度、「ウイメンズトーク」の中で聞いてきた女性の声を踏まえ、すべての女性 が安心して希望をもって生きられる社会を目指し、あらゆる分野の女性を応援す るための提言を以下にまとめた。早期に実現することを強く要望すると共に男女共 同参画に関する事項について、「第 5 次男女共同参画基本計画」に反映さ せることを求める。
1

提言1 女性の社会参画をさらに進めるために
1‐1 男女共同参画の推進
国は、2003 年に、2020 年までに指導的地位に占める女性の割合を 3 割と するとの目標を定めている。この 3 割には、1 割では周りの男性に飲み込まれるが、 3割になると様々な立場にある女性の意見を出すことができ、多様性が担保でき る社会に繋がるとの意味がある。しかし残念なことに、目標に掲げた「202030」は、 達成できなかった。この事実を真正面から受け止め、なぜ達成できなかったか、国 としての検証をすること。
それを踏まえ、早急に指導的地位に占める女性の割合 3 割を達成し、将来 的には 5 割を目指す。そのための環境整備を行うこと。
1-2 選択的夫婦別姓の導入等
日本の夫婦同姓は国連女子差別撤廃委員会から「差別的な規定」と繰り 返し勧告を受けている。また、国の調査において、「夫婦が婚姻前の名字(姓)を 名乗ることを希望している場合には、夫婦がそれぞれ婚姻前の名字(姓)を名乗 ることができるように法律を改めてもかまわない」と答える人の割合は 4 割を超え、 夫婦同姓や通称名使用を支持する人より多いなど、選択的夫婦別姓への国 民の理解は年々広がっている。
仕事をはじめ社会における女性の活躍が進む中で、婚姻により名字(姓)が 変わることは、婚姻により名字(姓)を変えることの多い女性にとって、社会経済 生活をおくる上で大きな障害となっており、活躍を阻む要因となる。また、一人っ子 同士の結婚では、お互いの名字(姓)を変えにくい場合があり、結婚の阻害要 因となっている場合がある。
こうした現状を踏まえて、夫婦別姓を望む当事者のためにも、男女共同参画 の象徴ともいえる選択的夫婦別姓を可能とする法改正を行うと共に、女子差別 撤廃条約の選択的議定書の批准に向けて具体的に検討を始めること。
また、性的役割分業意識の解消ための多様な啓発活動や、各世代を対象 にした男女平等教育、さらに性別ジェンダーバイアスの拡散防止を進めること。
あわせて、婚姻や離婚等による名字(姓)の変更に伴う官民の各種手続きが 大きな負担になっている。国として民間の協力を得ながら名字(姓)変更のワン ストップ化を進めること。
1-3 女性に対する各種ハラスメントの防止
職場におけるセクシャルハラスメント、妊娠・出産・育児休業等に関するハラス
2

メント及びパワーハラスメントの防止措置を定めた男女雇用機会均等法、育 児・介護休業法、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及 び職業生活の充実等に関する法律及びそれらの指針の履行確保に取り組む こと。
職場におけるセクシャルハラスメントは個人としての尊厳や人格を不当に傷つ ける、あってはならない行為であるため、男女雇用機会均等法及びこれに基づく 指針について、事業主が講ずべき措置の内容だけでなく、就職活動中の学生 等への対応も含めた望ましい取組の内容を含めて周知を行うとともに、非正規 雇用労働者も含め外部相談窓口の活用も含めた有効な相談体制の整備等 により、雇用の場における防止対策を推進すること。
さらに、セクシャルハラスメントの被害実態を把握するとともに、教育関係者へ の研修等による服務規律の徹底、被害者である児童生徒等、さらにはその保 護者が相談しやすい環境づくり、相談や苦情に適切に対処できる体制の整備、 被害者の精神的ケアのための体制整備等を推進すること。また、被害の未然防 止のための児童生徒、教職員等に対する啓発・教育を実施すること。
1-4 多様性の尊重
性的指向・性自認に関することをはじめ、様々な属性の人々について国民へ の正しい理解を広め、社会全体が多様性を尊重する環境づくりを進めることが 必要である。そのため、相談体制の充実や理解の普及・啓発、関係機関との連 携を含む支援体制の整備に努めること。
1-5 性犯罪対策と性暴力被害者、DV被害者支援
DV・ストーカー・性暴力等あらゆる暴力を根絶することは女性活躍の大前提 であり、強力に施策を推進すること。「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」に基 づき、性犯罪の重罰化、被害者支援の充実に努めると共に、未然に防ぐための 取組を実施すること。その際、当事者や支援団体等からのヒアリング等により継 続的に実態把握・フォローアップし、支援策に反映させていく仕組みを構築する こと。
また、本年 10 月 1 日より運用開始した性暴力被害者支援のための全国共 通の短縮ダイヤル(#8891)の周知とともに通話料の無料化を図り、若年層が 相談しやすいよう、SNS等による相談体制も速やかに構築すること。
さらに、全都道府県に設置されている性犯罪・性暴力被害者のためのワンス トップ支援センターの 24 時間 365 日対応に必要な予算を確実に確保するとも に、医療費支援を拡充すること。
性的暴行や児童虐待について被害者の 2 次被害を防ぐ観点から報道ガイ
3

ドラインの策定について検討すること。
1-6 男性の育児休業取得率向上と「男性の産休」の創設
男女共同参画を進めるためには、男性の育児・家事、ワークライフバランスが 不可避である。男性の家事参加、育児参加なしでは子育て中の女性活躍は 妨げられ、男女共同参画社会は進まない。従来、男性は就職すると職場コミュ ニティが生活の中心で、仕事以外の経験をする機会が殆どなかった。男性が育 児休業を取得することは、家庭での育児、家事を進めるだけでなく、復帰後の職 場におけるイノベーティブな発想や、効率的な働き方につながるとの指摘がある。 さらに、第一子の出産後に男性が育児や家事を積極的に行っていた家庭ほど、 第二子以降が生まれる割合が高いという相関性も示されている。
国として、男性の家事・育児を進めるために、全ての男性が育児休業を取得 できるようにすることを目指し、配偶者の出産直後の時期の男性の休業(いわゆ る「男性の産休」)の創設や男性トイレへのベビーベッド、子どもトイレ、子ども用 椅子の設置、父親のための育児講座の普及促進、男性の育児参加制度が 充実している企業の表彰制度の促進などを進め、男性が育児・家事を積極的 に行うよう強力に推進していくこと。
1-7 女性の相談体制の充実
警察庁によると、本年 8 月 1 か月間に自殺した人は全国で 16%増加し、女 性は 40%も増えている。特に 30 代以下の比較的若い世代の女性の自殺は去 年より 74%も増加している。 国は、不安や悩みを抱える若い女性への相談体制 の充実を図るとともに、女性の自殺の原因を分析した上で、適切な対策を講じる こと。
1-8 新型コロナ禍での女性支援
これまで長く指摘されてきた、ひとり親家庭の困窮、女性に対する家庭内暴力 (DV)、社会経済情勢の急激な変化に伴う女性の失業等の課題は、新型コロ ナ禍において一層、その困窮度合いが高まり、支援策が十分でないとの声が多 く寄せられた。また、新型コロナ禍で妊娠、出産を迎える女性の多くが、感染の不 安の中で妊娠、出産、育児期を過ごしており、適切な支援策が求められた。
具体的には、将来、新型コロナウイルス感染症の封じ込めに成功したとしても なお影響が残ることから、ひとり親家庭の貧困問題、非正規雇用の割合が高い 女性の減収・失業問題、さらに DV や虐待防止対策などについて、今後とも最 優先課題として対策を講じること。
また、妊婦が安心してコロナ禍を過ごし、出産を迎えられるよう、必要とする妊
4

婦が有給の休暇を取得でき、また、無料の PCR 検査や SNS を活用した相談支 援など、現行の支援策を、どこにいても、確実に利用できるようにすること。
1-9 男女共同参画の視点からの防災の推進
近年、自然災害が激甚化・頻発化しており、防災・減災を更に進めることが 求められている。阪神淡路大震災や東日本大震災の経験を踏まえ、国は、各 自治体が防災・復興計画を整備するための「男女共同参画の視点からの防 災・復興の取組指針」を策定し、女性を防災・復興の「主体的な担い手」として 位置づけている。
本年、取組指針の改訂にあたり、わが党の地方の女性議員から多くの提案 が寄せられ、例えば、女性や子ども、高齢者、障がい者に配慮した備蓄を進める ことや、安心で清潔なトイレの整備、日頃から保健師、看護師、保育士など避難 生活を支える専門職との連携を進めることなど、生活に密着した様々な提案が 指針の中に反映された。中でも、多くの声があがったのが、地方では男女共同参 画の意識が低く、女性が地域の役員に就く等への理解が遅れているために、災 害時の避難所運営に女性の視点が生かされにくいことであった。
国は自治体と協力して、日頃から、地域や自治体、学校等において男女共 同参画の意識を醸成するための啓発活動を率先して進めること。
1-10 AYA世代のがん患者等への支援
AYA 世代のがん患者は、学業、就職、結婚、出産、子育てなど様々な課題 に直面しながら闘病を続けている。特に、AYA 世代特有の妊孕性の課題につい ては、第 3 期がん対策推進基本計画の通り、患者に対して、治療前に適切な タイミングで正確な情報提供を行い、意思決定支援を実施することが重要であ る。しかしながら、情報に接する機会が乏しい上に、療養環境や卵子等の安全 かつ適切な長期温存の体制が十分に整っていないなど、妊孕性とがん治療の 両方に係る精神的負担が重くなっている。国が実態を把握して支援体制のあり 方を検討し、必要な体制整備等に取り組むことや速やかに障害年金が受給で きるように周知するなど、支援を拡充すること。
あわせて、アピアランスケアを必要とするすべての患者が受けられるようにするた め、医療用ウイッグや胸部補整具の購入費の助成を推進すること。
公明党が推進してきた、乳がん、子宮頸がん検診無料クーポンの継続、手 紙や電話等による個別受診勧奨・再勧奨(コール・リコール)の徹底を図ること。
またワクチン接種の積極的勧奨を休止している HPV ワクチンについて、接種 対象者やその保護者に対し、より確実に情報提供を推進すると共に、子宮頸が ん検診に、細胞診に加えて HPV 検査との併用を導入するなど検診の充実をは
5

かること。
1-11 摂食障がい
拒食や過食などの摂食障がいの患者やその家族は、相談・治療・支援を受け られる窓口や施設の情報が少ないため、長年にわたり苦労していることが多い。 摂食障がいの患者数や属性などに関する疫学調査も少なく、例えばレセプトデ ータに基づく調査では患者数 21 万人となっているが、京都の高校生から大学 生を対象にした調査では有病率が 9.99%と、乖離している。また国は摂食障が い全国基幹センターを設置し、摂食障がい治療支援センターを全都道府県に 設置することを目標としているが、設置数はわずか 4 県のみで、指定を受ける施 設がないなどの理由で整備が進んでいない。
治療を受けていない患者が多いことや、どこに相談したらいいか、どこで治療を 受けられるかわからない、さらに治療できる施設が少なく一部の医療機関に患者 が集中する中で、慢性化、高齢化患者が増加するとの懸念も示されている。
国として疫学調査の方法等の検討と患者やその家族の実態調査を行い、ま た支援センターをはじめとする相談・治療・支援の窓口や医療機関を整備し、あ わせて早期発見・介入のための人材育成、当事者団体への支援や就労支援 など必要とされる支援策を進めること。
1-12 女性の働き方
新型コロナ禍で一気に進んだテレワークは、働く時間と場所をより柔軟にし、 ワークライフバランスに寄与するものと期待されている。一方で、一斉休校なども あり、自宅で仕事をしながら家事・育児の負担が女性に偏るなど大きな課題があ ったとの指摘もある。
新しい生活様式が求められる中、テレワークの更なる定着、拡大への支援や、 コワーキングスペースの設置拡大、同一労働同一賃金の実施拡大、短時間 正社員制度や在宅ワークなど子育てや介護と両立できる柔軟な働き方、女性 のマルチな働き方のロールモデルの発信や、夫の転勤により生じる女性の退職・ 転職、男性の単身赴任等の課題解決に向けた支援制度など、仕事と子育て、 家事のワークライフバランスがとれた働き方を実現するための支援制度を整備す ること。
また女性医師や看護師などの医療従事者が、結婚、妊娠、出産、子育てを しながら安心して仕事を継続できるよう、処遇の抜本的な改善や柔軟な働き方を 実現すること。
看護師、保育士、介護士などの紹介にかかる派遣会社の手数料が高額な ことが、運営者の大きな負担となり、当事者の給与が低い原因の 1 つになってい
6

るとの指摘がある。紹介手数料の適正化や医師会による職場情報の提供等を 進めるなど、人手不足の解消と適正化に努めること。
1-13 リカレント教育の充実
女性・高齢者等の活躍を後押しするため、社会人などが学び直しできるリカレン ト教育やシニア向けの企業説明会等の機会を充実し、希望に応じて誰もが必 要な能力・スキルを身につけ、就業機会の拡大につながる環境整備を進めること。
1-14 保育士の処遇改善
安心して子育てと仕事を両立させるためには、保育サービスの充実は不可欠 である。保育士不足を解消し、保育士が専門職として安心して長期間活躍でき るよう、社会的地位の向上や、更なる処遇改善を図ること。
また、保育現場への ICT 導入を推進し、午睡管理や入退出管理、健康管 理、勤務シフト作成、給与計算などを進めるとともに、キャリアアップのための各種 研修のオンライン化など受講しやすい環境整備を推進し、働き方改革と仕事の 負担軽減を進めること。
また、保育士経験者の再就職や子育て、介護のため短時間勤務を希望する 保育士の活用を進めるため柔軟な働き方ができるよう支援すること。
新型コロナ禍で保育サービスを提供し続けた保育士への支援を検討するこ と。
1-15 栄養教諭について
学校において食育を担う学校栄養教諭の資格を取得する方法として、学校 栄養職員として 3 年間の実務経験があれば講習を受けて単位取得することで 資格取得ができることとなっている。ただし、この実務経験は学校栄養職員に限 られており、管理栄養士が認定こども園等で給食提供を行った場合には認めら れていない。学校栄養職員だけでなくこども園や保育園で栄養士として働いた期 間を実務経験に算入し、栄養教諭資格取得できるよう検討すること。
1-16 介護職員や家族への支援
20 年前に創設された介護保険制度は、今では 600 万人の利用者となるなど 介護を社会全体で支える仕組みとして定着している。
一方で、急速な少子高齢化が進み、介護保険制度を介護現場のニーズ に応じた持続可能なものとするための不断の取組や、介護離職ゼロに向けて介 護を支える職員や家族への支援など、きめ細かな支援が求められている。そこで 以下の具体的支援策を進めること。
7

1) 在宅ヘルパーに対し、介護サービスの範囲を超えたサービスを求める利用 者が多く、現場の疲弊を招いているため、介護サービスの範囲の周知・徹底 をすること。
2) 介護職員への利用者や利用者家族からのハラスメント対策の強化(訪問 ヘルパーの 2 人体制、ヘルパーの補助者同行、ハラスメント防止のための 法律相談など多様な選択枝の提供によるヘルパー、事業所に対する支 援策の充実)
3) 地域包括支援センターに寄せられる困難な事例の課題解決のために、権 利擁護相談窓口など他の専門部門等、弁護士や精神保健福祉士等専 門家との連携を強化すること。
4) 新しい介護手法について海外の事例も積極的に調査研究し、有効な手 法を介護現場での活用につなげていくこと。
5) 今後さらに増加する一人暮らしの高齢者が最後まで安心して自宅で暮ら せるよう生活と介護の一体化した支援を充実すること。例えば高齢者の送 迎、買い物などにも拡大するなど、生活支援について地域での支え合いの 事業を自治体がさらに積極的に展開できるよう検討すること。
6) 介護と育児のダブルケアや複数の高齢者の介護、ヤングケアラーなど、介 護する人(ケアラー)の実態にあわせて支援できるよう、家族介護支援のた めの事業の充実を図ること。
1-17 認知症施策の推進
認知症に関する課題は、まちづくり、教育、生活支援など多岐にわたっており、 政府、自治体、事業者、国民等を挙げて総合的に取り組む必要があるため、基 本法の制定が必要である。
認知症施策の推進に当たっては、認知症と診断されても、尊厳をもって生きる ことができる社会の実現をめざし、当事者の意思を大切にし、家族・関係者も含 め寄り添っていく姿勢で臨むことを基本理念とし、認知症に関する課題が、予防、 ケア、まちづくり、教育、生活支援など多岐にわたっていることから、認知症施策 推進のための基本法を制定し、認知症になっても希望をもって、安心して暮らせる トータルな体制を構築すること。
なかでも若年性認知症の症状や特性等について、早期発見につなげられる よう知識の普及と周囲の理解の促進を図ること。あわせて若年性認知症の付き 添いにかかる交通費について、障がい者同様の扱いとすること。
8

提言2 妊娠・出産・子育て・教育への切れ目ない支援
2-1 不妊治療、不育治療の支援の充実
不妊治療にかかる費用は年々高額になり、治療費と国の助成額との差が広 がっており、所得制限、回数制限があるため、治療の中断、断念をする人が少な くない。そのため、所得制限の撤廃等支援の大幅な拡充を図るとともに、不妊治 療についての実態調査を当事者の意見を踏まえて速やかに実施し、保険適用 のあり方を見直し、抜本的負担軽減を図ること。
またクリニックで受けられる治療方法やその成績、技術の内容、治療費等に 大きな差があることや、その内容が開示されていないためクリニックの選択が難し いとの指摘が患者側から出ている。
不妊治療の治療ガイドラインの策定とともに、不妊治療実施施設の第三者 評価機関の設置、治療法や治療成績などの情報開示、胚培養士の質担保 と地位向上のための国家資格化の検討などに迅速に取り組むこと。
あわせて不妊治療のため仕事を退職したり、治療を断念する女性が4人に1 人にのぼるとの調査もあることから、仕事と治療の両立が可能となるように、フレッ クス勤務制度や年次有給休暇の時間単位付与制度などを進めること。
さらに、不妊治療を行うのは、法律上の婚姻関係にある方に限らない実態が ある。いわゆる事実婚であっても、不妊治療が必要だという実態がある場合につ いて、支援措置を検討すること。
また、妊娠しても、流産や死産した女性への支援も必要である。不育症につい て、治療法の確立を急ぐこと。国として検査費用への助成をするとともに有効性・ 安全性が認められたものについて保険適用の検討を行うこと。
また、厚生労働省は、流産や死産を経験した女性の支援策を進めるために、 自治体の相談センターなどを通じた調査を今年度中に実施し、経験者の心理 的な影響やケアの状況を把握することとしている。この調査結果を踏まえ、具体 的な支援体制を迅速に整備すること。
2-2 出産育児一時金の増額・妊娠検査への助成
出産にかかる費用の無償化を目指して、産科での妊娠検査や初診時の諸 検査にかかる費用を無償化の対象とすると共に出産育児一時金を 50 万円に 増額すること。
2-3 フリーランスで働く女性の出産・育児支援
国は女性活躍と共に多様な働き方を進めており、資格や技術を活かしてフリ
9

ーランスで働く女性が増えている。しかしフリーランスで働く女性には、会社に勤 める女性では当たり前の産前・産後休業中の出産手当もその後の育児休業給 付もないため、民間の調査では 45%が産後 1 か月以内に、また約 6 割が産後 2 か月以内に仕事復帰するなど、産休や育休のセーフティネットがないために心 身ともに過度な負担となっている。
国としてフリーランスで働く女性が安心して妊娠、出産、育児ができるよう産休 や育休のセーフティネットを整え、あわせて保育園の選考にあたってフリーランスの 女性が不利にならないよう努めること。
フリーランスの適正な拡大を図るための保護ツールの整備について、政府一 体で一貫性のあるガイドラインを整備するとともに、必要な立法的対応の検討等 を行うこと。
2-4 母子手帳の電子化の推進
自治体が交付する母子健康手帳の記録をデジタル化して保存・活用する母 子手帳の電子化を導入する自治体が増えている。健康診査の結果や予防接 種、成長を記録して残したり、自治体やかかりつけ医からの情報も受け取れるな ど、妊娠・育児の不安軽減に効果がでている。母子手帳を紛失してもデータは 残るため災害時等にも有用であり、より多くの自治体で電子母子手帳の導入が できるよう支援すること。
2-5 多胎児・多子世帯への支援
国や自治体で多胎児、多子世帯への支援に取組んでいるが、例えば高校 教育無償化にあたって子どもの人数や年齢を考慮して、所得制限を上回る収 入があっても対象に加えたり、産前・産後サポート事業や産後ケア、ファミリー・サ ポート・センター事業の利用料の負担軽減など、多胎児、多子世帯への更なる 経済的、身体的負担軽減に取り組むと共に、多胎児支援者への研修の充実 を図り、質の高い支援策を進めること。
2-6 在外の日本人女性や在日外国人女性の妊娠、出産、子育て支援
海外で出産、妊娠、子育てをする日本人女性や、日本で外国人女性が妊 娠、出産、子育てをする場合に、言葉や文化の違い、あるいは、情報不足などか ら、様々な困難に遭遇する。日本人女性が海外においても安心して妊娠、出産、 子育てができるよう、また外国人女性が、日本で安心して妊娠、出産、子育てが できるよう、SNS や WEB を活用した相談事業や窓口での多言語対応などを進め、 自治体の取組みも支援すること。
10

2-7 リスクある妊婦への支援
予期せぬ妊娠、あるいはその可能性により、身体的、精神的な悩みや不安を 抱えた女性が、相談したり、産科同行支援を受けられるように、また、妊娠が判明 しても安心して生活できる場がない等の事情でケアが必要とされる場合には、身 近な地域で必要な支援を受けられるように、アウトリーチや SNS 等を活用した相 談支援や居場所の確保など若年妊婦等支援事業を公明党として推進してき たが、まだ一部の自治体の実施に留まる状況にある。
若年や貧困・孤立等によるリスクある妊婦が、これらのサービスを確実に受け られるように、自治体への周知をさらに進め、事業の拡大をはかること。
2-8 緊急避妊薬―いわゆるアフターピルへのアクセス向上
昨年、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」が改訂され、条件付き で緊急避妊薬のオンライン診療が認められ、さらに本年 4 月より新型コロナウイ ルス感染症の拡大に際して時限的・特例的取扱いが実施されて、医師の判断 のもと電話やビデオ通話等で緊急避妊薬の診療が可能となった。現在、厚生 労働省は体制整備を進めているが、海外では多くの国が医師の処方箋なしに 薬局で薬剤師との相談・説明を受けて直接購入することが可能になっている。 一方、日本では医師の診察と処方箋が必要で、約 6 千円から 2 万円程度か かるため、女性からは「医師に受診するのが難しい」「高額」「診療、処方、薬の 購入に時間がかかって間に合わない」などハードルが高いとの声が上がっている。
意図しない妊娠のリスクを抱えたすべての女性が緊急避妊薬にアクセスできる よう、診療提供体制を強化し、あわせて緊急避妊薬を薬局で薬剤師の関与の もと、安心して安全に購入できるよう検討を進めること。
また、アメリカ、イギリス、スウェーデン、オーストラリア、タイ、台湾、インドなど 65 カ国以上で認可され、WHO の必須医薬品に指定されている経口妊娠中絶薬 の承認に向けて、前向きに検討すること。
2-9 体罰によらない子育ての推進
児童福祉法が改正され「体罰禁止」が明文化された。体罰が禁止されてい ることや「体罰によらない子育て」について、スウェーデンでは牛乳パックに啓発 メッセージを印刷するなど、積極的に周知している。我が国も「躾と称した体罰」 をゼロにするために、体罰禁止を周知徹底すると共に体罰によらない子育てを普 及するためにペアレントトレーニング等、子育てに不安を抱えるすべての親が受け られるように体制を整備すること。
11

2-10 地域子育て支援拠点
地域の子育てを支援する地域子育て支援拠点は、子育て中の親子が気軽 に集い、交流する中で不安や悩みを相談できる場として子育て家庭に定着して いる。しかし、多胎児への子育ての支援や、虐待防止、障がい児の子育てなど、 多様な子育て支援を求められることが増えているため、支援員を始めとする運営 者のスキルアップ研修を進めること。
2-11 キッズゾーンの推進
保育園児の散歩の列に車が飛び込み死傷事故が起きたことを契機に、保 育所等が行う散歩等の園外活動の安全を確保するため、昨年 11 月小学校等 の通学路に設けられているスクールゾーンに準ずるキッズゾーンが創設された。 キッズゾーンの設置を推進し、キッズガードの導入やゾーニングなど、ソフト・ハー ド面から安全対策を進めること。
2-12 子どもホスピス設置への支援
がんや難病で入院せざるを得ない子どもの生活は、きょうだいや家族との日常 生活ができず、子どもの成長発達、心に、大きな影響を及ぼしている。入院が長 期になるほど、また治療が苛酷になるほど、家族と一緒に安心して過ごせる場所 が大事になる。医療や看護、保育の専門家が連携して、長期入院の子どもと 家族を支え、子どもと家族が心から寛げる「子どもホスピス」を全国各地へ設置 できるよう支援すること。
2-13 予防接種の再接種
小児がんの治療により、以前に接種したワクチンの効果が低下・消失し、再 接種を必要とすることがある。こうした子どもへの再接種を定期接種として位置づ け、予防接種の対象に加えること。
2-14 きょうだい児支援
障がいやがん、難病などの兄弟姉妹がいる、いわゆる「きょうだい児」が、時に ネグレクト状態になったり、成長した後は家族との関係や自身の進学、就職、恋 愛、結婚、出産、将来設計などについて、きょうだい児特有の悩みや苦しみを抱 えるとの指摘がされている。しかし障がいや闘病する兄弟姉妹の陰に隠れて見過 ごされがちになっている。「きょうだい児」の実態調査を行い、きょうだい児支援のた めのモデル事業を実施するなど国としてサポート体制を構築すること。
12

2-15 待機児童の解消・病後児保育
待機児童の解消に向け、保育所等の整備を推進するとともに、それに伴い必 要となる保育人材の確保、子育て支援員の活用等を推進すること。
病児・病後児保育は、受け入れ数がゼロの日も多い中、看護師を常時確保 するなど、施設側の負担が大きい。また当日キャンセルは人数加算されないことな ど、存続に支障が生じている。働く母親にとっていざという時を支える大事な病児・ 病後児保育事業が継続できるよう国として更なる支援を行うこと。
2-16 発達障がいに対する支援
文部科学省が公立小中学校の通常の学級を対象に行った調査の結果で は、「発達障がいの可能性がある」児童生徒の割合は 6.5%、クラスに 2 人程 度は発達障がいの傾向がある子どもがいることとなる。国は様々支援を行ってい るが、発達障がいといってもその態様は様々で、個々の子どもによって異なり、複 数の障がいを合わせて持つ子どもも多い。国は、より専門性をもった保育士の育 成や教師のスキルアップ支援を行い専門性を高めること。療育・医療関係者等 の専門人材の育成を急ぐこと。
また、特別支援学級の教師の配置について、特別支援学校同様の配置や 重複障がいを持つ子どもを対象にした特別支援学級ではその障がいの症状に 応じた更なる配置の充実など、一人一人すべての子どもたちに対する個別最適 な学習計画に基づき個々の状況に応じて子どもにしっかりと向き合える体制を構 築すること。
平成 30 年度、高等学校における通級による指導が制度化されたところであ るが、令和元年 5 月時点で、通級による指導を受けている生徒数は約 800 人 にとどまっている。今後、発達障がい児が一般の高校において障がいの状態に 応じた適切な指導を受けられるよう、高等学校における通級による指導のさらなる 拡充を推進すること。
発達障がいの子どもが授業を理解できるように支援するために ICT の活用が 有用だが、現場では学校が認めてくれないという声が届けられている。読み書き や計算などに支障がある発達障がい児がデイジー教科書や ICT を活用するこ とで授業に参加できるよう周知すると共に、全国学力・学習状況調査の CBT 化 に向けた取組みを進めつつ、不登校や療養中の児童・生徒のために ICT を活 用した遠隔授業の体制整備を図ること。
放課後等デイサービス等の通所支援や保育所等における障がいのある子ど もの受け入れを実施するとともに、マザーズハローワーク等を通じ、きめ細かな就 業支援等を行うことにより、そうした子どもを育てる保護者を社会的に支援すること。
13

2-17 不登校となった子どもの学習支援
発達障がいやいじめなど様々な理由で、小中学校で不登校になった子ども の中で、フリースクール、適応指導教室、不登校特例校、夜間中学校、通信 制高校と連携するサポート校などに通い、学校生活を楽しんでいる子どもがたく さんいる。これらのオルタナティブ・スクールは個々の特性を尊重しながら、将来の 夢を育む貴重な場になっている。しかしこれらのオルタナティブ・スクールの授業料 が重いという声が寄せられている。その費用負担の軽減、例えば通信制と通学 生の区分の見直しなどの高校制度の在り方とともに、高校と連携するサポート校 に通う子どもが高校卒業資格を取得して将来の夢に繋げられるよう、サポート校 の費用も含めた負担軽減について検討を進めること。あわせて夜間中学校や不 登校特例校の周知や設置拡大に向けた支援をすること。
2-18 子どもの文化活動への支援
現在、子どもたちは新型コロナウイルス感染拡大の影響で、通常の学校生 活を送ることがままならず、また、友人をはじめ他者との接触も限られており、生活・ 学習リズム、心身バランスの崩れ等が懸念されている。
子どもたちの健全な心身の成長のためにも、芸術文化の力で夢と感動を与え、 子どもたちの心を揺さぶり、「人」の力のすばらしさ・信頼・絆を再び取り戻す必要 がある。このため、学校における文化芸術体験の充実に加え、新たに、劇場・音 楽堂等における文化芸術公演の鑑賞機会の充実を図ること。
2-19 子どものネット依存防止
スマートフォンやタブレット、ゲーム機器など、インターネットに接続できるデジタ ルデバイスは子どもに身近なものになっている。一方で「子どもが有害なコンテン ツに触れてしまわないか」「ゲームをやり過ぎてしまわないか」など、多くの保護者 が心配しているが、子どもの方が IT 機器に詳しく、よくわからないという保護者が 多い。親向けの講習会や、子どもがアクセスできるコンテンツを、契約時に年齢に 応じた制限を通信会社等がかけることを義務づけるなど、子どものネットゲーム依 存、不適切コンテンツへの接触を防ぐ対策を進めること。
14

提言3 持続可能な社会の構築に向けて
3-1 プラスチック資源の3Rの推進
国が目指す「プラスチック資源循環戦略」の具現策として、本年 7 月からレ ジ袋の有料化がスタートした。レジ袋有料化をはじめとするワンウェイプラスチック 容器の使用削減やリサイクルのための分別回収は、消費者の理解なくしては進 まない。
消費者が、地球環境や、そこで働く人、社会、地域に配慮した企業の製品を 選択して、消費行動に結びつけるエシカル消費に取り組むことができるよう、企業 がわかりやすい情報開示を行うように国として推進すること。
ワンウェイプラスチックの使用抑制は世界的な流れになっている。学校給食で 提供される紙パック入り牛乳に付いているストローの廃止や紙ストローなど代替 品の利用、また店頭で無料提供されているストローやカトラリー等の有料化、さら に各種イベントで使われるワンウェイプラスチックを繰り返し利用可能な食器に 変更するなど、消費者の理解を得つつ、ワンウェイプラスチック容器の削減に向 けて更なる取り組みを進めること。
プラスチックリサイクルを進める際に、行き場を失っている廃プラスチックのリサイ クルの促進が不可欠である。例えばリサイクルプラスチック 100%からゴミ袋を作 るなどの技術が日本にはある。バージン素材から作られているゴミ袋から、リサイク ル素材の使用率が高いゴミ袋に変えることを自治体に強く推奨するなど、リサイク ルプラスチックの利用拡大のための具体的な取組を国として進めること。
海ごみ・海岸漂着物対策のため、自治体が行う回収作業に対して、国が全 面的に財政支援すること。また、海ごみの多くは河川が発生源となっていることか ら、全国の河川で発生しているプラスチックゴミの調査を行い、発生源を突き止 めることにより、発生を確実に抑制する施策に役立てること。
3-2 紙おむつリサイクルの推進
高齢化に伴い、発生量が増加している使用済み紙おむつについて、環境省 は焼却するのではなく、リサイクルを進められるようガイドラインを作成し、地方自治 体に取組みを促している。家庭や施設からの回収も含めて、使用済み紙おむつ のリサイクルを進めること。
15

3-3 食品ロス削減の推進等
食品ロス削減推進のため、自治体における食品ロス削減の取組を支援すると 共に、事業者等における食品ロス発生を抑制するため、発生量及び削減した量 の見える化をはかること。
また、環境保護の観点から、企業から発生する、売れずに捨てられる衣類の 廃棄について、処分状況に関する実態調査を行い、発生を抑制するための施 策を検討すること。
3-4 フードバンクや子ども食堂等を通じた食の支援の強化
大量に食品ロスが発生している一方で、貧困のために十分な栄養を摂取で きない人たちがおり、とりわけ 7 人に 1 人とされる子どもの貧困は深刻である。フー ドバンクや子ども食堂、子ども宅食等を通じた善意の食の支援が、この問題に対
して重要な役割を果たしているが、周知不足や運営費の不足のため、食べ物を 必要とする人たちのニーズに十分応えられない場合もある。これらの活動の運営 基盤を強化するため、国、地方自治体、事業者、消費者等による、フードバンク 等活動への広範な支援を推進すること。
16
以上

コメントは受付けていません。

ブログバックナンバー
おぎた米蔵メールマガジン

月2回 八王子市政の情報をお届けします。夢とビジョンを育む、政治と行政がわかる『おぎた米蔵メールマガジン』をお読みください!

regi@psasp.jp

に空メールを送り、メルマガ登録の手続きを進めてください。

サイト管理者
おぎた 米蔵
ogita@kud.biglobe.ne.jp